Ring Girls   作:宣伝部長

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新星 VS 王者

リングの上にはメインイベントを迎えようとする4人の選手が向かい合っていた。

 

 

 

新星タッグVSエースタッグ 45分一本勝負

 

 

 

赤コーナーにはエースの2人・・・御堂ヒカル&豊田美咲ペア。

王者の風格とも言える雰囲気を漂わせている。

登場の際には大きな声援が会場を盛り上げていた。

演出なのか御堂が黒のマント、豊田が紫のマントを羽織って登場していた。

 

 

青コーナーにはルーキーの2人・・・佐倉絢音&萩原さくらペア。

緊張している雰囲気は滲み出ているが、2人共強い意思を持った目をしていた。

新人ではあるものの実力のある2人は人気もあり、声援が送られていた。

こちらは佐倉が赤のマント、萩原が白のマントを羽織っていた。

 

 

 

「本日はよろしくお願いします!!」

 

「元気があっていいわね。けど、手加減はなしだからね」

 

「望むところです!絢音ちゃん、頑張ろう♪」

 

「・・・楽しませてもらおう」

 

 

 

4人は試合前に握手を交わすとお互いのコーナーへと下がる。

マントを観客席の方に放り投げれば、4人の目には火が宿る。

最初にリングに残ったのは、絢音と美咲であった。

試合開始のゴングと共に2人は駆け寄り組み合った。

 

 

 

「この子・・・なんて子なのっ!?」

 

「うわぁぁぁぁっ!!」

 

 

 

力比べのように押し合っていたのだが、美咲は気付いたのだ。

彼女・・・佐倉絢音は気付いていないのだ。

微動だにしない自分の姿に・・・。

 

 

力じゃ勝てないと察した美咲はフッと力を抜くと力を込めていた絢音はそのまま前のめりになって倒れ込んでしまう。

美咲はそのまま相手の上に座り込むとそのまま逆エビ固めを決めた。

 

 

 

「くうぅぅぅっ!!」

 

「動かないと・・・って、えええっ!?」

 

「なあぁっ!!」

 

 

 

小柄な身体から何処に力を秘めているのだろう。

上に美咲が乗っているのもお構いなしに匍匐前進でロープまで行くと一瞬にしてロープブレイクされてしまったのだ。

レフェリーから離された美咲は一度タッチをして入れ替わるとその間にルーキー達も入れ替わっており、今度はさくらとヒカルが円を描くようにお互いに警戒し合っていた。

 

 

 

「凄いプレッシャー!容易に近付けないっ!!」

 

「来ないなら・・・こっちから行かせてもらうっ!」

 

「うっ!?」

 

 

 

先手を打ったのは、ヒカル。

間合いを詰めて放った得意とするハイキック。

しかし、それを反射的なのだろうか腕で防いださくらは、その受けた攻撃の威力をつかい背後に跳んでいた。

だが、防いだその腕はいつの間にか掴まれてしまっており、さくらはそのままロープへと放り投げられた。

 

 

 

「速いっ!?で、でも・・・まだっ!!」

 

「シッ!!」

 

「あっ・・・かはっ!?!?」

 

 

 

ロープの勢いを使って技を仕掛けようとしたさくら。

しかし、待ち受けていたのは・・・キチンシンク。

見事に膝蹴りはさくらのボディを突き刺さった。

これには腹を抱えて悶えるしか出来ないさくら。

序盤にも関わらず容赦ないヒカルに絢音は生唾を飲み込んだ。

 

 

追い討ちを仕掛けないヒカルはそのままタッチをして美咲がさくらに歩み寄る。

まだ悶えるさくらの髪を掴んでゆっくりと起こす。

しかし、まだ先程のダメージが残っているのかふるふるとしているさくら。

大声で名前を叫び続ける絢音が背後にはみえる。

 

 

 

「貴女は休んでなさい」

 

「・・・えっ?」

 

「フンッ!!」

 

 

 

不意に聞こえた美咲の声に反応をした時には、さくらは青コーナーへと放り出されていた。

絢音は気付いておらずにすかさずタッチをするとさくらのお腹を撫でた後に笑顔でリングに飛び出す。

しかし、リング内に入った途端に全力で走り出した絢音は容赦なく突っ込んだ。

 

 

 

「ダアァァァァッ!!」

 

「んぷっ!?!?」

 

 

 

猪のように突進した絢音は肩口から相手の腹部目掛けてスピアーを放った。

かなりの衝撃だったのか吹っ飛ばされた美咲は腹部もだが後頭部から背中にかけてダメージを受けてしまった。

技を放った本人はリングに顔面から落ちてしまっており、受身の取り方もわからなかった所を見ると今の技はぶっつけ本番と言った所だろう。

 

 

2人は同時に起き上がると美咲が逆水平チョップを繰り出したのだ。

それを受けた絢音は歯を食いしばるように痛みに耐えるとお返しとばかりに逆水平チョップを返したのだ。

しかし、絢音の逆水平チョップの方がバッシーーーン!!と凄まじい音に会場が沸いた。

だが、美咲は歯を食いしばりながらも打ち返すと我慢比べのように意地の張り合いが始まった。

 

 

 

「・・・かはっ!?」

 

「もらいましたぁぁぁっ!!」

 

 

 

先に膝をついてしまったのは美咲だった。

その様子をチャンスと捉えた絢音はすぐさま間合いを詰めると軽々と美咲を持ち上げてそのままパワーボムに入ったのだ。

綺麗に決まったがカウントは2で返されてしまい、2人は仰向けになったまま動けずにいた。

 

 

しかし、2人とも自分達のコーナーに向かう。

先にタッチをしたのはベテランペア。

ヒカルがリングに戻って相手のコーナーの方に目をやるがそこに立つのは、絢音の姿であった。

察したように口元が緩むヒカルではあったが、一気に間合いを詰めていく。

 

 

 

「ふんっ!」

 

「あっ!?」

 

「はぁっ!」

 

「かはっ・・・!?」

 

「まだ終わらないよ・・・・・やあぁっ!!」

 

「・・・・・がはっ!?!?」

 

 

 

カチあげるように何度も放つエルボースマッシュ。

ロープを背に受ける絢音は逃げ場もなく、エルボースマッシュを受けてはロープに押し出されてまたエルボースマッシュを受け続けてしまい力尽きるように倒れ込みそうになる。

しかし、それをさせようとはせずにヒカルは絢音を担ぐとそのままコーナーポストに座らせた。

自身はセカンドロープに立つと雪崩式ブレーンバスターをお見舞いした。

 

 

無防備にマットの上に放り投げられた絢音はバウンドをするほどの威力を身体全体に受けてしまいぐだっとしてしまっていた。

しかし、それでもまだ決めようとしないヒカルは絢音を無理矢理起こした。

そのままの流れでブレーンバスターを仕掛けようとしたが・・・・・。

 

 

 

「なっ・・・・・!?」

 

「ふんっ!なぁぁぁぁっ!!」

 

 

 

ヒカルは驚きを隠せなかった。

あんなにもダメージを受けていたはずなのに技を仕掛けようとしたヒカルは大木を相手にしているかのように微動だにしない絢音に固まってしまった。

その隙をつくようにブレーンバスターを返した絢音はすがる思いでさくらにタッチした。

 

 

リングに舞い戻ったさくらを待ち受けるのは、ヒカルの得意とするデスサイズが迫る。

しかし、それをしゃがんで回避したさくらは覚悟を決めたように得意技を放つ。

 

 

 

「さくらっ!・・・・・スペシャルッ!!」

 

「ぐっ・・・かはっ!?!?」

 

 

 

華麗な二段蹴り式のサマーソルトのさくらスペシャルを受けたヒカルはクリーンヒットを受けてしまい放物線を描くようにマットに大の字に倒れてしまう。

体調が戻ったのかさくらは素早い動きでトップコーナーに立つとすかさずフライング・ボディ・プレスを決める。

そのままフォールに入ったが、カウントは2.5で返されてしまう。

 

 

すぐに起き上がった2人は睨み合う。

先に動いたのは・・・さくら。

デスサイズのお返しとばかりさくらは、ダッシュからのジャンプで相手の胸元に脛を打ち込むレッグラリアットを放つ。

しかし、咄嗟にガードを成功させたヒカルではあるが勢いのある一撃にロープに押し飛ばされてしまう。

 

 

 

「やあぁぁぁっ!!」

 

「・・・・・っ!?!?」

 

「・・・しゃあっ!!」

 

 

 

ロープから返って来たヒカルを待っていたのは、打点の高いドロップキックが胸元を貫いた。

それをまともに受けたヒカルは目を見開くもそのまま衝撃と共に吹っ飛ばされてしまった。

今の技の感触に手ごたえを感じていたのか放ったさくらは大きな雄叫びをあげていた。

しかし、ダメージが蓄積されていたのか膝をついてしまう。

その間にタッチをしたヒカルはすかさず走り出すと待機していた絢音を吹き飛ばしたのだ。

そっちに注意が向いた瞬間に懐には美咲が潜り込んでいた。

 

 

 

「しまったっ!?」

 

「油断大敵よ」

 

 

 

すると反対側にはヒカルが潜り込むとそのまま高速ツープラトン・ブレーンバスターが決まった。

背中から腰に与えるダメージは相当なもので、痛みにもがくさくらだが美咲にフォールされてしまう。

カウント2.8でギリギリ返すことが出来たが、さくらは起き上がれそうもないのか美咲が髪を掴んでゆっくりと引き起こす。

 

 

 

「そろそろ後がないんじゃないかしら?」

 

「まだ・・・」

 

「その意気は認めるわっ!!」

 

「んぐっ!?・・・かはっ」

 

 

 

流れるように放たれたミサキスペシャル。

マットに叩きつけられたさくらはもう身動き出来ないぐらいになってしまっており、大の字で天を仰ぐ事しか出来ずにいた。

美咲は無防備に倒れ込む相手に一撃を放つべくトップロープ上から跳躍してダイビング・ボディプレスを決行した。

身動きもとれないさくらは成す術もない・・・そう思った刹那・・・。

 

 

 

「さくらさぁぁぁんっ!!!!」

 

「・・・・・っ!!」

 

「・・・あがっ!?」

 

 

 

絢音の名前を呼ぶ声に反応して膝を曲げた。

まさかの反応に膝が腹部にめり込んだ美咲は、身動きも出来ないのか蹲ってしまう。

そのチャンスにさくらは歯を食いしばってロープに手を伸ばすとふらふらになりながらも立ち上がる。

すると目の前には必死に手を伸ばす絢音の姿が迎える。

 

 

 

「・・・お願いします」

 

「はいっ!!」

 

 

 

気合のスイッチが入ったのか両頬をパンッと叩いた後に勢いよくリングの中へとやって来ると中には苦痛に表情を歪ませる美咲がいた。

 

 

 

「うんりゃぁぁぁっ!!」

 

「あっ!・・・あぁ・・・・・んんっ」

 

「せいっ!!」

 

「ぶふっ・・・!?」

 

 

 

すかさず美咲をアルゼンチン・バックブリーカーで苦しめるのかと思ったが、そこから相手を空中反転させるとパワーボムで勢い良く叩きつけたのだ。

その豪快な力技には会場からも歓声があがるほどであった。

そのままフォールに入るが、カウントは2.8で返されてしまう。

ゆらりと起き上がる2人はいがみ合うように間合いを取る。

 

 

しかし、その空気を破るように鳴り響いたのはゴングであった。

このゴングは試合終了の合図であり、結果は引き分けと言う形での幕引きになってしまった。

しかし、会場からは鳴り止まぬほどの拍手と歓声が続いていた。

 

 

「終わっ・・・た?」

 

「大丈夫?」

 

「は、はい・・・・・」

 

 

 

 

緊張の糸が切れたのかへたれこむ絢音。

それを見た美咲は前屈みになって手を差し伸べる。

その手を取った絢音はその手を掴むとゆっくりと立ち上がる。

 

 

するとさくらとヒカルもリング中央に集まると4人は手を繋ぐと観客に答えていた。

 

 

 

「豊田さん・・・あの2人はもしかして・・・・・」

 

「気付いてないと思うわ・・・自分達の持つ本当の力を・・・」

 

「うかうかしていられないですね」

 

「そうね・・・今後の成長に期待・・・かしらね」

 

 

 

先にリングを降りたエース2人組は今回の試合で気付いたのかどことなく嬉しそうに話し合っていた。

しかし、なにも知らない新星2人組は、リングの上でずっと来てくれた観客に手を振り続けていたのであった。

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