SAO帰還者のIS   作:剣の舞姫

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お待たせしました! そして、今回の話はグロ注意。


第九十八話 「血に染まる新雪」

SAO帰還者のIS

 

第九十八話

「血に染まる新雪」

 

「さて一夏君、百合子ちゃん、箒ちゃん、鈴ちゃん、私達は学園内の警備よ。特に地下特別区画は広大な上に機密を多く扱っている場所だから」

「侵入者が居たら、撃退し拘束する、ってわけか……」

 

 現在、一夏達は楯無指揮の下で特別区画の廊下を歩きながら警備区画の割り当てを聞いている所だった。

 

「楯無さん、この、私と鈴の配属場所ですが」

「ああ、箒ちゃんと鈴ちゃんは機体の性能的に結構派手な武装が多いから広めの場所にそれぞれ当てたわ。私はISが無くてもある程度戦えるからこの狭い箇所、百合子ちゃんは無限槍の特性上狭い方が良いって事で同じく狭い場所を選んだのよ。そして一夏君は……」

「俺も、楯無さんと同じでIS無しでもそれなりに戦えますからね」

 

 既に白兵戦用のトワイライトフィニッシャーと、コルト・ガバメントを取り出して手に持つ一夏は戦闘準備が完了している。

 現実世界に帰還して以来、ほぼ毎日のようにリハビリと、その後の筋トレを続けた結果、一夏は生身で十分一流の戦闘者として戦える程の身体能力を得た。

 勿論、生身でISと戦って勝てというのは不可能……だとは思うが、ある程度の戦闘は出来るという確信もある。

 

「じゃあ楯無さん、俺は先に行ってます……どうも、キナ臭いんで」

「任せたわ……そうそう、一夏君」

「はい?」

「……今回、場合によっては許可するわね」

「……了解です」

 

 その言葉を聞いた瞬間から、一夏の瞳の奥に底冷えするような冷たい何かが宿った事に気づいた者が何名居ただろうか。

 分かれ道で楯無達と一夏が別れると、楯無はそっと握り拳を作り。学園の防衛が手薄になってしまった事が原因とはいえ、後輩に……それもSAOで散々人の命を殺めて心を痛めた一夏に再び人殺しをさせてしまう命令をしなければならない状況に、怒りの感情を胸に抱くのだった。

 

 

 IS学園地下駐車場、そこは学園外から通勤する教員の車や、和人と、それから最近は一夏も免許を取って購入したバイクが駐車されている場所だ。

 そこに、招かれざる客が大勢、黒装束に身を包んで侵入してきた。背格好、髪型や体型などから全員女性なのは間違い無い。

 数にして10名程度、全員が手に銃やナイフなどを装備していて、妙に殺気立っている。

 

「良いわね? 私達に依頼されたのは結城明日奈の誘拐と雪椿、紅椿の奪取、それから桐ヶ谷和人と織斑一夏、元亡国機業(ファントム・タスク)構成員であるKの殺害よ。私達以外にもプロの軍人が雇われてるみたいだから、ここで先に目標を達成出来れば私達の組織の名が世界中に広まるわ……そうすれば世の女性全てが私達の考えに賛同するはずよ」

 

 彼女達は裏社会ではそれなりに名が知られ始めたテロリスト認定を受けている女性権利団体だった。

 女性権利団体「イヴの楽園」、女性のみで構成された団体なのは他の女性権利団体と変わらないが、その思想は郡を抜いて過激だったのだ。

 一般的な女性権利団体の思想は女性は男性よりも立場が上、男性は女性に奉仕する奴隷というものなのだが、このイヴの楽園では違う。

 この世に存在する人間とは女性のみ、男性という存在は人間ではなく女性のペット、女性が次世代の子を産む為の装置であり、壊れても変えの利くただの肉の塊だというものだ。

 つまり、イヴの楽園にとって人間とは女性の事であり、男性は人間ではないという思想が当たり前のように語られているらしい。

 

「まぁ、依頼人が男だというのは気に食わないけど、ISをくれるって言うなら是非も無いわ。まだ私達はISを所持していないから、ISが手に入ればイヴの楽園はより完璧な組織になるのよ」

「ええ、そうですねリーダー! さぁ、早く行きましょ? あたし早くISが欲しいわ!」

「そうね……行くわよ!」

 

 もう自分達が依頼を達成するのが決まったかのような口ぶりでテンションを上げたイヴの楽園メンバーは地下駐車場から校舎へ侵入をするために前進しようとしたのだが、一発の銃声と共にリーダーと呼ばれた女性の歩みが止まった。

 後ろに居たメンバーは突然足を止めたリーダーを怪訝に思いつつも前に回り込んでどうしたのか尋ねようとしたのだが、前に回り込んだ瞬間、その表情は青褪める。

 

「り、リーダー!?」

「あ……う、そ……」

 

 口から血を吐き出すリーダーの女性の左胸には穴が開いていて、そこから大量の鮮血が溢れ出している。

 

「誰!? 誰がこんな事を!!」

 

 倒れ、絶命したリーダーの女性に目もくれずメンバー達は周囲を伺う。すると、一台のミニバンの陰から一人のIS学園生徒が出てきた。

 身を包む白い男子制服に、剣と銃を持つ男子生徒……そう、一夏だ。

 

「織斑、一夏!!?」

「聞かせて貰ったぜ、イヴの楽園……誰の依頼なのかは、まぁ一人だけ生きてれば良いか」

 

 そう言うや否や、一夏は左手の銃を発砲、先ほどのリーダーの横を歩いていた女性の心臓を銃弾が貫く。

 

「き、貴様ぁ!!」

「俺の可愛い娘まで狙ったんだ……生きてIS学園から出られると思うな!!」

 

 銃を持った女性達がその銃口を一夏に向け、発砲する。

 駆け出した一夏は己に向かってくる銃弾を避けるわけでもなく、かといって剣で弾くわけでもなく、そのまま直進した。結果、無数の銃弾は一夏の体を……貫かず、見えない壁に阻まれたかのように兆弾して天井や壁へ飛んでいってしまった。

 

「う、うそ!?」

「馬鹿が! 俺は専用機持ちだぜ? とっくに部分展開してシールド張ってるっての!!」

 

 見れば、一夏の頭には雪椿のヘッドセットがあった。どうやら部分展開する事で生身の肉体をISのシールドで守って銃弾を弾いていたようだ。

 

「はぁっ!」

「ひっ!? ぎゃあああああ!!!」

 

 銃を持つ女性の一人の懐まで潜り込んだ一夏は、右手のトワイライトフィニッシャーを一閃、腰から肩に掛けて斬り裂き、返り血を浴びながら左手の銃を斬った女性の下顎に付きつけ……引き金を引いた。

 

「あ……ああ……な、何なのアンタ!? 何でそんな簡単に人殺しが出来るのよ!?」

「もう何人もこの手で人を殺めたんだ……今更、殺した人間の数が増えようと、背負う十字架が増えただけの事さ」

「何よそれ……こ、こんな事をして、あんたは犯罪者の烙印を押されるだけよ!!」

「悪いな、お前達テロリスト相手なら、俺は殺しても罪にならないんだってよ」

 

 今、話をした女性はその言葉に青褪め、腰が引けたのか逃げ出そうとしたが……遅い。既に一夏はその女性の横を駆け抜け、すれ違い様に右腕を斬り落とす。

 

「ぎゃあああ!? う、腕、私の腕ぇええええええ!?」

「耳障りな雑音だな」

 

 喚く女性の背後からトワイライトフィニッシャーの刃を突き刺し、心臓を潰す。断末魔の声を上げて絶命した女性から刃を引き抜くと、次の獲物の足目掛けて一夏は左手の銃を発砲、我先にと逃げようとした女性の足を撃ち抜いて、その女性の所へ歩き出した。

 これ以上、仲間を殺されるわけにはいかないと、女性達もようやく応戦する事にしたらしく、銃を持っていた者はナイフを握り、元々ナイフを装備していた者はいち早く駆け出して刃を一夏の身体に突き立てようとする。

 

「遅い、握りが甘い、殺気で狙いがバレバレだ阿呆」

 

 背後から襲われたというのに、一夏は振り向く事も無く身体を逸らす事で凶刃を回避すると、そのまま女性の足を払う。

 バランスを崩した女性は、しかし生きて倒れる事は無かった。何故なら払われた瞬間、既に一夏の左手の銃が、その銃口を女性の頭に向けられていて、倒れようとする女性に一切の慈悲無く引き金が引かれたのだから。

 

「ヒィッ!?」

 

 先ほど、足を撃ち抜かれて動けなくなった女性は殺されるかもしれない恐怖に悲鳴やら何やら、全身から色々な物を漏らすが、一夏はその女性を生け捕りの対象に定めたのか別の女性へ向かって駆け出した。

 

「く、来るなぁあああ!!」

「銃の腕は俺より上だな……まぁ、ISを未だ所持出来ていない自分達の組織の不甲斐なさを恨め」

 

 こうして、残り5人の内、4人がトワイライトフィニッシャーの刃に、銃弾に倒れ、純白の制服を真っ赤な返り血で染めた一夏は残った一人の所へ歩み寄る。

 

「あ、あ……いや、こ、殺さないで……」

「殺さないさ……テメェには色々と喋って貰わなきゃいけないんだからな」

 

 そう言って、一夏は雪椿の録音機能をONにすると、トワイライトフィニッシャーを格納して懐からナイフを取り出した。

 

「んじゃ、まずは誰の依頼で来たのかを話して貰うぜ?」

 

 先ほどまでの殺意の篭った瞳は何処へやら。爽やかなイケメンスマイルを浮かべながら、一夏はナイフを一閃し、女性の右手小指を……切断する。

 数分後、一夏の前には足元を漏らした糞尿で汚す、両手の指と右耳の無い女性が倒れていた。幸いにもまだ生きているのだが、死んだ方がマシだと思えるレベルで拷問を受けたのだろう、意識を失って尚、その顔は恐怖によって歪められているのだった。

 

「また、増えたな……俺の十字架は」




次回は再び電脳世界、グリームアイズと戦う和人達のお話です。
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