ストライク・ザ・ブラッド~史上最強の吸血鬼~   作:悩める地上絵

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あ......ありのまま今起こったことを話すぜ!
家に帰ってきて時計を見たら、午後10時過ぎ。まだ間に合うと安堵して、今回の話を投稿しようとパソコンを立ち上げて腰かけて、再び時計を見たら4時半を回っていた。
な......何を言っているのか、わからねーと思うが、おれも何が起きたかわからなかった。



ごめんなさい。気づいたら寝落ちしてました。10月中に1話は投稿するつもりでしたが、できませんでした。
とりあえず第6話です。
実はもっとアンチっぽくなるはずでしたが書いていく内に、ここまでやると後で困りそうだ、と考え直していたら大分薄まりました。そのため先日活動報告で書いていたほどではありません。

H30.5.3一部変更しました。




十分後、2人は学園から徒歩5分のところにある大手ハンバーガーチェーンに来ていた。

そして二人は注文した品を受け取ると席について食べ始めた。

空腹を我慢していたのに得がっつくことなく、品よく食べる雪菜を眺めながら、古城は食事もそこそこに本来の目的を果たそうとする。

 

「監視役とか言ってたけど、姫柊を派遣した“獅子王機関”っていうのは、魔導災害やテロ防止を謳ってる政府直属の機関、で合ってる?」

「はい。もともとは平安時代に宮中を怨霊や妖から護っていた滝口武者が源流(ルーツ)なので、今の日本政府よりも古い組織なんですけど」

 

聞けば雪菜は獅子王機関の攻魔師育成所である高神の杜とかいうところで修行を積んできたらしい。

古城にとって獅子王機関のことはほぼ名前だけ知っているような存在で、源流など知らなかったので、まだ色々とあるのだろうが、先ほど那月が言っていたことの一つはこういうことかと少しばかり納得する。

ただ、それでも腑に落ちないものは多々あるわけで、古城はその根本的なことを質問することにした。

 

「で、何でまたその御大層な特務機関サマは、俺みたいな人畜無害な一般市民Aに監視なんかよこしたんだ?」

「無害、という所は分かりませんが……少なくとも、一般人ではないと思います」

「そのこころは?」

「わたしの攻撃を軽々と捌くような人が、ただの一般人であるわけがありませんっ!」

 

どこか幼さを感じさせる拗ねたような表情と口調で言う雪菜。

だがそんな雪菜の心情をよそに、そんなもんかねえ、と古城はどこか他人事のように聞き流す。実際自分と同年代で雪菜をあしらえる人間には何人か心当たりがあるからだ。

それはともかく、と古城は話を戻すため、

 

「俺が何かしたわけでも、何かしようとしたわけでもないだろ。第四真祖ってだけでちょっと反応が過剰すぎやしないか?」

「え、先輩……知らないんですか?」

「は? 今度はなんだよ?」

夜の帝国(ドミニオン)を支配する吸血鬼の真祖は、その存在自体が一国の軍隊と同じ扱いなんです。ですから、当然第四真祖もそれに準ずる扱いになります」

「は?」

 

何だと? 信じ難い情報に、思わず目を瞬く古城。

 それは、いつから自分はあの人たちと同じような存在になったんだ、という困惑と、まだ見ぬ他の同族たちは何をやらかしてくれたんだ、という言いようのない苛立ちからくるものだった。監視をされるぐらいは慣れているが、それが自分がなした行動に起因するものであって、存在そのものを理由に監視(ストーキング)を受けるのは納得できないのである。

 しかし、雪菜はそれを若干違う風に捉えたらしく、

 

「先輩の力は強力なものですし、当然のことだと思いますが......本当に知らなかったんですね......」

 

そんな言葉を返してきた。大体は合っているとはいえ、雪菜の憐みの視線が妙に古城の神経に障る。

だが、それ以上に古城は雪菜の言葉が気になり、彼女の言葉を頭の中で反芻する。そして昨日からの彼女の行動から、雪菜は、というよりも、獅子王機関は自分の天敵だと半ば確信する。少なくとも、それは古城が信じてきた生き方とは対照的なものの見方だったからだ。

とはいえ、今それを指摘しても仕方ないので、

 

「俺は軍隊も夜の帝国も持ってないんだがなあ」

 

とりあえず愚痴をこぼす。

すると雪菜は冷たく攻撃的な視線を向け、

 

 「そうですね……わたしも、それを聞きたいと思ってました。先輩は、絃神島(ここ)でなにをするつもりなんですか?」

 

と問い掛けてきた。

 

 「何をする......ってなんだ?ただ暮らしてるだけだけど......」

 「正体を隠して魔族特区に潜伏しているのは、なにか目的があるんじゃないですか?たとえば、絃神島を陰から支配して、登録魔族たちを自分の軍勢に加えようとしているとか。あるいは自分の快楽のために彼らを虐殺しようとしているとか......なんて恐ろしい!」

 

妙な妄想を語りながら自分で怖がっている雪菜に、この子は妄想に浸る前に資料を読むべきじゃないか、と古城は非難の目を向けながら一応反論する。

 

 「いや。俺は吸血鬼になる前、それこそ3年以上前からこの島で暮らしているんだけど」

 

実際古城が第四真祖になったのは約3か月前、絃神島に来たのはさらにその前で古城が中学に上がってすぐの時期である。

まあ、暁家が引っ越してくることになった大元の理由にも第四真祖が深く関わっているのだが。

 

だが雪菜は何か引っかかるのか、

 

「......吸血鬼になる前から......ですか?」

 

と繰り返すようにつぶやいた。

 

「資料にも書いてあっただろ?俺が今の体質になったのは今年の春だし、この島に引っ越してきたのは中1の春だから、もう3年以上前の話だぞ」

 

それに対して古城ため息をつきながら苦々しげな口調で説明する。

 

しかし雪菜は古城の言葉に、信じられない、というように首を振る。

 

「そんなはずはありません。第四真祖が人間だったなんて」

 

その雪菜の言葉は古城にとって青天の霹靂以外の何物でもなかった。

目の前の少女の『信じられない』という言葉は、既に知っていることが信じられないようなことで古城の説明を聞いてもやはり納得できないものだった、というようなものでは明らかにない。彼女の表情を見ても、古城の言葉自体が初耳だったと言っているようにしか見えない。

だが、そんなことはありえない。なぜならあの一件に関して獅子王機関は裏で糸を引いていたものの一人なのだから。

 

しかし、雪菜は古城のそんな懊悩に気づいていないようで、聞き分けのない子供に言い聞かせるように言葉を重ねる。

 

「いいですか。真祖というのは、今は亡き神々に不死の呪いをうけた、もっとも旧き原初の吸血鬼のことですよ」

「そうらしいな」

「普通の人間が真祖になるには失われた神々の秘呪で自ら不死者になるしかないんです。先輩に神様の知り合いがいるとでも?」

「さすがにそんな知り合いはいないな」

 

古城は考え事をしているため、雪菜の言葉はほとんど右から左に聞き流して生返事になってしまっているが、興奮している雪菜の耳にはそこまで入っていっていない。

 

「だったらどうやって第四真祖になったっていうんですか。他に人間が真祖の能力を手に入れる手段なんて......」

 

雪菜はそこまで言って青ざめた顔で言葉を切った。人間が真祖のチカラを手に入れ得る唯一の方法。それに気づいたのだろう。先ほどまでの柔らかさは消え、代わりに畏怖の感情を込めた視線を向けてくる。

 古城の方も雪菜の変化に気付き、さすがに考え事をやめて彼女の方に意識を向け直す。

 

「先輩......まさか、あなたは......真祖を喰らって、その能力を自らに取り込んだとでも......!?だけど、そんなことが......」

 

真祖喰い―――真祖として生まれ直すことはできなくても、既に存在する真祖を喰らい、その能力と呪いを自身の裡に取り込むことで、真祖となる方法だ。

だがもちろん、魔力や霊的格が圧倒的に劣る人間が神々に匹敵する真祖を取りこむことなど不可能だ。喰らったが最後、逆に自身の存在を吸いつくされ消滅するだけだ。

しかし現実に、目の前の少年・暁古城はそれを成し遂げたという。雪菜が恐怖を抱くのも必然といえる。

 

「好きこのんでやったわけじゃない......あれは......譲り受けたか、押し付けられたっていうのが近いんだろうな......」

 

雪菜の独りごとのような呟きを聞き咎めた古城は訂正する。

 

「押し付けられた......?いったい誰に」

「アブローラ―――先代の第四真祖だよ」

「先代の第四真祖……!?」

 雪菜は愕然として息を呑むと

 

「まさか、本物の“焔光の夜伯(カレイドブラッド)”のことですか!? 先輩は、あの方の能力を受け継いだとでも? どうして、第四真祖が先輩を後継者に選ぶんですか? そもそも、なぜあの“焔光の夜伯”なんかに遭遇したりしたんですか――――――!?」

 

完全にシロというわけではないが、この少女は本当に何も知らないとみていいのだろう。そして先ほど頭を過ったある可能性。ほとんどつじつま合わせに近いもので違う可能性も高いだろう。だが、たとえその通りでなくとも、あの連中ならば碌でもないことを考えていることだけは確実だ。

 

そんな考えに行きついたため無意識の内に表情が変化していたのだろう。雪菜は古城の悲しみを堪えた表情に気付いて、興奮して乗り出すようにしていた身を弾かれたように戻した。

 

「さあ?何でだったんだろうな?」

 

古城はポツリと虚しさを感じさせる声音で呟いた。

 

「俺から昼に誘っておいて悪いが、ここでお開きにしよう。......それと、今のはすまなかった」

 

そう言って頭を下げた後、財布から千円札を取りだして机に置くと、古城はそそくさと逃げるようにその場から去って行った。

雪菜はそんな古城の姿を呆然と眺めることしかできなかった。

 

 

雪菜side

 

あれは何だったんだろう。

 

既に姿の見えなくなった監視対象の少年・暁古城との会話を反芻する。

 

ファーストコンタクトはお世辞にもよくなかった。

吸血鬼の真祖と聞いて恐れを抱いていたのもあって、槍を突きつけるなど敵対と捉れる行動をとってしまったが、彼が想像していた通りの人物であれば命を失っていてもおかしくない。事実先程の彼は明らかに自分にけがを負わせないよう手加減していた。彼が道場に通って武術を習っていたというのは既に知っていた(.......)が、精々素人がかじった程度のものだと思って。彼の実力はそんなレベルではなかった。武器を相手に、自身が傷を負わないようにするだけでなく、相手も無傷で押さえるというのはそうそうできることではないはずだ。

 

しかし彼と会話をするうちに、最初に抱いていたイメージとは違い、理性的なくせに嫌味とも皮肉気とも感じさせる、それなのにどこか抜けているところが多々見られる、見た目通りの普通の少年、という印象を持つようになった。

それゆえに彼の最後の表情があまりにも鮮明にまぶたの奥に焼き付いている。それまでの穏やかに話していた彼の姿からは想像が難しいものだった。

 

(「さあ?何でだったんだろうな?」)

 

彼のあの言葉には、行き場のなくなったような怒りと悲しみがあった。そして何よりも彼が放っていたのは紛れもない殺気だ。それも自分が動きを止めてしまうほどの。

短い間だが話をしていて、彼があんな嘘を吐く性格はしていないだろうとは感じていたし、あの様子を見る限りやはり彼は少なくとも本当だと思っている(.....)ことを言っているのだろう。

彼と第四真祖の関係を聞いても、先程の様子からするともう答えてくれないだろう。

 

 

雪菜はため息を一つつくと、心なしか重くなった腰を上げて店を後にした。

 

雪菜side out

 

 

少し早い昼食を済ませて、時刻は午後1時前。太陽は外にいるもの全てを灼き殺さんと言わんばかりに輝いている。予定のない古城は家に帰ることも考えたが、誰もいない家に帰っても先程のことで悶々とすることになりそうなので頭を冷やすため寄り道することにした。

 

寄り道のために近くのスーパーであるものを買い、学校の裏手にある丘の上へと足を伸ばす。しばらくすると既に古城にとっては見慣れた、廃墟となった教会が見えてきた。痛んだ蝶番に気を遣いながら扉を開けると、銀雪のような髪に氷河を連想させる淡い碧眼、そしてなにより人の目を引き付ける、肖像に描かれるような美しい(かんばせ)の少女が見返していた。

 

「あ、お兄さん」

古城の耳に届いた柔らかな声は、場所も相まって少女に慈母のごとき母性を感じさせ、本当に修道女(シスター)であるかのように錯覚してしまう。

まあ、彼女の周囲に群がるネコをみるとそんなロマンチックな気分も霧散してしまうが。

彼女の名前は叶瀬夏音。彩海学園の中等部に所属し、´中等部の聖女´と呼ばれている少女だ。古城の後輩にあたり、凪沙の友人でもある彼女とは、ひょんなことから知り合って以降、特に約束を交わすわけでもなかったが、こうして度々この修道院跡で会う仲だ。

 

「お久しぶりでした。今日はどうしてこちらに?」

 

「ちょっと学校に用があったんだよ。ついでに寄り道をな。こっちはいらなかったみたいだけど」

 

そう言ってスーパーで買ってきたキャットフードを見せる。

 

「いつもありがとうございます。実は私もまだ来たばかりで、ごはんはあげていないのでちょうどよかったでした」

 

ならば、と古城は夏音にネコの相手を任せ、エサの用意をする。

 

「ほい、準備完了。メシの時間だぞ」

 

そういってキャットフードを盛り付けたエサ皿を地面に置いてネコたちに呼びかけるが、夏音の許から離れようとしない。花の方がいいのかねえ、と内心ため息をつきながら、皿を持って夏音の方へと近づいていく。そうして2人でネコの世話をしながら、最近の出来事について最初は話していたが、そのうち全く関係ない取りとめのない話をして無為に時間を過ごす。古城は夏音とそうして話しているうちに、気付かぬうちに不意に何となく夏音がネコにかまっている姿にかつての友人を重ねていた。そんな古城の様子に気付いたのか

 

「お兄さん、大丈夫でしたか?」

「うん、何かあったか?」

「いえ、何か喜びながら、悲しんでいるように見えました」

 

そう夏音に声を掛けられて自分が想像以上に重症だったことに気付いた。どうやら雪菜との一件はまだ尾を引いていたらしい。

「いやあ、こうして何となく過ごしているのも楽しいけど、贅沢な時間の使い方をしていていいのかなあ、なんて思ってな」

「お兄さんらしいですね」

 

そう嘘にならないようにしながら誤魔化したがうまくいったらしい。夏音も少し微笑む。気付けばそれなりの時間がたっていたので、これ幸いと少し強引だが話を切り替える。

 

「結構時間がたったし、俺はいったん帰るけど、叶瀬はどうする?」

「私はもう少しこの子たちのお世話をします」

「そうか。じゃあ、またそのうち」

「はい、さようならでした」

そう言って古城は少し名残惜しい気分になりながら、帰路に就いた。

 

 

「おかえり、古城君!今日の修行はもう終わった?」

「おう。ただいま、凪沙」

 

市内のとある高層マンションの一室。そこが、古城の自宅だった。

 毎日行っている武術の特訓を夕食前にいったん切り上げ、玄関で靴を脱いでいた古城を出迎えたのは、幼さを残した元気な少女の声だった。

 古城が視線を向けた先には、見慣れた少女の姿があった。

 彼女の名は、暁凪沙。古城の実の妹だ。

 大きな瞳が印象的な、表情の豊かな少女である。

 結い上げてピンでとめた長い髪は、一見ショートカット風にも見える。

 顔立ちや体つきは、まだ少し幼い印象があるが、中学生の平均からはそう大きく外れてもいないだろう。

 今の凪沙の格好は、ショートパンツにタンクトップ一枚というラフな格好で、その上にオレンジ色のエプロンをつけている。

 

雪菜との一件が尾を引いてしまったのか、その後古城は毎日行っている武術修行をしていたが集中しきれていない自覚があったため、頭を切り替えるつもりで、早めに切り上げて夕食の準備を手伝うつもりだったが、既に料理に取り掛かっていたようだ。

 

「今、ご飯の支度してるから、ちょっと待っててねー!」

「分かった。サンキューな」

 パタパタとスリッパの音を響かせて台所に引っこんでいく凪沙を見送り、古城も部屋の中に入る。

 現在の暁家は両親が四年前に離婚し、母・深森と古城・凪沙兄妹の三人家族だ。しかし母は研究職で、ほとんど職場から帰ってこないため、実質的には兄妹の二人暮らしである。

 また、古城も独り暮らしできる程度には家事はできるが、凪沙の方が圧倒的に上手い。そのため、炊事や洗濯などのほとんどは凪沙が一人で担っている。

 

大して物のない自室に入り、大きく息を吐き出す。

 そして、今日起こった出来事を反芻した。

 獅子王機関から派遣されてきた、監視役を名乗る少女、姫柊雪菜のことを。

 古城が幼いころからずっと望んできたありふれた平穏な暮らし。そんな未来もどうやらもう望めなくなってきたらしい。

 

はあ、と無意識のうちにため息をついていたことに気付く。ため息をつく度に幸福が逃げるらしいが、その程度のことで逃げる幸福が自分にまだ残っているとは思えないので、それ以上は気にしないよう、頭を切り替えることにする。

 

着替えて台所に行くと、凪沙が鼻歌を歌いながら、料理の途中だった。もういい匂いが漂ってきている。楽しそうに鍋をかき混ぜていた凪沙は古城が来たことに気付き、パッと振り返った。

 

「あ、古城君。もう待ちきれなくなっちゃった?ちょっと待ってね、もうすぐできるから。あ、そうだ、手を洗ったらお皿出してもらってもいい?洗濯物も中に入れておいてくれるかな。後で洗濯もするから、古城君も今日の修行が終わったんだったら、今の内に洗濯するもの出しといて。それと―――」

 

「どうどう、落ち着いて一つずつ言ってくれ。」

 

凪沙は、顔立ちもかわいらしく、成績もまあまあで家事全般も器用にこなす、出来のいい妹だ。

 しかし、もちろん欠点もある。この口数の多さもその一つだ。

 誰に対してもそうするわけではないが、心を許した相手には自然と先のようなマシンガントークになることが多々ある。

 

 古城が妹から下された指令を一つずつ片づけていると、凪沙がふと話しかけてきた。

 

「そう言えば古城君。今度、うちのクラスに転校生が来るんだってー」

「......転校生?」

「そう。夏休み明けから来るの。女の子。部活で学校に行ったときに先生が紹介してくれたんだあ。転校の手続きに来てたんだって。すっごく綺麗な子だったよ。」

「そうか」

 

古城は素っ気ない態度で返す。いくら可愛かろうと相手は中学生。元々古城には外見が整った女性の知り合いが多い上、その少女は妹のクラスメイト。完全に古城の興味の対象外だ。だが、しかし

 

「興味なさそうだけど、古城くんにも関係あるんだよ?その子、どうしてか古城くんのこと知ってたし。あたしが自己紹介したら、お兄さんはいるかって、どんな人なのかって、訊かれたんだよ?」

「......なんで?」

「あたしの方が聞きたいよ。てっきり古城君と前にどこかであったことがあるんだと思ったんだけど」

「いや、年下の、最近島に来たような知り合いはいないと思うが......」

 

古城は腕を組んで考え込む。どうにも漠然と嫌な予感がする。

 

「で、お前はなんて答えたんだ?」

「一応ちゃんと説明しておいたけど。あることないこと」

「なにぃ?」

「ウソウソ、本当のことしか話してないから。前に住んでた街のこととか、成績とか、好きな食べ物とか、本土にいるころに道場に通ってたこととか、矢瀬っちとか浅葱ちゃんのこととか、あとは初恋の話もしたかなあ」

 

淀みなく答える凪沙に古城はいらいらとした口調で

 

「お前な……なんで初対面の相手に他人(ひと)のそういうことまで話すんだよ?」

「だって可愛い子だったし?」

 

全く悪びれた様子がない。予想された答えではあった。ただでさえ誰かと喋りたくてうずうずしているこの妹に、秘密を守らせるのは至難の業なのだ。そのくせ本当に言いたいことは、決して口にしようとしない難儀な性格なのだが。

 

「女の子が古城君に興味を持つなんて、珍しいからさ、お役に立てればと思ったんだよね」

「......単にお前が話したかっただけだろ」

 

古城は投げやりな態度で息を吐くが、今日学園であった少女のことが頭に浮かぶが一応一縷の望みをかけて凪沙に質問する。

 

「で、その転校生はなんて名前だったんだ?」

「うん、なんか変わった名字だったよ。えっと、......王女様みたいなヒラヒラした感じの」

「ヒラヒラ?......もしかして姫柊か?」

 

ますます膨れ上がる不吉な予感に、古城が苦々しく訊き返す。凪沙が表情を明るくして、

 

「あ、そうそうそれ。姫柊雪菜ちゃん」

「......あいつが凪沙のクラスの転校生......だと!?」

「そうだよ。やっぱり古城君の知り合いだったの?今日来た転校生とどうやって知り合ったの?凪沙にもちゃんとわかるように説明してよ、ねえ!」

 

 興味津々と言った体で瞳を輝かせて質問攻めにしてくる妹を適当にあしらいながら、古城は明日からの日常に思いを馳せ、心の中で叫んだ。

 

「ふ、不幸だ――――」

 

 

 

......ネタに走れる分まだ余裕はあったのかもしれない。

 




やっと一日が終わった!次話はどうしよう。

この作品は無計画にできている(おい、問題発言!)



先日活動報告で挙げましたし、感想欄で質問もあったので、今日はアンチ・ヘイトについて書きます。
この作品のアンチ対象は原作の特定の人物というわけではありません。
しいて言うなら他人を一方的に道具として利用しようとする、日本政府を含めた一部政治家やテロリスト、それに近い思想で動いている者全体でしょうか。主人公にこういった設定を付け加えるとこうなるんじゃないかという具合の後付け設定なので今後どこか矛盾が出てくるかもしれません。実際そういうのって見極めるのは難しいでしょうし。今後おかしな点に気付いたときはご指摘いただければとも思っています。



話は変わりますが、いま多くのハーメルン作者もプレイしている「Fate/Grand Order」私もプレイしています。この一年ほどで以前よりレア度の高いサーヴァントが手に入りやすくなったなあ、と思っていたのですが、今回の復刻からのハロウィンイベントでは敗戦続きです。ここ一週間ほどで諭吉様が三名ほど逝去なされましたが、刑部姫はもちろんイベント礼装もほとんど手に入らず、気分を変えて剣豪ピックアップにも挑戦しましたが、ピックアップサーヴァントは手に入りませんでした。今月の給料あんまり多くないので、ちょっと泣きが入りそうです。みなさんはどんな塩梅だったでしょうか。

最後に、ここ最近は気温差が激しく体調を崩しやすくなっていますが、皆さんお身体は大丈夫でしょうか。
どうかお気を付けて。

それでは次話でお会いしましょう。今後ともこの作品をよろしくお願いします。
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