円卓のコンサルタント   作:蕎麦饂飩

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ブラック企業で過労死『させまくった側』の男が転生して王の助言役として、
ブリテンの存続と発展を頑張るお話。


私、株式会社ブリテンのコンサルタント、ブラック・キギョーと申します

私の名前はブラック・キギョー。

ブリテンの最高評議会における王の頭脳的な補佐を仕事としている。

 

何? アーサー王伝説にそんな人物はいない?

そりゃあそうだろう。私は所謂転生者と言うやつだ。

 

地方豪族の子に生まれたが、飲食界の風雲児として成り上がった前世の知識と経験で税収を瞬く間にあげ、

与党に献金して発言力と影響力を手に入れたように、この世界でも貢物と視察団への歓待を以って、

我が領土の発展具合を証明した。

 

兎に角、この時代のブリテンは収益が少ない。国家として破綻する寸前だった。

それは国家運営だけの問題で無く、ブリテンそのものの問題だった。

その一番大きな理由として、ブリテンの人間の働きが足りていない事だ。

 

騎士階級、それも上級騎士の者達の働きは凄い。

ケイ卿など9日間寝ずに働けるという。まさに騎士の鏡だろう。

 

 

 

私は父親から無理矢理家督を継いだ後、直ぐに領土の改革に乗り出した。

農民どもは高々4~5時間しか働かずに、農作物の出来が足りないのは仕方ないだの言いだす。

 

私は言ってやった。

「馬鹿か、お前達は。

4~5時間でその程度しか成果が出せないというのなら、倍の時間働け。

やれることが見つからないなら探せ。

今後は、今まで通りの仕事に加えて山林の開拓の仕事を課す。

それで耕作面積を広げて更に生産を上げろっ!!」

 

 

その結果、我が領地の収入は増加した。

勿論、私も鬼では無い。倒れた者には慰めて鼓舞する事もする。

例えば、

「お前達の自己管理が出来ていなかった事について今回は我慢してやるから、

その遅れは治ってから一週間以内に取り返す事で許してやる。」

とか、そういう事だ。

 

成程、ブリテンが最早先が無いのは頑張りが足りなかっただけなのだと理解した私は、

様々な面に置いて、領民たちが沢山頑張れるようにした。

先ずは、領民の生活リズムを規則で示した。

 

健康な生活に矯正する事で、より多く働いて貰う為だ。

次に、毎朝毎晩に集落の長に集落の人間全員の点呼を行うように命じた。

これは脱走が発覚しやすくするためだ。

勿論、責任は集落全体で取ってもらう。連帯責任と言うやつだ。

具体的には重税と追加労務だ。無駄な体罰は見せしめが必要な時にしか行わない。

 

次に刀狩と呼ばれる豊臣秀吉の行った、農民の武器の押収を行った。

農民は田畑を耕し、家畜を育てていればよい。余計な事を考えさせないのは基本だ。

 

 

そして下々の物にまで気が届く優しい私は、朝起きてから夜寝るまで、産まれてきてから死ぬまでのスケジュールを作ってやった。

勿論大まかな骨組みだけで、細かい所には各地域のリーダーに調整させた。

その細かい調整は大変だろうが、それも働ける喜びと思っているはずだから問題ない。

 

また、士気を鼓舞するために、領歌を作って毎朝歌わせ、規則を毎日朗読する時間を作った。

勿論これは作業する時間には含めないので別に時間を作って行う。これは当然だ。

それに加え、体操とトレーニングの時間も作った。勿論これも休憩時間の合間を縫って行う。

健全な肉体にしか健全な精神は宿らないからな。

 

だが、何より大切なのは領土を愛する気持ちだ。

それがあれば、常に組織の為に何ができるかという積極性が生まれる筈だ。

 

そしてあいさつ。

常に大きく明るい声を張り上げていなければならない。それは基本であり、それもできない奴に底辺基礎は務まらない。

 

 

これらを行い、年々収益が増えていったので、私は更に目標を上向きに設定した。

これに触発されてくれればよいという前向きな気持ちからだ。

 

また、領民を積極的に増やすために『産めよ増やせよ運動』というキャンペーンを実施した。

各地域ごとに結婚しない、若しくは結婚しても子供を定期的に産まない領民に妊娠した妻の居る家庭の負担を背負って貰うという思いやりの運動だ。

 

 

領民が潰れていく事を考えても、事業や利益を産む土地を拡大するにしても領民の数が多い方が良い。

 

 

それと、島津家が昔年貢を7割で取ったと聞いていたので、それに見習って、

それを超える気概を以って年貢を制作物の8割で設定した。

これも我が領土の発展に大きく寄与したと思える。

 

 

兎に角、これらの政策により急速に収益を伸ばし続けた結果がウーサー王(ユーゼル王)の目に留まり、

その縁でアーサー王への政策助言係として抜擢された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして今、私は同僚…いや部下の1人であるトリスタン卿と個別の話し合いをしている。

 

「私の政策にどのような不満があるというのだ?

もし指摘する点があるのなら今後のブリテンの更なる躍進の為に忌憚無く意見して欲しい。」

 

私がそう言うと、普段は細めている目を大きく開いて睨むようにして彼は発言した。

 

「貴方の政策は余りにも民を慮っていない。」

 

そうか、

 

「それが事実だとして、それがブリテンの興亡に如何に関係する?

民を思って国を潰したのでは笑う事も出来ぬ。仮にも責任ある役員(円卓の騎士)の発言とは思えない。

この国にはもはや働かない者を養う余裕はない。

常にあらゆることが国家の為なら『そうしなければ成り立たない』故に『仕方ない』のだ。

わかるかな、友よ。」

 

彼は一層眼光を鋭くするが、もう少し物わかりが良くなって貰いたいものだ。

仮にも同じ役員なのだから仲良くしていきたいと思っているのだから。

 

 

「此度の廃棄地区と指定した農村のパージについては王にもアグラヴェイン卿にも承認を得ている故に、

君の私的な事情には付き合う事は出来ない。私は君が公的により成長する事を心から望んでいるよ。」

 

 

そう言って翻す様にその場から去った私の背後から、壁を叩き付ける音と絶叫が木霊した。




後に彼はブラック企業の由来になったという…。
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