「「「「「メリークリスマァァァス♪」」」」」
12月24日。
世間ではクリスマスイヴの日。
ヴァルキュリアの宿舎でも選手が集まってのクリスマスパーティーが行われていたのであった。
宿舎で暮らす選手だけではなく他の選手達も集まる毎年恒例の行事みたいである。
たくさんの選手が賑わう中で絢音はフライドポテトをケチャップに付けたり、マヨネーズに付けたりして嬉しそうに食べていた。
「うぅ~うまうま~♪」
「おっ!!楽しんでるみたいだねぇ~♪若いうちはちゃんと楽しまないとねぇ~♪ほら、ケーキもあるよ」
「ライオネルさん!!ありがとうございます♪」
「はっはっはっ!!その食べっぷり姿いいね!今度アタシ特製のちゃんこでも食べるかい?」
「是非っ!!お願いしますっ!!」
「ふふっ・・・楽しんでいるかな?佐倉さん」
「・・・へぇ?み、みみ、御堂さん!?!?」
いきなりのVWQ王者からの声掛けにいつもの発作みたいな症状が出る絢音。
しかし、そんな彼女を横目にライオネルとヒカルの間にはピリッとした空気が張りつめていた。
「大晦日が楽しみだねぇ~ヒカル♪」
「・・・・・えぇ、私も大晦日を待ち遠しく思います」
「もしかして・・・・・VWQ(ヴァルキリア・レスリング・クイーン)シングル王座の件ですか?」
「そうさね!今年はアタシがあのベルトを腰に巻いて年を越すのさ!!あのベルトはアタシに似合ってるからねぇ~♪」
「それはどうでしょうか・・・今年もあのベルトは私の腰がふさわしいと思いますが・・・・・」
「言うじゃないか・・・ヒカル」
睨み合う2人の間で蛇に睨まれた蛙状態の絢音。
どうしていいのか解らずあたふたしていると風香がやって来た。
「お2人とも・・・佐倉さんが怯えていますから程々にお願いしますよ?」
「今日は折角のクリスマスイヴ・・・大晦日の事は忘れましょうか」
「それもそうだな!美味しいモノが美味しくなくなっちまう!!アタシは酒でも飲んで来るかねぇ~♪」
ハッと絢音の顔を見た2人はやっと困らせてしまっている事に気付いた。
2人を止めた風香は絢音の横に座った。
「あの2人・・・ライバル同士だからたまに闘志がぶつかり合うケースが多いのよ。乱闘までは行かないんだけど、熱くなられたら私達でも止めるのは一苦労だからこうやって先手を打つと効果的よ?」
「な、慣れてらっしゃるんですね」
「慣れてる訳じゃないの・・・ほら、手が震えているでしょ?大先輩相手でも後輩が困ってるなら頑張らないとね?」
「あ、ありがとうございます♪」
2人は和やかな雰囲気でクリスマスパーティーを楽しんでいた。
だが、そんな2人の前に珍しい人物がやって来た。
「お2人共楽しんでますか?」
「あっ!富咲さん!お疲れ様です!!」
「えぇ、富咲さんは今日のお仕事はお休みなんですか?」
「この日ぐらいは休みなさいって社長さんが・・・ねっ?でも、佐倉さんにはちょっとした話が来ているの」
「私に・・・ですか?」
そう言うとひばりは左手に持っていたバインダーを絢音に手渡した。
そこにはとある内容が記された紙が挟まれていた。
「さっき届いたのよ・・・新日本女子プロレスからの挑戦状がね」
「WWWGPシングル王座の件でしょうか・・・・・ですが、日付的に大晦日は御堂ヒカル選手とライオネル神威選手のVWQシングル王座戦でしたよね?でもでも、挑戦状って事は私達・・・ヴァルキュリアが持ってる新日本女子プロレスのベルト狙いですよね?う~ん・・・他にベルトって・・・・・」
「何を寝ぼけた事を言っているの?佐倉さんと美星さんが持ってる新日本タッグ王座のベルトを取り返しに来るんでしょ」
「・・・・・っ!?!?わ、忘れてましたぁぁぁっ!!??」
あの激闘の一戦から音沙汰もなかったので完全に忘れていたが、現新日本タッグ王座のベルトを絢音は持っているのであった。
完全に忘れていた反応を見た2人は呆れた様に苦笑いを浮かべていた。
「この件は社長にご報告済みです。試合は大晦日に行われるセミファイナルで開催予定です。対戦相手は・・・マイティ裕希子選手とボンバー来島選手のペアが予定されてるみたいね」
「あの黄金ペアと名高い2人が相手なんですか!?か、考えるだけでも力が漲ってきますっ!!!!」
「ふふっ・・・佐倉さん、初めて会った時とは別人みたいになったわね」
「・・・そうですか?」
「えぇ・・・昔の貴女は本当に怯えた子犬のような目をしていたけど、今は闘志に満ち溢れた目を持ってるんだから私もうかうかしていられないわね」
「そうね、今ではウチの看板選手だもんね?どんどん頑張ってもらわないとね!佐倉さん!!」
「が、頑張りますっ!!」
「その意気や良し♪じゃあ・・・この事を美星さんにも伝えないといけないから・・・じゃあ楽しんでね」
そう一言残すとひばりは美星を探しにこの場を離れた。
「風香!お久しぶり」
「あっ!乱童さん、遠征お疲れ様でした!!」
聞き慣れた名前に振り返るとそこには乱童 聖羅選手であった。
「は、はは、初めまして!!佐倉 絢音と言います!!遠征お疲れ様でした!!」
「おっ!!沙織さんから聞いてるぜ?面白い新人ちゃんってのはお前の事だろ?」
「・・・はぁ、あまり怖がらせたらダメですよ」
「いやぁ~・・・沙織さんがかなり自慢げに話してたら気になってたんだよ!今度の大晦日の試合観させてもらうぜ!!」
「・・・は、はい!!」
「どうして佐倉さんの試合の事知ってるんですか?」
「沙織さんからさっき聞いたんだよ!残りの遠征組も知ってるはずだぜ?」
「もう皆さん帰国されてるんですか?」
「結城とキャットはさっき見かけたぜ?佳織と七海は大晦日前には帰国するはずだ」
「神坂 結城選手!!とエンジェルキャット選手!!と出雲 佳織選手!!と七森 七海選手!!の事ですか!?!?」
「・・・お、おぅ。なんか迫力すげぇのな」
「彼女、あぁ見えてかなりのレス女なのでかなり詳しいんですよ。すべての選手のデータが頭に入ってるって噂ですから」
「ふ~ん・・・やっぱおもしれぇ~奴だな」
聖羅は鼻息荒くして興奮している絢音を横目に何かを感じ取った様子であった。
そして、クリスマスパーティーはこの後何事もなく終わりを告げた。