『誇り』とは、なんだろうか?
わたしはそれを報酬だと答える。
勤務時間外にも勤務を要求する事になろうと、その仕事に『誇り』があれば無休無給でも耐えられるはずだ。
何故なら、『誇り』こそが報酬なのだから。
私は定期的に下級騎士たちを集めて、意識改革の為の勉強会を開いている。
最近の騎士は自身の権利ばかりを主張するようになった。
それが許されるのは上級騎士になってからだというのに、まったく我慢が足りない。
自己犠牲的精神がしっかりと根付いていないのではないか?
『
仕方ない。
だから私は『捌け口』を用意した。
叱責ばかりを受ける彼らへの救いと自信を持てる道を。
下級騎士を更に細分化して、上位の騎士は下位の騎士へ『反省会』を開けるという特権だ。
これは大成功だった。
これによって最下級の騎士の不満は私では無く、直接の上位の騎士へ。
上位の騎士は、自分は支配する体制の側であるとして此方に都合の良い考えを持ってくれるようになった。
下級の騎士が命題を受け、それを更に下級の騎士が押し付けられ、それを達成するために更に下々の一般民に必要行動を強制する。
目指すべき管理体制が着実に完成しつつある。
不満は自分の少し上へ。
これは基本の基本だ。
階級を細分化する事で、その考えが満ちれば雲の上までは様子が解らなくなる。
雲の上を知る者は、最下級のものと触れ合う機会も無い。
そしてそのような失礼はその前の階級のものが防ぐ。
私達への不満も無くなってきた。
そうだろう?
「…ブラック卿、卿は人々の事を思いやった事があるか?」
…? おや、まさか我らが王は冗談に目覚めたのだろうか?
トリスタン卿と言い、最近下々に甘くする流れが流行っているのか?
それは生産的に良くない。国家を想えばこそ厳しさが必要だというのに。
甘さは甘えでしかなく、厳しさの中にこそ真の優しさがある。
「…私の心にあるのは常にブリテンの平和と発展のみ。
…違いますか?」
「……。全てはブリテンを救った後か」
「ええ。そうです。その通りです。
早くブリテンを救う為に共に頑張っていきましょう。我らが王。
それ以外の全ては仕方ない事、なのです。
後々、全てが解決してから考えていきましょう。
アグラヴェイン卿、貴方は何時もの様に我が案に賛成するのだろう?
ガウェイン卿は王の云う事に不満は無いか。まあ、そうだろうな。
で、ウルフィウス卿、ガヘリス卿、トリスタン卿、ベディヴィエール卿、ガレス卿、ギャラハッド卿。
汝等は何時もの様に反対か? そろそろ大人になってほしいものだ。」
特に、ウルフィウス卿には飽き飽きする。
考え方は非常に私に似た所もある。国家の為に国民や王妃ですら犠牲にすることを厭わない。
だから向こうがそのつもりなら仲良くできると思うのだが、彼は私の事を出世競争の宿敵と考えている節がある。
先王からの腰巾着繋がりで私と常に一緒だったが、私が成果を出すにつれて関係は険悪化した。
同じ方向性を持って、より成果を出して気に入られる新参者というのが気に食わないのは良く解る。
だが、政策を無視して私個人を恨まれるのでは対処も面倒だ。
そういう意味では蒼臭い正義感で感情的に反論の声を上げる他の役員たちはましな方だ。
主に、操りやすいという意味で。
……さて、似たようなポジションで足を引っ張る地味で無能な卿にはそろそろ退場して貰おうか。
此方が仕掛けなくてもそろそろ暗殺者を派遣してくるだろう。
失脚の理由には十分だ。それに、事件がいつまでも発生しないのならその時は事件の証拠を此方で用意すればよい。
後は、ガヘリス卿。
彼はアレで実は妹思いだ。妹の為になる事となると働きが違う。
だからここはガレス卿で動かす事にしよう。
ガヘリス卿以上に能力の高い上級騎士にしては少々夢見がちな女一人操るのは難しくない。
ギャラハッド卿には父親の負い目を使う。
ベディヴィエール卿は罠に嵌りやすそうな純朴な顔をしている。
負い目は作るものだ。罠にかける側がな。
残りはトリスタン卿だ。
…女でも宛がうか?
簡単に転ぶだろうな。はっはは。
私は今度こそ、このブリテンを復興再生して
この想いだけは誰にも邪魔はさせない。
農奴共は元より、それに毛が生えた程度の下級騎士。
役員たる円卓騎士、そしてそこには王でさえも例外では無い。
何であっても利用して、利用し尽くしてこの国の発展を刺激的かつ情熱的に、
野性的で官能的な経営コンサルティングで誰もにありがとうと言わせ、
だれもにありがとうと叫ぶ世界シェア100%の一大企業に誰もが身を粉にする