ラブライブ!サンシャイン!!~陽光に寄り添う二等星~番外編(横浜アリーナ編)   作:マーケン

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次回は12/1更新予定


第二十四話

 こうしてみんなと肩を並べて料理をしていると海の家の手伝いをみんなとしたことを思い出す。

 今思い返してもあの珍妙なラインナップは何なのだろうと疑問に思う。そもそもシャイ煮って、名前が既にアレだと思う。具体的には何て表現していいか分からないけど、アレはアレだ。

 

「あ、シャイ煮って鞠莉の口癖から付けられた名前だよ。こっちで巫山戯て料理の名前を付けてたんだけど、まさか本当に作られるとは思わなかったよ」

 

「ナナカさんも大概アレですね」

 

「こらこら、私が付けた訳じゃ無いからね。そもそも鞠莉がShiny、Shiny言ってるからだよ」

 

「口は災いの元だね」

 

 何て言ってから果たしてシャイ煮は災いなのか疑問が浮かんだ。けれど、一杯十万円する煮物など災いというより最早災害だ。

 鞠莉の金遣いの荒さを考えると浦の星廃校問題の遠因となっているような気がしてならない。どう考えてもヘリを飛ばしたり、シャイ煮を作ったりと、どう考えても小原家の経済事情を圧迫しているだろう。

 

「ナナカさんは私達の学校がどうなるか知ってるの?」

 

 つい、口から吐いて出た言葉に私自身驚いた。差し迫ったライブが控えているというのに何故今この話題が出たのだろうか?

 

「もし知っていたとして果南はそれを今、ううん。今じゃ無くても結末を予め知りたいと思う?」

 

「それは・・・」

 

 私はその問いに答えられない。自分でも何故質問したのかすら分からないのだ。答えなどあるはずもなかった。

 

「果南?ナナカさんと話しているの?」

 

「鞠莉」

 

 鞠莉はおちゃらけて見えてこれで周りをよく見ている。だから私がただナナカさんと面白可笑しく話している訳では無いと気付いたからこそ声を掛けて来たのだろう。

 

「どうしたのです?」

 

「果南がナナカさんとナイショ話してるの」

 

「それはどんなお話をしているのか気になりますわね」

 

「・・・なら2人はアイナさんやアリサさんとどんな話してるの?」

 

「それは秘密」

 

 でもそれを感じさせないよう、話しやすいように軽い空気感を醸し出すのだから本当に鞠莉は曲者だと思う。そしてダイヤもそんな鞠莉のことを私同様良く知っているから言葉を交わさずとも鞠莉の意図に乗ることができる。けれどそれを私も分かっているから結局私達には隠し事は出来ないのだ。

 

「学校のこと」

 

「果南さんがカンニングなんて珍しいですわね」

 

「人聞きが悪いね、それ。でもつい気になっちゃったんだ・・・と思う」

 

 いよいよ来年、沼津の学校と統廃合となり、学校は事実上の廃校となる。それを思うとなんだか日に日に落ち着かなくなっていた。

 夏休みになり、入学希望者が0から1になり、それが却って学校を存続させないといけないと私を焦らせた。だから答えが欲しかったのかもしれない。

 こうして2人が一言声を掛けてくるだけで私の自問自答にある程度形が見えてくるのだから本当に有り難い存在だ。

 

「もしかしたらこの世界に来たのは結末を予め知るためなのかも」

 

「果南。それは違うと断言できるわ」

 

「鞠莉、なんで?」

 

「私も同意見ですわ」

 

「ダイヤまで」

 

「いい?この世界の“ラブライブ!サンシャイン!!”で私達のこと、全てが描かれている訳では無いのは分かっているでしょ?」

 

「そりゃあそうでしょ」

 

 その最たるものとして星をはじめとしたAqours以外の交友関係が殆ど描かれていない。

 

「それはつまり必ずしも私達の世界のことがそのまま描かれている訳では無いということ。今のところ大筋は同じだけど、少しずつ違いが大きくなっていくかもしれない」

 

「ナナカさん達の知っている結末が必ずしも私達の未来とは限らないってこと?」

 

「Off course。それに、まだアニメ一期が終わって半年も経ってないのよ?二期のアフレコとかまだまだなんだから結末なんてそれこそ脚本家とか監督しか知らないんじゃない」

 

「そうなの、ナナカさん?」

 

「正解」

 

「もう、それならそうと教えてよ」

 

「折角果南が色々考えるようになったんだから邪魔しちゃ悪いなって。果南は知らないかもしれないけど、最初果南の設定って脳筋キャラだったんだよ」

 

「今でも頭より体を使う方が得意なんだけど」

 

 私を表現するのに“脳筋”以上に相応しい言葉は無いと私自身思う。だって慣れない頭脳労働をしたらお腹が空いて来たんだから。

 

「カレー出来たね。それじゃあ一口」

 

 私は一口分、スプーンにご飯を載せてカレーを付ける。

 

「あぁ、待って果南!お米はーーーーー」

 

「いっただっきまーす」

 

 うん。ナナカさんが何か言っていた気がするけど全然不味くなんかないし、何ら問題はない。

 

「んーおいしー」

 

 美味しくて思わず涙が出るくらいだ。

 

「果南さん、そんなに嬉しいんですの?」

 

「No more cry。何で泣いてるの?」

 

「え?」

 

「果南の駄目だって言ったのに。私、コンディション維持のためにお米断ちしてるの。でもお米・・・おいしー」

 

 なんて、一幕で結局先のことはこれ以上話し合う機会はなかった。でも、きっと今はこれで良いんだと思う。結局のところ先ずは目の前のライブなんだから。

 

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