「ヴァルキュリアをもっと知りたい・・・って、なんで私に聞くんですか」
「いやぁ~・・・入団したのはいいんだけどさ、内部事情はそんなに詳しくはないからさ絢音に聞けばいいかと思ってさ」
「ちなみに聞きますけど、どうして私なんです?」
「かなりのレス女だって燈華に聞いたぜ?」
「オレは社長さんから聞いた!!」
「プロフィールの所に書かなきゃよかった・・・・・」
とある日の休憩時間に同期である3人組は会議室でくつろいでいた。
絢音は大きな溜め息を口にするも近くにあるホワイトボードに近寄ると黒インクのペンで何かを書き始めた。
「最初に説明しないといけないのはうちの団体にあるユニットの数ですね」
「・・・ユニット?」
「簡単に説明するならヴァルキュリアに所属はしているけど、派閥ごとに分かれているんです」
「えっと・・・綺羅☆エンジェルスとか爆裂天使とか愚麗怒婁だったっけ?」
「はい!駿河さんの言ったのともう1つBigBang!と言うのもあって計4つのユニットがこの団体には存在しています」
ホワイトボードに4つの名前を記すと確認をするように霞の方を向く。
すると真剣になって聞いている姿に絢音はこの4つのユニットを詳しく説明しようとまた色々と書き始めた。
「まずは『爆裂天使』の簡単な説明をします!リーダーは御堂ヒカルさんです。第一印象で言うなら正々堂々ですかね」
「それって・・・正統派って事か?」
「簡単に言えばそうですね。それと愚麗怒婁とはいつも敵対しています」
「そうなのか?」
「あぁ・・・リーダー同士が因縁関係にあるんじゃなかったっけ?」
「そうです!お互いに同期なんですが、愚麗怒婁のリーダーさんは御堂さんの事をライバル視しているみたいですね」
「御堂さんの方は?」
「そこなんですけど、とあるインタビューの時に他の団体の方の事しか話されていなくてそれを火種に愚麗怒婁のリーダーさんが・・・・・」
「なんとなくだけど、理解出来たよ」
簡略的に説明を終えるとホワイトボードに書いたのを消した後に次の説明を書き始める。
「次は先程名前が出て来た『愚麗怒婁』の説明に入ります!こちらのリーダーは狭霧千影さん。ヒールレスラーの集まりで結成されています」
「・・・ヒールレスラーか」
「と言っても選手によって度合いが違ったりしますけどね」
「この前の試合の選手は愚麗怒婁のメンバーだったんじゃないか?」
「えっと・・・来栖さんの事ですかね?」
「そうそう」
「あの方は元々爆裂天使のメンバーさんです」
「えっ!?じゃあどうして敵対ユニットになんて入ったんだ?」
「御堂さんを倒したいから・・・と、あるインタビューでは言ってましたね」
「うーん・・・そうか」
次の説明の為に絢音はホワイトボードに書いていた説明を消していた。
すると不意に扉が開くとそこには現在の状況下で一番適任な2人が立っていた。
「ライオネルさん!美星さん!」
「うおっ!?なんだなんだ、そんな大声で叫んで」
「なはは~いっつも元気だねぇ~絢音ちゃ~ん」
「あはは・・・す、すいません、つい」
「3人揃ってこんな所でなにしてんだい?」
「ヴァルキュリアの事をもっと知りたいと思って絢音に聞いていたんですよ」
「丁度ユニットの話をしていたんです!」
「そうなんだぁ~」
「今は爆裂天使と愚麗怒婁の説明が終わった所なんです」
「ほぅ・・・じゃあアタシらが自分のユニットを紹介してやるよ」
「いいんですかっ!?!?」
「そだねぇ~こう言うのって滅多に説明しないから面白いかもねぇ~」
そう言ってペンを受け取ったライオネルはホワイトボードに書きながら話を始めた。
「アタシらがやってんのは、BigBang!まぁ、力に自信のある奴らなら誰でも大歓迎って所だな」
「ココだけの話ヴァルキリア内で一番強いのはライオネルさんだと言われています」
「どう言う意味だ?」
「ライオネルさんは数多くのタッグマッチのタイトルの保持者なんですっ!!」
「そうなんですか?」
「まぁね!パートナーあっての代物だからアタシだけのモノじゃねぇけどな」
「それと綺羅☆エンジェルスとは友好関係にあります」
「そうだねぇ~♪」
嬉しそうにライオネルの腕にしがみつく美星。
そんな光景を目の当たりにした3人は本当に仲が良い事を理解した。
「次にアタシの綺羅☆エンジェルスだけど、簡単に言えばアイドルレスラー・・・かな~?」
「・・・・・アイドルレスラー」
「そっ!歌も歌うし~!ダンスだって踊るし~!たまにはテレビやらライブもしちゃうよ~ん♪」
「今じゃアイドルレスラーは引っ張りダコですね」
「けど、アタシ達だってちゃんと試合はするよ~けど、あまり勝率はよくないんだけどねぇ~」
とユニットの説明が終わったのだが、絢音はなにやら色んな事をホワイトボードに書き足している。
その速さには先輩でもある2人も引き攣った笑みをみせていた。
「ヴァルキュリアはこれ程の団体と交流があります!!」
「おいおい・・・こんなの両手だけじゃ足りないぐらいの数だぞ!?」
「それだけ歴史があるって訳さ!ユニット自体が交流を深めているユニットや選手もあるからな」
「そうだねぇ~フリー選手の人でも仲良くさせてもらっている人多いもんねぇ~」
「ライオネルさんならW神威で有名なカンナ神威さん。美星さんならビューティクルローズで有名なミシェール滝さんみたいな方々の事ですよね!?!?」
「そ、その通りだね」
「絢音ちゃ~ん・・・目が怖いよ~」
「はっ!?す、すみません!すみません!!すみません!!!」
目がぎらついている絢音を横目に霞はホワイトボードに目を向ける。
「へぇ~・・・・・海外の団体とも提携しているんですね」
「そだよ~たまに向こうの団体さんから選手が来る事もあるし~こっちから武者修行みたいに向こうの団体さんで試合をさせてもらったりかな~」
「現在は5名程海外に出ているぞ!」
「今年には帰って来るんですよねっ!?!?」
「そうだねぇ~・・・そろそろ期間も過ぎる頃合いだから帰って来るんじゃな~い?」
「やったぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「あいつ・・・・・いつもあんな調子なのかい?」
「えぇ、まぁ・・・」
1人で嬉しそうに飛び跳ねる絢音の姿に4人は子供を眺めるようにしていた。
自団体の説明が軽く済んだはずなのに絢音はまだホワイトボードになにかを書いていた。
「なにしてんだい?」
「他団体の情報整理です!!」
「あっ、それちょっと気になるかも~」
「玖珂さん!日本にはいくつの女子プロレスの団体があると思いますか?」
「10個・・・くらいか」
「違います!大小合わせて約50以上の女子プロレスの団体が日本には存在しています!!」
誇らしげに話す絢音の姿には誰も何も言わずに続きの話題に耳を傾ける。
「関東では新日本女子プロレス!関西ではヴァリュキリア!と言われるほどにこの2大団体を筆頭に女子プロレス界は動いています」
「新女か・・・またお呼ばれしたいもんだね~」
「そだね~新女との交流戦はいつも楽しいもんねぇ~♪」
「新日本女子プロレスは聞いた事あるな」
「はい!パンサー理沙子さんとブレード上原さんのお二方が新女のトップ戦線を支えていらっしゃるんですよ!!」
ヒートアップし始めた絢音はスラスラッとホワイトボードにまた新たになにかを書くと今回はホワイトボードを叩いて注目を集めた。
「注目の選手一覧です!!!!」
「すげぇな・・・選んだ理由なんてのも細かく書いてやがる」
「フリー選手もちゃんとチェックしてるなんて本当に好きなんだねぇ~絢音ちゃ~ん」
「アタシの名前もあるんだね」
「当たり前じゃないですか!?ライオネル神威さんはいつだって注目してますよ!!」
「なぁ、絢音が一番好きな選手って誰なんだ?」
素朴な燈華の質問にマシンガントークだったはずの絢音が黙ってしまったのだ。
いきなりの出来事に質問をした燈華もだが、他の3人もチラッと絢音の方に視線を送る。
「やっぱり・・・天鳳院ほむらさん!?いやいや、『関節のヴィーナス』とも称されているミミ吉原さん!?でも、あの甘利琴羽さんみたいな男気溢れるスタイルに惹かれるのもあるし、サンダー龍子さんのあのクールビューティーで圧倒的に強いのも捨て難い・・・・・でもでも、ソニックキャットさんもマッキー上戸さんも・・・・・」
「アレはもう戻って来そうにないんじゃないかい?」
「そ、そうかもしれませんね」
「燈華ちゃ~ん♪後はよろしくね~♪」
「えっ!?オレ1人でですか!?あ、あの・・・待ってくださいよっ!!!!」
壊れたように選手の名前を口にしながら上の空に行ってしまった絢音。
もうどうしようもないと思って当事者である燈華を置いて3人は部屋を後にした。
残された燈華はこの後、約3時間ほど女子プロレスの選手について話を聞かされたのは言うまでもなかった。
「う~ん・・・そろそろ約束を守らなきゃね」
社長室でカレンダーを確認しながら今後のスケジュールを考えている沙織。
1人で悩んでいる所にノックと共にひばりが姿を見せた。
「おっ・・・丁度良い所に!今後のスケジュールの件なんだけど・・・・・」
「あの・・・その前にこちらの用件から大丈夫でしょうか?」
「おっ、なになに?」
「愚麗怒婁のメンバーから一通の手紙が届いてまして・・・」
「私宛に・・・?」
手紙を受け取る沙織は、興味津々で内容を確認して見終れば嬉しそうに立ち上がる。
「いやぁ~面白い事やってくれるねぇ~♪」
「どういった内容だったんですか?」
「いつもの挑戦状♪」
「では、また王者とですか?」
「いんや」
「それでは・・・誰と?」
「佐倉絢音ちゃんだよ」
そう言って手紙を机の上に音を立てて置くとひばりの目にも入る。
しかし、そこにある内容に目を疑った。
「3VS3・・・ですか」
「そっ!こりゃあなんだか面白くなりそうな気分♪」
その時、一瞬だが大きなくしゃみをした絢音だったが彼女は気付いていなかった。
自分がターゲットにロックオンされてしまっていると言う事に・・・・・。