…暗い
周りは何もなくただ音だけが聞こえる
僕はきっと目を開けていないだけだろう
だからここは夢に違いない
だけど
何でだろうか
だれかがすすり泣く声が聞こえる
―――――――――――――――――――――
「父さ…ん、母さ…ん？それに姉さんに秀吉、優子さんも……どうして泣いてなんかいるの？」
『『『『『！！！！？？？？』』』』』
僕は目を開けた…はずだ。けれど、一向に景色は変わらない
あるのはただ僕の頭痛と友人たちの泣き声だけだった
「それに電気なんか消してさ。暗いよ。見えないんだよ。電気ぐらいつけようよ」
ただ、本当に電気が消えてるだけだと思った
暗いのは夜だからだと思った
「…明久…お前はやはり見えてないんだな？」
「……？どういうこと？見えてないってどういうこと？」
「「明久ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！」」
父さんと会話しているとだれかが泣きついてきた
真っ暗なのに正確に僕にダイブしてくるのが正直すごいと思う
「秀吉？に優子さん？どうして泣いてるの？」
「明久！？お主！わしが見えるとのか！？」
「明久君！私のこと…私のこと…見えてる！？」
急接近してきたみたいだ。でも暗いんだからさ
「ううん。見えないよ。何も見えない」
「わあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！！！！！」」
何で？なんで泣くの？みんなが大声出して
姉さんの泣く声も聞こえて母さんの声も聞こえる
どうして？どうしてなの？
僕がその答えを欲しているのを悟った父さんはこう答えた
「明久…お前はただ電気が消えてると思ってるんだな？」
「うん。そうじゃないと僕は目が見えてないことになるんだし」
「そうだな。そして今はお前が言ったことが現実だ」
「明久君。私はあなたの担当医ですが、あなたのお父様がおっしゃった通りあなたは目が見えておりません。これは『緑内障』と言われる病気ですが簡単に言いますとあなたは失明してしまったということです」
え？
父さんは今何て言った？
僕の担当医という人は何と言った？
暗いんじゃなくて
見えてない？
そんな…
そんな……そんな…
なんで？なんで？なんで？なんで？なんで？なんで？なんで？なんで？なんで？なんで？なんで？なんで？なんで？なんで？なんで？
なんで？
「わあああああああああああああああああああああああああああああああああ！！！！！」
僕は壁に手を当てながら全速力で走った。
しかし、体力があまり今はないのですぐに力尽きてしまう
「なんでだよ…なんでだよ…なんでだよ！！何で僕がこんなことにならなきゃいけないんだよ！」
廊下に座り込みながら叫んだ。誰かが足を止める音が聞こえたりする
後ろから二人ほど追いかけてきた人もいる
「何で………………(グスッ)……」
「「明久君！！(明久！」」
どうやら追いかけてきたのは二人らしい。
まだ幼いのに走ってきた。視力を失った少年のために
「泣かないでよ明久君！私たちがいるんだから！」
「そうじゃぞ明久！わしらが付いている！わし等はおぬしの手となり、足となり、おぬしの代わりの目になろう！」
「あなたが絶望したとしても私たちが必ずそばにいるから……だから自分を見失わないで！」
「見失ってもわし等が必ず連れ戻してやる！」
「「私たち(わしたち)が必ずあなた(お主)のそばに必ずいるんだから(じゃから)！！」」
「(グスッ)……本当に？」
「本当じゃ！」
「ほんとのほんとに？」
「もちろんよ！」
「約束してくれる？」
「「必ずしてあげる！」」
「ううぅぅ……うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！」
その日明久は泣き疲れたのかベットの上で眠った
必ずそばにいると誓った二人のそばで安らかに
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