魔法少女リリカルなのは 『やがみけ!! とあるシスコンの話』   作:Arc.

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話は全然進んでないです。だって日常系ですし。


もう一人の魔法少女

 ほええ、はやて怪獣やないよ。うん、こんな感じかな? 魔法少女っていったらやっぱ国営放送のあの娘みたく可愛くないとアカンな。でも、こんな事言うと兄ちゃんが手製の衣装を私に着せてハンディカム片手についてきそうや。

 皆さんお元気ですか、闇の力を秘めし“本”を手に入れた八神はやてです。現在私たちはデパートで買い物を終え、兄ちゃんのバイト先である喫茶・翠屋に来ております。ココのランチはとっても美味しいんで、ヴォルケンリッターのみんなにも食べて欲しいって思ったんですよ。きっとヴィータ辺りはその美味しさに驚くと思うわぁ。

 

 「いらっしゃいませ!!」

 

 兄ちゃんがドアを開けると可愛らしい声が聞こえてきました。そう、まるで桃色のはっぴを着た親衛隊が国を建国してしまうほどに可愛らしい声が……。

 私たちを出迎えた声の主は、茶色い髪をツインに結んだ私と同じ歳の女の子でした。彼女が私の友達の高町なのはちゃんです。

 

 「こんにちは、なのは」

 

 「こんにちは!! なのはちゃん、久しぶりやね!!」

 

 「あっ、嵐さん。それにはやてちゃんも!! 本当に久しぶりだね」

 

 なのはちゃんは満面の笑みで私たちを出迎えてくれました。翠屋は兄ちゃんの友達の美由希さんのご両親が経営しているって前にも言いましたけど、下の娘さんのなのはちゃんは私と同じ歳だったんです。前に兄ちゃんに連れて来てもらった時に話すようになって、結構仲良くさせてもらってるんですよ。なのはちゃんってホンマ素直でいい子で、よく学校のこととかを話してくれるんです。

 最近は拾ったフェレットのことで色々あったみたいで顔を合わせる機会が無かったんやけど、メールで少しだけ聞いてたし元気そうで何よりや。

 

 「あれ、嵐さんは今日はお休みじゃなかったんですか? もしかしてはやてちゃんとお出かけ?」

 

 「そうやよ。さっきまでデパートに行ってたんよ。ああ、言ってなかったね。最近海外から……」

 

 「なのは、いくらゼロがうちの従業員だからってプライベートならお客様だぞ。早く席にご案内しろ。入り口だとほかのお客様にも迷惑になるだろ?」

 

 私がなのはちゃんにヴォルケンリッターのみんなを紹介しようとした時に、奥のほうからそれを遮る声が聞こえてきました。せやね、入り口だと邪魔になるわ。このイケメンヴォイスは恭也さんやな。

 

 「今日は居たんですか? 美由希の奴は?」

 

 「友達と買い物だと。その分なのはが手伝いをしている。席は何時もの所が空いているぞ」

 

 恭也さんもわざわざ出迎えに来てくれました。うちの兄ちゃんに負けず劣らずのシスコンである恭也さんは、こっちに来てなのはちゃんの頭をワシワシと撫でています。兄ちゃんと恭也さんが話をしていると、中にいるお客さん達からは黄色い声やため息が聞こえてきました。二人とも絵になるような容姿やからな、気持ちもわかります。恭也さんはなのはちゃんと美由希さんのお兄さんで大学生なんですけど、うちの兄ちゃんの心友なんです。二人が揃った時は翠屋のお客の入りが激増するのだとか。ってか、だれか携帯で写真撮ってるやろ。シャッター音が聞こえてきます。

 

 「嵐さんとはやてちゃんと、えっと後ろの方々も一緒でいいんですよね?」

 

 「ああ、いつもの窓際の席に頼むよ。行こうか、みんな」

 

 「「「「イエス、ユア「頼むからそれは止めてくれ!!」了解!!」」」」

 

 四人の返答にアタフタする兄ちゃんも可愛いなぁ。ヴォルケンリッターの様子になのはちゃんもキョトンとしてるやん。四人とも兄ちゃんに対して悪戯が成功した、みたいな笑顔を向けています。こういうのって何か良いな。本当の家族になったみたいやよ。

 それから私たちはなのはちゃんに席へと案内してもらいました。私たちの席は兄ちゃんの希望通り、お馴染である日当たりのよい窓際の席になりました。そう言えば、移動する時にヴォルケンリッターのみんなはなのはちゃんに対して一瞬だけ警戒の色を出したんやけど、何かあったんかな?

 

 「恭也さん、なのはの休憩はまだなんですか?」

 

 席についてからもなのはちゃんとお喋りしたいって私が思っていたら、兄ちゃんが恭也さんに聞いてくれました。こういう所で気が効くが兄ちゃんの素敵な所です。

 

 「良いわよ、嵐ちゃん。なのは、はやてちゃんともっとお喋りしたいでしょ? 休憩とってきたらどう?」

 

 それに答えたのは別の声でした。キッチンの方からやさしそうな女の人が届きます。その声の主はなのはちゃん達のお母さんで、兄ちゃんのお菓子作りのお師匠さんの桃子さんです。

 

 「良いの、お母さん? やった!! はやてちゃん、すぐ行くね」

 

 なのはちゃんは嬉しそうに笑って、身に着けていたエプロンを片付けに厨房の方へと向かいました。ああ、そんなに急いで転ばんように気を付けんと……。ふぅ、どうやら心配は杞憂に終わったみたいです。それにしても、なのはちゃんって仕草の一つ一つが本当に可愛ええな。私よりもなのはちゃんの方が魔法少女に向いてるんやないかな? 恭也さんが溺愛するのもわかるわ。

 

 「折角の家族水入らずにすまないな、ゼロ」

 

 「構いませんよ。それより、いい加減ゼロって呼ぶのやめません?」

 

 なのはちゃんと変わって注文を取りに来た恭也さんと兄ちゃんはまたお喋りを再開します。お茶をしにきたマダムとか若い奥さん方を中心にして、周りのお客さんの注目を二人は集めています。絵になる二人やからなぁ。

 

 「お前だって俺のことを影で星○だとかヒ○ロだとか呼んでいたじゃないか。お相子だ」

 

 「くっ、高町経由でバレていたのか……」

 

 兄ちゃん、恭也さんにもあだ名付けてたん? 確かに声が似ているとは前から思っていたけど……。兄ちゃんは恭也さんに小突かれていました。

 

 「それにしてもなのはは偉いですね。休みの日におうちのお手伝いをするなんて」

 

 「だろう? なのはは自慢の妹だからな。手伝いをほっぽり出して遊びに行った美由希とは大違いだ」

 

 「高町はクラスの女子たちと遊びに行くっていってましたね、そういえば。まぁ、確かになのはは可愛いですね。ですけど、うちのはやては世界で一番可愛いですから」

 

 「ゼロの言うとおり、はやてちゃんも可愛いな。だが、うちのなのはは宇宙一可愛いから」

 

 「宇宙一……。でも、はやては神が作り出した奇跡と呼べるほどかわいいですから」

 

 「しかし、うちのなのはは全ての次元を超越するほどのかわいさを持っている。美の女神が嫉妬してしまう程に……」

 

 また始まった。この二人、基本的には仲が良いんですけど、たまに私となのはちゃんのどっちが可愛いか言い合いになることがあるんです。困った兄ちゃん達やよ、ホント。

 

 「お待たせ、はやてちゃん♪」

 

 そうこうしているうちに、なのはちゃんがやってきました。兄ちゃん達の言い合いはそれを合図に終了します。恭也さんはうちの兄ちゃんと違って、なのはちゃんの前ではあまり頻繁にはブラコンモードにならないんです。自分のイメージがあるのだとか。

 

 「なぁ、なのはちゃん。さっき紹介し損ねたけど、最近うちに家族が増えたんよ。海外にいるグレアムおじさん知ってるやろ? みんな、私達みたいにお世話になってるから義兄弟って呼べる立場なんやけど、今うちに留学しに来てるんよ」

 

 私はなのはちゃんが席につくとヴォルケンリッターのみんなのことを簡単に紹介しました。魔法だとか何だとか、本当のことを言っても誰も信じないやろうし。

 

 「そのお兄さんやお姉さん達だよね。はじめまして、高町なのはです」

 

 「シグナムだ。先日より嵐とはやての家に厄介になっている。よろしく頼む」

 

 シグナム、もっと愛想よくしてや。私の友達に紹介してるんやから。私が肘で小突くとシグナムは多少ぎこちないですが笑顔を浮かべました。

 

 「ザフィーラという。なのはははやての友人なのだな。これからも仲良くしてやってくれ」

 

 ザフィーラは、うん。見た目からしてそんなん言うんやないかって思ってたわ。見た目は大人の男の人やしそんな風でも問題は無いかな。保護者っぽいけど、取り敢えず及第点。

 

 「あたしはヴィータだ。高町にゃにょは? なにょは? 発音が難しいな。「なのはやで、ヴィータ」 うん、よろしくな。なのは」

 

 「にゃはは、よろしくね。ヴィータちゃん」

 

 なのはちゃん、ヴィータの言い間違いを気にしてないみたいや。ホントええ子やな。なのはちゃんの優しさは五臓六腑に染み渡るで。問題は……。

 

 「始めまして、嵐さんのフィアンセのシャマルと申します。なのはちゃん、よろしくね」

 

 「ええっ!? 嵐さんって婚約していたんですか!?」

 

 「そうなの!? 嵐ちゃん、そういう事はもっと早く言って欲しいのに。水臭いわよ」

 

 シャマル、なのはちゃんにまでそれ言うか? なのはちゃん、驚いて目を見開いているやん。って、それより桃子さん何時から居たん!?

 

 「何言ってるんよ、シャマル。なのはちゃんも桃子さんも吃驚してるやん」

 

 「こちらは嵐さんのバイト先ってことだから、お世話になってる筈ですし。未来の妻としてきちんと挨拶しようと……」

 

 「誰が未来の妻だ、シャマル。何時お前が嵐の婚約者になったんだ」

 

 そうやよ、シグナムの言う通りや。シグナムは言葉と共にシャマルへとゲンコツを落とします。ええ騎士やな、シグナムは。でも、何で兄ちゃんの方をチラチラ見るん?

 

 「シャマル、冗談もほどほどにな。はやてが焼餅焼いちゃうじゃないか。桃子さん、なのはも冗談ですから本気にしないでくださいね」

 

 「そうだよね、びっくりしちゃった」

 

 「なぁんだ、詰まんないの。でも、うふふ。面白いことを発見したから良いわ」

 

 兄ちゃんがやんわりとシャマルの発言を否定します。なのはちゃんは純真やから半ば本気で信じてしまいそうやったな。対して桃子さんは冗談だと分かるとキッチンの方へ引っ込んでいきました。でも、去り際にシグナムへ意味深な視線を向けていたのが気になるわ。シグナム、桃子さんに弱みを見せたらエライ事になるから気いつけんと。

 それにしても高町母子はそっくりな顔で思考回路は全然別もんやな。なのはちゃんもそのうち桃子さんみたいになるんやろか? 

 それから私達はお喋りも程ほどに本日の日替わりランチプレートを注文して昼食を開始しました。

 

 「美味しい!! 嵐にいちゃんのご飯も美味しかったけど、ココのご飯もギガ美味だ!!」

 

 ヴィータ、良いリアクションありがとう。連れて来た甲斐があったわ。うん、今日も美味しい。流石は桃子さんや。プレートは目玉焼きののったハンバーグとライスにサラダ、ナポリタンっていうオーソドックスな内容でした。でも、だからこそ他のお店との味の違いが良く分かるんです。他のヴォルケンリッターの三人も黙々と箸やフォークを進めています。ザフィーラ、口から笑みが漏れてるで。

 

 「すごく美味しいわ。ハンバーグもとってもジューシーだし。私もいつか嵐さんにご飯を作ってあげたいから教えてもらおうかしら。花嫁修業だわ」

 

 恋愛脳の騎士シャマルは兄ちゃんの方を見ながらそんな事言っています。花嫁修業だと……。

 

 「確かに美味しい。だが花嫁修業とはどういうことだ、シャマル。それに料理ならお前より刃物の扱いに長ける私が……。いや、何でもない」

 

 シグナムも何か言おうとしていましたが私の視線に気づいたのか途中で止めてしまいました。ひょっとしてアンタもか、シグナム!? 新たなライバルの出現に闘志を燃やしていると、なのはちゃんが私の袖を引っ張って話しかけてきました。

 

 「ねぇ、はやてちゃん? もしかして……」

 

 「そうやね、なのはちゃん。考えてることは当たりやと思うよ」

 

 なのはちゃんだって何となく気付いているのに、問題の兄ちゃんはというと何事もない様に食事を続けます。ホンット鈍感なんやから。でも、その鈍感さがなかったらシャマルかシグナムに靡いていたかも知れへんし。二人とも女の私から見ても美人やからなぁ。

 

 「ハンバーグが気に入ったみたいだな。ほら、ヴィータ。あーん」

 

 「子ども扱いすんじゃねーよ。でも、勿体無いし貰ってやるよ。あーん」

 

 そんな中、兄ちゃんはナチュラルにヴィータへとフォークを伸ばします。ヴィータも私達の目が気になるのか少し恥ずかしそうなんですが、兄ちゃんのハンバーグを頬張ります。

 

 「兄ちゃん!! ヴィータだけやなくて私にもちょうだいや」

 

 「ふふっ、はやては甘えんぼさんだな。ほら、あーん」

 

 出遅れたらアカンからな。ちょっとあざといかもしれんけど、食べる際にほっぺにデミグラスソースを付けてみました。

 

 「ほらソースがついているぞ」

 

 兄ちゃんは私の期待を裏切らないわ。私のほっぺに着いたソースを人差し指で拭うとパクリと口に含みました。ふふん。どうや、シャマル。これが血の繋がった妹の特権や。

 

 「相変わらず仲が良いね、はやてちゃんと嵐さん」

 

 「うん、私は大きくなったら兄ちゃんのお嫁さんになるんが夢やから。なのはちゃんは?」

 

 「私もお兄ちゃんは好きだけど、流石にそれは……」

 

 私の夢は夢で終わらせるつもりは無いんやけどね。なのはちゃんはちょっと引いちゃってるけど、これは譲れない私の願いやから。なのはちゃんに対して私と同様の答えを期待してたんやろうか? なのはちゃんの答えに恭也さんがガックリと肩を落としています。一方で兄ちゃんは勝ち誇った様な笑みを浮かべていました。

 それからまた普通に食事をしていたんですが、兄ちゃんはじっとザフィーラに注目しています。どうかしたんかな?

 

 「ザフィーラは玉ねぎは大丈夫なのか?」

 

 「ん? 特に問題は無いが……。おい、嵐!!」

 

 「いや、すまない。悪かった」

 

 せやったワンちゃんにネギはアカンかったんや。ザフィーラにも兄ちゃんの懸念がわかったみたいです。犬扱いすんなって兄ちゃんとじゃれ合っています。良いなぁ、男同士の距離の近さって憧れるわ。

 そんなんやってるうちになのはちゃんは休憩を終えて、お手伝いを再開しました。私達は食後のティータイムを楽しむとしましょう。うーん、紅茶が良い香りや。今日は気分的にアッサムです。私とシャマルとヴィータが紅茶で、兄ちゃんとザフィーラとシグナムがコーヒーを注文しています。日差しも暖かいからこのままお昼寝してしまいそうや。そんな風に私がまったりしているとシグナムが念話を送ってきました。何なんやろ? 他の三人も先ほどとは打って変わって真剣な表情です。

 

 (主はやて。先ほどの高町なのはという少女は魔導師です)

 

 「はぁ? シグナム、何言ってるんよ!?」

 

 「どうかしたか? はやて」

 

 思わず声に出してしまったわ。魔法関係か……。これは兄ちゃんにも話をせなアカンやろ。心配させたくないし、兄かあったら兄ちゃんは暴走しかねんから。

 

 (なのはちゃんが魔導師ってどういう事なん?)

 

 兄ちゃんに伝える前にシグナムに向かって念話を送ります。ある程度の事は整理してからでないと話しても伝わらない事が有るでしょうから。

 

 (あれ? もしかしてこの声ってはやてちゃん? どうしてはやてちゃんが念話を?)

 

 (嘘っ!? なのはちゃんに聞こえたん?)

 

 (はやて!! 念話の範囲が広いぜ)

 

 やってしまいました。制御が甘かったみたいや。私の念話はどうやらオープンチャンネルっぽくなってしまったみたいです。流石に今朝覚えたての魔法を使うのは止めとけばよかったかな……。私の念話が聞こえたなのはちゃんは驚いた表情で私の事を見つめています。どうしよう……。

 

 「兄ちゃん、どないしよう。なのはちゃんも魔法使いで、私が魔法使いだって事バレてもうた」

 

 「ほわあっ!?」

 

 兄ちゃんはまるで新喜劇の様に椅子から後ろの方へズッコケます。コーヒーは隣に座っていたヴィータが巧い事キャッチしていました。シグナムも素早く兄ちゃんの傍により、手をとり引き上げてくれています。流石私の騎士達。

 

 「ありがとう、シグナム。それにしてもどういうことだ、はやて? 魔法の事がバレて、しかもなのはが魔法使いだと?」

 

 兄ちゃんはシグナムに手を貸してもらいながら席に着き、口を開きます。シグナムが兄ちゃんの手を握ったままなのが少し気になりますが、それよりもなのはちゃんの事です。兄ちゃんは念話が使えない事ですし私達は小さい声で相談を始めました。

 どうやらなのはちゃんにもリンカーコアが有るらしく、胸に付けている赤い宝石みたいなんは恐らくデバイスやってシャマルが言ってます。本当になのはちゃんが魔法少女なんか……。そう言えば最近この辺にジュエルシードが落っちたって言ってたけど何か関わりが有ったりするんかな。そんな事を考えていると後ろから声が聞こえてきました。

 

 「ねえ、はやてちゃん。私もお話に混ぜてくれないかな?」

 

 「なっ、なのはちゃん。ええけど、手伝いはせんでええの?」

 

 「お母さんに頼んで今日はもう終わりにしてもらったの。はやてちゃんももしかして魔法を?」

 

 周りに人がいるけどええんかな? そう思って目配せすると、兄ちゃんが桃子さんの方へ歩いていきました。たぶん場所を変える為に話をつけにいってくれてるんだと思います。

 

 「せやね。私だけじゃなくてこの4人も関係者やよ。ここじゃアレやし場所を変えても良い?」

 

 「そうだね。私、お母さんたちには魔法の事を内緒にしているから。それより、はやてちゃんは嵐さんにこの事は?」

 

 「私が兄ちゃんに隠し事するって思う?」

 

 「にゃはは、そうだね」

 

 そんな事を話していると兄ちゃんが戻ってきました。ヴォルケンリッターの皆は席についていますが、多少警戒しているのか周囲に気を配っています。そんなせんでもいいのに。ここはある意味私達のホームやから。

 

 「桃子さんに許可を貰って来たぞ。久しぶりに会ったから、なのはに夕飯を御馳走したいって伝えたら快くOKしてくれた。続きはうちで話さないか?」

 

 桃子さんからは色良い返事がもらえたそうです。まあ、何度か家で御馳走した事もあるし、逆に私達がお呼ばれした事もあるから特に問題は無いんやし当然でしょう。家族ぐるみの付き合いってヤツです。

 それから私達はなのはちゃんの準備を待ち、合流後に席を立ちました。

 

 「行ってらっしゃいなのは。お父さんたちには伝えておくからご迷惑をかけないようにするのよ。よろしくね、嵐ちゃん」

 

 「すまないな、なのはをよろしく頼んだぞ」

 

 「はい、任されました。それじゃ、皆行こうか」

 

 仕事の合間に桃子さんと恭也さんが出口まで見送りをしてくれました。

 

 「行ってきます、お母さん、お兄ちゃん!!」

 

 「また来ますね。行こう、なのはちゃん」

 

 私達は手を振りながら翠屋をあとにしました。なのはちゃんの手にはお土産のシュークリームが持たれています。食後のデザートにと桃子さんが用意してくれたみたいです。これ本当に美味しいんよ。まだ、兄ちゃんはこの頂には到達出来てないからなぁ。

 それから私達は夕飯の買い出しに帰り路にあるスーパーへと足を向けました。道中では私となのはちゃんと兄ちゃんが中心になっておしゃべりをしています。魔法については家に着いてから話そうって決めているので普通に世間話です。でもなんか空気悪いんよな。翠屋を出てしばらくしてもなのはちゃんに対して少し距離を置いているヴォルケンリッター達に、我慢できずに声をかけてしまいました。

 

 「なぁ、みんな。なのはちゃんが魔導士でも、それでも私の友達や。イラン心配はせんでええ。大人げないで」

 

 「そうだ。なのはの御両親にはとてもお世話になっているし、なのはがはやてに危害を加える事は万が一にも有りはしない。心配する必要は無い」

 

 「わっ私ってシグナムさん達に警戒されてるの?」

 

 「そっそういう訳ではないが……」

 

 シグナムはなのはちゃんの潤んだ瞳を見て気圧されているみたいやな。アレは仕方ない。

 

 「なぁ、シグナム。シャマルもザフィーラも。はやてや嵐にいちゃんが大丈夫だって言ってんだからなのはの事を信用してあげようぜ? あたしたちよりも二人との付き合いは長いんだろうし良いだろ?」

 

 「そうね、はやてちゃんも何より嵐さんが心配無いって言ってるんだし……。ごめんね、なのはちゃん」

 

 「ヴィータの言う通りだな。主の友人に無礼な態度をとってしまい申し訳ない。シグナムも良いだろう?」

 

 「うっ、そうだな。すまなかった、高町。先ほどの無礼を許して欲しい」 

 

 シャマルの物良いには多少思う事もありますが、どうやらヴォルケンリッターとなのはちゃんの間の溝は解消する方向へと向かうようです。といっても四人が一方的に警戒していただけなんやけど。

 

 「良いですよ。皆さんははやてちゃんの事が本当に大切なんだって事が伝わってきますし、気にしませんから。改めてよろしくお願いします」

 

 なのはちゃんはペコりと頭を下げます。私、なのはちゃんと友達で良かったって思うわ。ホントええ子や。うちの子にしたい位やよ。

 

 「今日はなのはちゃんにご馳走するから私が腕を振るうわ!! 良いやろ、兄ちゃん」

 

 「ああ、勿論だとも。自ら進んで持て成そうだなんて良い子だ、はやて」

 

 此処はヴォルケンリッターの主としてひと肌脱がなアカンな。私が力瘤を作ると兄ちゃんは笑顔で頭を撫でてくれました。

 

 「はやてちゃんって料理が取っても上手なんだよ。楽しみだね、ヴィータちゃん」

 

 「そうなのか? じゃあ早くスーパーってトコに行こうぜ!! ほら、はやても早く早く!!」

 

 ヴィータとなのはちゃんはもう打ち解けたみたいやな。これなら心配はいらんかも。よっし、気合入れて晩御飯を作らんとな。駆け足のヴィータに車椅子を押されながら私達はスーパーへと進んでいくのでした。




現状ですが
・嵐の好感度
はやて(最愛の妹)>>越えられない壁>>ヴォルケンズや親しい人間>>その他
・はやての好感度
嵐(最愛の兄)>>越えられない壁>>ヴォルケンズや友人>>その他
・シグナムの好感度
はやて(主)>嵐(少し気になる?)&騎士達>>越えられない壁>>その他
・ヴィータの好感度
はやて(主兼友人)>>嵐(優しい兄ちゃん)&騎士達>>同上
・シャマルの好感度
はやて(主)&嵐(運命の人)>騎士達>>同上
・ザフィーラ
はやて(主)>>嵐(友人)&騎士達>>同上

 基本的に自分達と周囲の人間以外はどうでも良いって考え方の嵐の影響ではやてもそれに近い思考になっています。ヴォルケンズは八神兄妹の事を思っていますが、まだ二人からは少し距離が有ったりします。
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