イカ釣りに行ってきまして、船だったのですが、物凄く体力を消費し、体力回復に2~3日掛かりました。
船釣りは中々に体力使うんですねぇ。しかも帰りの車の運転、私だし。
SAO帰還者のIS
第十三話
「水の乙女と白き戦士」
鈴音を交えた昼休みの後、午後の授業が滞りなく行われ、現在は放課後。
和人は明日奈の付き添いでリハビリ施設に行っており、百合子はトレーニング施設で筋トレをしに行っている。
本当なら一夏も筋トレをしようと思っていたのだが、何故か百合子は一夏にトレーニングウェア姿を見られるのを恥ずかしがり、一緒にトレーニングさせてくれないのだ。
「はぁ~、暇だなぁ…ALOにインするかな…あ、でもこの時間だとまだ誰も居ないか?」
一人で狩りしているというのも良いが、それも何だか寂しいと、元ソロプレイヤーらしからぬ事を考えている一夏だったが、ふと待機状態にしている白式がSAO時代に取得した索敵スキルを発動、一夏に何者かが背後を付回している事を知らせた。
「誰だ?」
白式に格納していたトワイライトフィニッシャー(1/1サイズのレプリカモデル)を取り出して構えながら背後を振り返った。
こんな時、レクトに頼んでトワイライトフィニッシャーの人間サイズレプリカを作ってもらって良かったと思いながら、木の影に隠れる人物に切っ先を向ける。
「あら、物騒な物を乙女に向けるものじゃないわよ? 織斑一夏君」
木陰から出て来たのは水色の髪の少女、その手には扇子を持っており、開かれたそこには『銃刀法違反』の文字が書かれている。……何故か筆書きで達筆だ。
「それで? 何で付回してた」
「あら、私は生徒会長よ? なら今注目の男子生徒について確りと把握する義務があるのは当然よ」
「生徒会長?」
「ええ、生徒会長の更識楯無、学園最強を名乗らせてもらってるわ」
一度閉じられた扇子を再度開いた楯無、そこには先ほどの『銃刀法違反』ではなく『最強♪』の文字が。
「最強、ね…それって教員も含めてってことか?」
「え?」
「学園最強を名乗るってことはブリュンヒルデの千冬姉より強いって事だろ?」
「い、いや~…
それはそうだ。あの
「ああ、つまり最強(笑)って事か」
「ちょ!? (笑)って何よ!?」
「だって、学園最強なんて、千冬姉差し置いて名乗ってるんだろ?」
「う…生徒最強、です」
「うむ」
何故か満足気に頷く一夏。何気にIS業界で世界最強の座に輝いた姉が学園に居るのに、その姉を差し置いて学園最強を名乗られるのは嫌だったらしい。
千冬とはVRMMOに対する意見の食い違いで距離が離れてしまったのはあるものの、それでも一夏にとってはISで世界最強に輝いた尊敬する姉なのだ、シスコンここに極まれり。
「で? 俺を付回してた理由は?」
「あら、さっき言わなかったかしら?」
「さっきので、本当に納得するとでも?」
「…へぇ」
普通なら、否、SAOに囚われる前の一夏であれば、納得しただろう。だけど、戦闘以外にも様々な修羅場を経験してきた一夏は、そういった陰謀などにも敏感になっていた。
まぁ、相変わらず恋愛関係に関してだけは鈍感のままなので、百合子も本当に苦労している。
「そうね、確かにさっきのは表向きの理由よ。本当の理由は君の護衛」
「護衛?」
「そう、世界で二人しか居ない男性IS操縦者にして、SAO事件を解決に導いた英雄達の一人、白の剣士ナツ君」
「っ」
SAO事件を解決した人物が居るというのは有名だ。だけど、それが誰なのか、本名もキャラネームも、その一切が明かされていないというのに、彼女は一夏が英雄達の内の一人だという事を知っていた。
アインクラッド75層、あの最後の戦いを勝ち抜いた英雄達、一夏がその一人だという事を。
「何故、それを…?」
「私の家系、ちょっと特殊なのよ。だからよく知っているわ。白の剣士ナツこと織斑一夏君、黒の剣士キリトこと桐ヶ谷和人君、閃光のアスナこと結城明日奈さん、無限槍のユリコこと宍戸百合子さん、絶対生還ギルドのクラインこと壷井遼太郎さん、商いの斧戦士エギルことアンドリュー・ギルバート・ミルズさん」
あの戦いに参加していた一夏の仲間全員の通り名とプレイヤーネーム、そしてリアルの名前をフルネームで知っている。
特殊な家系とは言っていたが、この女…場合によっては危険かもしれない。と、警戒心を高めた一夏だったが、一夏の警戒心が上がったのに気付いた楯無は慌て出した。
「そ、そんなに警戒しないで? 私が護衛って事はIS学園からの依頼なのよ。それに特殊な家系っていうのも裏社会に属する家系だから普通は知らない事を知る事も出来るってだけなんだから」
「裏社会ですか…?」
裏社会の存在なら一夏も知っているし、若干だが和人と共に関わりがある。
総務省の菊岡誠二郎と知り合ってから色々と社会の裏事情というものに関わりを持つようになったのだ。
特に、VR関連の裏事情なんかには精通していると言えよう。時々だがまだ表に出せないVR関連の協力というアルバイトも行っているのだから。
「それで、護衛という事ですが」
「ええ、本来なら桐ヶ谷君にも付けるべきなのだけど、貴方はある意味桐ヶ谷君以上に重要な存在なのよ。ブリュンヒルデ織斑千冬とIS開発者である篠ノ之束博士の後ろ盾を持つ貴方は」
「キリトさんは、重要ではない、と?」
「そうは言わないわ。事実、桐ヶ谷君は実験用に使おうという意見も色んな所で言われていたけど、全て日本政府とレクトが突っぱねて更識家から人を出す事になったもの」
他国や国際IS委員会から見れば和人より一夏の方が重要だと言われているが、日本政府から見れば一夏よりも和人の方が重要な存在だった。
SAOクリアの真の英雄にしてALO事件を直接解決した功労者、これだけでも日本政府…特に総務省にとって和人の方が一夏以上に大切な人材なのだから。
「そうですか、まぁ護衛というのなら構いませんけど、せめて気配くらいは消してくださいね、気になってしょうがないですし」
「あら? お姉さんが気になるのかしら?」
「いえ、外敵かと思ってしまいそうで」
気配だけでそれが誰なのか、など一夏には判別出来ない。故に護衛するのであれば気配を消して一夏に悟られないようにして欲しいのだ。
「外敵って…」
「SAOはそういう世界だった、それだけの事です」
白式の索敵スキルも楯無ほどの実力者が気配を消せば見つける事は出来ない。生憎と一夏はSAO時代に索敵スキルをコンプリートした訳ではないのだ。
楯無が気配を完全に消しても索敵スキルで見つけられるとしたら、それは恐らく唯一索敵スキルをコンプリートした和人くらいだろう。
「そう、ならこれからは気をつけるわね」
「そうしてください、一々殺気を向けるのも大変なので」
自然と、一夏達は自分たちに向けられる敵意や殺意、尾行などについて敏感になってしまった。
それが何なのか不明だと、現実世界でモンスターが居ないというのは理解出来ても構えてしまいそうになる。
「と、こ、ろ、で~」
「何か…?」
「実は一夏君のクラスメートの布仏本音って子が居るでしょ?」
「ええ」
「彼女、ウチのメイドなわけなんだけど、あの子ALOやってるのよね~」
「はぁ」
「それで、あの子、私の妹も誘うつもりでいるみたいなんだけど、ALOの何処が面白いのか、教えてもらえるかしら?」
「俺が、ですか?」
「うん」
姉として、妹がやるかもしれないゲームの魅力を知っておきたいと彼女は言う。
一夏としても、これが切欠で楯無もALOに興味を持って貰えるのなら願ったり叶ったりなので、自身が知る情報と、魅力、その全てを伝えたところ、楯無も随分と興味を持ってくれた。
「へぇ、やってみようかしら…アミュスフィアがあれば出来るのよね?」
「ええ、アミュスフィアとALOのソフトがあれば寮の部屋にLAN回線もありますから」
ならば今度の休みに購入しに行くと決めた楯無に一夏は鞄の中に入れていたALOのガイドブックを渡した。
購入するまでこれを読んで事前知識を備えておけばゲーム開始後もスムーズにプレイ可能になる。
「ありがと、お礼に今度は桐ヶ谷君たちも一緒にISの訓練してあげるわ」
「楽しみにしてます」
IS学園生徒最強であり、現役のロシア国家代表である楯無の訓練を受けられるというのは中々に魅力的だ。
まだまだISの基礎的な動きは素人レベルであり、ALOでの動き方で誤魔化しているだけの一夏達にとっては在り難い申し出と言えよう。
楯無と別れ、寮の部屋に戻ってきた一夏はまだ箒が帰宅していないという事もあり、本格的に暇になってしまったのでソロで狩りでもしようとアミュスフィアを被った。
「リンク・スタート」
アルブヘイム・オンライン、ALOにログインした一夏…ナツは早速だが宿を出てアルンの外へ向かい、適当なクエスト攻略をしたり、レアアイテムをドロップするという噂のモンスターを狩ったりと、暇つぶしに興じている。
右手に持った片手剣を振る度に短く切り揃えた金髪の髪が揺れ、蒼いラインの入った白の外套が踊る。
「ふぅ…新しい剣、欲しいな」
今、ナツが使っている剣はアスナ救出の時に使っていたNPCの店で購入した物だ。
それなりに使って長いので愛着もあるが、やはりSAO時代に使っていたトワイライトフィニッシャーほどの性能があるわけではないので、もう少し高い性能の剣が欲しくなる。
「確か、この辺で希少なインゴットが採れるって話だったよな…行ってみるか」
インゴットが手に入ったらリズベットの所に持って行って剣を作って貰おうと決め、ナツは目的地に向かって飛んで行くのだった。
え~、次回の投稿は少し遅れます。
また少しリターンの方に集中しようと思いますので。