ちゃんイアをクッション代わりにしてるゆかりんを書きたかっただけなんだ……。
「~~~♪」
「あの……イアちゃん」
「なぁに? ゆかりん」
「そうして肩に乗っかられてると重いのですが……」
「……~~~♪」
「……ま、アクションじゃないですし。仕方ありませんね」
一拍の間をおいて、止まっていた電子音が再び流れ出す。
今日は二人にとって久しぶりの休日が重なった日であった。
「~~~♪」
「飽きませんか?」
「ううん?」
「そうですか……」
後ろから抱き着いて、その上で頭をゆかりの肩に乗せぼうっとテレビ画面を眺めている……と、思えば時折パーカーの触り心地を確かめるかのように頬擦りをしたり、パーカーに顔を埋めたりする。
たまに差し込まれるそんな動作の度に、画面の中ではコマンド入力の取り消しが行われているがそれはさておき、そんな光景が二人の部屋で繰り広げられて、早2時間。
「それで、本当に良かったんですか?」
「何が~?」
「結構久しぶりにオフが重なったものの、こうしてダラダラしてるだけなんて……」
「ゆかりん疲れてそうだったじゃん」
「でも、それは私の都合ですし……遊園地とかはともかくとしてショッピングくらいなら行けましたよ? デート」
「デートなら今もしてるよ?」
「え?」
「おうちデート」
「……それは、別々に暮らしてる間柄でしか成立しないんじゃ?」
「もう、私がデートだって言ったらデートなの!」
「そうですか……」
「ゆかりんはこうしてて楽しくないの?」
「……うーん、楽しいと言うよりかは落ち着きますね。こうしてイアちゃんと二人で長いこと一緒に居るのは久しぶりですから」
「そうなの……だったらなおさら外に出なくても良かったよね?」
白い髪がパーカーとシャツに覆われていない、露出した肌を撫でる。
不意に耳をくすぐった吐息に、コントローラーと爪が弾き合う音を立てた。
「だって、他の人が居たら落ち着いてのんびりできないでしょ?」
「そ、そうですね……」
白い髪が離れていく。
「そろそろお昼だしご飯作って来るね。ゲーム頑張ってね、ゆかりん」
「はい……」
紫色の髪から覗く耳はすっかり茹で上がり、画面の中では取り消しの間に合わなかった指示の結果大惨事が発生していた。
一拍の沈黙の後、二重の意味で頭から煙を噴き出しながらゆかりはコントローラーを置いた。
昼食の後、ゆかりは再びテレビの前であぐらをかき、イアはその背中に貼り付くように抱き着いた。
「……なんなら他のゲームをしますよ、一緒に遊べる奴」
「いいよ、ゆかりんがゲームしてるのを見てるだけでも楽しいから」
「えぇ……そういうものですか?」
「……ゆかりんだってゲーム遊んでるだけの動画を楽しそうに見てるじゃん、それと同じだよ?」
「あれは、お手本と言うか……ただ見て面白がってるのとは違いますよ?」
「そうなの?」
「そもそもこのゲームあまり動きがないので、見てるだけだと面白くないと思いますけど」
「うん……そうだね」
少し声のトーンが下がる。
それと同時にゆかりの肩が小さく跳ねる。
「ごめんね、ちょっと嘘を吐いた」
パーカーを脱いだことでより広い範囲を露わにしたうなじを白い髪が撫でていく。
それだけに止まらず、ひんやりとした温度を感じ――そこまで彼女の思考が及んだところで画面が停止する。
さっきの轍は踏まずに済んだようだ。
「ちょっと、イアちゃん?」
「ゆかりんは温かいね……」
「……イアちゃんの平熱の方が低いんですよ、どうかしましたか?」
腰の前に回された手がシャツを掴む。
「なんでだろうね、こうしてくっついてるだけで嬉しくなるの」
その言葉にゆかりは自分の腰に回された手に自分の手を重ねる。
「でも、邪魔だって言うなら離れるよ? 私のことは気にしないで……」
「このままでいいですよ」
「え、でも……ちゃんと集中できてないみたいだし」
「あぁ、もう! 私が馬鹿みたい! いや、みたいじゃなくて馬鹿ですね!」
「え、ゆかりんは馬鹿じゃないと思うけど……」
「そういう頭がどうこうじゃなくてですね……ああ、もう!」
「ゆかりん……重くない? 大丈夫?」
「何度聞くんですか……むしろイアちゃんは華奢過ぎますよ、もっとしっかり食べてください」
「そうは言っても、これはちょっと……本当に大丈夫?」
「むしろさっきまでの方が重かったですよ……っと!」
「あっ! ……また、やられちゃった」
イアを抱きかかえるように、否、椅子代わりになりながらゆかりはコントローラーを握っていた。
膝に寄り掛かるイアもゆかりと同じようにコントローラーを握ってはいるものの、ゆかりと比べるとその動きはどこかぎこちない。
「流石に場数が違いますからね……別のゲームにします?」
「ううん、もう一回やろう。 今度はいい線行けると思うから!」
ゲームの開始音と共に再びコントローラーの操作音が響きだす……久しぶりのオフはゆっくりと過ぎていった。
スランプ気味だからとにかく数をこなしたかった。
雑に感じられたら申し訳ない。