魔法少女リリカルなのは 『やがみけ!! とあるシスコンの話』 作:Arc.
初めまして、私は八神はやてっていいます。海鳴市に住む小学三年生です。
私には8歳年の離れた兄が居ます。両親は私が小さい時に事故で他界していて、兄はこの世にいる唯一の肉親なんです。名前は
「おっはよう!! はやてー!! ああ、はやてっ!! 今日も世界一可愛いよ!!」
「もう!! 兄ちゃん、いきなり部屋に入ってこんでって言ってるやろっ!!」
そう、私の兄ちゃんは俗に言う“シスコン”なんです。
「ちょっ、兄ちゃん。タンマ、まだ着替え終わってへん」
「うーん、はやては羽の様に軽いな」
全然話を聞いてくれへん……。
兄ちゃんは部屋に入るなり、私を抱き上げて車いすに座らせます。その際、必ず私の頬にキスをします。もう何年も続く習慣なんで特に気にしてませんけど、大概私の感覚もマヒしているかもしれません。
私の足は物心ついた時から動きません。病院にも通っているんですが原因は不明やって主治医の石田先生も言ってます。でも両親が居ない分、兄ちゃんは全力で私に愛をそそいでくれます。
色素の薄い私と違って、死んだお母さんに似たのか兄ちゃんの髪は濡れた様な漆黒です。顔もお母さんに似ています。整った顔立ちで中性的な雰囲気も合いなって、妹の贔屓目を抜きにしても男前やと思います。でも恋人がいるって話は悲しいかな、まだ聞きません。それも所構わず私にベタベタしてくるこのシスコン気質が大いに影響してるんやと思います。
家の中だけでなく病院や図書館への移動中も世話を焼きまくりって感じなんです。すれ違う人も「ああ、また始まったか」って微笑ましい目で私達を見てきます。それが少しだけ恥ずかしいんやけど、兄ちゃんはそういう事一切気にせんからなぁ。
「今日のコーディネートは良いな。はやての可愛らしさを全面的に引き出す素晴らしいチョイスだ。流石はやてだ。ん、リボンが曲がってるぞ」
兄ちゃんはスッと慣れた手つきで私のブラウスの胸元のリボンを整えます。
「もう、自分でできるって!! それより兄ちゃん、今日の朝ご飯は?」
「今日は和食だな。アジの干物に大根おろし、ほうれん草のおひたしにわかめと豆腐の味噌汁と出し巻き卵だ。それと弁当の具材が余ったからタコさんウインナーとウサギさんリンゴもあるぞ」
兄ちゃんは花の咲いた様な(男に対してこの表現は変やろうけど、それが一番適当な気がする)笑顔で答えます。
姉妹だけの二人暮らし。全部自分達だけでやらなアカンから私も家事は一通りこなせます。料理に関してはたぶん同年代とは比べられない位の腕が有るんやないかって思ってます。自信過剰やろか?
でも、兄ちゃんは私の更に上を行きます。炊事洗濯だけやのうて裁縫もこなします。(去年の誕生日はプレゼントに手作りのぬいぐるみとレースをあしらった蒼いワンピースを貰いました)。兄ちゃんの同級生の高町美由希さんに聞きましたけど、“嫁にしたい男No.1”と学校では呼ばれているそうです。
運動神経は人並みやけど、成績も優秀で容姿端麗でとっても優しい自慢の兄ちゃんです。
「前提条件は全てクリア……、だな。俺は下に一度戻るから顔を洗っておいで」
「はいはい、ありがとうな」
愛情全開の兄ちゃんに少しウンザリしても許されるやろ。だって毎朝こんな調子ですもん。でも、私が兄ちゃんを嫌いになったりする事は絶対ににあり得ません。たった二人の兄弟ですから。それが分かっているのか、私が少しつれない行動を取っても兄ちゃんは気にする事がありません。
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ寂しそうにしますが……。いや、兄ちゃん。なんで涙ぐむん? そんな、小動物みたいな目で見んといて。ああ、私が悪かったって。ごめんって兄ちゃん。うん、私も大好きやで。
いかん、また流されてしもうた。兄ちゃんがあんな表情したら謝るしか無いやん。うぅ、私も大概ブラコンの気が有るみたいや……。
兄ちゃんは自分より私の事を優先します。足の事もあったし両親が健在の頃から私を溺愛していたんですが、事故で二人だけになった後は其れまで以上に過保護になっています。でもそれだけ愛されてるんやって実感が持てます。だから私も兄ちゃんの為に何かしてあげたいって思って家事を覚えたんです。
兄ちゃんのシスコンが加速したのは両親の事もあったんですが、あるアニメとの出会いもかなり大きいって思います。
それは私みたいに障害を持った妹の居る主人公が「妹の為に世界を変える」っていうアニメでした。さっき兄ちゃんが私に言った言葉からも予想付くでしょうが、兄ちゃんはそのアニメにどっぷりハマってしまったんです。主人公にとても感情移入していて最終回は私の目の前で号泣していました。
生憎、うちは外国の王族でも無いし反逆する対象も無いんですけどね。現在進行形でこの世界は“優しい世界”だって思ってますし。
ただ主人公に影響されてか、私の為になら「自分や世界さえも変えてみせる」と意気込んでいたのには呆れましたけど。ああ、私は関西弁なのに兄ちゃんが標準語を使ってるのもアニメの影響です。
こんな感じの変に影響されやすい兄ちゃんですけど、私のたった一人の世界で一番好きな兄ちゃんです。
「今日は何時位に帰ってくるん?」
食卓では何時もと変わらず、のほほんとした空気が漂っています。ああ、やっぱ兄ちゃんの作ったご飯は美味しいな。甘めに味付けされた出し巻き卵を頬張り、そう思いながら兄ちゃんに予定を尋ねます。
「今日は翠屋でバイトだから、七時までには帰れると思うよ。あと三日したらはやての誕生日なんだしそろそろメニューを決めてしまわないとな」
兄ちゃんは同級生の美由希さんの両親が経営している翠屋って喫茶店でアルバイトをしています。始めたきっかけは私が欲しがったゲームを買う為だったんですが(両親が残した遺産は結構あるみたいなんやけど兄ちゃんの方針で嗜好品は自分で買わないとアカンのです)、美由希さんの御両親に気に入られて現在までそのバイトを続けています。
兄ちゃんの料理の腕前は以前もかなりの物だったんですが、バイトを始めてからは更に上達しています。特にお菓子作りが顕著で、美由希さんのお母さんの桃子さんからは内弟子の様な扱いだって前に笑いながら言ってました。
元々、兄ちゃんは甘い物が大好物だったんで「好きこそものの上手なれ」を体現してるなって感心してしまいました。
三日後に迫った私の誕生日には兄ちゃんの手作りケーキが食べれるから、楽しみで仕方無いって内心ワクワクしています。
「そろそろ行かないと。ああ、はやてとの別れが近付いていく……。くそっ、学校なんて無ければはやてと一緒に過ごせる時間が増えるのに……」
「何言ってるんよ、兄ちゃんは私の分まで学校で楽しんできてな、それで一日の事を私に教えてくれればいいんやよ。それに兄ちゃんの話を聞くのは楽しいし。ほら? 片付けは私がやっとくから、兄ちゃんは支度してきいよ」
「ありがとう、はやて。ああ、なんて健気でいい子なんだ……。はやてがこんなに心優しく育ってくれてお兄ちゃんは本当に嬉しいよ」
「はいはい、もうええって。其れにそんな気の利いた言葉を学校の女の子に言ったら恋人だってすぐに出来るんやないん? 兄ちゃんは美人さんなんやし」
「違うな。間違っているぞ、はやて。美人とは女性に対して使う表現だ。それにな、恋人など最愛の妹に比べれば無価値に等しい。お前さえいてくれれば俺は幸せなんだ。それにお前の幸せ、お前の笑顔が俺の幸せに繋がるんだ。だから微笑んでおくれ、はやて」
「うっ、あっありがとう。って、そういう発言禁止や!!」
「照れるな、照れるな。本当に可愛いな、はやては」
顔を真っ赤にした私に対して兄ちゃんは髪を優しく撫で整え、額にキスを落とします。もう、小さい子やないんやから恥ずかしいな。でも……、べっ別に嫌いやないから良いけど。
まあ若気の至りで前に恥ずかしいからやめやって言ったら、まるで世界の終わりが来た様な絶望を浮かべた表情をされました。それ以降強く否定できなくなったんですが。
うん、兄離れはまだせんでも良いな。私はまだ小学生なんやし。それに何時か兄ちゃんだって家に恋人を連れてくるかもしれんし……。
いや、ダメや。アカン!! 兄ちゃん、恋人なんか連れてこんといて!! 兄ちゃんは私の物や。ああ、そうや。私が兄ちゃんと結婚すればいいんや。うぅ、でも日本の法律では禁止されてる。
どうにかして法律を改正させないかんな。私が、この手で!!
「何故なら私ははやてや。世界を壊し、世界を創造する女や!!」
キョトンとした顔で兄ちゃんが見つめてる。思わず口に出してしまったんか。はっ、恥ずかしっ!! これじゃ兄ちゃんと同類やん。
「はやて。兄ちゃんはお前の為なら阿修羅さえも凌駕してみせる。何か望む事があるなら俺に言うんだぞ」
兄ちゃん、ソレ違うアニメや。うん、確かに武士道は格好良いけど。っていかんいかん。
そうです。私も兄ちゃんの影響で男の子の観るアニメはそこそこ観ています。だってロボットって格好良いやん。逆に兄ちゃんは女の子がみるアニメも気に入った物は私と一緒に観てますが……。
日曜の朝八時半は二人並んでテレビを観ます。私はその後にあるグルメバトルアニメがお気に入りなんですが、兄ちゃんは太陽サンサンな魔法少女の活躍を楽しみにしています。関西弁が私を彷彿とさせて可愛いって……。
それって、私が可愛いって事を遠回しに言ってるだけやん。もう、ばかぁ。ってまた脱線してもうた。
幸運な事に口に出してたのは後半だけみたいやな。法律を変えるって部分を聞かれてたら、兄ちゃんの事やから「政治家になる」とか本気で言い出しかねんし。
そんなこんなで八神家の朝は過ぎていきます。玄関まで兄ちゃんを見送ると、これまた日課となった兄ちゃんからの頬へのキスが私に対して送られます。
「それじゃあ行ってくる。良い子にして待ってるんだぞ」
「うん。兄ちゃんも行ってらっしゃい」
それから私は表まで出て、兄ちゃんの背中が見えなくなるまで手を振りつつ“全力”で見送るのでした。
八神嵐は朝礼の10分前に教室に到着した。荷物を置くと、すぐに懇意にしている友人のもとに向かう。彼がクラスで特に仲の良いのは二人。バイト先を紹介してくれた事でつるむ様になった高町美由希。それと中学からの腐れ縁の野球部に所属する
「やあ、おはよう。高町、それにドラゴン」
「俺は美由希のついでかよ。って誰がドラゴンだ!!」
「おはよう。ダメだよ、ランちゃん。藤波君が怒るのも分かるよ。新日のスターレスラーに名前が似ているからって」
「お前な、あのあだ名はやめろよ。普通に定着してるじゃねえかよ。後輩に至っちゃマッチョドラゴンとか言ってくるんだぜ? そいつらはタイガードライバー91で仕留めちゃいるけど。 って美由希も分かるのか?」
「まあね。お兄ちゃんが居るし、格闘技はお父さんもお兄ちゃんも好きだから」
「おい、高町。いい加減その呼び名は止めてくれ。お前だけじゃなく桃子さんまでそう呼びだしたじゃないか」
「えぇ? 可愛いのに」
美由希の可愛い発言に対して周囲の生徒たちは同意すると言わんばかりに首を縦に振っていた。嵐本人は気付いていないのだが、高校には彼のファンクラブが存在する。はやてをして美人と言われるその容姿からか、会員名簿には女子だけでなく男子の名前も連なっているそうだ。
「良いぞ、美由希。どんどん言ってやれ。ランねーちゃーんってな」
「可愛いは男に対して不適切だと思うが……。まあ良い、今日ははやての素敵な笑顔が見れたからな」
「今日“は” 、じゃ無くて今日“も”だろ? このシスコンが」
「シスコンか。其れは俺にとって褒め言葉だ。それにはやてのように出来た妹が居れば誰だろうとシスコンになるだろう。いや、なるに決まっている!!」
「あはは、うちの恭ちゃんも大概だけどランちゃんも大概だね」
「ああ、恭也さんか。確かに彼は我が同志だ。彼とは“永続調和の契り”を交わした仲だからな」
「格好良い言い方してるけど、それってシスコン同盟だろ?」
「恭ちゃんとランちゃんって顔を合わせると妹自慢始めるもんね。なのはが、はやてがって」
「恭也さんにはなのはだけじゃなくお前の事も色々聞いているぞ。小さい頃は何時も後ろからくっ付いて来てたとか、何歳までおねしょをしていたとか」
「ちょっと、恭ちゃんから何吹きこまれてるのよ!!」
「まっ待て高町っ。暴力はいけない」
「カ○ーユかよ。それにしても腕っ節で美由希に負けるなんて情けないな」
「違う!! 高町が別格なんだ!! コイツの家は古武道の道場やっているんだから、女の腕力じゃない!!」
「あぁ、確かに美由希は別格だな……」
「それってどういう意味よ、二人とも」
「「いえ、何でも有りません。マム!!」」
二人は90度に腰を曲げ謝罪をし、何とか凍りついた笑顔を浮かべる美由希をなだめるのだった。何だかんだでこの三人の相性は良いらしくこんな感じで日々を過ごしている。
「今日はランちゃんがお店に出る日だよね?」
「ああ。はやての誕生日に休みを貰ってるからな」
放課後、美由希が声をかける。二人は共に下校をする機会が多い。他の女子からやっかみが有るかと思われるかもしれないが、嵐のシスコンぶりから男女の中に発展しそうにないと思われているようで特にそのような事は無いのだ。
それに美由希自身は自覚が無い様だが彼女も大概にブラコンなのである。学校でふとした機会に兄の恭也の事を自慢してしまう事があるようだ。
余談だが藤波は高校球児らしく現在甲子園を目指し練習に励んでいる。彼は恵まれた肉体を活かしキャッチャーとして汗を流している。
「聞いた? 今日は嵐くんの日だって」
「勿論!! それじゃあ、翠屋に直行だね」
嵐と美由希が教室から出ると、残っていた女子達がその後の予定を立て始める。そう、彼女らはファンクラブの会員なのだ。彼女達は独自の連絡網から他のクラスや学年の会員達に情報を流す。
嵐が店に出る日はマスターの士郎とその息子の恭也の出勤日と並んで売り上げが伸びる日なのだ。
嵐自身は心優しい友人達が応援しに来てくれている程度にしか思っていないのだが……。
時間は6時を少し回った辺り。嵐のバイトはほぼ終了し、現在は厨房で翠屋のパティシエであり美由希の母である桃子と翌日の仕込みをしながら雑談していた。
「今日も大盛況だったわね。本当ランちゃん様様だわ。それで、明後日は休みって事でいいのよね?」
「はい。お願いします、桃子さん。でも、ホントすいません。こっちの都合で」
「良いのよ、最近はずっと頑張ってくれていたんだから。はやてちゃんも寂しがってるんじゃない? たった一人の妹の誕生日なんだからお休みして当然よ」
流石に疲れが溜まっているみたいね。ここ数日ははやてちゃんの誕生日の為にシフトを組んでいたみたいだから。両親を亡くしてから兄弟二人で生きていくのは本当に大変だったんでしょうけど、ランちゃんってそういう素振を見せないのよね。弱みを見せない気質なのかしらね。
そういう所が何だかうちのなのはを観ているみたい。
「それにしても本当に良いお兄ちゃんね。愛する妹の為にバイトに家事に」
「いえ、俺なんて全然ですよ。それよりすいません。お店のレシピを特別に戴けるなんて」
「何言ってるの。ランちゃんになら幾らだって教えるわよ。それにはやてちゃんが喜んでくれるならそれで良いじゃない」私からの誕生日プレゼントって事でね。
「じゃあ、今日もお疲れ様。明日も放課後はお願いね」
「ええ、それじゃあ失礼します」
そうこうしているうちに作業は粗方終わり、嵐は家路に就くのだった。
時計が七時を回ろうとするとき、玄関から物音が聞こえてきました。漸く兄ちゃんのお帰りや。私は車いすで玄関まで移動する。
「ただいま。帰ったよ、はやて」
兄ちゃんはバイトで疲れてるんやろうけど、それを感じさせない様に笑って私の事を抱きしめる。そんな兄ちゃんを私も精一杯の笑顔で出迎える。前に兄ちゃんが言ったんや。私の笑顔が一番の元気の素やって。
「お帰り、兄ちゃん。今日も学校とバイトお疲れ様。夕飯はサーモンのマリネと舌平目のガーリックバターにアクアパッツッアって魚介類攻めにしてみたんよ。それに兄ちゃんの大好物の手作りプリンもあるで」
「あぁ、ありがとう。本当にお前はよくできた妹だよ。大好きだっ、はやて!!」
「うぅ、苦しいって兄ちゃん。はよう荷物置いて着替えてきてな。私は支度済ませとくから」
兄ちゃんは蕩けきったような笑顔で私室のある二階に向かう。それもスキップしながら。ふふっ、喜んでくれてこっちも頑張った甲斐があるってもんやよ。
それから私達は一緒にご飯を食べて一緒にお風呂に入ってから就寝しました。
えっ? そうやよ、お風呂も一緒や。だって一人で入るのは大変やし、それに兄妹なんやから何もおかしい事無いやろ? 寝るのは、その……。たまにや。偶にしか一緒に寝てへんから。
それからあっという間に2日過ぎて私は9歳になりました。夕飯は兄ちゃんが腕によりをかけた和食が並んでいます。兄ちゃんは和洋中何でも作れるんやけど一番得意なのは和食なんや。献立は真鯛を一匹丸々使った塩釜焼きに、蛤の潮汁、イクラののったちらし寿司に水菜や京野菜を使ったサラダ。そう、兄ちゃんは食べ物に対しては財布のひもが緩むんです。
食べ物が身体を作るからって良い物をバランスよく食べなってよく言ってます。
「うーん、美味しい!! 本当に嵐君って料理上手よね。先生の所にお嫁に来てくれないかしら」
誕生祝いに石田先生も来てくれて、兄ちゃんの料理に舌鼓を打ってます。って、先生。何か聞き捨てならない言葉が聞こえた様な気がするんやけど。
「ははっ、ありがとうございます。お口にあった様で良かったですよ。でも先生、男に対してお嫁にってのは……」
そうやよ。兄ちゃん、もっと言ってやり!!
「ええぇ? だってこんなにお料理が出来て他の家事も出来て、それに美人なんだから。私以外にも絶対お嫁に欲しいって人はいるわよ」
「ダメー!! 絶対ダメやからな、兄ちゃん。兄ちゃんは何処にもお嫁にはやらんからね」
思わず叫んでしまいました。そんな私を見て兄ちゃんも石田先生も一瞬目を丸くした後、噴き出してました。
「ふふふ、本当にはやてちゃんはお兄ちゃんっ子なのね」
「ええ。兄ちゃんは自慢の兄ちゃんですから。私の兄ちゃんは世界一の兄ちゃんですもん」
「ありがとう、はやて。はやても俺にとって世界一の自慢の妹だよ」
三人だけやけど賑やかな夕飯を食べた後は、兄ちゃんが用意してくれたケーキを食べました。スポンジに抹茶を使った和風ケーキで翠屋でも今度出す予定の物らしいです。一足先に食べられるのも嬉しいけど、兄ちゃんの手作りってのが本当に嬉しいわぁ。餡子が甘すぎずクリームもたっぷりで付け合わせのチェリーと黄桃がアクセントになってほっぺが落っこちそうになりました。
それから石田先生を見送り、兄ちゃんとお風呂に入ってから床に就きました。
今日は誕生日で特別やから私のベッドには兄ちゃんも居ます。んふふ、ボディーソープと兄ちゃんの匂いが混ざって良い匂いがします。兄ちゃんにぎゅうって抱きついて胸元に顔を埋めました。
枕元には兄ちゃんから貰ったバースデイプレゼントのイヤリングが箱に入れた状態で置いてあります。
兄ちゃんは「まだ早いかもしれないけど、はやてみたい可愛い子が着飾らないのは世界の損失だ」とか言って手渡してくれたんです。星を模ったシルバーのイヤリングでとっても素敵なプレゼントやと思います。兄ちゃん曰く「はやての事を守る星になるよ」って。私の宝物が増えました。
そんな時です。私の部屋の本棚に入っていた筈の鎖付きの本が光を放ちながら中に浮かび上がったのは。
「なっ、何なん!?」
「ほわぁ!? はやてっ!!」
兄ちゃんは私を庇う様に自分を盾にして抱きしめてくれました。でもダメや、兄ちゃん。兄ちゃんに何かあったら私は生きていけへん。兄ちゃんさえ居てくれればそれだけで良いんや。兄ちゃんの居ない世界なんて……。私はそんな世界、いらん!!
そんな中、本からは魔法陣見たいな模様が放たれます。その時私の胸からも小さい光が出てきて……。本当に何なん、これ?
そうこうしているうちに光が収まり、4人の黒い服を着た男女が現れたのでした。
友人の名前を変更しました。特撮ネタはダメなのに修正し忘れていました。申し訳ありません。
由来は藤波辰彌選手から。分からない人はお父さんやお祖父ちゃんに聞いてください。