SAO帰還者のIS   作:剣の舞姫

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え~、お待たせしました。
感想でもありましたが、感想返しについて私なりの考えがあるのですが、それはあとがきにて語ります。


学年別クラス代表リーグ編
第十二話 「中国より来る戦士の友」


SAO帰還者のIS

 

第十二話

「中国より来る戦士の友」

 

 クラス代表が一夏に決まり、いよいよクラス対抗リーグ戦が近づいてきた。

 昨日パーティーをして盛り上がったクラスメイト達は翌日になれば若さで体力を取り戻せるのか元気一杯で、それどころか真新しい話題の噂話に花を咲かせている。

 教室に入ってきた一夏達4人と箒、セシリアは席に着くなり噂について聞いたのだが、何でも隣の2組に転入生が入ったらしい。

 

「随分とまぁ、こんな時期に入るって事はIS学園に当初は入る予定じゃなかったって事か?」

「なのかな? それに中国からってことは、代表候補生?」

 

 一夏と百合子が顔を向き合わせて話をしていると、それを聞いていたセシリアが会話に加わってきた。

 

「間違いなく中国代表候補生でしょう。入学式を終えてからの一般生徒転入は余程の例外が無い限り原則不可能と聞いてますし、出来るとしたら代表候補生くらいですわ」

「そっか、中国かぁ…そういえば、SAOに居る間にアイツ、中国に帰ったんだよなぁ」

「アイツ…?」

 

 一夏が口にしたアイツとは誰なのか、百合子が聞きたいと言葉に出さずとも目を向ければ一夏も何が言いたいのか理解して2年も会っていない幼馴染を思い出した。

 

「小学5年からSAOに囚われるまでの間、ずっと一緒に遊んだりしてた幼馴染が居てさ、そいつが中国人だったんだよ。SAOから帰ってきてから弾に聞いたら一昨年の末に中国に帰ったって話なんだよな」

 

 一夏の幼馴染と聞いて、この場に居る幼馴染である箒が驚愕の表情を浮かべた。

 幼馴染のアドバンテージを持つのは自分だけだと思っていたのに、まさか同じ一夏の幼馴染というポジションを持つ存在が居るなど、彼女にとっては寝耳に水だ。

 

「い、一夏、その幼馴染というのは、女か?」

「ああ、名前が…」

「凰 鈴音よ!」

 

 懐かしい声が、聞こえた。

 一夏にとっては2年ぶりに聞くことになる、懐かしい友人の声、もう聞くことは無いかもしれないとまで思っていた声が聞こえて、教室の入り口の方へ振り返ると、そこにはIS学園の制服を身に纏ったツインテールの少女の姿が。

 

「鈴…? 鈴なのか!?」

「久しぶりね一夏…本当に、目が覚めてたんだ」

「あ、ああ…去年の末に、な」

「そっか、良かった…おかえり、一夏」

「…っ、ただいま、鈴」

 

 少女、鈴音は一夏がSAOに囚われる直前まで一緒に遊んでいた幼馴染だ。当然だが、一夏がSAOに囚われて直ぐ傍で千冬に代わりお見舞いなどをしていた事もあり、SAO生還は彼女にとっても本当に嬉しい出来事だろう。

 

「そっか、転入生って鈴なのか」

「そう、2組に転入した、泣く子は更に泣かす中国代表候補生、凰 鈴音とはアタシの事よ!」

 

 泣かしてどうする。

 

「このクラスの代表は一夏、アンタよね?」

「ああ」

「ならクラス代表戦を楽しみにしてなさい。アタシの力、存分に思い知らせてあげる」

「上等だ、楽しみにしてるぜ」

 

 言うや否や早々に自分のクラスに戻って行く鈴音、その後ろでは叩き損ねた事に不満を感じたのか、少し機嫌の悪そうな千冬が立っており、鈴音も去ったところで教室に入りHRを始めた。

 

「ではHRを始める」

 

 千冬の号令と共にHRが始まり、今日もまた平和な一日が始まるのだった。

 

 

 昼休み、一夏は百合子、和人、明日奈、セシリア、箒を誘って食堂に来ていた。

 昼食には一夏と百合子、箒が和風定食を、和人がアメリカンクラブサンドセットを、明日奈とセシリアはサンドウィッチセットを注文し、受け取って席へ行こうとしたところ、ラーメンの乗ったトレイを持つ鈴音が待っていた。

 

「おそかったわね一夏」

「なんだ、待ってたのか? ラーメン伸びるぞ」

「う、うっさいわね! アンタが早く来ないのが悪いんじゃない!」

 

 約束をしていたのであれば御尤もなのだが、生憎約束はしていない。なので鈴音の言っていることは随分と見当外れなのだが、昔から鈴音の性格を熟知している一夏は苦笑してスルーし、鈴音も誘って大きいテーブルへ向かい、それぞれ腰掛ける。

 一夏の右隣には当然の様に百合子が、左隣には鈴音が、向かい側には箒が座り、その隣にセシリアが、反対側には明日奈と、その向こうに和人が座った。

 

「それで鈴、いつ帰ってきたんだ? 俺がSAOに囚われてる間に中国行ったって弾から聞いてたけど、親父さん元気か?」

「ちょっと、いっぺんに質問しないでよね。それよりアンタこそ目が覚めたなら連絡くらい寄越しなさいよね、散々心配掛けといて」

「あ~…それについては、ごめん。本当に、心配掛けた」

 

 特に鈴音は一夏が目覚める前に中国へ行ってしまったため、その心配の度合いは弾たちよりも高い筈だ。

 故に、一夏は改めて頭を下げた。大切な友人に、心配を掛けてしまった事の謝罪と共に、無事に帰ってきたという意味を込めて。

 

「それで一夏、さっきから聞きたかったんだけど、アンタと同じもう一人の男って、あそこの?」

「ああ。俺と同じSAO帰還者で、俺自身もSAO時代は凄く世話になった人で、桐ヶ谷和人さん」

「桐ヶ谷和人だ、よろしく」

「ふぅん、そっか…一夏が世話になったわ、ありがとう」

 

 一夏が世話になった人物だからと、鈴音は頭を下げる。少なくとも彼女は礼儀というものを弁えているらしく、それを見た和人と明日奈は逆に頭を上げるように言うしかない。

 

「それでより一夏、アンタなんでISなんて動かしてるのよ? SAO事件といい、アンタってトラブルに巻き込まれる体質でもあったのかしら?」

「いや、ただ弾が受験で忘れ物したってんで届けに行ったらISがあって、キリトさんと一緒に触ったら動いたとしか言い様がないなぁ」

 

 因みに、鈴音は知らない事だが、SAO事件とIS起動事件だけではない。

 中学1年の時に第2回モンド・グロッソを観戦しに行った時には誘拐され、その後は半年もしない内にSAO事件で2年も眠り続け、その後のALO事件を解決に導き、そしてIS起動事件だ。

 確かに言われてみればトラブルに巻き込まれてばかりな気がする。

 

「それで? 代表戦出るならアンタも練習とかしてるんでしょ?」

「まぁ、とりあえずIS搭乗時間を増やす程度には」

「はぁ!? 戦闘訓練とか、飛行訓練や射撃訓練はしてないっての!?」

「飛行訓練はまぁ、瞬時加速(イグニッション・ブースト)とかの加速系は練習してるけど、飛行自体は問題なく出来るからそんなには」

「い、一夏…まさか、アンタ…噂は本当だっていうの?」

「噂って?」

「アンタが、ALOをやってるって」

 

 肯定しておいた。

 実際、一夏達がALOをやっているおかげでISでの飛行が素人離れしているほどの腕前であるというのは学園中に広まっている事だ。

 実際、あれからALOを始めたという生徒も居て、ALOで飛行をしてからISに乗ったら前より上達したという生徒も居るくらいなのだ。

 

「一夏、確かにアミュスフィアはナーヴギアと違って安全が確立されてるってのはアタシも知ってるし、ALOが健全だってのも知ってるけど、怖くないの? SAO事件で死ぬかもしれない状態になったってのに、またVRMMOやるのが」

「怖くはないよ、確かにALO事件なんてのもあったけど、今の新生ALOについては信頼出来るところが運営してるし、そもそも死なないゲームなら怖がる必要も無いしな」

 

 いつだったか、キリトが言っていた、死なないゲームなんて温すぎるという言葉。ALO事件の時であればそうも言ってられなかったが、今ならその言葉も真実味が増している。

 寧ろ、その温さが一夏達には心地良いのだ。散々死と隣り合わせのゲームをしてきたのだから、微温湯のような心地でゲームをしたいと思うのは当たり前と言えよう。

 

「信頼出来るところって、一夏、アンタその会社知ってるの?」

「いや、でも仲間の伝で信頼出来るって話を聞いてるから、問題無い」

 

 戦友でもあるエギルが信頼出来ると言ったのだ、それだけで一夏達が全幅の信頼を置く理由としては十分だ。

 

「何なら鈴もALOやってみると良い。すっげー面白いし、弾や数馬もやってるぜ?」

「へぇ、弾と数馬も…あの二人もやってるのなら信頼しても良いのかしらね」

 

 一夏がSAOに囚われて、鈴音と同じく心配していた弾と数馬、二人の友人も今ではALOプレイヤーだというのなら、鈴音としてもやってみようと思える。

 

「所で一夏さん? そろそろご紹介頂きたいのですが」

「あ、セシリア悪い、えっとコイツは凰 鈴音。小学5年の時に中国から転校してきた幼馴染で、俺がSAOに囚われてる間に中国に帰ったらしい。んで、今では中国の代表候補生か?」

「そうね」

「そうでしたの。では凰さん、よろしくお願いします、私はイギリス代表候補生のセシリア・オルコット、イギリス製第3世代型IS、ブルーティアーズの専属操縦者ですわ」

「あら、イギリスのBT兵器搭載試作機のアレ? ふぅん、よろしく、鈴で良いわ、中国製第3世代型IS、甲龍の専属操縦者よ」

 

 中国の第3世代機についてはセシリアも知っていたらしい。甲龍という名前でピンと来るものがあったらしく、納得顔をしている。

 

「んで、鈴、キリトさんの隣に座ってるのがアスナさん」

「結城明日奈です。歳はキリト君の一つ上で、凰さんの二つ上になるの。レクト社所属のテストパイロットです」

「と、年上!? って、そっか…SAO帰還者なら普通よね。よろしく、一夏が世話になったわ」

 

 此処までは何も問題無かった。だが、次と、その次の人物の紹介で一波乱あるのは、恐らく誰もが予想していただろう。

 

「んで、俺の向かい側に座ってるのが篠ノ之箒、前に話しただろ? 鈴が転入してくる前の年に転校してった剣道場の娘で、俺のファースト幼馴染」

「へぇ、あの時の話に出て来た子ね」

「む、篠ノ之箒だ」

「よろしくね」

 

 何故だろう、一夏以外の全員に箒と鈴音の間に火花が散っているのが見える。

 

「で、最後に俺の隣に座ってるのが宍戸百合子、同じくSAO帰還者だ」

「…よろしく」

「よろしく、アンタにも一夏が世話になったみたいね」

「気にしてないよ」

「でまぁ、俺の彼女なんだ」

 

 鈴音の時間が止まった。

 ゆっくりと、一夏の方を振り向いた鈴音はまるで冗談だと言って欲しいとでも言いたげな表情で一夏を見ていて、だけどそれは無常にも事実であると一夏と百合子が肯定してしまう。

 

「SAO時代に一緒に戦ってな、ゲームの中でだけど恋人になって、結婚もした」

「「結婚!?」」

 

 流石に結婚という言葉が出てくるとは思っていなかったのか、鈴音だけでなく箒まで驚いていた。

 確かに、ゲームの中での結婚とは言え、アイテムと金銭の共有化に互いのステータスを見れる様になるというのは、互いに信頼関係を築いていないととてもではないが出来ない事だ。

 SAOでの結婚について説明すると、鈴音は何とも言えない表情になる。

 それもそうだ。鈴音にとって一夏は初恋であり、今も尚、想いを寄せる相手であり、今回日本に帰ってきたのだって、あわよくば一夏とそういう関係になれたらという思惑もあったのに、それがまさか最初から思惑を打ち砕かれてしまうなど、誰が予想しようか。

 

「ねぇ、一夏……アンタ、百合子の事が好き、なのよね?」

「ん? 当たり前だろ、SAOで一緒に戦って、SAOの中でも、現実でも、守ると誓ったんだ。俺の剣は百合子を守るための剣だって、俺は自信を持って言えるぜ」

「そう…」

 

 想いを伝える前に、失恋してしまった。

 元来、鈴音は諦めが良いとは言えない性格だが、一夏の言葉、そしてその瞳にある百合子へ向けられた深い愛情を見て、もう自分の初恋は実らないのだと、確信してしまったのだ。

 

「そっか…アンタがSAOに囚われた時点で、あたしの想いは、届く事は無かったという事か……」

「ん? 何か言ったか?」

「何でもないわよ!」

 

 だが、此処にはもう一人、諦めが良くない者が居る。

 そう、箒だ。彼女は一夏の言葉を聞いて、自分と一夏を繋ぐ筈の剣が百合子を守るために使われているのだと知って酷く不愉快な気持ちを抱いていた。

 一夏の隣に立つのが自分以外の女であるという現実が許せない。自分が一夏の隣に立てないという事が気に入らない。一夏が、自分を見てくれないのが、何よりも認められない。

 誰よりも最初に一夏に好意を寄せていたのは自分だ。一夏と一番長い時間を過ごしたのは自分なのに、何故一夏は自分を見てくれないのか、何故他の女に想いを寄せ、自分には寄せてくれないのか、ただそれだけが箒の胸の内を支配する。

 

「そろそろ教室戻ろうぜ、チャイム鳴っちまう」

「だな、アスナ」

「うん」

 

 一夏の言葉で全員席を立って、明日奈は和人の腕に抱きついて歩き出し、セシリアは百合子にALOの事を聞きながら、一夏は鈴音と昔の話をしながら歩いていたのだが、箒だけは席に座ったまま、一夏の後姿を眺めていた。

 

「箒、行くぞ? 遅れるぜ」

「む、ああ…」

 

 でも、こうして一夏が自分も確りと気に掛けてくれただけで胸が温かくなるのは、恋する乙女の性なのだろうか。




感想返しについて、私の考えをこの場で語らせて頂きます。
まず、感想返しについては、私自身が小説を投稿する上で自身に課した制約と言いますか、それがありまして、その制約というのが、『次話を投稿するまで感想返しをする資格は無い』というものです。
次話を投稿出来る状態になってもいない癖に頂いた感想へ対する返しをする資格は無い。次話を投稿出来るようになって初めてその資格を得るというのが私自身の考えです。
故に、私は感想返しは必ず次話投稿時にしています。
以上が、私の感想返しについての持論でした。
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