ラブライブ!サンシャイン!!~陽光に寄り添う二等星~番外編(横浜アリーナ編) 作:マーケン
体を預けても1cmも沈まない固いベッドの上で目覚ましが鳴る前に意識が覚醒する。無意識のうちに寝返りを打つとはっと気付く。無意識で動かせるくらい体が自由であると。
がばりと体を起こすと急激動いた筋肉から悲鳴が上がってくる。けれど、その悲鳴こそが昨日あったことを現実のことだと教えてくれる。
そして自分の隣に居たようなそんな感覚はもう消えて今は私が一人であることを自覚させられる。
「く~~~」
ギシギシと悲鳴を上げ続ける筋肉を解しつつ、スマホに手を伸ばし、その手がスマホを掴む前に止まる。
慣れ親しんだスマホの隣に寄り添うように真新しいハーモニカが置かれていたからだ。
私はハーモニカで無造作に音を鳴らしてすぐにまた机に戻した。全くどのように演奏するのか想像も付かない。本当に昨日は私の体がこれを吹いていたのかと疑いたくなるほどだ。
「折角だし出来るようになりたいな」
別の世界から来た異邦人の残した贈り物。本当はそんなことはないけれど、そう捉えるととても素敵ではないだろうか。腐らせるなんて勿体ないと思えるくらいに。
「そうだ」
私はスマホでウェブページの閲覧履歴からジェミニのアカリのページへとアクセスした。けれど、昨日は繫がったページは表示されることはなかった。きっと彼女達の世界との門は閉ざされてしまったのだろう。もしかしたらまた彼女達が来たら繫がるかもしれない。私はその可能性を期待しながらもURLを削除した。その時が来たらまた星ちゃんが勝手にアクセスするだろうと割り切って。
次に発信履歴を確認すると未登録の電話番号が幾つか残っていた。それはこの世界のAqoursメンバーの連絡先だろうことは昨日のことを考えると明らかだ。それを私は迷うことなく削除した。ラブライブの世界に私の居場所はないからだ。
「さて、星ちゃん達にはどんな未来が待ってるかな?」
ふらふらと行動する星ちゃんの今後の展開をどの様に描くか考えながらも、きっと考えた通りには動いてくれないんだろうな、と苦笑した。その証拠に本編を更新しようと下書きを開くも全くと言っていいほど指が動かない。
無気力な私に出来た夢中になれるもの。それを素直に楽しもうと思える程度には昨日の体験を通じて私も変わってしまったのだろう。劇的な変化ではない。けれど、小さくも無いのは確かなことだ。
「星ちゃんは2ndシーズン頑張ってね」
私とラブライブの世界を繋げる相方に私は最大限のエールを送り、私は私の日常に戻るのだった。
私の好きなラブライブを語る上で欠かせないのはキャストとキャラクターのシンクロ性や相互作用だ。現実と虚構がリンクしライブにおいてはこの世界にラブライブの世界が存在するような錯覚さえ起こす。そんなところに私は大いに惹かれています。
今回描いた横浜アリーナ編は言わずもがなAqoursの1stライブをモチーフにしています。
初めてのライブで貰った感動、そして私がラブライブで魅力的に感じるキャストのことを描けたらという気持ちを発端とし始めた訳ですが、思った以上に難儀しました。
よくよく考えたらキャストの名前をそのまま出したり出来ませんし、その内面を勝手に描くなどかなり危ういことです。私はまだ名誉毀損で訴えられたくないですからね。ですのでかなり無理矢理モチーフキャラクターを当てることとなりました。お陰で渾名で呼ばせることが出来なくなったりと四苦八苦してしまいました。
また、本編は常にオリ主の視点で物語を薦めていたのですが、今回はAqoursメンバーの視点で描いたり初めての試みが多く、キャラクターの個性を出すと言うことの難しさを痛感しました。
また、二期終了までの繋ぎのつもりでしたが、二期終了に間に合わなかったのは反省点です。
さて、この横浜アリーナ編はこれにて終了。今後はまた更新の止まっていた本編の更新に移っていきます。