四葉のもう一人の後継者   作:fallere

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昼「何だったか、あの戦艦を焼き飛ばした日の後から見るようになった夢は・・・
  大切なことだろうに思い出せない・・・
  思い出したくないような気がするのに思い出さないといけない気がする・・・
  今でも時に夢に浮かぶのに・・・起きた時には見たこと以外はわからない・・・」

前回の投稿(番外編)が間に合わなかったのはしくじった・・・。
事前に作って投稿予約しておけばよかった・・・。
次回からはそうしますね。


入学編 八節

目を開くと、そこは俺が昔いた四葉本家の子供部屋だった。

 

そして俺の前には、俺と同じほどの身長の少女と思しきものがいた。

 

思しきというのは、顔が見えないのだ。ただ、すこし長めの髪は女性っぽい。

 

「おい、お前は誰だ?」

 

「私? 私は□▲×♪※★、あなたの$♯%&よ」

 

少女の言う言葉は、何故かノイズがかかって聞こえる。

 

「すまないが、名前とあなたの後が聞こえなかった」

 

「あら? また会ってくれたから今度こそって思ったのにな・・・」

 

「? 俺はあんたに会ったことがあるのか?」

 

「知らないって顔だね。その様子じゃまだ@¥*+Φ∀も思い出してないね」

 

またノイズだ。その裏に何が隠れているかわからないが、何故か知りたくないと思う。

 

「それじゃあ、始めようか」

 

「何を」と聞く暇も与えられなかった。俺を襲ったのは白い想子だった。

 

反射的俺も想子を放出して受け止める。だが、俺の想子はいつもの白と黒じゃなった。

 

ただの黒。白い想子は一粒さえも混じっていない。だが、迷ってる暇はない。

 

少女の白い想子からは、普段の俺の想子と同様のものを感じる。強大なまでな威圧感。

 

それらとはまた別で感じる異常なまでの同族嫌悪。そして懐かしさ。

 

「まだここに来るのは早かったようね。昼夜は向こうに帰りなさい」

 

その言葉とともに、俺の意識は白に飲み込まれ、その空間から消滅した。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

・・・・・・外からカラスの声が聞こえる。それから雑音。

 

目を覚ますと、俺の部屋の窓の外にはカラスが止まっていた。

 

「おはよう、ナル」

 

このカラスは俺のペット(?)のナルだ。主に情報偵察をしてくれる。

 

因みに名前の由来は某怪物狩猟ゲームのナル〇クルガだ。

 

あのゲームは今の時代でハードが変わっても愛されている。

 

昼に仕込んだカメラで情報偵察して、朝に持ってきてくれる。

 

夜はミミズクのホロに頼んでいる。名前の由来は同ゲームのホロ〇ホルルだ。

 

朝はナルの集めた情報の吟味、ニュース、本家からの連絡の確認と大忙しだ。

 

情報料として用意している餌をやる。それにしても外が騒がしい。

 

するとドアの方から足音が聞こえる。

 

「昼夜様、お目覚めでしょうか?」

 

「おう、起きてるぞ。聞きたいことがある。入ってこい」

 

「‼ は、はい」

 

そうして、ドアを開けて水波を入れる。

 

ここが昼夜様のお部屋・・・って、何故カラスが⁉」

 

「ああ、俺の情報提供相手、ナルだ。夕方はミミズクのホロが来る」

 

水波は結構驚いている。四葉は十師族最強の双璧の一つともいわれるが、

 

自由に動かせる魔法師は真由美さんの七草、克人さんの十文字と比べて少ない。

 

だから俺に当てられる魔法師も、家周辺を護衛している魔法師位だ。

 

情報収集も二十四時間眼を使えるわけではない。

 

そう言う事なのでこういう方法で俺は情報を集めている。

 

「こう見えても結構可愛げのあるやつだぞ」

 

ビーフジャーキーを出すと頭に乗って食べに来た。

 

「水波も、ほら」

 

ビーフジャーキーを渡す。そして恐る恐る手を伸ばして・・・

 

「ほらな?」

 

その手からナルは器用にビーフジャーキーをくちばしでつまんだ。

 

「んで、外が騒がしいのは?」

 

「あ、それがどうにもマスコミが家の前で騒いでいるようでして」

 

矢張りか、よくこれまで情報を隠せたもんだ。

 

入学翌日に押しかけてもおかしくなかったんだが。

 

「じゃ、今日は裏口だな」

 

このあたり一帯の家四軒はそれぞれ別名義で購入しており、

 

それぞれの家が地下通路でつながっている。

 

今日はこの家の裏の家から出ることにすれば捕まらないだろう。

 

なんやかんやで、食事などをとった後裏から登校した。

 

(尚、ニュースでは俺がいると思われる家の前に待機している旨の番組ばかりだった)

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

時は過ぎて昼休み、俺は生徒会室に来ていた。理由は・・・

 

「中条先輩、昨日見せれなかったプレアデスです」

 

「はわぁ~~~‼」

 

昨日試合の後見せる予定だったのが、うやむやになってしまったからだ。

 

「おう、昼夜君。朝は大丈夫だったかい?」

 

「委員長、あれ位どうとでもする方法はあります」

 

「あ、昼夜君。狸親父が土曜日の夜でいいかって?」

 

「会長も一応女子なんですから言い方は気を付けてください。時間は構いませんが」

 

「ちょっと! 一応って何よ⁉ 私はれっきとした女子よ!」

 

「いや、泉美と比べるとその差は歴然でしょう」

 

「な! もしかして泉美ちゃんを狙ってるの?」

 

「狙う? 何故狙う必要があるのですか? 俺は手当たり次第に殺したりしませんよ」

 

会長たち(-あずさ)は頭を抱えて溜息を吐いた。

 

「はぁ、泉美ちゃんもなんでこんな子を・・・」

 

何のことだかわからないが、泉美も苦労しているのだろう。

 

「あ、あの、昼夜君! プレアデス触らせてもらってもいいですか⁉」

 

「電源はオフにしているので大丈夫です」

 

その後、中条さんは満足するまでプレアデスを返してくれなかった。

 

 

 

そして放課後、今日から始まるのは各部活には重大行事、そう。新入部員狩りだ。

 

その期間は校内はデモ用のCADの所持が許可されるので無法地帯になる。

 

なので、風紀委員はしばらく休みなしなのだが・・・。

 

「何故お前がここにいる!」

 

「それはいくら何でも非常識だろう」

 

森崎と達也の再会の第一声はこれだった。

 

「森崎君、落ち着いて聞いてくれ。先生方や委員長も君が有能なのは知っている。

だが、問題起こしたうえでその一科だけが風紀委員に入るのは差別を助長する元だ。

だから森崎君が入るなら達也も入らざるを得なかったんだよ」

 

「・・・成程な。一理ある」

 

取り合えず上手く丸め込む。これで少しは静かになるだろう。

 

「新入りは黙ったな・・・よし!

今年もあのバカ騒ぎの一週間がやってきた。

この中には去年調子に乗って大騒ぎした奴や、

騒ぎを鎮静化しようとして大きくしようとした奴もいるが、

今年は処分者を出さずとも済むように気を引き締めてあたってくれ。

くれぐれも風紀委員が率先して騒ぎを起こすことがないように」

 

数人が首をすくめるのを見て、俺はトラブル体質の達也を気にした。

 

それから挨拶の後、一年以外各自見回り向かった。

 

そんで腕章やらレコーダーやら連絡コードを渡されて、

 

達也はこの風紀委員室の備品のCADを二つ使うことにした。

 

 

 

「おい、司波達也! はったりが得意なようだが今回はやり過ぎたな。

二つのCADを同時に使うなんてお前みたいな二科生には・・・」

 

「いいから、森崎君行くよ~」

 

俺は森崎の首根っこをつかんで引き剥がす。

 

「なっ・・・離せッ!」

 

「いいか森崎、お前の家は護衛の仕事をしていたな。

なら分かるな? 強い奴が守れるんじゃない。守れた奴が強いんだ。

戦場も仕事も失敗したら次はない。次があることがどれだけ幸せか分かってるのか?

学校は戦場じゃないが、そうなる可能性がゼロがじゃない。それを覚えておけ」

 

そう言って俺は森崎を離した。森崎は何か思ったところがあるように少し考えていた。

 

俺はどうしたものか・・・と適当に第一体育館に行ってみた。

 

そこでは鋼がマーシャル・マジック・アーツ部、

通称マジックアーツ部の体験入部をしていた。

 

「おお、鋼の奴結構やるな」

 

十三束のレンジゼロと言えば魔法界ではそれなり有名だ。

 

本人の核が強いため遠くに魔法を放てない蔑称であると同時に、

近距離戦では同世代で無類の強さを誇る敬称でもある。

 

俺が九校戦のモノリス・コードに選ばれたら、鋼に手伝ってもらおう。

 

鋼の切り札は三高のあいつの対策にはもってこいだろうし。

 

後は、森崎には入ってもらえるといいんだが・・・上手くいくだろうか。

 

「あ、昼夜」

 

そんなことを考えていたら鋼に声をかけられた。

 

「おう、中々やるじゃん。んで、切り札はまだ見せないのな?」

 

「う、それも知ってるんだね」

 

「俺の想子操作術も一応お前のそれに近いところがあるからな」

 

そう言うと、鋼は少し考えるそぶりを見せて・・・

 

「・・・ねえ、昼夜も少しやってみない?」

 

「一応委員会活動中なんだがな・・・鋼が相手ならやぶさかでもないぞ」

 

周りからは少し声が上がる。

 

「申し訳ないですが少し使わせてもらっていいですか?」

 

「勿論! レンジゼロと四葉昼夜のマジック・アーツなんていい宣伝になるからね!」

 

鋼の交渉に結構簡単に許可が出た。

 

CADはプレアデスではなくブレスレッド式汎用型を使う。

 

「昼夜、いくら君が四葉でもこの距離で負けるわけにはいかない」

 

「そうか、なら俺もそれに答えないとな。簡単に負けるつもりはないぞ」

 

「望むところだよ」

 

そして、試合が始まった。

 

互いに蹴りや拳を交わす。互いに魔法を使って増幅した攻撃を繰り返す。

 

「鋼、これじゃあ埒が明かねえぞ」

 

二人の実力はほぼ互角。

 

体術としての速度、完成度は鋼が上。それを俺は魔法速度、干渉力で補っていた。

 

それに気づいて互いに一度距離を取る。気づけば、観客はかなり集まっていた。

 

「さあ、切り札を使う準備はできたか?」

 

鋼は静かに頷く。そして再び拳を交える。

 

俺の拳が鋼に当たる直前、かけられていた加速魔法が吹き飛ばされる。

 

(来たか⁉)

 

俺はあえなく鋼の拳を食らい、軽く吹き飛ばされる。

 

「ハハハ、やっと見れたぞ、鋼の本気」

 

鋼の周囲には想子の装甲が発生していた。

 

「それがレンジゼロの切り札『接触型術式解体』か!」

 

いい、競技として戦闘を楽しむことがこんなに楽しいとは思ってなかった。

 

「鋼! 次の一撃で決着だ! あんまり時間をかけては部の人に迷惑だからな!」

 

「分かった!」

 

互いの想子が活性化する。単純だ、この一撃を決めればいい。

 

タイミングを合わせる必要はなかった。互いに最も集中できた状態が重なった。

 

繰り出すのは互いに蹴り。

 

近づいた瞬間に俺の魔法が無効化される以上、分が悪いのは俺のはずだった。

 

だが、俺の足には白黒の想子が纏われていた。加速対象は体だけだった。

 

俺の蹴り自体が触れることはなかった。

 

想子の装甲と想子の蹴りがぶつかり、蹴りが装甲とその主を吹き飛ばした。

 

装甲は砕けてはいない。だが、ただの想子でありながら干渉力が違った。

 

結果、想子同士のぶつかり合いで勝ったのは俺だった。

 

「悪い鋼、立てるか?」

 

倒れている鋼に手を差し伸べる。鋼はその手を握った。

 

「うん、わざわざやってくれてありがとうね」

 

「おう、俺もいい経験が出来た」

 

鋼を立たせてから、マジック・アーツ部に断りを入れて失礼した。

 

中々有意義な勝負だった。接触型術式解体も見れたし万々歳だ。

 

 

 

 

 

それからはまたぶらぶらと過ごしていたのだが、かなり強力な魔法を知覚した。

 

(これは・・・気体流動制御に・・・局所地形変動?)

 

確かそれらの魔法が得意な選手のデータが去年の九校戦の前三年のデータにあった。

 

取り合えずそちらに向かってみよう。話はそれからだ。

 

と言っても、結構近くで起こっているのだが。

 

データ通り、風祭涼歌さんと萬谷颯季さんがいたのだが・・・

 

「何故故雫とほのかを抱えて委員長と鬼ごっこをしているんだ?」

 

まぁ、大方風祭さんたちが二人を攫って委員長が追いかけているのだろう。

 

俺もこっそり追いかけてみたが、

風祭さんたちはバイアスロン部に二人を置いて行ったので、俺もそこで止まった。

 

「委員長、あの人たちバイアスロン部のOGですよね?」

 

「昼夜君か、一緒に追いかけてもらいたいところだがあまり人手もかけられん。

あの二人は私に任せておけ。君は別のところの見回りにでも行っといてくれ」

 

「了解です」

 

そんなこんな話している間に二人はバイアスロン部に勧誘されて、

見事に篭絡されたので風祭さんたちの目標は達成したことだろう。

 

「あ、昼夜」

 

「おう、雫にほのか」

 

「あれ、もしかしてさっき連れ去られていたところから?」

 

「最後の方からだけどな、まぁ見ていたぞ」

 

「そう、なら助けてくれたらよかったのに」

 

雫は何故かジト目で見てくる。

 

「だけど結局バイアスロン部に入ったんだろ? ならきっと問題ない」

 

「そう言う問題じゃないと思う」

 

「ところでバイアスロン部の部長さん、確か五十嵐さんでしたよね?

もうそろそろ、デモストレーションだったと思いますが?」

 

「話を逸らした」

 

何故か雫がしつこいが気にしない。折角何でバイアスロン部に同行することにした。

 

だが、来た先では狩猟部の生徒がぐったりしていた。

 

「ちょっと! 大丈夫⁉」

 

「あ・・・五十嵐さん・・・?」

 

「少し失礼しますね」

 

俺は狩猟部の方々に軽い質問をする。

 

「成程、サイオン波酔いですね」

 

「あれ? なんで昼夜に雫とほのか?」

 

そこに保険医の安宿先生を連れてエイミィがやってきた。

 

「安宿先生、症状はサイオン波酔いです」

 

「どれどれ・・・」

 

「ねえ昼夜、サイオン波酔いってサイオン中毒とどう違うの?」

 

エイミィが聞いてきて雫とほのかも興味深そうな表情をしている。

 

「要するにサイオン中毒は想子そのものに対する中毒、

対してサイオン波酔いは想子の波による船酔いみたいなものだ」

 

服部先輩がやられた奴なんだけどな。

 

さっき、第二体育館で達也がトラブルに合ったそうなのであれを使ったのだろう。

 

「確かにサイオン波酔いね」

 

「治療法は?」

 

「船酔いとかと同じだから放置してれば治るけど・・・

まぁ、今回は達也がしでかしたことだろうし大サービスだ」

 

俺はプレアデスから一つの魔法を発動する。叔母様によく使った魔法だ。

 

「え・・・これって・・・?」

 

心地よい想子の波が発生する。実はこういう使い方も出来るのだ。

 

沖縄の時よりも改良を重ね、少し楽に発動できるようにはなっている。

 

ぐったりしていた狩猟部の方々も顔をよくする。

 

「こんなもんですかね」

 

それを確認して魔法を解除した。

 

「今のサイオン波・・・もしかして『キャストアクティベート』?」

 

「流石安宿先生ですね」

 

「と言うことはあなたが四葉昼夜君?」

 

「そういうことですね」

 

その反応を見て訳が分からないという顔をしている他の面面。

 

「ああ、キャストアクティベートは要するにキャストジャミングの対極だ。

ジャミングを相殺できるし、今みたいに魔法師を癒やすこともできる」

 

「そしてこの四葉昼夜君が世界で初めて完成させた魔法よ」

 

「「「えぇぇぇぇぇ⁉」」」

 

三人は心底驚いていた。

 

「え! 昼夜って魔法を作る事が出来たの⁉」

 

「一応な、あとジャミングも作成していて軍が魔法式を握ってるな」

 

「もしかして達也さん並みにCADの調整も・・・!」

 

「俺が得意なのはどちらかと言うとハードで達也はソフトだな」

 

「もしかしてそのCADも・・・?」

 

「無論、俺がチューンナップしている」

 

それでいて戦略級魔法師か・・・と三人はつぶやいていた。

 

「まぁ、もしCADの事で聞きたいことがあれば聞いてくれ。

調整に関しても力になれると思うから」

 

それから少し話していると、今日の業務は終わった。

 

 




今回非常に長くなりました・・・。
前回鋼とエイミィを出すと言ったのでこうなりました。
エ「私より雫たちの方が出番多くない⁉
  ましてや鋼はかなり掘り下げてたのに!」
ごめんなさい、次回は鋼君出番少ないと思いますし、エイミィも出番があるので。
エ「ホントに?」
お約束しましょう。昼夜君に誓って。
昼「話は聞かせてもらった。
  主、もしエイミィの出番がなかったら問答無用で『永光熱線』だ」
了解しました!それからエイミィの掘り下げも考えておきます!
と言う事なので、エイミィファンの皆様、出来れば期待しておいてください。
(過剰な期待はしないでください・・・)
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