寿命延長の試練   作:速川渡

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かなり遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。

この頃に新年の挨拶をするのも、私くらいのものかと思います。
もう節分も過ぎたあたりですしね。

こんな亀よりも遅いナメクジやらカタツムリペースの投稿なので、ご了承ください。

では、ごゆるりとお読みくださいませ。


序章:奇跡(しれん)

 目が覚めた。さっきのは夢だったのだろうか。また、この息をするのも精一杯の体に戻って来てしまった様だ。しぶといな、俺も。

 

 一つ大きく深呼吸をゆっくりとする。ん? 何か違和感がある。このボロボロな身体は今みたいな呼吸をするだけでも全身に痛みが走る。その痛みで意識を覚醒させようとしたのだが、()()()()()()()

 それどころか、さっき意識を失ったときより、身体が軽い気がする。まさかこれも夢だろうか。夢の中の夢みたいな感じでまだ、俺の意識は覚醒していないのか。

 

 ゆっくり、瞼を開いていく。もう見飽きた天井がそこにあった。しかし、霞んで見えにくいなんてことはないし、目はパッチリと開く。ゆっくり、ゆっくりと体を起こしてみる。全く痛みがなく、簡単に体は起き上がる。その脇では父と母そして、幼馴染みが目を見開いて声にならないような驚きの悲鳴をあげている。途端にその音にならない悲鳴は、嗚咽と泣き声にかわって、正常なリズムを刻むモニターの音が病室に響く。

 本当に何が起こったのか。先生に「もう回復の見込みはない」と言われていた俺の体は、なんと正常な一般男児のそれだったのだ。脆弱で病魔に侵されていた体とはもう完全に別のものではないかと言うほどの驚異的な回復力を見せた。奇跡としか言いようのない、その復活に俺は、親は、幼馴染は、歓喜してまるで子供のように泣き喚いた。

 

 さっきのは、ただの夢ではなかったのだろうと、俺は先のおっさん神様に心から感謝をするのだった。もしかしたら偶然かもしれないが、それでも感謝せずにはいられなかった。涙と鼻水を醜く垂れ流しながら心の中で感謝の念を送り続けたのだった。

 

 ほんとうに、ありがとう。ありがとう。ありがとう。となんどもなんどでも。

 

 その日のうちに退院できるくらいだったが、念のため二、三日精密検査を受けてから正式に退院できるとのことだった。親や幼馴染はここに泊まるわけにもいかないからと

起きてからは兎に角、泣いて泣いて泣いて。泣き疲れたからぐっすりとよく眠ることができた。

 

「はっはっはっはっはっ!いやあ、体を健常体に直しただけでこれほどの信仰が得られるとはなあ!信心深いね君!」

 

 先程、見た夢の光景がそこにはあった。ただ一つ違うのは死に体のようだったおっさんは、先の様子と180度変わってとても元気よくこちらに話しかけてきた。あまりにもテンションが高すぎて若干引いてしまう。しかし、彼に問わねばならないことがある。

 

「貴方が俺の体を直して、助けてくれたんですか?」

「いや、確かに直したのは俺だ。しかし、助けたわけじゃない」

「え?」

 

 ああ、そういえば先にあった時言っていたか。

 『神は人に試練を与えるものだ』と。

 

「これは試練の前準備だ、まあそれだけでこんなに信仰を受けるとは思わぬ得をした」

「それじゃあ、俺が今回賜る試練とはなんなんですか?」

「ふむ、いきなり本命に行っても構わんが……その前に確認したいからな」

「確認……ですか?」

 

 なんにせよ。この人のおかげで、俺は生き返ることができたんだ。

 俺は、この人の出す試練(オーダー)に応えてみせよう!

 

「ああ、さて人間よ。自分のために人を殺すことができるか?」

「なっ……!?」

 

 それは、あまりにも残酷な、

 いや、残酷すぎる試練(ちゅうもん)だった。

 




誤字脱字、講評批評など感想欄にてお待ちしております。


次回は今回よりも少し早いかも?
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