SAO帰還者のIS
第三十九話
「激戦」
作戦開始の時間になった。
現在砂浜には白式を展開した一夏が紅椿を展開した箒の上に乗り、その隣にはストライクガンナーを装備したブルーティアーズを展開したセシリアの上に和人が、高速機動パッケージを装備したラファール・リヴァイヴを展開したシャルロットの上に明日奈が、それぞれ乗って出撃準備を整えている。
更に後方には
「うんうん、みんな準備は出来たみたいだね~。それじゃあ改めて説明するけど、運送隊で最速のブルーティアーズが先行してかず君は二刀流の手数でとにかく福音から離れないこと、セッシーはスターダスト・シューターによる援護射撃と、超高感度ハイパーセンサー“ブリリアント・クリアランス”による戦況把握を常に行っての現場指揮ね」
束の説明を聞き、頷いた和人とセシリアに満足すると、今度は第二陣となる一夏と箒の方を向く。
「続いて現状の紅椿の速度なら先行二人に追いつけるのは長く見積もっても5分かな? 到着次第、いっくんはかず君と連携して、同じ様に福音から距離を取らないこと」
「はい」
「箒ちゃんはセッシーの後ろから離れないで、セッシーの指示に従う事。必要があれば天月と空裂のレーザーで援護射撃ね」
「……はい」
続いて第三陣となる明日奈とシャルロットの番だ。
「あーちゃん達がいっくん達に追いつくのはそんなに時間掛からないと思うから、あーちゃんは到着次第いっくん達と合流ね」
「わかりました」
「シャルルンはセッシーと同じで援護射撃、それからセッシー達の防御をお願い」
「了解です」
そして最後に遅れてくる形になる鈴音と百合子。
「りんりんはセッシー達と同ポジ、ゆりりんはいっくん達とスイッチして最大の一撃」
「任せて」
「了解」
「これで落とせなくても時間を兎に角稼いで。ちーちゃんの話では40分くらいで自衛隊のIS部隊が到着するって話だから、最悪落とせなくても自衛隊さえ到着したら拿捕は可能みたいだからね」
自衛隊は
一夏達で落とせなければそれを使用して捕獲する手筈になっている。
「じゃあ、束さんは福音暴走の原因調査をしなきゃだから、もう旅館に戻るけど……皆、これだけは言わせて」
作戦概要の再確認の為に開いていたコンソールを閉じて旅館へと向かう前に、束は振り返って出撃するメンバー全員の顔を見渡し、口を開いた。
「必ず、生きて帰ってね」
『はい!』
返事と共に出撃していった皆を見送り、束は旅館へと戻る。
その道中、束は胸元に手を突っ込むと、目的の物を取り出して目の前に掲げた。それはシンプルな造りのロケットペンダントであり、中に写真を入れておけるタイプの物だ。
「……」
ロケットを開くと、当然だが中には写真が入っており、その写真に写っていたのは、まだ中学生の頃の、セーラー服を着た束と千冬と、それから当時大学生だった茅場晶彦が並んで立ち、束が困惑顔の茅場の腕に笑顔で抱きつき、千冬がそっぽを向いている姿だった。
「晶彦君……お願い、あの子達を守ってあげて」
先行する和人とセシリアはストライクガンナーの機動力から引き出される最高速度で飛行し、間もなく
既にセシリアの上に立つ和人はエリュシデータとダークリパルサーを構えていつでも飛び出せるようにスタンバイ完了していて、セシリアはブリリアント・クリアランスの索敵範囲に
「和人さん! 間もなく目標とエンゲージしますわ!!」
「了解だ! ユイ!!」
『はい! 衛星からの情報を見る限り福音はスペック中の最高速度で飛行中、このまま行けば30秒ほどでエンゲージします!』
「よし!」
ようやく黒鐡のハイパーセンサーも
『今です! パパ!!』
「おおおおおああああああああ!!!!」
セシリアの背中から一気に飛び出し、
両手の剣がライトエフェクトによって輝いた頃には
「遅い!!」
叩き込んだのは二刀流ソードスキル、ダブルサーキュラー。
二刀を使っての突進スキルで、その切っ先を
「チッ、まだだ!!」
距離を詰められる前にセシリアの援護射撃を回避した福音に再度接近、エリュシデータの刃を振り下ろし、腕で受け止められた瞬間にはダークリパルサーを振り上げ弾き飛ばし、追いかけながらエリュシデータとダークリパルサーをクロスさせるように振り下ろし、再度振り上げる事で連撃を行う。
やはりというか、
「キリトさん! スイッチ!!」
「っ!」
追いついて来た一夏が箒の背中から飛び出してトワイライトフィニッシャーの刃をライトエフェクトによって輝かせ、和人と入れ替わる形で前に出て垂直4連撃……バーチカル・スクェアを決める。
更にスイッチして和人が再び前に出るとエリュシデータのみをライトエフェクトによって輝かせ、水平4連撃……ホリゾンタル・スクェアを決め、スキル使用後のIS機能低下状態であっても更に連撃を繰り返し、再びソードスキルが使用出来るようになったら直ぐにダークリパルサーからのソードスキル、シャープネイルによる3連撃を直撃させた。
「ユイ! 福音のシールドエネルギー残量は判るか?」
『現在2500まで落ちました……流石に軍用機というだけあり、競技用の機体よりエネルギー量が多いですね、防御性能も桁違いです!』
「だな……っ! ナツ!!」
「はい!」
実質2対1の状態になったというのに、
恐らくこの短時間で若干でも戦闘経験を積み、和人達の戦闘パターンを解析したのかもしれない。
「来ますわ! データにあった
セシリアの指示で全員回避行動に出た所で
迫りくるエネルギー弾の雨を全員が必死に回避している中、和人と一夏は回避出来る物は回避して、直撃しそうな物は剣で弾きながら|銀の福音へと接近し、それぞれの剣を叩き込む。
「くっ!」
「このっ!」
二人の剣を両腕で受け止めた
「スイッチ!!」
聞こえた合図と共に和人と一夏が
結城明日奈が駆る瞬光が、その手に持つ細剣ランベントライトをライトエフェクトによって輝かせながら
持ち前の瞬発力により、明日奈の初動は
「……」
「セシリア! 篠ノ之さん!」
「シャルロットさん!」
「お待たせ!」
「ええ、ですがまだまだ時間が掛かりそうですわ」
「だね、援護射撃、いくよ!」
「まいりますわ!」
それぞれ銃を構えて援護射撃を開始したセシリアとシャルロットの後ろでは、両手に刀を持った箒が何ともいえない表情で
何で、自分はあの場所に、一夏と共に立つ事が出来ないのか、せっかくその為に求めた力も、蓋を開けてみればこんな役立たずの鎧で、剣士である筈の自分に与えられた役目は一夏の運送役と、援護射撃という剣士に似つかわしくない役割。
何が悪いのか、何で誰も認めてくれないのか、自分なら一夏と共に戦って必ず|銀の福音を落とし、名実共に一夏のパートナーとして相応しいと証明出来るのに、何で誰も彼も邪魔をするのか、それが理解出来ない。
「何で、私はここにいるんだ……」
箒の視界の先には、丁度駆けつけた百合子が鈴音の衝撃砲による援護の下、
どうやら、百合子の一撃で相当なダメージを負ったらしい
「お疲れ、ナツ」
「ああ、ユリコも最高の一撃サンキューな」
一夏と百合子と同様に、他の面々も互いを労い合っていた。
機能停止した
「っ! ユリコ!!」
「え? きゃああ!?」
ギリギリで、百合子を襲った銀色の閃きを一夏が弾き返した。
そして、攻撃してきた相手の姿を見た瞬間、一夏の、和人の、明日奈の、百合子の……SAO生還者組は目を見開く。
「Ho-Ho-Ho……久しぶりだなぁ、黒の剣士、白の剣士」
「な、何で……」
「嘘、だよね……?」
「そんな……」
「……っ!!」
そこに居たのは、3機のISと、それを身に纏う3人の
「
その時、この場の誰もが……和人達SAO生還者組以外の者は初めて聞いた。
一夏の、深い憎悪に染まった、その声を……。
さて、ラフコフの三人が何故ISに乗れるのか、ですが。
この場ではネタばれになるので語りません。後の本編にて語りますが、ヒントだけ出します。
ヒントは無人機です。