円卓のコンサルタント   作:蕎麦饂飩

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蛇足


世界統一企業グローバルブラックカンパニー

「今度こそは、今度こそ私は上手くやって見せたぞアーサー王!!」

 

 そう叫ぶ世界CEO。その名はブラック・キギョー。

 世界シェア100%のブラックカンパニーのトップ。

 その手を逃れうる者は誰もいない。

 彼が活かし、彼が殺す。

 世界のあらゆる人々はその目を逃れることさえ無い。

 

 

 これがブラック・キギョーの作り上げた異聞帯。

 この特異点の最大の特徴は皆が働き、皆が助け合うこと。誰もが誰かの役に立つこと。

 その理念自体には一切間違いなんか無い。

 これまでの道程の失敗を糧として、彼は極めてホワイトな見た目を構築することを覚えた。

 

 家族であり社員である全地球民を誰一人たりとも切り捨てない。

 これが世界を支配した彼のスローガンだ。

 世界を支配する地球皇帝として、これほど民一人一人への関心を持った男もいないだろう。

 問題は、その愛の深さにあった。

 

 

 目が悪い者には眼鏡を渡し、手が無い者には義手を与え、足が無い者には車椅子を与えた。

 記憶力が悪い者には何度も確認する時間と手帳とを与えた。能力が足りない者には研修を与えた。

 高齢者には補助器具を与え、知能が高くない者には単純労働を与えた。犯罪者には監視の下で労働を与えた。

 素晴らしい善行である。

 だが、その本質はもっとその奥にある。

 

 

 どんな人間でも役に立てる。

 誰もが誰かの役に立てる。

 それは――――、どんな人間でも役に立たなければならない。

 誰もが誰かの役に立たねばならないと言うこと。

 この歳になるまで頑張ってきたから、病気や怪我があるから。そんな泣き言は一切許されない。

 役に立てないなら、役に立てるようになるか役に立つようにして貰うしかない。

 一切に労働力の無駄を許さない世界。

 能力が不足したからとクビになんてはしない。

 何せこの世界にはブラックカンパニー以外の企業は無い。

 故に、クビになどすれば家族である社員を見捨てることになる。

 故に、解雇するなんて甘いことはしない。

 能力が不足するなら無理矢理にでもその能力を会得して貰う。

 世界が習熟するに従って高度化する技術に付いていけない能力不足の者には、あらゆる研修が用意される。

 

 

 その結果、失業率0%、就業率100%。

 誰も飢えること無く、誰も路頭に迷う事の無い世界が完成した。

 究極の資本主義が行き着いた先にある、究極の共産主義が完成したのだ。

 

 しかし、この甘えも怠けも泣き言も一切を許さない。

 誰もが死に物狂いで働く為に生まれてきて死んでいく世界。

 その世界を最早カプセルに入った脳だけの男が支えていた。

 この異聞帯は、異聞帯でありながら異星の神の力では無く、一人の男の独力によって成し遂げられたものだった。

 聖杯の欠片、本来心清き騎士が見付けたとされるこの世界のオリジナルの聖杯。

 あらゆるモノを使って現代まで生き延びたワンマン社長によって、一つ奪い取られた枠を使って生み出された異聞帯。

 

 誰も切り捨てない、そして誰も逃げ出させない。

 救いは求めさせない。世界(会社)が救いを与える。

 全ての社員は家族であり、家族が頑張って働いているのに怠けているなんて事はあり得ない。

 どんどん大きくなり近代化する家を、誰もが全力で増改築していく。

 その家に相応しい人間になる。

 なるほど、完全に見事なまでの管理社会(ディストピア)であり、逆説的には理想郷(ユートピア)でもあった。

 

 此処に来るまでに、嘗ては敢えて能力の低い者達を敢えて大量に切り捨てて集団化させて、それを会社に残った高い能力を持った者で打ち倒し、勝利の美酒に付ける快感を染み込ませたこともあった。

 己達より能力の低い集団を倒すのは簡単で優越感が沸く。国家(企業)に要らなくなった者達を正々堂々と戦って叩き潰す大義名分もある。

 自己も肯定出来て、他社にも肯定出来る競争(蹂躙)

 

 だが、ブラックは世界を一度統一してしまうと自分の配下にあるもの同士で削らせ合うのは不要だと感じた。

 削り合わせるのではなく、研磨させ合うべきだ。

 結果が同じでも、彼は全てに負荷を与え全てを救う道を選んだ。

 本筋は同じエゴでありながら、かつてとやり方はドラスティックに変わっていった。

 

 

 ポストが不要になったらクビという欧米型では無く、文字通りの終身雇用を義務と権利とする日本型。

 誰もが生まれてから死ぬまで全力で働き続けて、燃え尽きるように命を終える全人類猛烈社員世界。

 全ての人間が同一会社(一家)社員(家族)故に、使えない社員(家族)を切り捨てる事なくその負担を周囲は当然の如く背負わされる。

 使えない社員(家族)もいつまでも負担でいる事は許されずに、退職(家出)することも許されずに、居場所を作る為に使える社員(家族)へと死にもの狂いで更生する。

 誰もが誰もの役に立ち、誰も切り捨てない(逃がさない)世界。

 

 残業という概念さえ無く、全ての時間が企業(家族)の為の者。

 能力不足という言葉は無く、努力が不足しただけとなる。 

 過労死という言葉は無く、ただ生きることを怠けたと見なされる。

 全ての社員は経営者の意識を持った奴隷機械。

 会社の為に家庭を犠牲になんて言葉はあり得ない。何故なら会社こそ真の家族であるからだ。

 保育施設も100%完備して、全ての男性も女性も働けるようにした。

 そして子供達には幼少時から会社(世界)への忠誠心を教育により備え付けさせた。

 

 

 この世界をいつかあの王(・・・)達に見せたい。

 私無くしてブリテン一国も救えなかった愚王に見せてやりたい。

 己は、この星を存続させているのだと見せたい。

 あの騎士達に見せたい。

 少数を切り捨てようとした私一人を切り捨てようとした彼らに、様々なものを切り捨て続けた結果、誰も切り捨てなくて良くなった(世界)を。

 ブラックはそのコンプレックスを支えにやってきた。

 …そして、そして遂にその時はやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今度こそは、今度こそ私は上手くやって見せたぞアーサー王!!」

 

 少年に連れられてやってきたアーサー王に人工音声で告げるブラック・キギョー。

 彼は姿も声も失ったとしても、この世界の最初で最後の歯車としての気概を持って告げた。

 

「…卿がこの世界を?」

 

「そうだ。蘇った(全人類)による、(全人類)の為の(全人類)の世界。

私はブリテンどころでは無く、世界の安寧を護っている。

…成る程、貴様がこの世界の破滅か。

かつてブリテンの為と私を切り捨てたように、己の世界の為に(この世界)を切り捨てるか。

ブリテンを破滅から救おうとした王が、この世界を破滅に導こうとするか。

選定された王が、この世界を剪定せんとするか。

――――面白い、(この世界)によって、救われた代表がお相手するとしよう。

アーサー王、あなた方は24時間戦えますかな?

 

行け、我が企業戦士達ッ!! 我が社(世界)と特別ボーナスの為にっ!!」




…続きません。
ブラックによる世界を救う方法その1でした。
またしてもブラックはアーサー王と仲間達に切り捨てられてしまうのか?
それともまたしても仲間から切りつけられてしまうのか?


本社役員(一部)

ジャンヌ・ダルク
エミヤ(アーチャー)
エミヤ(アサシン)
ジェロニモ
ペンテシレイア
死徒A
死徒B
死徒C
企業戦士A
企業戦士B
企業戦士C
超企業戦士(ビジネス・コマンド―)
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