ラブライブ!サンシャイン!!~陽光に寄り添う二等星~番外編(横浜アリーナ編) 作:マーケン
一端の幕を下ろしたライブはだが、熱気は冷めやらぬまま観客からのアンコールを求める声が鳴り響く。皆知っているのだμ'sの頃から連綿と続くラブライブのライブにおいて、キャストが一度たりともアンコールの求めに応じなかったことは無いと。
けれど、客席からライブに参加していた私からすればこのライブでやりたいことの大半はもう終わったのだろうと思う。
Aqoursの軌跡を辿る物語。映像や楽曲と共にそれを皆で共有して、今の私達に辿り着いた。
“MIRAI TICKET”は良かった。繊細なところから壮大に広がる入り、前を前をと今をより高く重ねる掛け合い、最後に落とすラララの後奏。短い時間にとても色々な要素が盛り込まれている、現在のAqoursにとっての集大成。それを実際に行われたラブライブ予選の再現をしてというのが非常に熱い。あの場に立ち会えなかったこの世界の人達も今日は私達の世界の住人になれただろう。
改めて私は半分照明の落とされた空のメインステージを見やる。そこはセンターステージからの花道に設置されているライトによりうっすらと青く照らされていた。Aqoursの熱と色がそこに残っているかのように。
水には本来色はなく、その名を冠するAqoursにもまた初めは色がなかった。そこに個性と個性が集まり、ようやく色が付き始めたのだと思う。ステージを染める青、そして会場を照らす九色。
みんなはそれを自覚できているのかな?
輝きとは、自分達らしさとはと道を探して駆け抜けている彼女達はもしかしたら走るのが速すぎて気付けていないのかもしれない。
だとしたら、このライブが終わったら伝えておこうと思う。みんなとてもAqoursらしく輝けていたと。
「アンコール、アンコール」
私も会場の皆と一体となりAqoursを求めた。
今日、こうして客観的にAqoursの物語に触れることで改めて思った。
辛いこともあった。悲しいことで涙したりもした。けど、やっぱり楽しかった。そう言い切れる日々があったのだと。その日々が今を、この空間を作ったのだと。だから、今に辿り着いたこのライブの先は、まだ未知なる未来。その未来をどうするのかはAqoursと私達次第なのだ。だからこそ、希望を持って未来を出迎えたい。そんな一心で私は声を出し続けた。
「くっくっく」
そしてステージが暗転し、メインモニターに映される善子ちゃんの姿。お約束と言わんばかりのクセのある笑い方。それは一時のパーティーの幕開けの合図だった。
幕間のアニメーションを終え、ステージに横一列になって上がってきたのはライブTシャツに身を包んだAqoursだった。
ここから先は後夜祭。唯々余ったものを出し切るためのご褒美の時間だ。
曲は“Pops heartで踊るんだもん! ”私も大好きな不思議な曲だ。
凄く楽しそうなタイトル、前向きな歌詞、でも聴いていると、友人と別れる前に訪れるような一抹の寂しさ。そんな感情が入り交じる曲だ。
今しかない時間だからこそ楽しい、それは彼女達スクールアイドルのことを歌っているかのようでもあり、だからこそ胸に刺さる。
だから、私も、会場の皆も、今を精一杯楽しもうと前身で跳びはね、サイリウムを振り、全力手コールした。沢山汗掻いて、沢山笑って、凄く疲れたけど、凄く楽しかった。そして、やっぱり楽しい時間はとても短くて、終わりの時はあっという間に来た。
“Pops heart”、“夢夢”と続いた二曲はあっという間に終わった。
“夢夢”に至っては合唱風味になってより会場の一体感が増したと思う。
物語を共有する、音楽を共有する、それを共有できたなら心も繫がっていくと、本気でそう思える。
もしも穹と一緒にここに来れたなら、少しは話しもできるのかなとそんな、あり得なかった“もし”を考えてしまうほどのライブだった。
常々、私は音楽とは人生に寄り添うものだと思っている。楽しいことも、悲しいことも、思い出も、音楽を聴けばあの時どんなことがあったとなを思い出せる。だから好きなのだ。そして今日のライブのことはきっとAqoursの曲を聴く度に脳裏に過ぎる、そんな素晴らしい音楽の時間になったと思う。
二曲をトロッコで会場を一周しながら終え、ステージに改めて並ぶみんなに私は感謝をした。
あぁ、もう最後のMCかと、拍手をしながらそう思った矢先に鳴る学校のチャイム。始まったのは告知だった。
NEXT STEP PROJECTと題された発表。
CDのリリース情報、アニメ二期の発表、そして一番関心を惹いたのは2ndライブ、それもツアーの発表だ。
この世界のラブライブというプロジェクトにおいて大きなライブはこのライブを含め計7回行われている。けれど、ツアーは初なのだ。そりゃあ会場の皆も驚くに決まっている。
“Pops heart”は楽しい時間はあっという間だけれども精一杯楽しもうと歌い終わる。けれど歌では語られていないけれど、終わりの次には別の形の始まりがあるのだ。
今を重ねて、楽しめば、きっと言 良い未来が開けるのだと、きっとこの異世界への旅はAqoursのみんなにそれを伝えるためにあったのではないかと今の私はそう思った。そして、なら私はどうしてこの世界にと思ったけれど、そこに答えは出せなかった。