遂に蛮族どもを討ち果たした。
これで、これで私の地球皇帝の座はより近づいた。
はっはっはっはっは。
それに付随して、騎士の多くを私の派閥に取り込む事が出来た。
私について来れば将来が安泰だと、馬鹿な奴等でもようやく理解できて来たのだろうな。
王は我が傀儡。
穴でも掘ってやろうか。
それとも地球皇帝となった私の下でブリテン支店長として働かせてやっても良いな。
「報告します」
「何だ」
何時もの様に冷静にアグラヴェイン君が私の報告を持ってきた。
上に報告、下に連絡、横に相談。
若しくは終わって報告、最中に連絡、始める前に相談。
2説あるがどちらにせよ報・連・相、これが確りと出来る部下と言うのは良いモノだ。
「『黄金の指輪』及び『白銀の妖精』がこの城を取り囲んでいます」
何だとっ!?
他の者はどうしている。騎士連中はこの時の為にいるのではないのか?
「ガヘリス・ガレス・ベディヴィエール・トリスタン・ギャラハッドは所在が知れません。
また、下級騎士たちの多くは囲まれたことにより戦闘を放棄して寝返りました」
なっ…なんだと…?
嘘だ、嘘だと言え。
「…事実です。それと王から今から『円卓会議』の招集をかける、とのことです」
馬鹿な、この状況でおちおちと会議などしていたら私の首が無くなる。
王は血迷ったかっ!?
「……王の御命令です。貴方にも出頭義務があります」
くっ、既に逃げ出して行方知れずとなった騎士の中にはお前の弟達も居るというのに。
まあいい。ガウェイン卿が護ってくれるのなら何とかなるかもしれない。
ランスロットがいない今、彼に敵う騎士は束になってもおるまい。
私が円卓会議に出頭すると、私専用の豪華な椅子が其処には無かった。
「ブラック卿、貴方の席は其処だ」
王に示されたのは質素な木の椅子。…私を愚弄しているのか傀儡の王の分際で。
ブリテン支店長の話は無しだ。見目が良いから性小姓として扱ってやる。
そう怒りに燃えていると、
円卓会議上の前にまで『黄金の指輪』と『白銀の妖精』の構成員が押し寄せてきた。
だが、それ以上は攻めてこない。
…ふん、高名な騎士で構成されたこの会議場に怖気づいたか。
そう思っていると、反逆者たちの集団から、今この会議場で空いている椅子の持ち主たちが進み出てきて椅子に付いた。
……どういうことだ。―――ランスロットまでいる…だと!?
「王よ、長きに渡る離反と裏切りを、妻共々お許し下さる寛大な処置を承け賜り感謝いたします」
「…迷惑をかけたのは私の方だ。…所でギネヴィアは?」
「彼女は身重でして、今は此処には来ておりません。
今はエレインとモルガン様が様子を見てくれています」
どういうことだ、どういうことだ、どういうことだ。
どういうことですかっアーサー王ッ!!!!
「この会議の後にブリテンを解体し、
各勢力の融和を以って彼らと新国家の共同統治に当たる。
最後に『黄金の指輪』と『白銀の妖精』へと移った我が騎士たちを含めた祝宴を上げる事にした。
合わせて共同統治の条件として、
ブラック卿、―――――貴方を国家反逆罪及び外患誘致罪、騎士道不覚悟で処罰する」
…そんな、嘘だ。嘘だと言えっ、嘘だと言ってくれ。
―――――そんな、嘘だろう?
クソッ、逃げるぞ。
もうブリテンなど知った事か。次はゲルマンででも成り上がってやる。
っっ、そこをどけ。邪魔をするなアグラヴェイン君。何処かの騎士の様に、私を護って逃走するぞ。冷静な君なら解かるハズだ。
「…貴方が此処で生贄になれば最大効率で最善の結論が出ます。
最後までこのブリテンの礎として御在り下さい」
私に責任は無い。私は経営者では無いコンサルタントだ。
責任は全てあそこにいる王にある。知らぬ顔でハッピーエンドなど許さんぞアーサーッッ!!!!!
「そう。貴方は相談役に過ぎない。その上で王の上に立とうとした。
これが反逆で無いというのなら、何が反逆なのかしら。ねえ、モードレッド」
「ああ、ガレスの云う通りだ。
父上は王としてでなく、非世襲制評議員の一人息子としてならオレを認めてくれるといった。
国家に対する反逆も、『黄金の指輪』としてブリテン解体という形で黙認してくれた。
王の代理である相談役に打ち勝つことで自分を超えたと認めると言ってくれた。
母上でさえ評議員に加わる事で一応の納得はしたみたいだ。
…この根回しはアンタの言う冷静なアグラヴェインと、その弟たちによるものだぜ」
ガレスッ!! モードレッドォッッ!!!!
「貴方には人の心が解らない。私は悲しい。まあ、もう会う事も無いでしょうが」
「王を傀儡にした罪を償いなさい。それと私を胃潰瘍にした罪もです」
「民の涙に関心を払わなかった結果を承ける時が来ました。貴方への報酬です」
「民から笑顔を奪う事しかできなかった。それが騎士を兼任できなかった理由だ。
貴様が、犠牲者に回る気分はどうだブラック?」
トリスタンッ!! ベディヴィエールッ!! ギャラハッド!! ガヘリスゥッ!!
だが、私を任命したブリテンに責任が無い訳では無い。
お前達も同罪だ。
王も騎士たちも同罪だ。私だけを犠牲にしてご都合主義で終わるなど絶対に赦さん、許しはせんぞっ!!
「それを決めるのは王だけです」
「君は王から独立して行動する権限を持っていた。
だからこそ我々の責任で独立した権限を持って
アーサー王に此処まで我慢して貰うのには苦労したよ。何と言っても王は優しいからね。
後は、君が民を酷使して積み上げた貯金を切り崩しながらハッピーエンドさ」
ガウェインッ!! マーリンッ!!
この人でなし共めっ!!
くそっ、話にならん。
王、王よっ!!
今まで私はこの国の為に尽くして来ただけなのです。
その結果がこれでは余りでは無いですか。余りにも救われないで話ですか。
10を救う為に、1を切り捨て続けた結果なのです。仕方ないではないですか。どうかご慈悲を。
「ならばこそ、ここで貴方がその1になるのが良いでしょう」
アグラヴェインッ、口を挟むな。目をかけてやったというのに。
王よ、なんとかいって下さい。
「では、諦めて終わりを迎えるのだ。このブリテンと共に」
アーサーァァァァッッッッ!!!!!!
くそっ、私に従う勢力は、王に従わない勢力は…いないのか? 居れば取り立ててやるぞ。
「旧勢力は他でもない貴方がウルフィウス卿と共に葬ったのだ。
晩節を汚すな。此処での無様は誰にも語らせないと、会議を提案した私が約束しよう」
ケイッッ、貴様かぁぁっ!! 貴様が私をっ!!
誰か、誰か助けてくれ。そうだ、王よ、貴方はお
可哀想でしょう。私を犠牲にすれば解決だなんておかしいでしょう?
「……」
そ、そんな…。
王、貴方には人の心が無いのですか、こんな地獄のような環境で私に尚鞭を振るうというのですか?
なんてざまだ。
具体的な行動指針の説明も無く、土台の無い理想論と、根拠のない根性論で、
感情論によって処遇を決めるなんて。
こんな地獄の様な職場はこりごりだ。
もし、次が、次の生があれば、次こそは…
因みにこの後のブリテンがどうなるかは敢えて語りません。
何はともあれ、後愛読ありがとうございました。