SAO帰還者のIS   作:剣の舞姫

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二日連続~


第百十三話 「亡国の炎」

SAO帰還者のIS

 

第百十三話

「亡国の炎」

 

 楯無とスコールの戦いは文字通り水と炎のぶつかり合いだった。

 楯無の纏っているアクア・ヴェールが海水を吸い上げて増量し、そのまま水流となってスコールに襲い掛かるのに対し、スコールはプロミネンス・コートと呼ばれる熱線バリアで水流を受け止めて蒸発させ、そのままソリッド・フレアという火球を放って楯無を襲う。

 迫りくる炎を水の壁で受け止めた楯無はそのまま瞬時加速(イグニッションブースト)で接近して蒼流旋の穂先を突き出した。

 

「甘いわね」

「そっちこそ!」

 

 先端を展開した黄金の尾で穂先を受け止められるが、蒼流旋はバルカンも内臓されたランスだ。そのまま槍に仕込まれたバルカンを発射すればゴールデン・ドーンの尾が爆発を起こしながら離れた。

 

「ふふ、どうかしら水の弾丸の味は」

「この程度、私の炎を消すには至らなくてよ」

「なら、こんなのはどうかしら!」

 

 すると、先ほどから海水を吸い上げて水を補給していた楯無の霧纏の淑女(ミステリアス・レイディ)が、そのアクア・ヴェールを更に高密度にしつつ量を更に増やしていく。

 その水が蒼流旋の表面の水と連結して巨大な水の槍へと形状を変化させていった。

 

「(ミストルティンの槍は最後の切り札、清き情熱(クリア・パッション)はこんな開けた場所じゃ使えない……なら現状で使える手段を取るまでよ)これは結構きついわよ」

 

 水の槍が超高周波振動を起こして震える。それを見て妖艶な笑みを浮かべたスコールは頭上に巨大な火球を生み出した。

 

「来なさいな、全てを蒸発させてあげるわ」

 

 その言葉を合図に、楯無は巨大化した水の槍を振り被り、その水の穂先を螺旋回転させながら発射する。

 ドリルのような唸りを上げながら螺旋回転する水の槍が後方へ激しい水流を放って加速し、スコールへと迫った。

 対するスコールは迫り来る水の槍目掛けて頭上に生成したソリッド・フレア……巨大な火球を放ち、螺旋回転に対抗するようにジャイロ回転を発生させる。

 螺旋回転する水の槍とジャイロ回転する火球、この二つがぶつかり、水が蒸発する音と水蒸気が白煙となって視界を奪った時、二人は同時に動いた。

 

「はぁ!」

「ハァアア!!」

 

 水蒸気の煙が立ち込める中、再び交差する蒼流旋と黄金の尾が火花を散らし、再度離れては接近して槍と尾がぶつかる。

 何度も何度もぶつかって火花を散らしては離れを繰り返し、時折ガトリングの音が響く中、漸く水蒸気の煙が消えた時、そこには息を切らせる楯無の姿と、涼しい顔をしているスコールの姿があった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……うぐっ」

「あら、手負いだったのね」

 

 突然、楯無が脇腹を押さえたかと思えば、ISスーツの上からでも分かるぐらい赤く染まっているのが見えた。

 そう、そこは以前、楯無が撃たれた場所であり、実はまだ完治していない傷が開いてしまったらしい。

 

「この程度の傷、良いハンデよ……っ」

「ウフフ、強がりも過ぎれば哀れに見えるわよ?」

 

 実際、唯の強がりだった。スコールの実力は今の楯無では互角まで持っていく事は可能だっただろうが、傷が開いて少なくない血を流した今は確実に苦戦する。

 

「さぁて、これ以上甚振るのも趣味じゃないわ。さっさとトドメを……っ!?」

 

 突然の警報、同時に迫り来る高エネルギー反応に緊急回避行動を取ったスコールだったが、黄金の尾が間に合わず蒼い光に飲み込まれ、まるで量子崩壊を起こしたかの様に崩れ落ちた。

 

「い、今のは!?」

「間に合いましたね、楯無さん」

「い、一夏君……」

「織斑、一夏……!」

 

 楯無を庇うように純白の機体が蒼い翼を広げながら降り立った。その手には装甲と同じ純白の剣を握り、もう片方の手には見に覚えのある人物を抱えている。

 

「M!?」

「悪いが、コイツは拿捕させて貰ったぜ」

 

 Mを楯無に渡した一夏は全身の展開装甲を開いたまま翼を一度羽ばたかせ、蒼いエネルギーの羽が舞う中でトワイライトフィニッシャーをライトエフェクトで輝かせながら構えた。

 

「ふぅん、それがドクター・シノノノの造った最新鋭の機体なのね」

「ああ、俺が乗る事を前提にして造られた完全ワンオフ仕様の機体だ」

「へぇ、それじゃあ奪っても乗る意味は無さそうねぇ」

 

 一夏以外では性能を完全には引き出せない機体など奪う意味は無い。だが、その機体データだけは盗る意味がある。

 

「さてと、更識楯無ですら勝てなかった私に、勝てるつもりかしら? 坊や」

「逆に聞くが……お前こそ俺に勝てるつもりなのか? オバサン」

 

 妖艶な笑みを浮かべていたスコールの蟀谷が一瞬だけヒクリと動いた。そして、頭上に5つの火球を生み出して構えると、いつでも放てる準備を整える。

 

「炎か……その手の攻撃をしてくる奴を相手するのは、むしろ得意分野だ」

 

 そう呟いた瞬間、スコールと楯無の目の前から一夏の姿が消えた。そう思った時には既に一夏はスコールの背後に居て、その刃を振り下ろしていた。

 

「グッ!?」

 

 片手剣ソードスキル、スラントによる一撃を背中に受けたスコールは慌てて距離を取りながら生成していた5つの火球を放つ。

 しかし、その火球による攻撃は一夏にとってSAOやALOで見慣れた攻撃手段、剣一本での対処方法などいくらでも思い浮かぶ。

 

「セァ!!」

 

 まずは一つ目の火球をトワイライトフィニッシャーを一閃する事で斬り裂き、その勢いのまま前進しつつ二つ目を斬り捨てて三つ目を回避、四つ目も回避して五つ目は縦に一閃、そのまま二つに分かれた炎の間をすり抜けてスコールへと肉薄する。

 

「迂闊ね!」

「お前がな!!」

 

 真正面から接近してきた一夏に対し、スコールはプロミネンス・コートで炎の壁を生成、そのまま飛び込んでくる一夏を丸焼きにしようとしたのだが、対する一夏は炎に臆する訳でもなくそのまま突っ込んで、炎の壁の中に飛び込んだ。

 

「なっ!?」

「だから、その程度の防御なんて見慣れてるんだよ!!」

「あああっ!?」

 

 ソードスキルでも何でもない、ただの突刺をスコールの顔面に突き出した。

 絶対防御が働いてスコールの顔を貫く事は無かったが、それでも激痛が顔面を襲うスコールに構う事無く、一夏はスコールの髪を掴んで振り回し、回転の勢いをそのままに放り投げて一気に加速しながら追いかける。

 

「ラァ!!」

 

 加速の中で構えを取り、トワイライトフィニッシャーをライトエフェクトによって輝かせる。そうして追いついたのと同時に放つソードスキルは一夏がALOにおいて開発したオリジナルソードスキル。

 残像を残す程の超高速で放たれる5連続の斬撃、高速戦闘の貴公子ナツのオリジナルソードスキル“ブレイジング・ファントム”はスコールにまともな回避行動を許す事無く叩き込まれ、炎を生成するスフィアが破壊されてしまった。

 

「イーリスさん!」

「おっしゃあ!! 加勢するぜ!! オラァアア!!!」

「っ!?」

 

 ダメージで動きが止まった瞬間を狙ったように、加勢に来たイーリスの、ファング・クェイクの拳がスコールの鳩尾に叩き込まれて、そのままスコールは海へと叩き付けられてしまった。

 

「あ、やべ」

 

 水柱が消えるのと同時に、沈んで行ったスコールを見て、イーリスはやばいと慌ててハイパーセンサーで海の中を調べる。

 案の定、スコールが沈んでいったポイントには潜水艦らしき反応があり、恐らくはそのままスコールを回収してしまったのだろう、スコールが浮かび上がってくる事は無かった。

 




次回は学園に戻ってMの尋問などなど、かな?
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