四葉のもう一人の後継者   作:fallere

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投稿遅いの許してくりぇ~。頑張ってますから~。



少年の力は罪の力。生きるために力を求め、力のために罪を犯した。

罪をもって罪を制す。強くなるためなら人も食う。強くなれば生きられる。

弱者はただ強者の前に愚者として裁かれるまで。

『罪からでた所業は、ただ罪によってのみ強くなる』~ウィリアム・シェイクスピア~



九校戦編 十九節

あくびをしながら待機部屋に戻る。

 

「む、戻って来たか」

 

そこには鋼と駿のほかに十文字会頭を初め我が校を代表するもの達が集まっていた。

 

「皆さん揃ってどうしたんですか?」

 

「どうにも厄介なことになってな」

 

厄介事・・・試合も出来ず、意思ないモノと戦ってただでさえテンションは0に近いのに。

 

「昼夜君の対応が冷静過ぎたためか、お前が仕組んだものと言われていているようだ」

 

「なんですかそれは? 俺としては試合できなくてやる気も失せてるのに・・・」

 

ちょっと暗殺しに行くか? まあそれは冗談として。

 

これも裏から手を回しているのだろうか? であれば次の手は捨て身かもしれない。

 

「俺はそんな回りくどいことしませんよ。面倒でも正面から叩き潰しますし」

 

それはここにいる全員が理解していた。ただし『こいつは根っからの戦闘狂』と言う形で。

 

「私たちはそれで納得するけど昼夜君を知らない人たちはそうは行かないのよね」

 

ため息をつく。とりあえずは勝ち上れるみたいだが次の攻撃が予測されているのに面倒な。

 

「まあ気を付けます。手を出されたらどうなるかわかりませんが」

 

「その時は構わん。やり過ぎないようにだけ気をつけろ」

 

忠告を受け取り次の試合に向かう。

 

この話のせいで将輝の試合は見れなかったが、勝ち上がってはいるみたいだ。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

CADを渡して検査機を通す。エラーはなくCADは返却される・・・が。

 

「鋼、駿、今すぐCADを捨てろ」

 

先程とは違い、二人は今度は少し悩んでいる。

 

「いい加減にしろ、俺の堪忍袋はそこまで大きくないぞ。CADに何を仕組んだ?」

 

一人の検査員に文字通り人を殺せそうなほどの視線を向ける。

 

「な・・・なんですか?」

 

「俺は何を仕組んだと聞いたんだ。聞き返せとは言ってない」

 

検査員は何も言わない。ただ怯えていることしかできなかった。

 

「・・・だんまりか、なら仕方ない。この手は好まんが・・・。

 カウントは4だ。1ごとにお前の四肢は俺が奪う。0で首を切り落とす。

 何、全て話せば四肢は返してやる。痛みも気を失わないように調整する。

 さて、始めようか」

 

「待ってくれ! 本当に俺は何も・・・」

 

検査員は声を上げるが・・・。

 

「そんなことは聞いてない。カウント4」

 

指を鳴らすと同時、男が転げまわり悲鳴を上げる。

 

右足がないと叫びだす。だが、周りの者も恐怖に包まれる。

 

それは四葉昼夜に対してであり、未知への恐怖でもあった。

 

残虐な行為を行う少年、そして足があり(・・・・)触れているのに無いと叫ぶ男に。

 

「この痛みはお前の罪だ。カウント3」

 

鳴る指、男は再び叫ぶ。次に奪われたのは左足のようでそれを叫ぶ。

 

だが、ここにいるすべてのものが四葉昼夜に発言する勇気はなかった。

 

「頼む! 返してくれ! 俺の両足を返してくれ!」

 

「であればやることは分かっているだろう? カウント2」

 

三度鳴る指、男の悲鳴。男の目には両足が、右腕が眼前の少年の前に浮いていた。

 

男の眼前に映る少年は、氷などよりもっと冷たい視線を向けていた。

 

男の背筋を犯した罪がつたう。肩に罪がのしかかる。喉を罪が絞め始める。

 

「さぁ、死は既に目前だぞ。カウント1」

 

鳴る指は男の罪悪感を増幅させる。痛みは罪悪感に基づいて与えられる。

 

男は気づかず自分で自分を苦しめていた。自分で幻を生み出していた。

 

男には既に四葉昼夜に歯向かう意志はなかったた。

 

「残念だが、これで終わりだ。カウンt「助けてくれ! 全部話すから助けてくれ!」

 ・・・それでいい。さぁ、話し始めろ」

 

男は話し始める。脅されて何者かに協力されていたことを。

 

仕組んだのが何かはわからないが、CADを使えなくするものだという事。

 

「お前のほかにも協力者はいるだろう?」

 

「知らない・・・いることは聞いているが誰かは知らない・・・」

 

「カウントは1まで進んでいる。話さないというなら・・・」

 

右手を上げて指を指を鳴らすためにゆっくりと指を・・・。

 

「本当に知らないんだ!」

 

・・・どうやら本当に知らないようだ。もっと情報を握れると思ったが。

 

「いいだろう、お前の体は返してやる」

 

俺が手を下げると、男ははっとして自分の体を抱きしめていた。

 

「なんだ? 急にこんなところに呼びおって」

 

そしてここに来たのは老師・・・九島閣下であった。

 

「四葉のせがれ、状況を説明せい」

 

「私たちのCADに何かが仕掛けられ、尋ねたところこの男が自白した次第です」

 

周りの人間は「自白?」と疑問符を上げている。

 

「どうやら他の者はその言葉に疑問があるように見えるが?」

 

「見解の相違ですね。彼が私の前で罪悪感に押しつぶされただけなんですが・・・」

 

俺が使ったのは聴覚から精神に干渉して感情を反芻させただけだ。

 

精神干渉は今はろくに使えないが、音から干渉するならどうにかなる。

 

「成程・・・罪悪感から自分で幻を見たか。

 CADに仕掛けられたのは・・・『電子金蚕』だな。

 有線回路から侵入し、電気信号を改ざんして技術兵器を無力化するSB魔法」

 

SB魔法は精霊などの非物質存在を媒体に発動する魔法。特徴として奇襲力が高い。

 

「その性質ゆえOSやアンチウイルスプログラムの有無にかかわらない遅延発動術式。

 四葉のせがれよ、お前は電子金蚕をしっているのか?」

 

「いえ、全く。ただ私は霊子(プシオン)体もその気になれば見れるので。

 すこし事件が続いているので警戒したらこの通りです」

 

やれやれとモーションをつける。それを見て九島閣下はにやりと笑う。

 

「予備のCADはあるだろう? それを使え。検査はかける必要はない」

 

それに対し声をかける者がいる。曰く「自作自演ではないか」と。

 

「これはそんなことする奴じゃない。私が保証する。それでも信用できんか?」

 

どうにも閣下は俺についてくれるようだ。お陰で問題なくやれそうだ。

 

それから委員の洗い出しが行われるようで、ここからは問題なく出来そうだ。

 

「さて、行くぞ。閣下の時間をもらったんだ。無様な試合は見せれないぞ」

 

試合は鋼と駿が二人で圧倒した。

 

駿が実戦テクニックを使って翻弄して、鋼が移動要塞と化し叩き潰した。

 

因みに俺は疑似瞬間移動で二人を送り出して二人への簡単に攻撃を防いでいた。

 

「はぁ・・・やる気も出ないしな・・・」

 

そこで将輝の試合が流れているのを見た。そこに映っていたのは・・・。

 

「お? なんだなんだ・・・結構立ち直ってるじゃねぇか」

 

将輝は一人で相手を圧倒していて、吉祥寺の表情もしっかりしていた。

 

「くふ・・・くはは・・・これはこれは楽しめそうだ」

 

「僕等としてはお手柔らかにお願いたいんだけどね・・・」

 

鋼の言葉に駿は「全くだ」と同意していた。

 

「やる気が出た、次の試合は俺がやろう」

 

ここからの試合、すべて俺が圧倒した。そして明日の決勝の相手は将輝達で決定した。

 

とは言え楽しい試合は全然なかったが・・・。

 

そして今日の晩御飯。まあ俺は愚者を消しに行こうとしたのだが・・・。

 

「昼夜? 用を足しに行くのか?」

 

「いえ、少し仕事に」

 

その言葉に会頭はため息をついた。

 

「明日は決勝なんだ。仕事をするなとは言わんが食事くらい仲間で食え」

 

そう言われ首根っこを掴まれて鋼たちのところに連れていかれた。

 

忘れられてるかもしれないが160cmしかない俺は軽々と持ち上げられた。

 

まあ程々に食事を楽しんだ後、仕事に向かう。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「じゃあやるぞ。もう厄介事は御免だ」

 

部下に簡単に指示を出す。部下たちは返事をしてくれた。

 

「じゃ、作戦開始」

 

一言そう言って、散開する。やる気の出ない相手だがまあ遅らせるの面倒だ。

 

標的は横浜グランドホテル、その最上階に潜む無頭竜。

 

夜逃げの準備をしているそうで、逃げられる前に叩き潰すとしよう。

 

壁に魔法で無理矢理風穴を開ける。中にいるのは中年男性ばかりだった。

 

「やあ皆さん、あの世への夜逃げの準備はできているか?」

 

男たちの顔が引きつる。俺がそれに付き合う必要はないが。

 

「くッ! 十四号、十六号、殺れ!」

 

加速魔法でモノが二つ突撃してくる。

 

「無駄だ。人形が俺に触れることなど許されん」

 

加重系魔法で天井に叩きつける。他の魔法で攻撃しようとするが、届きはしない。

 

「そうそう、電話はかけられないぞ。結界で電波が出ないようにしているからな」

 

有線も斬られていることを説明すると、電話機を握っていた男たちの顔は絶望に歪む。

 

「さて、処分を開始しようか。まずはこの人形から・・・」

 

物凄い勢いでジェネレーターが壁に何度も打ち付けられる。

 

最後に圧縮して肉球が完成したのち焼き払った。

 

「壁も何もかも魔法で強化されているから逃げられないぞ。

 お前たちはどうしたものか・・・?」

 

「待ってくれ! 我々は九これ以上九校戦に手を出さない!」

 

「何言っている? 俺がその気になった以上もうお前らは手を出せない。

 そもそもお前たちの人形はもうないだろう? あったとして俺が叩き潰す」

 

「我々は明朝にもこの国を出ていく! 二度とこの国は戻ってこない!」

 

「黄泉の国へは片道切符しかないんだ。申し訳ないな」

 

「我々は日本から手を引こう! 西日本支部も引き揚げさせる!」

 

「お前にそんな権限があるのか、ダグラス・・・だったか?」

 

名前はすべて覚えているが、消す奴の名前など本気で覚える気も出ない。

 

「私はボスの側近だ! それに私はボスの命を救ったことがある!

 命を救われれば救われた数だけ望みをかなえることで返すのが我々の掟だ!」

 

「そうやって自分だけ生き残るつもりなのか。いや~お前の仲間がかわいそうだ」

 

他のメンバーがダグラスに憎悪と殺意の視線を向ける。

 

「仮にそうだとしてだ、いかにお前の影響力を信じろと?

 お前たちの無頭竜の由来はリーダーが部下にも姿を見せないからだったな。

 部下の粛清さえも意識を奪って自分の部屋に運ばせるほどと聞く」

 

ダグラスは四葉に手を出すのがどういうことか思い知らされた。

 

何もかも調べつくされ、ただ目の前には死しか見えない状況。

 

「私は拝謁を許されている」

 

「そうか、では首領の名前は?」

 

ダグラスは口を閉ざす。長年にわたり刷り込まれた恐怖と忠誠が目の前を恐怖を凌駕した。

 

もっとも、四葉昼夜の前でそれが長く持つはずもない。

 

モノクロの影が幹部の二人に襲い掛った後、昼夜の隣に控える。

 

「紹介しよう、俺の罪だ。何よりも力を求め、そのために全てを食らう獣」

 

かつての俺をコピーして理性を奪ったもの・・・だったはず。

 

狼の姿をしているそれは、昼夜の想子(サイオン)にて形作られていた。

 

「こいつは悪食だ。俺も抑えるのが結構大変でな、制御を放せばお前たちを食うだろうな」

 

生き残りが襲われたメンバーを見ると、姿があるが獣が動き出しそれを貪り始める。

 

想子体であるはずなのに、食われた部分は消滅している。

 

仲間が死ぬに足りず、食われる様を見せられたダグラスはもう抵抗できなかった。

 

「ボスの名前は・・・リチャード=(スン)だ」

 

「表の名前は?」

 

「・・・孫公明」

 

「住まいも含め洗いざらいお願いしようか」

 

その後、ダグラスは全てを話した。

 

「・・・私が知っていることはこれで全てだ」

 

「こちらの質問も終わった。ご苦労だったな」

 

「信じてもらえたか?」

 

「ああ、お前は紛れもなく無頭竜首領の側近のようだ」

 

ダグラスは僅かに喜びを顔に浮かべる。そして、その取り戻した希望は・・・。

 

「食いつくそう」

 

「グレゴリー! ジェームズ!」

 

獣はダグラス以外の幹部を食い散らかす。

 

「何故だ! 我々は誰も殺さなかったではないか⁉」

 

「そうだな、人形を俺が処分しなければ。他にもバスの事故もか。

 まあ、そんなことはどうでもいいが・・・」

 

「何・・・?」

 

「お前は俺を怒らせた。お前は四葉の領域に手を出した。俺にはそれで十分だ」

 

そう、理由などどうでもいい。俺を怒らせたことだけがこいつらの失敗である。

 

「・・・悪魔め!」

 

「そうだな、その悪魔の罪にお前も加えてやろう」

 

獣は姿を消していた。振り返っても見えはしない。

 

獣は床から巨大な口を広げ、ダグラスを飲み込んだ。

 

咎人の貪狼(ヴォルフリート)・・・と便宜的に言っておくか」

 

何もかも食い尽くし、求める獣に名を与える。

 

自分の内側にあるもの故、精神構造干渉魔法を試して使ってみた。

 

結果、かなり操作できていた。それでも使うとき以外は封じておくべきだろう。

 

「罪からでた所業は、ただ罪によってのみ強くなる。

 であれば、罪によって得た俺の力は罪を負う事で強くなる・・・かもしれない」

 

全ての情報の録音完了を確認、それを近くにいた風間大尉に渡してホテルに帰った。

 




咎人の貪狼、別に七つの大罪ってわけじゃないよ。
そんなの七人分も考える能力はないよ!

詳しく説明を入れるなら、人のうちに眠る獣。
生きるためにどうすればいいかのみを考える人間の本能。
昼夜君にとってそれは強くあることで、それが形を持ったもの。
・・・と、補足しておきます。

存在としてはパラサイトに近いです。
憑いた相手が一番に望むものを叶えるという点も含めて。



そういや昼夜君の容姿について特に言及してなかったので私のイメージを。
160cmにデフォルメした黒〇スの赤司君くらいで考えてます。
髪の毛、瞳は勿論黒です。肌は結構色白な感じです。
普段はぐーたらしてて、大事な時は天帝モードみたいな感じで。
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