Ring Girls   作:宣伝部長

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JAPAN TEAM QUEENS CUP 開幕

JAPAN TEAM QUEENS CUP 一回戦

 

 

トリプルの枠として参戦する絢音はいつもの衣装で控え室に待機していた。

その傍らにはサポート役として玖珂 霞と駿河 燈華がいた。

 

 

 

「今日も調子良さそうだな?」

 

「はい!!・・・ですが、今回はこんなサポート役をお願いしちゃって本当にごめんなさい」

 

「どうして謝るんだよ、アタシ達同期を頼ってくれるのは嬉しい事だ。それにアタシ達の分まで活躍してくれるんだろう?なぁ?」

 

「そそっ!!オレ達の分も頑張れよ!!」

 

「はいっ!!!!!」

 

 

「普通なら悔しいはずなんじゃないかしら・・・不思議ね」

 

「佐倉ちゃんだからじゃ・・・ないのかなぁ~?」

 

「ふふっ・・・私にはわからないわね」

 

 

 

そうして試合開始の時間がやって来た。

大事な初陣ではあるが、対戦相手も精鋭ばかり油断は出来ないだろう。

 

 

 

『StrongGirls』

十六夜美響・大空みぎり・佐倉絢音

     VS

『Genesis』

南 利美・神童寺 司・ラッキー内田

 

 

 

両者の顔合わせが終わるとリング内にはラッキー内田と大空みぎりが残った。

そして、ゴングが鳴ったと同時に会場が揺れるような歓声も同時に響き渡った。

 

 

 

先手を取ったのは、みぎりだった。

 

 

 

「はあぁぁぁっ!!」

 

「くぅっ!?」

 

 

 

掴み合わず強引に仕掛けたボディスラム。

初手からの力任せの技には内田も背中を叩きつけられることしか出来ずにいた。

しかし、まだ序盤・・・体制を整えた内田も仕掛ける。

 

 

 

「はっ!はぁっ!!」

 

「・・・んんっ!!」

 

 

 

掌底からの掌底と突き上げるような鋭いコンビネーション。

相手を離れさせようと前蹴りを放とうとしたが、それを内田は見逃さない。

 

 

 

「りゃあぁぁぁっ!!」

 

「・・・ぐっ!」

 

 

 

待っていたかのようなドラゴンスクリュー。

高速で放たれたスピンにみぎりは苦痛に表情を歪ませる。

平気とばかりに地面を力強く踏み込んでみせると2人はまたじりじりと間合い取り合う。

 

 

痺れを切らせたみぎりが駆け出したのを目にしてラリアットだと判断した内田は身構える。

しかし、みぎりは横をすり抜けるのと同タイミングに横から胴を捕まえたのだ。

 

 

 

「ふんっ!!」

 

「がぁっ!?」

 

 

 

不意をつく捻り式バックドロップ。

みぎりのパワーでスピードも加わり、キツい一撃が突き刺さる。

これには内田も首元を抑えながら苦痛の表情を浮かべる。

 

 

だが、すぐに起こしたみぎりは軽々と内田を持ち上げる。

内田は必死に抵抗をするのだが、みぎりは容赦なくそのままアルゼンチン・バックブリーカーに入る。

 

 

 

「ふっ!ふんっ!!」

 

「あっ・・・はぁぁっ・・・!?」

 

 

 

揺さぶるみぎりと悲痛に喘ぐ内田。

逃げる事の難しいこの状況に動いたのは、利美であった。

 

 

利美はカットをする為にリングへと入った。

しかし、みぎりはそれを待っていたように内田を利美の方に放り投げたのだ。

いきなりの事に抱きとめる利美。

 

 

 

「ご、ごめんなさい」

 

「いえ、大丈夫ですか?うーん・・・やはりあの子・・・わからないわね」

 

 

 

優勢だった状況を自ら手放したみぎりの行動に呟く利美。

内田と代わってリングインした利美は警戒する。

だが、みぎりは自陣に戻ると絢音とタッチをする。

 

 

 

「がんばってぇ~♪」

 

「はいっ!!」

 

 

 

いつもとは違うリング内の空気に身体が震える。

しかし、いきなりパンッと両頬を叩いた絢音の目はスイッチが入ったように切り替わっていた。

 

 

 

「裕希子や恵理みたいな目・・・・・面白い」

 

 

 

同世代のメンバーの名前を口にすると目の前の対戦相手に高揚していた。

 

 

腕を軽く回してから走り出した利美。

その行動に身構える絢音だが、横をすり抜ける利美に気を抜いた瞬間、ロープの反動で戻って来た利美の低空ドロップキックが突き刺さる。

 

 

 

「ぎゃんっ!?」

 

「ほらほら、逃げなきゃキツいわよ」

 

「んんっ!?!?」

 

 

 

倒れた相手に流れるように忍び寄る利美はすぐさまアンクルホールドを決める。

見事な関節技に目を見開くほどの激痛が走るが、絢音は歯を食いしばって耐える。

レフェリーが絢音にギブアップかと尋ねるも絢音は首を横に振る。

それを見てもう一段階締めようとした瞬間だった。

 

 

 

「やあぁぁぁっ!!」

 

「くっ!!一筋縄じゃいかないか・・・・・」

 

 

 

一瞬の緩みを狙ったのだろう身体を捻って反対側の足で利美の横腹を蹴飛ばしたのだ。

それ程威力のあるモノではないにしろ態勢を崩した時に絢音は拘束から逃れたのだ。

相手の行動に少し嬉しそうに笑みを浮かべる。

逆に絢音は利き足だったのか表情は歪んでいるが、それでも臨戦態勢をとっていた。

 

 

 

「いけっ!!」

 

「くっ!!どりゃぁぁぁっ!!」

 

「かはっ!?!?」

 

 

 

絢音をロープに振った利美ではあったが、絢音はそのロープの勢いを逆手に使って全力のラリアットを相手の胸元目掛けて放った。

利美はちゃんと両手で防御したにもかかわらず、膝を付くと驚いたように絢音を見ていた。

 

 

 

「(このパワー・・・恵理と同等、いや・・・それ以上かもしれない。この娘、相当化けるわね)神童寺さん、任せていいかしら?」

 

「・・・・・任せてください」

 

 

 

冷静に相手の腕を判断する利美は深呼吸をするとゆっくりと立ち上がる。

まだ闘っていたいと言う気持ちはあるが、まだ控えている女の子に手を差し伸べる。

司は、無表情でタッチするも横を通り抜ける時にポツリと一言残した。

 

 

ルーキー同士の睨み合い。

先に動いたのは、司だったが思わぬ行動に出た。

 

 

 

「はあぁぁぁっ!!」

 

「ぐっ!?」

 

「・・・まだ」

 

「ぐぅぅっ!!かはっ・・・は・・ひぃ」

 

 

 

あまり見せないランニング・エルボー。

その不意をつく一撃で体勢を崩される絢音。

すかさずストレッチプラム式フェイスロックを仕掛ける司。

完成度の高い関節技に絢音は窮地に立たされる。

 

 

 

「絢音ぇぇぇっ!!」

「諦めるんじゃねぇぇぇ!!」

 

 

 

意識が遠のきそうになった瞬間、霞と燈華の声援だけがすっと頭に入って来たのだ。

 

 

 

「・・・・・やぁぁっ!!」

 

「がはっ!?」

 

 

 

脱力していた体に力が漲ったように頭を突き上げた。

技に夢中になっていた司はまさかの一撃を顔面に受けてしまうと技を解いてしまった。

間一髪だった絢音は自陣のポストに戻って来るとなんとかタッチする事が出来た。

 

 

リングに出てきたのは、みぎり。

相手の威圧感に動けないのか司は身構えた状態で距離をおいていた。

 

 

 

「来ないなら・・・こっちから行きま~す」

 

「・・・はやっ・・・かはっ!?!?」

 

 

 

想像以上の速さで間合いを詰めたみぎりは軽々と片手で司の喉元を掴むと勢い良くチョークスラムを放ったのだ。

その一連の動作に驚く事すら許されずにマットに叩きつけられた司は衝撃に目を見開き大の字になってしまっていた。

みぎりはそんな彼女を見るとそのまま両足を掴んだ。

 

 

 

「まだまだ寝てる場合じゃないよ~」

 

「うぅぅぅ!!!!」

 

 

 

力任せとも言える強引なジャイアントスイング。

見事に放り投げられた司は起き上がろうとするも平衡感覚が狂っているのかふらふらとしていた。

みぎりは彼女を軽々と抱き上げてコーナーポスト上に座らせた。

 

 

 

「これで・・・・・ダウンッ!!」

 

「ぐあっ!?!?」

 

 

 

かなり高い場所からの雪崩式ブレーンバスター。

何も出来ずにされるがままの司は何も出来ずにそのままフォールに入られる。

だが、カウント2.8で返す司。

 

 

みぎりはギリギリで返された事に驚いていた。

しかし、起き上がる事の出来ない司は顔を隠すように腕を重ねて呼吸を整える事しか出来ずにいた。

そんな彼女をゆっくりと起こすとまた敵陣営に歩かせたのだ。

 

 

 

「あの子・・・闘いに飢えてる」

 

 

 

返って来た司とタッチすると利美はリングインする。

みぎりは今度は交代はせずに待ち構えていると利美は目の前の相手に集中する。

 

 

 

「貴女・・・強い相手探しているでしょう」

 

「どうでしょうか~」

 

「やっぱり貴女・・・変わった人、ねっ!!」

 

「・・・ぐっ!!」

 

 

 

対峙して話し合う2人。

しかし、利美は先手とばかりに見事なハイキックを決めた。

鋭い一撃に巨体は片膝を付いて体勢を崩す。

 

 

 

「せいやぁぁぁっ!!」

 

「がぁっ!?」

 

 

 

その一瞬を待ち構えていたかのようにその片脚を踏み台にしてシャイニング・ウィザードを炸裂させた。

素早い連携に防御も間に合わず蹴飛ばされてしまうみぎり。

流れに乗るように利美はアキレス腱固めの体勢に入った。

 

 

 

「私の関節技どうかしら?」

 

「ぐぅぅっ・・・・・」

 

「逃がさないっ!!」

 

「あぁぁっ!!」

 

 

 

リング中央で絞り上げる利美。

強引にロープに向かおうとするみぎりだが、年季の入った利美の技。

苦痛に表情を歪ませるも一歩一歩匍匐前進でロープまで辿り着くとなんとか解放された。

ゆっくりとみぎりを起こして次の技を仕掛けようとした瞬間にみぎりが抱きついて来たのだ。

 

 

 

「なぁっ!?」

 

「もらったっ!!」

 

「かはっ・・・あぁぁっ!!!!」

 

 

 

パワーに絶対の自信を持つみぎりのベアハッグ。

優勢になるはずだった攻勢はこの不意打ちにより打ち砕かれてしまう。

押し寄せる圧迫感に目を見開き口端からは涎が垂れるほどにダメージを受けていた。

解放された時には糸の切れた人形のように崩れ落ちた。

 

 

みぎりはそんな彼女を無理矢理起こすと自分が得意とする必殺技に入った。

 

 

 

「コレで・・・おしまいっ!!」

 

「・・・・・っ!?!?」

 

 

 

容赦のない超高層ボディスラム。

その一撃は途轍もない破壊力で利美は声も出ない程にリングに沈んでしまった。

みぎりはそのままフォールに入る。

仲間の2人もカットに行きたいが、ダメージが蓄積されていて助けにいけずゴングが鳴り響いた。

 

 

 

「やりましたぁぁぁ!!!!」

 

「頑張ったわね、お疲れ様」

 

「2人共おつかれさま~♪」

 

「みぎりさん!美響さん!お疲れ様でした!!」

 

 

 

3人はお互いに褒め称え合うと初戦を勝利で終えたのであった。

 

 

 

 

 

JAPAN TEAM QUEENS CUP 一回戦

 

トリプルマッチ

 

 

『StrongGirls』    『Genesis』

 

十六夜美響       ●南 利美

 

〇大空みぎり   VS  神童寺 司

 

佐倉絢音        ラッキー内田

 

 

21分23秒   超高層ボディスラム

 

 

 

 


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