四葉のもう一人の後継者   作:fallere

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追憶編 七節

お茶でも、と言われたが実際のところ出されたのはコーヒーだった。

 

こっちに子供三人、向こうに大人二人と五人でコーヒーブレイク。

 

なのだがとりあえず・・・

 

「角砂糖もらってもいいですか?」

 

「ああ、あまり遠慮しないでください」

 

遠慮するなと言われたので、とりあえず砂糖を入れていく。

 

              ボト、ボト、ボト

 

「「「・・・・・・」」」

 

              ボト、ボト、ボト

 

「ん?どうしたんですか?風間さんに真田さん、深雪までそんな目で見て?」

 

「いや、何でもない・・・」

 

「?、そうですか・・・ならいいんですが・・・」

 

俺はそこにミルクを入れようと・・・

 

「昼夜、それ以上はやめておけ。俺でさえ口の中が気持ち悪い甘さに支配されそうだ」

 

達也に止められた。

 

・・・いやね、ブラックも飲めないわけじゃないんだよ。でも苦いじゃん。

 

大人がおいしそうに飲んでる理由って我慢比べだよね?

 

作者はブラック好きだけど強がってるだけだよね?

 

俺の味覚がおかしい訳じゃないよね?

 

とりあえず雑念は振り払って・・・飲もう。・・・うん、甘くておいしい。

 

「そう言えば、三人の関係はどういったものなんですか?

四葉殿と一緒にいるということはお二人も四葉の方で?」

 

深雪から痛い視線が飛んでくる。だが、こんな程度の対応は朝飯前だ。

 

でも、その前に・・・。

 

「四葉殿はやめてもらえますか?まだ次期当主でもないんですから。

さっきまでと同じで昼夜君でいいですよ」

 

正直、型苦しい感じがしていい気がしない。

 

「わかった。で、よければさっきの質問に・・・」

 

「達也は四葉が本邸近くでやってる道場の門下生なんですよ。深雪はよく付き添いに。

今回は偶々、達也の家の旅行に連れて行ってもらえるようになりまして」

 

そう言うと案外簡単に納得してくれた。

 

恐らく達也の師匠が軍人だったというのが、四葉ならあり得ると判断したのだろう。

 

「達也君、先ほどの想子波動は矢張り・・・」

 

達也は風間さんに話しかけられ、そちらを向いている。

 

「昼夜君、さっきのキャストジャミングだけど・・・」

 

俺は真田さんに話しかけられていた。

 

「魔法式の提供ならする気はないですよ」

 

「・・・即答だね」

 

「第一、あれは失敗作もいいところですよ。

自分で言うのもなんですけど、俺並の処理速度とキャパシティあってやっとですから」

 

少し誇張し過ぎではあるが、実際お母様も発動にかなり難儀した。

 

「う~ん、うちならもう少し改良できると思うけどね・・・」

 

「真田さんほどの方があの魔法式の抜け目のなさに気づかないはずがないですよね」

 

真田さんはうっ、と黙ってしまう。

 

「これ以上この話をしても無駄ですよ。他の話をしましょう」

 

因みに深雪は俺等の話を聞いてるだけで楽しそうだ。

 

「ところで、達也君も昼夜君もCADを使わなかったけど、

補助具は何を使ってるんですか?」

 

「特化型のCADを使っていますが、なかなかフィーリングに合うものがなくて・・・

僕はCADを使った魔法の使い分けが苦手ですから」

 

「ほう、そうですか・・・あれだけ想子の操作になれていればCADも難なく扱えそうだが」

 

「俺は一応汎用型を持ち歩いてますけど、違和感と言うか・・・ラグですかね?

とは言え特化型だとバリエーションが少なすぎますし」

 

「そうだね・・・達也君は僕が開発したCADを試してみませんか?」

 

「真田さんはCADをお造りで?」

 

「僕の仕事はCADを含めた魔法装備全般の開発です。

ストレージをカートリッジ化した特化型CADの試作品があるですよ」

 

達也が目を輝かせている。珍しいこともあるものだ。

 

深雪に聞いたが、あまり見たことのないレベルだったようだ。

 

そう言う仕事をしている真田さんなら、あれを渡すのもいいかもしれない。

 

「試してみたいです」

 

 

 

案内された研究室は、かなり整頓された部屋だった。

 

それはもう深雪が意外感を隠しきれなくて大人二人が微笑まし気にそれを見ている、

と言う構図が出来上がるほどに。

 

達也が試作品を触った後、

風間さんがライフル型武装一体型CADの説明をしてるところで真田さんを捕まえる。

 

俺は、ある設計図を真田さんに渡した。

 

そろそろ家に帰る時間になり、家に帰る。

 

帰っても四葉を名乗ったことは秘密にしておこうと思ったのだが、

 

何故か帰った瞬間にそのことで叔母様に怒られた。

 

俺の服に盗聴器でも仕掛けてるんじゃないだろうか?

 

 

 

深雪side

 

 

初日から波乱含みだった沖縄のバカンスも昨日は平穏を取り戻した。

 

今日も今のとこは無事に過ぎている。

 

私たちは沖縄到着から四日目で漸く、南国の休日を満喫できるようになった。

 

ただ、その『私たち』にお兄様が含まれているかどうかは疑問だった。

 

時刻は午後一時、お昼寝代わりに部屋で読書中。

 

桜井さんが見つけてきた珍しい紙の魔導書をボンヤリと眺めているところだ。

 

わざわざ紙の文書にするものは専門性が高い物ばかりなので、

ボンヤリ眺めることしかできないのだ。

 

「昼夜ならどうなのかしら?」

 

なんでもそつなくこなす私の従弟。

 

文武両道で魔法も得意、本邸に引き篭もってばかりなのに社交性もある。

 

いつの間にか私は昼夜の事を気にかけていた。

 

気づけば昼夜の部屋の前に立っていた。

 

自然と手がノックするために上がって行って・・・

 

「見つけたーーーー!」

 

昼夜の声が聞こえた。いったい何があったというのだろう?

 

私はそっと扉を開け、中を覗いてみると・・・

 

「何ですかこれは⁉」

 

思わず叫んでしまうくらい、部屋が服で散漫していた。

 

「あ、深雪。やったよ、俺はついに成し遂げたよ」

 

一体何をしたのだろう。とりあえず聞いてみると・・・

 

「これを見てよ・・・」

 

ポケットから小さなマイクのようなものが山ほど出てきた。

 

「これ全部盗聴器、きっと母さんからの差し金だろうね」

 

なんで叔母様は実の息子にこんなことをしているのだろう?

 

「きっとこれを叔母様も聞いていたんだ。だから昨日怒られたんだよ」

 

そしてお母様もこれに便乗しているのか・・・。

 

その時、昼夜のスマホの着信音が鳴った。

 

「あ、ごめん、用事は少し待ってね」

 

そう言うと昼夜はスマホを確認した。何か重要な案件があるのだろうか?

 

すると昼夜はすごい速度で返信を打った。

 

「ちょっと俺今から基地に行くけど、深雪はついてくる?」

 

「?、何か用事でもあるのですか?」

 

「それはついてからのお楽しみ」

 

そう言われると余計に気になってしまうではないか。

 

私は本を眺めていても暇だったのでついていくことにした。

 

お兄様は昼夜がいれば心配ないだろうと言って、部屋でCADをいじくっていた。

 

お母様たちも、達也がそう言ったなら問題ないと言って行かせてくれた。

 

 

 

この後、お母様と桜井さんの間で、

 

「また新しくしかけといてね、桜井さん。私も怒っておくから」

 

「あれ大変なんですよ・・・」

 

「仕方ないじゃない。逐一昼夜の行動がわからないと不安だって真夜が言うんだもの」

 

と言う会話があったことは、私たちの知る限りではなかった。

 

 

 

道中、共通の話題となると自然に魔法かお兄様かになる。・・・のだが。

 

「そう言えば深雪とこれ以前にあったのは正月か」

 

私はとりあえず頷く。

 

四葉家では慶春会と言うのがあって、大雑把に言うと四葉の身内のパーティーだ。

 

「あの、昼夜って苦手なこととかあるんですか」

 

とりあえず当たり障りのなさそうな会話で返す。

 

「そうだね~、体術に関しては型を覚えるのが精いっぱいだったかな」

 

意外だ。お兄様と組手で互角に渡り合ったのに体術が苦手だなんて。

 

「後はね・・・深雪が絡んだ時の達也・・・かな?」

 

「え?」

 

「深雪が絡むと達也は急変するからね・・・

三年前の慶春会で深雪に話しかけようとしたら喉元にバターナイフがあった」

 

お兄様、そんなことをなさっていたのですか・・・。

 

「まあ、そこから仲良くなっていったんだけどね・・・」

 

お兄様は昼夜の事を信頼している。昼夜もお兄様の事を信頼している。

 

なら私の事はどう思ってるのだろうか?

 

聞こうと思ったのだが・・・これは何か告白と聞き間違えられそうだ。

 

そうだ、こう聞いてみることにしてみよう。

 

「私の事でお兄様から聞いたのと、実際に話して何か違いがありましたか?」

 

「う~ん、達也から聞いた第一印象はすごく優しいって感じだったかな。

実際会ってみたら綺麗だし優しいと思ったかな?」

 

「ふぇ!」

 

しまった、変な声が出てしまった。

 

で、でも今、綺麗って・・・でも昼夜もかなりの美形だし・・・って何考えてんの⁉

 

「それから、何か羨ましかったな・・・」

 

「?」

 

それが何か聞こうとしたところで、道程はすべて消化していた。

 

 

 

案内してくれたのは真田さんだった。

 

昼夜が用があるのも、風間さんではなく真田さんのようで、

 

この前とは違う研究室に案内された。

 

その部屋には簡素な的と、机の上にアタッシュケースが一つあった。

 

「さて、昼夜君。これが完成品だよ」

 

真田さんがカギを使ってアタッシュケースを開ける。

 

そこには、リボルバーのようなものがあった。

 

それを昼夜さんは持って軽く引き金なども引く。

 

「うん、ものすごく手に馴染みます」

 

「それはよかったよ」

 

「あの、昼夜?それは何?」

 

その言葉を聞いて、昼夜は不敵に笑う。

 

「その言葉を待ってました。これはリボルバー式CAD。

 

シリンダーに弾丸型のカートリッジを入れて使うんだ。

 

これは六弾倉だから六種の系統の起動式を一つの特化型CADで使う事が出来る」

 

「ただ弾丸型のカートリッジは容量が少なくてね、一弾倉に六種しか詰めない」

 

「だけどこれにより、六弾倉×六種で36種の魔法を使う事が出来る」

 

これってもしかしなくても凄い事なんじゃないだろうか・・・。

 

「ただ、やっぱり特殊な構造にしたせいで完全な特化型よりは遅いよ。

でも、汎用型よりも早いのはこの僕が保証しよう」

 

そうと決まれば早速試し打ちと、昼夜は室内にある的に魔法を発動した。

 

加速、加重、移動、振動など、次々に系統の違う魔法が射出される。

 

昼夜は瞬く間に的をすべて撃ち落とした。

 

「真田さん、最高ですよこれ。ラグがありませんし魔法のバリエーションも十分」

 

「そう言ってもらえると作った甲斐があるよ」

 

真田さんも仕事があったので私たちもその後帰った。

 

昼夜は自分に合ったCADを手に入れてご機嫌だった。

 

家に帰ると昼夜は、お母様に理不尽だろう怒りをぶつけられて、

 

そのあとさらに、桜井さんから「私の仕事を増やさないでください!」と怒られた。

 

 




ふう、昼夜君も自分の得物を手に入れてクライマックスの準備が整いましたね。
これが終わればついに高校編ですよ。
魔法科高校の劣等生なのに高校はいるまで物凄い時間かかりました・・・。
今後もこのペースを維持できるかはわかりませんので気長に待ってください。

・・・・・・ヒロイン決めなきゃな・・・。
感想とは別でメッセージのところに送ってください。
もちろん、感想もうれしいですので。(露骨な感想稼ぎ)
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