ラブライブ!サンシャイン!!~陽光に寄り添う二等星~番外編(横浜アリーナ編)   作:マーケン

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次回は10/13更新予定


第十二話

 自分達のことを第三者として見るのは新鮮だ。そして、そんな目線で描かれているからこそ、自分がその場に立ち会っていない出来事とかも知ることができた。

 

「どうかな?」

 

「うん。見ることができて良かったよ」

 

 アンジュさんに勧められ“ラブライブ!サンシャイン!!”というタイトルで私達の活躍を描かれたアニメーション作品を鑑賞した。最初は気恥ずかしかったけれど、今では見ることができて良かったと心の底からそう思う。

 自分自身のことを第三者として見つめ直せたこと。私の知らないメンバーの葛藤。立ち会うことのできなかった場面を知れたこと。色々と得るものがあった。もちろん一話三十分というアニメーション作品の縛りがあるため、全部が全部描かれている訳では無いし、細かな点で言えば違うところもある。けれど、偶然とは言い逃れできない程の一致があった。

 

「やっぱり繫がってるんだ、この世界も、私達も」

 

 どちらが主体なのかはさておき、こうまざまざと現実を突き付けられると好奇心が検証せよと訴え掛けてくる。

 

「そういえば星ちゃんって子は居た?」

 

 アンジュさんの問い掛けに、私は検証する方向に傾きそうな思考を強引に軌道修正した。

 

「そう言えば居なかったんだよね。あんなに目立つ子なのに」

 

 本人に言えば間違いなく否定するだろうけど、やっぱり星ちゃんはどうしても目を惹く。確かに特別顔の造形が整っている訳では無いし、派手な服装をしているわけでも無い。けれど、あの子は自分が人から見られる時、どの様に立ち振る舞えば良く見えるのか心得ている。それを日常生活レベルまで身に染み付かせているため、非常に瀟洒な雰囲気があるのだ。

 

「星ちゃんってどんな子なの?」

 

「どんな子かあ。んー・・・繊細な子、かな。でもとても友達想いな子だよ。そうだっ」

 

 この世界と私達の世界は少なからず繋がりがある。ならばもしかしたら星ちゃんのユニットもこちらの世界に該当するものがあるかもしれない。そう思い、私は星ちゃんのかつて活動していたユニット“ジェミニのアカリ”で検索してみた。すると、動画サイトにあるジェミニのアカリのページが引っ掛かった。

 

「あった!これだよ、これ」

 

 見てみて、と私は投稿されていた動画を再生した。

 相変わらず動画の中の星ちゃんはキレッキレの動きをしている。本人は練習すればみんなできると言うかもしれないけれど、正直色々と動きが人間離れしている。

 

「どっちが星ちゃん?」

 

「ハーモニカ吹いてタップダンスしてる子」

 

「この子か、えっ?はぁっ!?こんなのってありなの!?」

 

「やっぱりそう思います?」

 

 どうやらアンジュさんも同じ様な感想を持ったようだ。それはそうだろう。だってハーモニカ吹いてタップダンスを踊るなんて正気の沙汰では無い。

 星ちゃんはドラムメンバーを増やさずに演奏をリードできることに合理性を感じていたようだけれど、人体の動きとして合理性は何処にも無い気がしてならない。だって、ただでさえ肺活量を要求する吹奏系楽器で、小刻みな無呼吸運動を要求されるダンスを踊るのだ。どう考えても息できない。

 

「この子Aqoursに入らなかったの?」

 

「星ちゃんは今でも多分ジェミニのアカリなんですよ」

 

 実際の活動は停止しているし、相方の明里穹さんとも和解はできていない。それでも星ちゃんの心はジェミニのアカリにあるのだ。

 

「星ちゃんってみんなとはどんな関わり方しているの?こんなことできる子なら本編に出てきてもおかしくないのに」

 

「確かに、端折られたみたいに星ちゃんは出てこなかったな。私、入学式の日にルビィちゃんと花丸ちゃんだけじゃなくて星ちゃんにも声掛けたんだよ?」

 

 それだけじゃない。幼稚園でお呼ばれした時にコラボしたり、東京のイベントの時には付いてきてくれたし、花火大会の時にも尽力してくれた。

 星ちゃんは私達に寄り添うように付き合ってくれていた。だというのに、Aqoursメンバーになっていないというだけで描写されないのは些か納得がいかない。

 

「じっくり話し聴きたいな。私の知らないそっちのリアルなAqoursを」

 

「あ、私もアンジュさん達のこともっと聴きたいな」

 

 私達はお互いに知っている部分とそうでない部分がある。星ちゃんのこともそうだけれど、その他のもっと日常的なところなんかは描かれていない。些細ではあるけれどそういった問題は人間関係でも意外と重視されたりするのだ。例えば唐揚げにレモンを掛けるか否かとか、サラダにマヨネーズを掛けるか、とかだ。

 よくよく考えるとアンジュさん達は私達のことをアニメーションを通して知っているけれど、私達は実は全く予備知識が無いのだ。寧ろ私達の方が知らなければならない。

 

「もちろん星ちゃんのこともね」

 

「うん。そうだ。このページがあるなら星ちゃんと直接連絡が取れるかも」

 

 私は動画ページのコメント欄にこう打ち込んだ。「私達みんな知らない人になっちゃった」と。

 すると、星ちゃんからのものと思われる返答があった。「私も、と」そして、その後には0果0-○○○○-○○○○とよく分からないことも書かれていた。しかし、どうやらみんなの名前の頭文字を並べているようだ。

 

「これなんだと思う?」

 

「あ、わかった。電話番号だよ、ほら?みんなの名前を点呼番号に変えると・・・」

 

「ホントだ。これなら私達しか分からないし考えたね」

 

 アニメーションに描かれていなかった星ちゃんがこの世界に居る。それに若干の違和感を覚えつつ、私は少しホッとした。この異常事態を前に、私は少しでも味方が居ることに凄く力強さを感じるのだ。

 

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