「ウルフィウス卿がやられました」
ガヘリスが事実を確認するようにそうトリスタンに話す。
「予定より早かった。ブラックはかなり敵対勢力の討伐の優先順位を上げている」
トリスタンもまた、事実を確認するように『黄金の指輪』本部の構成員たちにそう話しかける。
それはあまりよくない報告だった。
「最近では、グアンフマラ率いる『白銀の妖精』との衝突事案もあるみたいです。
折角、ブラックが最後の攻勢をかけてきた蛮族たちに掛かり切りだというのに…。
―――もし、彼女達と同盟を組む事が出来るのなら…」
ガレスが希望的観測を述べた。
「…グアンフマラの目的はフランス人の解放だけではありませんでした。
その事をガヘリス君から聞いた私はある人物への接触に成功しました。
…というかガレスちゃんはお兄さんからその話を聞いていないので?」
ベディヴィエールがあれ? と言った風に会議の空気を変えた。
「えっ? 何、何のこと? 兄さん、それ私初耳なんだけどっ!?」
詰め寄るガレスに、ガヘリスは目を逸らす。
そんな彼らは重たい空気を何時もぶち壊す黄金の指輪のアイドルだった。
一通り周囲の笑いが収まった後、トリスタンは告げた。
「…では、入ってきてもらおうか。『白銀の妖精』の纏め役グアンフマラ、いや、
ギネヴィア王妃様、そして我が友よっ!!」
そこに表れたは在ブリテン・フランス人解放善戦『白銀の妖精』のリーダーたる亡命者たち。
「…私が言うのも何だけれど、貴方の偽名のトリストラムはひねりが無さすぎるわ」
「トリスタン、正直私もお前が本当に此処までやるとは思っていなかった。
友を見縊っていたようだ。頬を打たれても仕方ないと言えよう」
それは逃げ出したはずの円卓の最強と、かつての王権の象徴だった。
フランスでブリテンから逃げてきた民たちを匿い、その上でフランス人との融和を図り、
更には攫われたフランス人を救う為に、風当たりの強くなったフランスに帰化した元ブリテン人を最前線として、
フランス人の愛した妻や娘を奪還する事を目的とした、多目的組織展開を行い、
海の向こうで地方領主としての顔も手に入れたランスロット。
そして海に囲まれた暗黒期の大陸で振るわれる圧政を打破すべく立ち上がり、
その闘争の果てに片目と片腕を失い、かつての優男とは見違えたトリスタン。
彼らの握手を以って、ここに黄金と白銀は会合を果たし、
遂に、
$$$
何? 『
どういうことだ、『白銀の妖精』の間違いではないか? 恐らくそうだろう。
誤情報に違いない。何せ『白銀の妖精』こそはフランス人の為の組織なのだから。
ここ最近では、各地域での有力者たちが会議をするときには、フランス娘を一人用意して皆で嬲り、
真に兄弟としての団結を深めるのが流行っていると聞く。
農村でも日常的に女に唾を吐きかけられ、男に欲望を吐きかけられるフランス人女。
そんな彼女らを救う白銀の妖精と、農村に末端構成員が多い黄金の指輪が噛み合う筈等無いのだから。
フランス人が自分の妻や恋人や娘、否、そうでなくともフランス美女が穢されて黙っているハズなどない。
だからこそ、私も堕落と欲望に飢えた民たちに、御馳走としてフランス女を与えてきたのだから。
寧ろ、フランス人を奪われれば、嘗ての最下級層が再びその位置に付く事になり、
折角そこからフランス人を踏み台にして脱出した奴らが其れを甘んじて認めるとは思わない。
再び過労死前提の労働奴隷や誇りなど欠片も無い性奴隷に戻る位なら喜んでフランス人を犠牲にするはずだ。
私がそう仕向けたのだ。そうならない筈が無い。
ふん、もしグアンフマラを見つけたらブリテン中の男どもの捌け口にした後、四肢を千切って晒してやる。我等ブリテン首脳陣の知らぬところでと言う扱いでな。
そして黄金と白銀に決定的な溝を作って潰し合わせてやるさ。