SAO帰還者のIS   作:剣の舞姫

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第十五話です。


第十五話 「浮遊城を駆け抜けた戦士達」

SAO帰還者のIS

 

第十五話

「浮遊城を駆け抜けた戦士達」

 

 所属不明機がアリーナに侵入してきてから管制室は慌しくなっていた。

 真耶はオペレート席で通信遮断した一夏達に再度通信を繋ごうと必至に呼びかけているが、それに応えは無く、千冬はずっと腕を組んだまま険しい表情でアリーナの様子が映し出されたモニターを睨み付けている。

 

「山田先生、織斑は何と?」

「それが、時間を稼ぐからその間に生徒達の避難を完了させて欲しいそうです」

「……教師部隊の突入可能時間は?」

「最短で10分ほどです」

 

 遅すぎる。ならば一夏の言う通りに一夏と鈴音が時間を稼いでいる間に生徒達の避難を終わらせる方が一番安全だろう。

 

「それから、桐ヶ谷君と結城さん、宍戸さんを援軍として呼んで欲しいと」

「あの三人をか?」

「はい……その、桐ヶ谷君達とならコンビネーションは抜群らしいです」

 

 思わず舌打ちしたくなった千冬だったが、管制室の窓からピッド内を見下ろすと、そこには既に和人と明日奈、百合子がスタンバイしているのが見えた。

 どうやら騒ぎが起きた時から既に動き出していたのだろう。それと、それに少し遅れる形でセシリアも駆けつけている。

 

「桐ヶ谷、結城、宍戸、オルコット」

『織斑先生?』

 

 千冬が和人達に通信を繋ぐと、明日奈が出てくれた。

 

「現在、アリーナに侵入した所属不明機は織斑と凰が交戦している。お前達は直ぐに出撃して二人の援護に当たれ。生徒達の避難誘導は現在遅れている、避難が完了する方が教師陣がアリーナに到着するより早いだろうから、それまで時間を稼ぐんだ」

 

 早急に、手早く簡潔に用件を伝えると、4名のIS展開許可を出し、4人が出撃するのを見送ってから、すっかり冷めてしまったコーヒーを口にする。

 冷めたコーヒーの苦さの不快故か、それともそれ以外の理由からか、表情を不快感に歪めた千冬はモニターへと視線を移した。

 そこには、和人達が駆けつけた事で一気に攻勢へと転じた一夏達の姿が、鮮明に映し出されているのだった。

 

 

 千冬から一夏が和人達を援軍として望んでいる事を聞いた和人達は直ぐに出撃するべく、己がISを展開すべく、待機状態にしているISへと視線を落とした。

 

「来い、黒鐡!」

「行こう、瞬光!」

「舞え、槍陣!」

「参りますわよ、ブルーティアーズ!」

 

 一瞬の輝きの後、4人はそれぞれのISを身に纏って順番にアリーナへと飛び出して行った。

 アリーナでは一夏と鈴音が所属不明機と交戦中であり、若干だが一夏が鈴音の援護を受けながら押している状況だ。

 

「ナツ!」

「キリトさん! アスナさん! ユリコ! セシリア!」

 

 到着した和人達に一夏の表情が明るくなる。アインクラッド攻略組最強PT、ここに復活した瞬間だった。

 すぐさま一夏は百合子と、和人は明日奈と、鈴音はセシリアとツーマンセルを組み、三方向からの波状攻撃を仕掛ける用意をする。

 

「ナツ、久しぶりだね……こうして組むの」

「ああ! 背中は任せたぜユリコ!」

「うん!」

 

 最初に鈴音が双天牙月で斬り掛かり、その肉厚の刃を所属不明機が受け止め、反撃にとレーザーの照準を彼女に向けた瞬間、一夏と和人がトワイライトフィニッシャーとエリュシデータをライトエフェクトによって輝かせながら突っ込んだ。

 二人が使ったのは片手剣ソードスキル、スター・Q・プロミネンスという6連撃だ。赤いライトエフェクトが炎の様に輝き、所属不明機の両手両足を斬り落とす。

 

「「スイッチ!」」

 

 スキル後、直ぐに所属不明機から一夏と和人が距離を取ると、すかさず明日奈と百合子が飛び込み、ライトエフェクトによって輝かせた細剣ランベントライトと長槍ルー・セタンタから細剣ソードスキルと、槍ソードスキルを発動する。

 

「はぁあああああ!」

「せぇあああああ!」

 

 明日奈が発動したのは彼女が最も得意とし、最も使用してきた彼女の代名詞とも言われたソードスキル、リニアーだ。

 一撃のみという少ない攻撃数だが、彼女のリニアーはアインクラッドで最も速かった。当然だが、ISに乗っている現在ならその速度は嘗てに劣る事も無く、目にも止まらぬ素早い刺突が所属不明機に突き刺さった。

 そして、百合子が使ったのは同じく一撃のみの刺突技、フェイタル・スラストというスキルだ。こちらも速度で言えば槍のソードスキルの中でも随一で、明日奈のリニアーが敏捷値によって速度が変わるスキルなら、こちらは筋力値によって速度が変わるスキル。

 アインクラッドにて、ナツとキリトにこそ及ばなかったものの、ユリコの筋力値はアスナを超えていた。その筋力から放たれる強力な刺突は所属不明機に突き刺さるどころか、そのまま貫通して大きく吹き飛ばしてしまう。

 

「セシリア! 今だ!!」

 

 一夏の合図に、上空待機していたセシリアは既に展開済みのブルーティアーズ4基の発射口を所属不明機に向けており、優雅に微笑んでいた。

 

「待ちくたびれましたわ! さあ、ブルーティアーズが奏でる終焉の葬送曲(レクイエム)をご堪能あれ!!」

 

 一斉射撃によって放たれたレーザーの嵐が所属不明機を襲う。

 あまりの激しさに所属不明機が土煙の中に消えたのだが、あれだけのダメージだ。もはやシールドエネルギーは残っていないだろうし、恐らくはスクラップになっているだろう事は容易に予想出来た。

 

「如何でしたでしょうか? わたくしとブルーティアーズの奏でるダンス、皆様方にもご満足頂けたかと存じますが」

「いや、油断するなセシリア……まだ敵の反応が消えてない!」

「え!?」

 

 煙の向こうからレーザーが放たれた。

 真っ直ぐ明日奈と百合子目掛けて放たれたレーザーは直感で動いた一夏と和人の光線破壊(レーザーブラスト)で如何にか霧散したが、続けざまに煙の中から出てきた切断した筈の両腕を繋ぎ直した所属不明機のタックルによって、一夏が百合子を巻き込んで大きく吹き飛ばされてしまう。

 

「ナツ!」

「ナツ君!」

「一夏さん!?」

「一夏!!」

 

 吹き飛ばされた一夏を見ればギリギリで雪片を展開し、トワイライトフィニッシャーとクロスさせる事でガードしていたらしく、目立ったダメージは無い。

 百合子も一夏の後ろに居たため、さほど大きなダメージは負っておらず、まだまだ二人とも戦える。

 

「っ!」

 

 だが、畳み掛けるように所属不明機が一夏に接近して拳を叩き込む。トワイライトフィニッシャーと雪片でどうにかガードしているが、一撃の威力が大きすぎて長く防ぐのは不可能だ。

 援護するために和人達も動くのだが、所属不明機は先ほどの一戦でソードスキルのパターンを覚えたとでも言うのか、和人と明日奈の攻撃は一切当たらず、鈴音とセシリアの攻撃も余裕を持って回避されてしまう。

 

「ぐっ……クゥッ!」

 

 反撃する間も無く攻撃され続け、一夏も、そして後ろから支える百合子も、そろそろ限界が近づいてきたその時だった。

 アリーナ内一杯に放送を使った声が響き渡ったのは。

 

『一夏ぁあああああああ!』

「ほ、箒!? あのバカ!」

『一夏! 男なら、男ならその程度の障害を乗り越えずしてどうする!!』

「しまっ!?」

 

 箒の声に反応してか、所属不明機のターゲットが一夏から放送席に向いてしまった。

 所属不明機は一夏を押さえつけたままレーザーの照準を放送席に向けると、発射口にレーザー特有の光が収束していく。

 

「キリトさん!」

「ああ!」

 

 間一髪、放たれたレーザーは和人がガードしたのだが、今の一撃によりエリュシデータを弾き飛ばされてしまい、武器を失ってしまった。

 所属不明機は武器を失った和人に再度レーザーを向けると、トドメを刺そうとしたのだが、それを見ていた一夏が所属不明機の横っ腹に渾身の蹴りを入れて吹き飛ばす。

 

「いい加減に、しやがれぇええええ!!」

単一使用能力(ワンオフアビリティー):零落白夜、起動】

 

 突如、一夏と白式が黄金の光に包まれ、雪片弐型の刃がスライドしてレーザー刃を展開。みるみる内にシールドエネルギーを食い荒らしていく。

 

「おおおおっらあああああああああ!!!」

 

 瞬時加速(イグニッションブースト)によって一気に所属不明機の懐に飛び込んだ一夏が左手の雪片を一閃すると、所属不明機のシールドバリアーを掻き消し、本体を直接斬り裂き、胴体にあったコアを真っ二つに切断した。

 コアを切断された所属不明機は機能を停止させ、漸く戦いが終わると、シールドエネルギーが尽きた白式が強制解除され、一夏がアリーナの地面に座り込む。

 

「おつかれ、ナツ」

「ああ、ユリコもおつかれ」

 

 一夏の視界には、一夏を労う百合子の微笑みと、漸く駆けつけた教師陣の乗る打鉄やラファール・リヴァイヴの姿が映し出されているのだった。




次回は所属不明機について、一つ原作との乖離が…。
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