四葉のもう一人の後継者   作:fallere

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勝利、それは王子の望み。敗北、それは王子の破滅。

勝たなければ生きれない。弱者は淘汰し、淘汰される。

それが生き残る道であり、それが王子の生きる道である。

己が唯一無二の覇者である。それが何よりの芯であり、そうでなければ意味はない。

ただ畏怖せよ。歯向かう事は無駄だと理解せよ。

王子が蹂躙することを、阻める者はもういない・・・。


九校戦編 二十二節

「あ~! 最ッ高の気分だ!」

 

モノリスが終わってからも熱は冷めてなかった。

 

あれほどの試合はそうそうない。これほどの試合が全部なら最高だったのに!

 

勿論気分も最高だが、俺の力も示したわけだからそうは手を出されないだろう。

 

手を出せるのは余程の馬鹿か命知らずだ。

 

「お前らも思う存分飲み食いしろよ~! こういう時は景気よくだ!」

 

言った通りのモノリスの優勝に加え、勿論新人戦も優勝した。

 

なら当然小さな宴会くらいは開いてもいいだろう。

 

一応自分が祝杯を挙げて、皆がドンドンと食事を勧めていく。

 

矢張り新人戦優勝と言うのはそれだけで皆喜んでいるようだ。

 

気を抜きすぎないように・・・と言うのは、先輩たちに言うまでもないだろう。

 

モノリスとミラージの選手だ。そう簡単に油断するような人たちではない。

 

「昼夜君、あまり調子に乗り過ぎないようにね?」

 

「当然ですよ会長、この程度で油断できるほどいい性格してないですから」

 

いつものような苦笑い。ある意味十師族としての関係は長い方だから呆れてるのか。

 

まあそれでも少し気が抜けてるのは否定しない。何時までも緊張を保てる人間はいない。

 

「ただ俺小食だから対して食えないんですけどね」

 

それを聞いた真由美さんは笑みを浮かべた。それを見た俺は嫌な予感がした。

 

「・・・会長?」

 

「安心していいわ。ちゃんと昼夜君もしっかり食べれるようにするだけだから」

 

(あ、これダメな奴だ)

 

真由美さんは何か、ニヤニヤしながら女子の集まってるところに向かった。

 

そしてしばらくすると・・・。

 

「「「昼夜(君)、あ~ん」」」

 

どんどんと口の中に大量の食べ物が投入される。苦しい・・・。

 

「ちょ・・・グルジ・・・ゲホ・・・」

 

あの小悪魔、どうせ「遠慮するから無理矢理位がちょうどいい」とでも言いやがったな。

 

「昼夜、あ~ん」「昼夜、はい、あ~ん」「昼夜さん、あ、あ~ん」

「昼夜様、どうぞ、あ~ん」「昼夜お兄様、あ~んです」「昼夜兄ぃ、あ、あ~ん」

 

前から深雪、雫、中条先輩、水波、泉美、香澄である。

 

後ろの三人? どこぞの悪魔が連れて来やがったよ・・・権限の乱用だ。

 

因みに大体この六人に怖気づいてこなくなった。

 

後来てるのは、半分遊びでやってる感じの奴等だ。(主にエイミィ&真由美)

 

「あ・・・ちョ・・・コレ・・・ダメダ・・・」

 

そこから暫く気を失っていた。目覚めれば腹は非常に痛かった。

 

だが、こんなことになってあいつが黙っているわけがないだろう・・・。

 

「昼夜、ずいぶんと良いご身分だな」

 

・・・そう、深雪がこんなことをした以上達也が静観しているはずがないのだ。

 

「安心しろ、嫌でも俺がまだまだ食わせてやる」

 

「や・・・やメろ・・・こレ以上はモウ・・・アッ」

 

今度こそ完全に、意識が途切れた。もう起きる気力も残ってなかった。

 

てか・・・別に俺が望んだことじゃないのに・・・。

 

 

 

鋼&駿side

 

「ソーキそば・・・ゴーヤチャンプル・・・海ぶどう・・・

 デザートにサータアンダギー・・・」

 

三人の部屋にて僕らのリーダーは寝言を話し出していた。

 

「おい、こいつ夢の中でも飯食ってるぞ・・・」

 

「どちらかと言うと、うなされてる感じだけど・・・?」

 

「や、やめろ・・・それ以上食っタら・・・腹ガ破裂・・・スル・・・」

 

「「・・・・・・」」

 

どうにも先程のことでトラウマか何かを思い出したようだ。

 

「俺ももっと家柄があればあんな風になるのかね?」

 

「どうだろ? 昼夜はどこかカリスマじみたところがあるし・・・」

 

ただまあ、あれを見て羨ましいと思わない男子はいないだろう。

 

正直、僕だって羨ましい。駿の気持ちはよく分かる。

 

「まあ昼夜は確かに強い。正直俺たちとは比べ物にならないと思う」

 

「それには同感・・・どんなにやっても勝てそうになさそう・・・」

 

ついでに言うと練習のメニューも正直異常であった。

 

昼夜の凄さが分かっている僕等でさえ疑問に思うほどに。

 

「僕等の体力が尽きるような訓練を毎日僕らの倍の時間してるらしいからね・・・」

 

体力とかも自信があるつもりなのに桁外れだ。

 

「あいつただ鍛えているだけであそこまでなるもんなのか・・・?」

 

「どうだろう・・・鍛えるのレベルが違う気がするけど・・・」

 

その差は才能か努力か。どちらにしろ大きすぎる。

 

「追いつきたいなら僕等もひたすら努力するしかないだろうね・・・」

 

「なん十年努力したら追いつけるんだろうな(呆れ)」

 

呆れるほどなのはよく分かる。多分、何もかもが違うのだろう。

 

くだらない話をして時間を潰して僕たちも眠りについた。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

昼夜side

 

「うぅ・・・腹が痛い・・・」

 

朝起きたのだが、半端なく腹が痛い。それ以外考えられない。

 

「達也の奴もとどめさせる必要はないだろ・・・」

 

あの時点で死の淵に立っていたのに・・・昨晩はあの世との狭間を歩いた気分だ。

 

風に当たりに外に出るが正直あまり気分は改善しない。

 

達也が俺の食生活を知っていることを考えると底知れぬ宇宙的恐怖を感じる。

 

san値は普段から狂ってるから何の問題もない。

 

自分は常に狂っている。正直碌な奴じゃないとは自分も思う。

 

全く、なんで皆こんなろくでもない奴のもとに集まるのかね?

 

夜風に当たっていると、後ろから人の気配。間違うはずもない。

 

「将輝か、少し付き合え」

 

「はっ⁉ なんでお前がここに・・・」

 

「何、異常なまでに食わされて腹痛がヤバいんだ・・・」

 

将輝は黙って何も言わない。その目からは呆れがあふれ出ている。

 

「食わされたんだ・・・どこかの小悪魔の策略にかかってな・・・」

 

「真由美さんか・・・悪戯好きなあの人らしいが・・・」

 

小悪魔は共通認識である。年下で男子故に昔多少遊ばれたのだ。

 

「あの人にはそう言うとこじゃかなう気がしない・・・」

 

「同じくだ・・・」

 

戦闘なら負ける気はしないのに・・・。

 

「しかし・・・お前まだあの鎧のこと説明してないだろ?」

 

「ん・・・ああ、『貪狼の毛皮(ヴォルド・ネメア)』か。興味があるか?」

 

将輝は頷く。まああれの種明かしはあまりしてないが。

 

「効果としては鋼の装甲と同じだ。毛皮は直接じゃない魔法も無効化するが・・・。

 仕組み自体が全然違うからな。装甲も力技だが、毛皮はそれ以上だ」

 

「術式解体をそんな簡単にバンバン使われても困るんだが・・・」

 

「仕組みが違う」と念を押す。あれは力技なのかも悩みどころだ。

 

「言うなればあれは拒絶の衣だ。ただ何もかもを近づけないだけの」

 

それ以上の仕組みは言わない。なんでも教えるほど甘くはない。

 

「まあ碌な魔法じゃないから興味があるなら自分で考えな」

 

まあこんなのは余程の意志力がないと再現不可能だろうし。

 

正直に言って、俺でも相当テンション上がってないと発動できない。

 

「あれを使う程俺を本気にさせたんだ。誇っていいんだぞ?」

 

「お前何様だよ・・・」

 

俺様だとかは答えない。まあ考えないわけではないが。

 

「非常に楽しかったぞ。来年は何の競技になるかはわからんが楽しませてくれよ」

 

「はいはい、まあお前が失望しない程度にはやってやるよ」

 

とか言ってるが、こいつも負けたままにするはずがない。

 

「じゃあ・・・」

 

俺は一言、

 

「俺は腹痛がヤバいんで部屋に戻るわ・・・」

 

「お、おう・・・お大事にな・・・」

 

今度あの小悪魔絶対に苦しめてやる・・・。

 

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