ラブライブ!サンシャイン!!~陽光に寄り添う二等星~番外編(横浜アリーナ編) 作:マーケン
トラブルは多少なりともあったけれど、いずれも乗り越えることができ、私達は無事にライブを終えた。けれど、それならば私達がこの世界に招かれた理由はこのライブの後にこそあるのではないかと、私は身構えていた。
「多分それは無いと思うよ」
「どうしてそう言えるのですか?」
「私、地球救ったことあるしね」
冗談めかしてそういうアリサさんの言葉はしかし、私も内心ではそうだと思っていた、けれど、その確信の無い確信に自信が持てなくて身構えているのを止められなかった。根拠の無いことに手を抜けないのが往来の私の性分なのだ。
「もう。またそんなことを」
「でもこの予感に感覚以上の理由は付けられないでしょ?」
「そうですね。なら、もうじき皆様とお別れになるというこの予感も」
「間違いないと思う」
一日にも満たない時間でしかないけれど、今日の出逢いは凄くセンセーショナルだった。
人から求められること、多くの応援と期待を頂くこと、それに応えること。まだ一スクールアイドルでしかない私達からすれば本来は体験しえないことだ。それを体験するとしたらラブライブ優勝するグループだーーーーーA-RISEやμ'sのように。
「どうだったダイヤ?楽しかった」
今日という日を語るには言葉を幾つ尽くしても足りない。足りないけれど強いて私らしい言葉を言うのならば。
「とても」
「そう。ねえ、ダイヤはもしこの世界にずっと居られるならこの後どうしたい?」
「さっき、別れの予感がすると話した時同意していたと思いますが?」
「だから“もし”と言ったじゃない」
もしも、という過程の話を私は普段余りしない。するとしたら実現の確立が高いものだけだ。
だから今思えば、スクールアイドルを始めようと果南さんと一緒に鞠莉さんを誘った時、その名目として学校を統廃合から救おうと、救えると本気で思っていたのかもしれない。
その頃はまだ今とは違い生徒数も全校で100名を越えていたし、翌年の入学希望者もまだ50名近くいた。だから少し、ほんの少し浦女のことを知って貰えれば風向きは変わると、そう思っていたのだ。
「2ndライブツアーは楽しみですね。けど、それ以上にしたいのは私達の物語をハッピーエンドにすること」
私達の居る世界は決定的に違う点があるけれど、だからと言って無関係ではないらしい。それこそ相互に影響しあっているのではないかとも思う。ならば例えばこの世界で描くラブライブ!サンシャイン!!の物語を、例えばAqoursはラブライブに優勝。浦女は統廃合を免れたというストーリーにすれば私達の世界の未来もそんな方向に傾くかもしれない。
「んーそれは私がやりたいかな。ダイヤにはやらせない」
「聴いといてそれですか!?」
「うん。聴いたからこそかな。貴方のしたいことと私のしたいことが同じだったから」
それはまるで、この世界は私の戦う舞台だとでも言うようでーーーー
「だからダイヤはダイヤ達の世界で頑張って欲しい。それが一番似合うと思う」
だからその言葉は私達の世界を、浦女を頼むと託されたかのようだった。
「それにしても勝手な物言いですね」
「そういう性格なの私って」
自分の気持ちに正直で、それに真っ直ぐ突き進み、そして夢を追求する。アリサとはそんな人だった。
「けど、ダイヤだってそゆとこあるでしょ?」
諦められないものには可能性が低くとも賭ける。それは根本的な部分でアリサと同じだからなのだろう。
人はそれをロマンチストと笑うかもしれない。けれど、夢を叶えればそれはロマンではないのだ。そしてアリサも私も願ったことは叶う女だ。
「そゆとこありますわね」
しばしばルビィが言っている「そゆとこあるよね」は思えばルビィが私の居ないところで語るお姉ちゃんあるあるからだ。
今私達が共有した認識も、ルビィからすればお姉ちゃんあるあるの一つだと思うとなんだか笑いが込み上げてくる。それはアリサも同じみたいで、私達は二人揃って珍しく腹を抱えて笑ったのだった。