01 同居
俺の名は『
中学3年 今年受験生だ。
と、言うがまだ中3になった訳ではなく始業式は明日である。1年というのはあっという間に終わる。春が来るのがとても早く感じて、何より清々しい。
俺の家庭は母と俺だけ。ちょっと小さなマンションに住んでいて、ようするに母子家庭である。
母はいつも夜は仕事でいなくて俺は1人だった。
それは『昔の話』である。
今の俺の家庭には家族が増えている…というのも母が1年前に再婚し、俺に父親と…『妹』ができた。まぁ義兄妹だが…
妹は小6のようで約3歳離れている。
俺は妹が好きではない。なぜか?それは、
母も父親も妹を可愛く思っている。その分には構わないのだが、それ以前の問題であって、妹のことで精一杯なのか…分からないが俺のことをハブるようになってきた。俺はとても悲しかった。憎かった。妹が妹さえいなければ…そう思った時期もある。
だが、妹と言うのは時に可愛いものである。
俺は中3になったらこの家を出ていくという方針で決めていた。母や父にもその事を話す、もちろん妹にもだ。
「そうか、なら一人暮らしできる部屋を探そう」
「お金は一ヶ月おきに送るわ」
と、否定や心配も一切なかった。
これでいい。
これが俺の答えだ。
そう思った。
こんな生活とおさらば出来るなど夢のようだった。
けど、ふと妹は言った。
「何でお父さん達はお兄ちゃんを避けるの?」
妹のその一言で部屋の中は凍えるように静かになる。
たった数秒だろうか…俺は永遠にも感じたその時を未だ心の奥底に埋めてある。それが妹との新たな関係が芽生えた。
と言っても過言ではない。
妹の発言で親達は冷や汗をかく。
その時の妹の顔は、まだ覚えている。
口を閉じ震えさせながら涙目であった。
俺の妹の姿はまるで天使だった。
「さ、避けてないぞ?大丈夫だ」
「そ、そうよ。勘違いよ」
親達の説得力のない言い訳を聞いた妹は、その日初めて親達に対し、怒鳴った。
「嘘!お兄ちゃんのこと避けてる!そんなのお兄ちゃん可哀想だよ!」
と、その言葉は妹の印象を変えた時だった。今までずっと憎い存在としか思っていなかったがその言葉で俺のことをどんな風に思っていたか、心配をしてくれてた。そう思えた。俺は涙目になり、開いた口を塞ごうとしても閉じれない。可愛い妹が涙目になりながら親に反抗する姿は、俺を庇ってくれているような姿であった。
「私、お兄ちゃんと同居する!」
これが妹の名言。タダでさえ部屋は緊張感に走っていたのに、この一言で部屋は唾を飲む音をも聞こえるほどの静けさになり、怖かった。いや、驚いた。同居というのは一緒に住むことであり、まして兄と。どんな考えで言ったのか分からないが両親と俺は固まったまま動けなかった。
「はぁ…本当に同居すんの?」
俺はダンボールに詰まった家具や、私物を持ち部屋をあるいていた。引越しはほとんど完了。マンションに荷物を置いて、俺はふぅっ…と溜息をつき右手で額の汗を拭く。
「だって…別にいいでしょ」
妹は威張ったような口でダンボールを持ちながら話す。
そう、妹は本当に俺と一緒に住むことになった。
小6の女子と中3の男子が同居とか、結構危ない気もする…
そんなことを思いながらダンボールから荷物を取り出していく。
「お母さんたち、お兄ちゃんの事…酷いよ」
妹は下を俯き、悲しげに言う。
まぁ、俺も悲しかったと言えば確かに悲しかった。
母子家庭であった母と俺の関係が崩れ、妹に寄り付き俺のことを適当に扱ってきた。
それを妹も分かっていて、嫌だったのだろう。親に無視されたりする兄の姿を見るのが痛ましかったのだろう。
俺もそれが嫌で、引きこもったりしていた。
あのようなことをされ、心の傷はすぐには癒えない。
けど今ここに妹がいる。あの話をしてから少し妹と話したりするようにもなった。妹は若干大人しめな性格でまぁ、喜ぶ時の顔は相当可愛かったりする。すごく自慢な妹である。
朝日が上り夜明けを告げる光が窓から俺と妹を照らす。
輝く妹の白い髪。
「お兄ちゃん」
妹は恥ずかしそうに後ろで手を組み、モジモジしながら俺を呼んできた。
「何だ?」
「今日からよろしくね!」