ラブライブ!サンシャイン!!~陽光に寄り添う二等星~番外編(横浜アリーナ編)   作:マーケン

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次回は12/29更新予定。


第三十一話

 青ジャンの冒頭で振り向いた時に感じたことはみんな同じだと思う。みんなこんな大舞台は初めてだというのに凄く良い顔で歌えたし、踊れた。

 スクールアイドルはある程度ステージでも表情で“魅せる”こともする必要があるため、笑顔を作ることもあるのだけれど、今日は作るまでもない素の顔でステージに居られた。

 スクールアイドルを始めた時は一曲こなすだけでヘトヘト。歌も安定した音程で歌えないこともしばしばあったけれど、この青ジャンは疲れを全くと言っていいほど感じなかった。過去最高の出来であったと言ってもいいと思うほどだ。

 一曲目が無事に終わり、一度照明が暗くなると、急いで次の曲のフォーメーションに移る。

 次の曲は私がセンターの曲であるため、メインステージのセンターに位置を取ると、私の周りを囲むように他のメンバーが配置する。

 私はそれを確認すると静かに目を閉じた。

 目を閉じると先まで見えていた九色の光は当然ながら見えない。けれどその光景は脳裏にこびり付いてそうそう離れそうにない。

 

「楽しいね、曜ちゃん」

 

「うん」

 

 ただただ煌びやかで、楽しくて、時間の感覚が無くなるような空間だった。けれどそれは始まったばかり。楽しいはあっという間に終わるけれど、それはまだ先。今はただこの時を、終わりなど考えずに過ごしたい。

 間もなく耳に届いたのは、ごぽごぽ、と水に潜る音。多くの人がこの会場にはいるけれど、今はただその音だけが会場を支配していた。

 目を閉じて音だけ聴いていると水中にいるような錯覚すらある。

 水面から飛び込み、水底に辿り着いた私達を待ち受けているのは陽気なスタートの合図だった。

 スタートを告げる音に目を開くと、そこに広がっていたのは水中にいるかのような青一色に染まった会場。それは示し合わせた訳でもコンピューター制御した訳でも無く各々が判断で作り上げた光景だった。

 そういえばライブ前にこの世界のラブライブについて、幾つか聴いたことを思い出した。

 この“恋になりたいAQUARIUM”はこの世界ではAqoursのセカンドシングルとして世に出されている。そしてラブライブにおいてセカンドシングルとは特別な意味合いがある。それは前身のプロジェクトであったμ’sのセカンドシングルが屈指の名曲“Snow halation”であったからだ。

 “Snow halation”は曲そのものの良さもあるけれど、真骨頂はそのパフォーマンスにある。

 この曲の大サビで照明の色が白からオレンジに変わる演出があるのだが、ライブにおいてそれを観客達が再現し会場をオレンジ一色に染め上げたのだ。その光景は圧巻の一言。正に皆で作ることで完成した究極の曲となったのだ。

 だから後身のプロジェクトであるAqoursにおいてセカンドシングルの発表は嫌でも意識されることとなった。

 だけどAqoursはμ’sではない。同じ足跡を辿る必要はない。ただ一つだけ受け継いだのは、この曲もまた皆で楽しめる曲となったことだ。

 

「「「FuFuoo」」」

 

 曲の始まりと共に木霊するのは観客の皆のコール。それを聴くだけでワクワクする気持ちが止まらなくなる。

 

「遊びましょ」

 

 そう。私達とお客様が一緒になって遊べる曲。それが“恋になりたいAQUARIUM”なのだ。

 私はこの曲のセンターを任せられたことが本当に嬉しく思っている。だって、私自身がこのアトラクションのような曲が大好きだからだ。

 騒いで、跳ねて、遊んで、歌って、ひたすらに陽気な空気が会場に広がる。

 そして迎える大サビ。メインステージからセンターステージに延びる花道に青い光が走る。

 プロモーションビデオで作ったその演出はこの世界においてはヨーソロードなんて呼ばれてるのだから笑っちゃう。だけど語呂も、私らしさもあって凄くしっくりくるから定着するのも納得だった。

 けれど、まさか実際のライブでそれを見ることができるなんて思っていなかった。

 

「大好きはもう隠さない」

 

 その歌詞のように私の中の楽しいは隠しようがなかった。

 ダンスのフォーメーションが無ければ延々と踊り続けているかもしれない。それくらい体が勝手に動いていた。

 音楽という海を泳ぎ回った私達を見送ってくれるのは始まりの歓迎をしてくれたみんなの声だった。

 

「「「Fu、Fu、Fuoo」」」

 

 始まりから終わりまで、最後まで遊んでくれたみんなに私達から送ったのは、心から溢れ出る最高の笑顔だった。

 

 

 

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