何という事だ。フランスの移民の中にも反逆者が出てきやがった。
折角上手くいっていたのに。
フランス人を大量に奴隷労働者、兼ねて無料のサンドバッグや娼婦、
若しくは人間家畜という民衆のはけ口として大量に呼び込んだ矢先にだ。
奴等は『白銀の妖精』を名乗っているらしい。
このブリテンの地形を知っているかのように縦横無尽に活動している。
…言葉も違い、文化も違い、そしてその中で強制的に奴隷となる生活の中では、
アンダーグラウンドなネットワークを作るのは必然だったか。
くそっ。戦力が足りない。
こういう時に、円卓最強の騎士ランスロット卿がいれば。
あの男は私のやり方に反発して立場の危うくなった王妃を連れて何処かに逃げていった。
一切の発見者と痕跡も無く、だ。あの傀儡の王もその事には一切触れていない。
今頃どこに行ったのかもわからないが、戻ってきたら絶対に今までの遅れを取り戻すべく働いてもらうぞ。
…この
ギャラハッドには馬車馬のように働かせているが、最近は死にそうな顔をしなくなった。
仕事に慣れてきたか。ならばこれからは仕事を増やしても良いだろう。
悪いニュースは部下の頑張りによって払拭するに限る。
だが、悪くないニュースもある。
ウルフィウス卿の追放が決まった。
厳密には未だだが、そう遠い話では無い。
私が朝方まで執務をしていた時だった。
当然、付き添いで数人の騎士が其処に居た訳だが、そこに暗殺者がやって来た。
遠く離れた国からウルフィウス卿が呼び寄せた暗殺の名手だったようだが、
まあ、その時の付添いの騎士の1人はアグラヴェイン君だった。
拷問などお手の物だ。
残念な事に、ブリテンの言葉が上手でない上に、舌に切れ目を入れてしまったので上手く話せなくなったようだが、
それならそれで、何を言ったのかわからない部分を此方が
「私が悪い訳じゃ無い!!」
「このブリテンの為を思ってきただけだ」
「許してくれ。助けてくれ」
そう言っていたが、もう遅い。
今まで敵対してきたツケを払ってもらう必要があるし、
第一そんな事よりも、旧勢力を分解・払拭・吸収するのに彼の存在排除は都合が良すぎた。
幾つかの失策も彼の責任として押し付ければ私の評価も取り戻せるというおまけつきだ。
残念だよ、ウルフィウス卿。
君が私の部下として同じ路を目指していくのなら、良い友人になれたかもしれないというのに。
安っぽいプライドがその可能性を費やしたわけだ。
本当に残念だ。
必死に喚いていたが、私はともかく私の部下である他の騎士たちに単独で勝てる武勇は彼には無い。
もし、ランスロットだったのなら立ち塞がる騎士たちを含めて私が切り伏せられた可能性もあっただろうな。
円卓最強の騎士とはそういう男だから。
彼とガウェイン卿がいれば『黄金の指輪』と『白銀の妖精』に二正面作戦が取れるというのに。
捕らえた構成員から聞き出した何とかラムという黄金の指輪の首魁や、グアンフマラという白銀の妖精の女リーダーの名は発覚した。
まあ、偽名の可能性は大いにあるが。
それ以上は張り切り過ぎたアグラヴェイン卿の拷問が聞き出せなくしてしまっているようだ。
…まあ、仕事に熱心で上司に従順な部下のやる事だから、やりすぎてしまう失敗には目を瞑ってやっても良い。
それにしても早くこれらのピンチをチャンスに変えなければ、
そうしなければ世界シェア完全100%の総合企業国家ブリテンという私の野望がなされなくなってしまう。
次はピクト人か。背が伸びたり、空を滑空する不思議な奴等で戦いにくい。
まあ、戦うのは私では無い。
そう、私の責任区分では無いからな。騎士の諸君、それについては任せた。