四葉のもう一人の後継者   作:fallere

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お待たせしました。
今日も文章を書いていくとしましょう。

読みにくいとの要望があったので行間を開けてみました。
出来れば意見をくだされば幸いです。


九校戦編 七節

俺は病院の外で考え事をしていた。

 

真由美さんたちに来るように言われたがどうもその気にはならなかった。

 

「人のいないところからの魔法・・・遠隔用のデバイス?

いや、そうだとしてもあんなに突発的ではないはず・・・。

となると考えられる線は・・・」

 

すると病院から真由美さんたちが出てくる。

 

「あ、昼夜君。律儀に待ってたのね」

 

「いえ・・・で、委員長の容態は?」

 

「一週間は安静、ミラージは欠場よ」

 

・・・それはそれで受け止めるしかない。だがそれ以上の問題がある。

 

「昼夜、気負い過ぎるな。今回の事はお前の責任ではない」

 

「分かっています克人さん」

 

だが、違和感に気づいていたのは俺だけで、行動できたのも俺だけだ。

 

そして、推測通りなら俺は阻止できた。

 

しかし昨日幹比古に言ったように最高の結果を後から求めても仕方ない。

 

俺の頭は氷の世に冷え切っていて、感情は炎のように熱くなっていた。

 

委員長の努力を侮辱するような妨害に怒りを、

怒りに身を任せないための冷静さを。

 

いつもの事だ。

 

俺は自分の欲望が強い方だと思う。

 

だから、それらを押さえつけるために理性をひたすらに鍛えた。

 

四葉としても自分の感情を隠すために、理性と言う仮面をかぶり続ける。

 

「昼夜君、今回の事で何か心当たりはあるの?」

 

「少なくとも手口に関しては」

 

「じゃあ後でうちの会議室に来てくれる? 原因を一刻も早くつかみたいから」

 

会議室はホテルに各学校ごとに設けられている。

 

取り敢えずはまずはホテルに戻ろう。

 

考えたりしている間に今日の競技は終わっている。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

俺はホテル戻り、会議の時間までに今後の対策を考える。

 

「取り合えず、こんなことをするからには何かが動いているはず。

金か権力かはわからないがそれに加えて春と同じく国力の低下も目的のはずだ。

無頭竜・・・香港の組織は比較的大亜の影響を受けていないはず・・・。

 

湾岸は多くの国の人が来るから犯罪シンジケートは放置できるはずがない。

なのに香港に隠れ家を用意できるということは国から贔屓されてるという事だ。

もしくは別口で支援を受けている可能性があるが・・・」

 

考えているだけでも時間は過ぎていく。会議の時間は差し迫っていた。

 

ひとまずは会議室に向かおう。今考えても有効な手は現時点ではないだろう。

 

 

 

「昼夜君と達也君、出来れば二人の意見を聞かせて欲しいわ」

 

会議室には生徒会のメンバーと克人さんに加え、五十里先輩と千代田先輩、

それから何故か達也と深雪、幹比古と美月までいた。

 

「ではまず俺から。前置きはともかくとして精霊魔法が使われたと俺は睨んでいます」

 

そこから、違和感に気づいて魔法発動の予兆等を確認していたことを話す。

 

「自分も同じ意見です。水面の変化は不自然なものでした。

そこでこの二人を呼びました。吉田は精霊魔法を得意とします。

また、柴田は霊子光に対して非常に鋭敏な感受性を有しています」

 

それ二人を呼んできたと。

 

「幹比古、専門家として聞きたい。数時間単位で特定の条件に従って水面を陥没させる魔法は精霊魔法によって可能か?」

 

「可能だよ」

 

幹比古の返答は即答で肯定であった。

 

「今回の場合なら第二レースの時間を第一条件、

水面上に人間が接近することを第二条件にして、

波や渦を生み出すように指示を出せば式神でも可能だろう」

 

幹比古自身も半月の期間があれば会場に忍び込まなくても可能だそうだ。

 

「でもそんな何時間も前に仕掛けた魔法じゃ大した効果は出ないよ。

精々侵入者を驚かすのが関の山だと思う」

 

「あの状況がなければな」

 

俺の一言に空気がピリピリしたものに変わる。

 

「そこで美月、先輩の事故の時SB魔法の兆候は見れなかったか?」

 

「眼鏡をかけていたから・・・ごめんなさい」

 

「いや、そうだな。俺がうっかりしていた。昼夜はどうだ?」

 

「俺の目は指定した光を見る事ができるが・・・精霊魔法は予想外だ。

霊子光は完全に切っていた」

 

先日見たばかりと言うのに失念していたのは明らかなミスだ。

 

「ただ、七高選手の暴走は明らかに不自然です。

あんなミスをするような選手が九校戦の代表に選ばれるとは思えません。

恐らく・・・CADに細工をされていたのだと思います」

 

先程の精霊魔法があるなら、このタイミングほど最適なところはない。

 

「そして、細工したのは間違いなく大会委員に忍び込んだ工作員かです。

恐らく大会委員に引き渡されたときに細工をされたのでしょう」

 

達也も俺の意見に同意する。

 

会議は苦しい空気でお開きになった。

 

 

 

俺は部屋に戻らず、幹比古を連れてここの演習場を貸してもらう。

 

昨日言っていた相手になってやるというやつだ。

 

結果は・・・まあ、俺の圧勝だった。

 

「だけど魔法の発動は早くなったんじゃないか?」

 

「まだまだだよ・・・全盛期ならもっと早かった・・・」

 

この一辺倒。俺から見たら画期的なくらいに早くなってるのだが・・・。

 

「少なくとも昨日よりは格段に早い。でも少し早さに戸惑いがある。

まずは今の感覚に慣れろ。それからもっと早くなるように努力しろ」

 

今の早さで充分一科で充分通用するのだが望むなら止めるのは無粋だ。

 

「じゃあ悪いがまた簡易神殿設置してもらえるか?」

 

「うん・・・」

 

ネガティブに考えても仕方ないんだがなぁ・・・。

 

それから準備してもらって、今日はホロに宿る精霊を活性化させる。

 

ナルでやった分慣れは多少あるがどうだろうか・・・。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

《む、来ましたか》

 

どうやらホロも話す事ができる口らしい。

 

《ああ、まあ私たちのような場合は特にですね》

 

どうにも普通の精霊はべらべら話したりしないらしい。

 

《それはそうですな。主様は特に霊子にも敏感。べらべら話してては大層うるさいかと》

 

そう言えば霊子に対しても一応比較的に敏感ではあったがな・・・。

 

《私どもが対話可能なのはその生誕過程にあります。

自然そのものに根付く純精霊に対し、私どもは多くの人にみられ誕生した。

主様は言っておりましたね。見るものは見られている。

多くのものに見られることは多くのものを見返しているのです》

 

つまり、多くの人間に信仰された=見られたということは、

見てくれたもの生活を見ていた。故に意志を理解するに至ったという事か?

 

《ご慧眼、恐れ入ります。私は精霊としての格は天日鷲命(アメノヒワシノミコト)

まあ、司るのは一応豊漁や商工業の繁栄、開拓開運や殖産などですが・・・》

 

それらは押し付けられたもの・・・なんだっけか?

 

《まあそう言う事ですな。それでも多くの人を見て得た知識で主様の力になりまする》

 

・・・ところでだ、日本はほとんど無宗教だが今でもお前たちは多くの人を見ているのか?

 

《それは間違いですぞ。この国の民が信仰を一切していないなどあり得ますまい》

 

ますますわからないな・・・。

 

《ふむ、確かに意識は低いかもしれませんが主様は年明けにどこに行きまする?》

 

そりゃ神社・・・成程、そう言うことか。

 

《お気づきなられた模様ですな》

 

要するに、信仰が文化として根付いているってことだな。

 

つまり俺たちは無意識にお前たちを見ていて、そこからお前たちが見ているわけだ。

 

《その通りでございます。この国は多くの宗教が争う事がない。

見事に調和され、それらの信仰を文化として取り入れた。

故に我らも常に多くのものを見て知識を蓄える事が出来るのです》

 

日本の文化にそんな力があったとは・・・。

 

正直、それによる眼と脳がついてくれたのは本当にうれしい誤算だ。

 

《私こそ、主様と出会えたのは天恵。

純精霊と違い生物の本能も持ち合わせている私どもは死を恐れます。

故に主様のお陰で生き延びる事が出来たのは歓喜の至り》

 

覇気・・・だっけか? そんなもの持ってるとは思わなかったが。

 

《少なくとも持っているだけ悪いことは起きますまい。

歴史上、持っていたのは聖徳太子や中大兄皇子、

源義経や足利尊氏、それから織田信長に武田信玄と上杉謙信と戦国時代は多かったですな》

 

環境が荒れると覇気持ちが増えるのか?

 

《私が見たのはこれだけですが、聞けば伊達政宗も持っていたそうですし、

江戸幕府が成立してからは末期まで現れませんでしたな》

 

西郷隆盛や坂本龍馬なんかか?

 

《まあそうですな。さらに後だと東郷平八郎や東条英機なども持っておりました。

大東亜戦争が終わってからは日本には現れませんでしたし》

 

じゃあそこから予想されるのは少なくともこれから一波乱起きるってわけだ。

 

《主様にはかたじけないですがそうなるかと。覇気持ちは時代の移り変わりに現れます。

主様も時代の荒波に飲まれるやもしれません。》

 

時代の荒波か・・・そんなものに飲まれるのは勘弁したいが。

 

だが少なくとも俺は生まれた時はこんな力なかったと思うが?

 

《覇気と言うのは正直何時発覚するかわかりませぬ。

生来より持っていることもあれば成長の過程で得ることもあるまさに天恵。

ただ、人生の転機ともなる場で覇気に目覚めることが多いと言われております》

 

外国なんかだとあれか? ジャンヌ・ダルクが神の声を聴いたとか?

 

《それが一番わかりやすいでしょう。無論、そこまでわかりやすいとは限りませぬが》

 

覇気持ちも楽じゃないんだな・・・。

 

《まあ主様は主様の道を進めばよいかと。

私どもはいつ何時も主様の傍にあります故、困れば頼ってくださりませ》

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「あ、昼夜君。で、このホロは何の精霊がついてたの?」

 

「天日鷲命だとよ。しかも結構な博識だった・・・」

 

「うん、この二日で僕の精霊に対する知識が大きく変わったんだけど・・・」

 

まあそりゃ死んだら魂は普通のこらないからな・・・。

 

増してや鳥獣の類が精霊になるとはふつう思わないだろう。

 

? なんで俺は死んだら魂が残らないと知っている? 魂を見たことがないのに?

 

叔母様が何か言っていたか? ・・・まあ考えても仕方ないか。

 

「幹比古、今日はもう寝るぞ」

 

俺はもう疲れてのでシャワーを浴びた後とっとと寝た。

 




次回、お風呂回かもしれません・・・。
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