四葉のもう一人の後継者   作:fallere

14 / 52
メリークリスマス!(遅い)
イベント要素とかは来年入れれたらいいなと思っております。
鈍足だけど亀は亀なりに頑張るんだ!


追憶編 十節

ナレーションside

 

 

侵攻軍は完全に潰走していた。その原因は明らかだった。

 

小柄でアーマースーツを身にまとい、侵攻軍を霧のように消し、

 

さらには致命傷を受けた味方を再生させる『魔人』『摩醯首羅』。

 

同じく小柄な自らの周りに霧を纏い、

 

夜を展開し人を光に消す『天界の番人(ヘヴン・キーパー)』『蘇摩(ソーマ)』。

 

この二つ名の親は、ともに前者は日本軍、後者は侵攻軍である。

 

敵兵を消し、味方兵をよみがえらせる究極の魔人であり、戦神。

 

夜を支配し、光の下に敵を消す天界の番人であり、月と光の神。

 

侵攻軍に二柱の神にあらがうすべなど残されていなかった。

 

侵攻軍は武器を捨て、白旗と大亜連合の海軍旗が上がった。

 

戦神は止まろうとしなかったが、月と光の神の説得により武器を収めた。

 

 

 

昼夜side

 

 

「まぁとりあえず、お疲れ様。大黒特尉」

 

「お前もな、白爪特尉」

 

この名前は俺たちの偽名、大黒竜也と白爪中也と、与えられた特尉の称号である。

 

対亜連合軍は風間さんの部隊が拘束していっている。

 

「さて、どうにもこれだけじゃ終わらないみたいだけどね・・・」

 

「? どういうことだ?」

 

俺の視界は光があるならどこまでも視れる。

 

対して竜也は自分に関係性のあるものを視る。

 

故にこれに関しては気づいたのは俺が先だった。

 

「司令部より伝達!」

 

後ろにいた通信兵が風間さんに通信機を渡す。

 

「中也、どういうことだ?」

 

竜也は風間さんに聞くよりも俺に聞いた方が早いと判断したようだ。

 

「粟国島北方から敵艦隊別動隊が接近中。

高速巡洋艦一隻、駆逐艦三隻の先行部隊に、

後続巡洋艦一隻、駆逐艦一隻の後続部隊。

どうにも強力な魔法師がいるとみて安心の二段構えにしてきたみたい。

後続との距離は結構あるから一発で沈めるのは難しいけど・・・やるんでしょ?」

 

「当然だ」

 

「じゃあ遠慮なく打てば?敵の攻撃と後続は俺がやるし」

 

「任せたぞ」

 

この後風間さんに作戦を端的に話して、実行が認められた。

 

ただし、風間さんと真田さんがお目付け役で残ることになった。

 

竜也の作戦に必要なライフル型CADが来た時には先行部隊は三十キロまで近づいていた。

 

竜也はCADを発動する。銃口の先に加速領域が展開される。

 

構築された領域の規模に真田さんは満足げに頷く。

 

だが、それで終わるほど達也は甘くない。

 

「なんと・・・!」

 

さらにその先にもう一つの魔法領域が展開される。

 

先ほどの加速魔法と仕組みは同じ。違いは変数だ。

 

始めの慣性質量低下が上昇に、速度倍率が等倍、慣性質量の復元が無効化に。

 

これにより加速された弾丸は、さらに慣性の増加で減速しにくい状態になった。

 

達也は目で追えるはずのない弾丸を見つめ、首を横に振る。

 

「ダメですね、二十キロまでしか届きませんでした」

 

「んじゃま、計画通りに。お二人は基地に帰ってください。

ここは竜也と俺で何とかしますんで」

 

ここで風間さんたちは基地に戻ると言いそうだったが、その意味を理解した。

 

「いや、我々もここに残ろう」

 

「いいんですか? 俺が防御に失敗したりしたらみんな仲良くあの世行きですよ?」

 

「百パーセント成功する作戦などあり得んし、戦死の危険がない戦場もない。

勝敗が兵家の常ならば、生死は兵士の常だ」

 

「いいですね・・・そう言うの好きですよ」

 

俺はこの時、笑っていたそうだ。正直理由は分からないが。

 

 

 

敵艦はこの後すぐに砲撃を開始した。相手の巡洋艦の砲撃の推定距離は二十キロ。

 

だが、この距離は確実に二十五キロ弱飛んでいる。

 

「チッ、竜也! 悪いが少し急いでくれ!」

 

「分かった」

 

だが、相手の砲撃は一度掃射すると間隔がある。

 

「どうやら普通のより大きめのフレミングランチャーを積んでるみたいだな・・・」

 

恐らく間隔は射撃後の反動を沈めるためのようだ。

 

今の時代、連射速度が武装の最重要項目となっているが、

 

恐らく先制攻撃して敵を一撃で仕留めるためにだけ用意した船だろう。

 

こんな札を切ってくるとは、どうにも本気で侵略しに来たらしい。

 

一方竜也も、既に弾丸の起動を推測し終えたようだ。

 

その間に飛んでくる砲弾は、力の向きを縦に90度回転させて下に向けることで防いだ。

 

「・・・達也、手をつなぐぞ。俺たちの眼を合わせる」

 

「それしかなさそうだな」

 

四葉の秘術の一つに視覚情報を重ねるものがある。これには身体的接触が不可欠だ。

 

達也の情報を見る『精霊の眼』、俺の光媒体の遠視能力『光学の眼』。

 

この二つの眼により、俺たちは今情報と物質の二つの次元を重ね合わせていた。

 

「悪いな、お前の魔法ならこんなことしなくていいのに」

 

「気にするな、兄の意地って奴だろう? ならどんとかませ」

 

「兄と言うより、この場合男の意地だがな・・・」

 

達也は今までの弾丸の軌跡、風の状況、すべてを再計算した。

 

「よし、行ける!」

 

敵との距離はまだ二十三キロ、最高射程が二十キロ。つまり・・・

 

「「行けえええええぇぇぇぇぇ!!!」」

 

達也の放つ弾丸は、最高高度に達した時さらに加速した。

 

俺の加速領域だ。情報が見れるため設置場所には迷わなかった。

 

そして弾丸が敵の上空に飛来した時・・・

 

          ドカァァァァァン!!!

 

弾丸はエネルギーに分解され、強力な爆発が発生する。

 

これが達也の推定戦略級魔法『質量爆散(マテリアル・バースト)』。

 

それは敵艦隊四隻をすべて巻き込んだ。

 

「さて、俺も仕事するか」

 

「昼夜、想子をかなり消耗している。大丈夫か?」

 

正直なところけだるい感じは否めない。

 

だが、次の艦隊にも同じことをするのはナンセンスだ。それに・・・

 

「達也、分かってるだろ? 俺は自分の事を知った日から・・・

止まるつもりは一切ないって‼

 

既に俺の視覚はある星に繋がっている。太陽だ。

 

そして同時に敵の後続部隊もとらえていた。

 

永光熱線(グロリアス・レイ)』、俺の推定戦略級魔法。

 

永が意味するのは永遠、人の知る限りで消えたことのない永遠の炎。

 

グロリアスはそのまま栄光、太陽はその光で栄えすらも自在に操る。

 

正直ネーミングセンスはどうかとも思う。

 

それは、俺を作り出した神のせいだから仕方ない。

 

だがそんなことはどうでもいい。

 

魔法領域が太陽の一部と敵艦隊の上空に発生する。

 

太陽で発生したエネルギーのごく一部が切り取られると同時、

 

そのエネルギーは敵艦隊上空に発生した。

 

          ドゴオオオオオォォォォォン!!!

 

転送したエネルギーは太陽のごく一部。

 

だが、そのエネルギーは人間の運命を容易に決める事が出来るほどだ。

 

永遠の象徴であり栄光の象徴でもある太陽の劫火、

 

それを超至近距離食らって残ったものは・・・なかった。

 

「うわッ・・・!」

 

敵が消えたのを見届けると、急に体の力が抜けた。

 

想子がほぼ枯渇したのだろう。眩暈と強烈な疲労に襲われる。

 

「昼夜!」

 

俺その後呆気なく倒れ、意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて昼夜、お話があります」

 

皆さん、俺は今、本家にいます。

 

どうやら三日ほど寝ていたそうで、昨日目を覚ましてお母様に抱き着かれました。

 

他にも、昨日のうちに分家の方々が(お母様の影響力で)やってきて、

お見舞いしてくださいました。

 

そして今、ベットの上の俺の眼の前には、

四葉家現当主であるお母様、その補佐をしている叔母様、葉山さんと桜井さん、

そして風間さんと真田さん、達也と深雪がいました。

 

「・・・なんですか、お母様?」

 

「まず、風間さんからお願い、いえ、要求があるそうよ」

 

「成程、まずは戦略級魔法絡みですか」

 

昨日のうちに情報を集めていて、戦略級魔法承認の動きがあるのは察していた。

 

「まずは四葉殿、あなた方のご子息を危険の伴う戦場に送り出したこと、

申し訳ございませんでした」

 

「いえ、昼夜たちが選んだことなら私は気にしません」

 

ポーカーフェイスを保ってはいるが、四葉関係者(俺たち)には心底心配したのは分かり切っている。

 

「では、本題に入らせていただきます。

四葉君の『永光熱線(グロリアス・レイ)』、または司波君の『質量爆散(マテリアル・バースト)』、

そのどちらかを戦略級魔法、及び戦略級魔法師として登録させていただきたい」

 

「まぁ、そうなりますよね」

 

後続のが二隻とはいえ、艦隊を二度も吹き飛ばした劫火は、

 

明らかにやりすぎと言っていいだろう。

 

ここで誰かが立たなければ日本は国際的に批判される可能性が高い。

 

あと、お母様たちの前だからか俺の事を四葉君で呼んでいるのは仕方ないだろう。

 

「ですが! お兄様も昼夜もまだ中学生ですよ!」

 

深雪の言う事も確かである。

 

中学生が戦略級と言って信じるかと言われたら普通は信じない。だが・・・

 

「各国は間違いなく信じるだろうな~、大亜の情報漏れか、

小柄な魔法師に状況を翻されたといううわさが出回っているから」

 

そしてもう一つの問題は負担の大きさだ。こればっかりは・・・

 

「四葉君、司波君、そして君達は私が隊長に就任する独立魔装大隊に入らないか?」

 

聞くところによると、『銀狐』と呼ばれる女性士官の旅団の設立の柱になるそうだ。

 

「我々なら彼らほかの軍部に比べてと少なからず交流があります。

 

なので、我々の力で彼らの負担を少しでも軽くしてやりたいのです」

 

「・・・・・・」

 

お母様たちは黙っている。その後、叔母様と少し話した後・・・

 

「本人の意思の前に四葉としての判断を言わせてもらっていいかしら?」

 

「お母様の仰せのままに」

 

「同じく」

 

「まず、戦略級魔法師の件について。

これに関しては昼夜と『永光熱線』を発表してもらいます。

そして、独立魔装大隊には二人とも参加してもらいたいわ。

但し名前は達也は大黒竜也、昼夜は白爪中也で登録してください」

 

恐らく、軍と接点を持っておくのがお母様の狙いではあるだろう。

 

だが、お母様の考え読もうとすると(強烈な息子愛によって)空回りする。

 

「で、昼夜たちはどうかしら?」

 

「・・・俺は構いません。俺が出ることによって、俺の周りを守れるなら」

 

「自分も構いません」

 

俺と達也が賛成して、少しは気が緩んだ。

 

深雪も、風間さんたちの事は何気に信頼しているようだ。

 

「ただし、俺から一つ条件があります。

俺も出来れば顔バレはしたくありません。少し手を打たせて頂きます」

 

この策によって、戦略級魔法師、四葉昼夜の素顔は高校時代まで捏造された。

 

いや、誰もが知らないうちに捏造するように誘導されていたのだった。

 

そこからの話は風間さんたちからの感謝などであった。

 

そして、何故か最後には深雪が部屋に残っていた。

 

「え~と、深雪? なんでここに残ってるの?」

 

「・・・・・・」

 

深雪は黙ってうつむいている。

 

そして手を挙げたかと思うと、頬が熱くなっていた。

 

「バカッ!」

 

「え?」

 

ここで俺は頬をはたかれたのに気づいた。

 

「私の前であれだけ心配させて! そのうえ三日も寝てしまうなんて!

私がどれだけ心配したと思ってるの!」

 

「深雪・・・」

 

そうか、深雪はそんなに俺のことを心配してくれてたのか・・・。

 

なら俺も、ちゃんと答えを返さないといけないだろう。

 

「深雪、心配してくれて、ホントにありがとう」

 

あのときと同じ、俺にできる最大限の笑顔でそう伝えた。

 

「///・・・・・・バカ///‼」

 

それだけ言うと、深雪は部屋から出ていった。

 

さて・・・疲れたし寝るか。何気に疲労もまだ残ってるし。

 

 




前回の投稿で今年度最後と言わなかったのはこれが理由だ!
書き忘れたとかじゃ断じてないぞ!断じてだ!
それにこれで追憶編が終わった!これで来年から高校編に入れる!
私は一体どれだけ道草喰ってきたんだろう・・・
一応これが今年度最終話予定です。あくまでも予定です。
もしかしたらライターズハイになるかもしれません。
気が乗らなければ来年二月になるかもしれません。
とにかく待っていてください、それしか言えません。
では、高校編でお会いしましょう。
(念のため:よいお年を!)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。