ラブライブ!〜二色のマネージャー物語〜   作:紅翼 天奈

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あけましてお久しぶりです。

正月が明けてからというものポケ...
色々、忙しくて投稿が遅れてしまいました。

今年も頑張って投稿を続けますので、どうかよろしくお願いします。


それと、合同回のタイトルの見栄えが悪かったため修正しました。
詳細はあらすじの注意事項の所に書いておきますので、お手数お掛けしますが1度目を通して頂けると幸いです。


それでは、本編をどうぞ。


青 2-1話 四人目の幼馴染

 

(no side)

 

『あんたは、不可能だと思うからって諦めるのか?

違うだろ、いくら無謀に思えてもやってみなきゃ何も変わらないだろ!』

 

それは、生徒会長に対して言い放たれた真拓の言葉。

 

あの時、東條希はそれを生徒会室の隣の資料室で聞いていた。

 

「(...真拓くんの言葉は、確実にエリチの心に届いた。

後は、彼の言ってた『エリチを認めさせる方法』がどういう結果を残すか...)」

 

あの会話から半日。

希は、自らの隣で資料をまとめる金髪の少女を横目で見つめながらそう思考する。

 

「(いや、それはウチが気にすることやないね。

ウチはただ真拓くん達の手助けをするだけや。

 

...それより、ウチが気にせなあかんのは...)」

 

と、金髪の少女から目を離し、誰にも聞こえない程の小さなため息を漏らした彼女の脳裏に浮かぶのは、真拓と三人の少女の姿。

 

「(真拓くんから聞いたことのある三人の幼馴染...)」

 

元気で少しおバカな少女、高坂 穂乃果。

恥ずかしがり屋な少女、園田 海未。

心優しい少女、南 ことり。

 

「(...真拓くんは今、彼女達の事をどう思ってるんやろ?)」

 

そう思考する彼女の頬はほんのりと赤く、その表情はまさに『恋する乙女』のものであった。

 

「(昨日の会話を聞いた限り、再会してそう時間は経っていないみたいやし...普通に幼馴染やと思ってるんやろうか?

彼女達三人も普通の友達のように接してたし、恋心は無いんかな?

なら、現状彼に恋心を抱いているのはウチだけ...)」

 

そこまで考えて更に顔を赤くした希は小さく首を振り、先程より少し大きなため息を漏らす。

 

「(...やっと見つけた、やっと巡り会えた。

今すぐにでも彼の元へ行きたい、一緒に話したい。

でも、真拓くんはウチの事を覚えててくれるんやろうか...)」

 

真拓と離れてから七年。

二人とも成長し、希に至っては口調まで変わっている。

 

そんな中、急に話しかけて彼が自分の事を覚えていなかったら...という恐怖から、希は真拓の前に姿を現す事が出来ないでいた。

 

「(うぅ...こうして頭を抱えててもなんにもならんのに...どうすればええんや...)」

 

「希?」

 

「ひゃっ!?」

 

「うわっ!ど、どうかしたの?」

 

「い、いやいやなんも無いよ、どうしたん?」

 

「この資料を職員室に持って行って欲しいの、お願いしてもいい?」

 

そう言って絵里が机に置いたのは、多くのプリントが挟まった大きめのクリアファイル。

 

「うん、りょーかい」

 

「ありがとう、重いから気を付けてね」

 

希はそれを両手で抱えるように持ち、席を立った。

 

「(とりあえず、今は学校もエリチも大変なんやからウチだけこんな事考えてる暇は無いね)」

 

そして先ほどまでの思考を頭から消し、微笑を浮かべながら生徒会室を出て...

 

 

「あっ」

 

「...え?」

 

 

...今まさにドアノブに手をかけようとしていた少女と目が合った。

 

「おっ、おはようございます!えっと...」

 

「穂乃果、副会長さんですよ!

すいません、おはようございます...」

 

「ちょっと今、お話いいですか...?」

 

突然の遭遇に驚く希に向けて口々に声をかけるのは、先ほど思い浮かべていた三人の少女。

 

...そして、その後ろにもう一人。

 

 

「...副会長?」

 

 

黒髪蒼眼、希が想い続けた男の姿が...

 

「(う、嘘っ...)」

 

期せずして訪れた突然の再会に希の体は硬直し、彼の姿を見つめるその緑の瞳は動揺に震えていた。

 

そんな希を見て首を傾げる真拓。

彼のその様子が、希の緊張を加速させていく。

 

「? ヒロくん、どうしたの?」

 

「いや...間違ってたら申し訳無いけど、その髪と目...」

 

真拓は顎に手を当ててそう言いながら、一歩前に出て希の前に立つ。

そして、訝しげに彼を見つめる三人の少女に囲まれながら、彼は口を開いた。

 

「もしかして、希?」

 

「(ッ!?真拓くん、覚えっ...!?)」

 

彼の問いかけに、顔を真っ赤に染めて俯く希。

 

覚えてくれていたという喜びと、突然の遭遇による羞恥心により、彼女は何も考えられなくなっていた。

 

「その反応!やっぱり希だよな!」

 

あまりの緊張で声が出ない。

何を話せばいいか分からず、焦りが生まれる。

 

そして。

 

緊張、焦り、喜び、羞恥心と、色々な感情が混ざり合い...

 

「久しぶりだな、元気にしてたか?」

 

「〜〜〜ッ!!」

 

再会に喜び興奮する真拓が希の肩に手を置いた事により、容量超過(キャパオーバー)

 

持っていたクリアファイルを両手で持ち、振り上げてーーー

 

「ん?どうしーーーぶッ!?」

 

一撃。

 

「「「えぇ!?」」」

 

「はぁ、はぁ...はっ!真拓くん!?」

 

 

穂乃果たち三人と希が声をあげるが、気絶した真拓の耳にそれが届く事は無かった...

 

 

 

☆☆☆★☆

 

(side 真拓)

 

『君、一人なの?』

 

この問いかけは、穂乃果を真似たもの。

 

穂乃果達と別れ、再び一人になった俺は、次に転校した学校である少女と出会った。

 

『俺と一緒に遊ぼうよ!』

 

『えっ、い、嫌...』

 

『...どうしよう、断られる事を考えて無かった』

 

紫の髪に翠の瞳。

彼女は上級生であったけれど、俺は迷う事無く彼女に声をかけた。

 

その理由は...

 

『俺には、君が寂しそうに見えた』

 

夕日の差し込む教室で一人本に目を落とす彼女の姿が過去の自分に重なったから。

 

一人寂しく光に背を向けていた自分に、穂乃果がいなければ変わることの出来なかった、あの自分にーーー

 

『俺の名前は蒼陽真拓。

...俺と友達になってくれないか?』

 

『っ...うん!』

 

俺の伸ばした手を握り、笑顔を見せた彼女は...

 

 

『私は東條希、よろしくね、真拓くん!』

 

 

俺が初めて自分の力で作った、大切な友達ーーー

 

 

 

☆★

 

 

 

「...懐かしい、夢だな」

 

目を覚ました俺は、見たことの無い白い天井を見上げながらそう呟く。

 

ここはどこだろうか?

フカフカのベッドに、閉められたカーテン、湿布の匂い...保健室?

 

「痛っ...ああ、そうか、思い出して来たぞ」

 

ベッドから起き上がろうとして後頭部に感じた鋭い痛みに顔をしかめながら、これまでの事を思い返す。

 

昨日ファーストライブを行う事を決定した俺達は、生徒会長にライブを行う場所...講堂の使用許可を取ろうとして、生徒会室へ向かい...

 

「希に殴られて保健室...ってわけか」

 

そう、生徒会室に入ろうとした所で、七年前に穂乃果達と分かれた直後に出会った四人目の幼馴染、東條希と再会したんだ。

 

七年越しの再会だ。

当然俺は彼女との再会を喜んだ。

 

 

...その直後から記憶が飛んで、保健室にいるなんて事が無ければ、そのまま幸せに終わったのだろう。

 

出会い頭に気絶する程の一撃を浴びせるなんて、俺の事を忘れてるか嫌ってるとしか考えられないんだが、七年前に何か彼女の気に障る事をやらかしてのか...?

 

少し考えるが、全く思い浮かばない。

いや、小学生の頃の事だし、無自覚に悪い事をしてたり忘れてたりするのか...?

 

 

「失礼します」

 

と、俺が腕を組んで唸っていると、カーテンの向こうから保健室の扉を開く音と控え目な声が聞こえてきた。

誰も返答しないため、保健室の先生は不在のようだ。

 

「...真拓くん、起きてる?」

 

そして、保健室に入ってきた人物が俺の名前を呼ぶ。

 

俺の事を『真拓くん』と呼ぶ人間は、穂乃果でも、海未でも、ことりでもなく...

 

「ああ、今起きたところだよ...希」

 

「っ!良かった...!」

 

返答を聞いてカーテンを開き俺の顔を見た希は、安堵の表情を浮かべた。

 

「...七年ぶり、だな」

 

「うん...久しぶり」

 

そう言って微笑む希。

 

その笑顔は、俺の中に残り続けるあの日のものと変わらなくて、俺を更に懐かしい気持ちにさせた。

 

 

と、このまま再会を喜びたい所なのだが...

 

「...それで、さっきのは?」

 

俺の言葉にビクッと肩を跳ねさせる希。

 

ちょっとびっくりして叩いちゃった☆

とかいうレベルなら笑って許すのだが、保健室送りとなると流石に理由を問う必要がある。

 

「え、えっと...」

 

俺の問いかけに、希は顔を赤くしながら考える素振りを見せる。

全然目を合わせないし、もしかして...

 

「誰かにやれって言われたとか、言い難い理由なのか?」

 

違うだろう、と考えながらそう問いかける。

でも、もし誰かの命令であったりするならばその人と話をしなくてはいけない。

 

「...か」

 

と、小さな声で何かを言う希。

その手はポケットの中を漁っていた。

 

まさか、脅迫状とか...?

本当に誰かの命令でーーー

 

「カードが...」

 

 

ーーーカード?

 

 

希の全く予想していなかった言葉に首を傾げる。

そんな俺に希はポケットから占い用のタロットカードを取り出し、見せてきた。

 

そこに描かれていたのは、死神(Death)

 

なるほど、つまりカードが...

 

()れって言ったのか」

 

「...そうなんよ」

 

「そっか、カードが言ったなら仕方ないな...

 

...ってなるわけないだろ!?

俺の死因『占い』になる所だったのかよ!?」

 

「そういう事やね」

 

「信じるなそんな占い!」

 

...というか、希が占い好きなのは七年前から知っていたが、その結果を見て人を殴るなんて事は無いだろうからきっとまた別の理由があるのだろう。

 

まぁ大切な友人を悪者扱いする気も無いし、起きてる俺を見て安心するようなら嫌われてるわけでもないだろうし、納得したって事にしておこうか。

 

「それにしても、占い好きは変わらないんだな」

 

「結構当たるって評判なんよ?」

 

「そういえば七年前もよく当たってたっけ、懐かしいな...」

 

うんうんと頷きながら昔の事を思い返す。

穂乃果達もそうだったけど、俺の幼馴染達は昔から全く変わらないな...

 

 

 

なのに何故だろう、強烈な違和感を感じる。

 

死神のカードを見た辺りから感じ始めて、会話を重ねる毎に強くなっていくこれは、何だ...?

 

希の性格にも、見た目にも、特に大きな変化なんて無いのに感じるこれは...

 

「真拓くん、どうしたん?ウチの顔に何かついてる?」

 

「ああ悪い、ちょっと考え事、を...? ウチ...?」

 

顎に手を当てて希を見つめる俺に、彼女は頬を僅かに赤く染めて話しかける。

 

その言葉には、俺の知っている希からは聞いたことの無い一人称が含まれていた。

いや、よくよく思い返すと所々に変な言葉が混じっていた気がする。

 

「なんで関西弁...?」

 

「あー、これは関西の学校にいる間に伝染っちゃったんよ。

...変、かな?」

 

「い、いやいや! ちょっと違和感を感じてただけで変では無いよ!」

 

「そっか...良かった」

 

不安げな表情をする希に慌てて手を振ると、彼女はホッ息を吐いた。

 

そういえば、希も親が転勤族で色々な所に行っていたんだっけ。

俺と違って海外まで行った事もあるそうだし、また今度英語でも教わろうか...

 

「って、今何時だ!?」

 

「えっ、11時半くらい...あっ!授業!」

 

「しまった、急ごう!」

 

「うん!」

 

ベッドから降りて靴を履き、保健室を飛び出す。

 

希との話が盛り上がって授業の事を完全に忘れていた。

保健室にいた俺は別に少しくらい遅刻してもお咎めなしだろうが、健康体の希だと話は別だ。

 

「真拓くん、ウチはここの階段だから、またね!」

 

「ああ、また今度!」

 

 

「...マネージャー、頑張ってね」

 

 

「っ! おう!」

 

別れ際に背中にかけられた声に振り返って反応するが、そこにはもう希の姿は無かった。

 

...本当に、俺の周りには良い幼馴染しかいないな。

 

教室に向かって再び足を進める。

この学校の副会長に応援されてるんだ、頑張って廃校を阻止しなきゃな...

 

 

 

...なんで希は俺がマネージャーをやるって知ってるんだ?

 

昨日の話をどこかで聞いていた...?

いや、部活を始めたいと言っただけだし、第一承認されていない。

 

朝、俺が気絶してる間に知ったとか...?

いや、講堂の使用許可を取るだけでアイドル活動の事はひとまず伏せておくという話になった筈だ。

 

じゃあ、なんでーーー

 

 

「...何だこれ」

 

 

考えながら歩く俺の視界の端にあるポスターが映り込む。

 

そこには、デフォルメ化された穂乃果達の絵と『初ライブのおしらせ!』という文字が描かれていた。

 

ファーストライブを行う予定の新入生歓迎会は、今からおよそ一ヶ月後。

 

まだライブを行う場所以外何も決まっていないのに、掲示板なんて人目につく場所で公開してしまったという事は、『間に合いませんでした』じゃ済まないという事で...

 

 

「やる気があるのはいいけどさ...

もうちょっと考えてくれよぉおおッ!」

 

 

そんな俺の悲痛な叫びは、授業開始のチャイムにかき消されて誰の耳にも届かなかった。

 




...私は恋愛に疎いのですが、恋する乙女とはこういう感じでいいのでしょうか。
恋とは甘酸っぱいものと聞きましたが、甘酸っぱいってなんだよ。


次回の青の物語は、真拓達がファーストライブに向けて準備を進めていく話です。

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