ラブライブ!〜二色のマネージャー物語〜   作:紅翼 天奈

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緑 1-1話 青の少年と衝撃の新事実

小鳥のさえずりが聞こえ、花は咲き誇り、桜が舞う。

 

靴を履いて外へ出た僕の体を太陽が照りつけ、四月ながら暖かな陽気を感じる。

 

 

今日は音ノ木坂学院の入学式。

 

 

「行ってきます」

 

 

僕は家の中に向かってそう言うと。

 

 

目の下にくっきりと浮かんだ隈を気にしながら駆け出すのだった。

 

 

...格好悪ぅ...

 

 

 

 

 

 

それは昨日の夜の事。

 

「...眠れない」

 

そう呟いてベッドから起き上がった僕は、台所まで行って一杯の水を飲む。

冷たい水が喉を潤すと同時に心臓が高鳴っているのを感じた。

 

その原因は...

 

『一緒の学校だね!』

『楽しみだにゃー!』

 

音ノ木坂に進学することへの期待。そして、

 

『待ってるぜ』

 

スクールアイドルのマネージャーを目指す事への不安。

 

どんなにやる気があっても、メンバーが集まらなくては意味は無い。

でも、きっとあの二人なら...

 

いや待てよ。

 

例え二人がスクールアイドルになってくれたとしても、僕を合わせて三人。

さっき調べたところ、音ノ木坂学院において創部の申請をするには最低でも部員が五人必要だという事が分かったんだ。

 

スクールアイドル部(仮)が作れなくては学校の名を借りて活動する事なんて出来ないから、最低でもあと二人...

 

まぁ、音ノ木坂は元女子高。

先輩には女の人しかいないんだし、なんとかなるなる!

 

 

いや、でもーーー

 

 

いやいやこれじゃーーー

 

 

いやいやいやダメだってーーー

 

 

 

 

...こうして考えているうちに時計の針ははどんどん進み。

 

 

「...和真、こんな朝から台所で何してるの...?」

 

「はっ!?」

 

 

僕が起きてきた母に起こされたのは時計の短針が『6』を指す頃で。

 

「もしかして、入学式が楽しみで寝られな...」

 

「ち、違うッ!実は今日は登校の時間が早かったのをすっかり忘れてたんだッ!」

 

僕は、ニヤニヤと笑う母に苦しい言い訳をするのだった...

 

 

 

 

 

 

「...明らかにバレバレだったんだから、少しでも寝とけば良かったかな...」

 

その後、急いで制服に着替え、昼食用に買っておいたパンを持って家を飛び出した僕は、現在スマホの地図アプリを頼りに音ノ木坂学院を目指していた。

 

本来なら地図アプリなんて使わず、登校している生徒について歩きながらスクールアイドルをできそうな人を探そうと思っていたんだけど...

 

「絶対に早すぎたよね、まだ7時だもん」

 

家を出る時間が早すぎて、音ノ木坂の制服を着た人が一人も見当たらない。

 

同じ場所を目指している人が近くにいないというのは、地図アプリを使っているにもかかわらず、本当に道が合っているのかが不安になり、不安で心臓が爆発しそうになってくる。

 

と、ドキドキと鳴る心臓を押さえながら歩いていると、地図アプリがピコンという軽い音を鳴らして案内を終了した。

 

スマホから目を離して顔を上げると、音ノ木坂学院下と書かれた看板と大きな階段が目に入る。

 

「良かった、間違ってなかった...」

 

そう安堵して息を吐くと、急に膨れ上がってきたワクワクに背中を押され、その階段を勢い良く駆け上がる。

 

普段は運動なんかあまりしないし、自分の運動神経はかなり悪い方だと思う。

そんな僕が階段を駆け上がりなんてしたせいで、階段を登り切った時には、息が切れて肩が大きく揺れていた。

 

「はは、慣れない事はするもんじゃない、ね...」

 

そう小さく呟いた後、顔を上げて目の前に現れた建物を見る。

 

それは大きくて、綺麗で。

今からここに通えることを幸せに思えるような見た目だった。

 

「「ここが、音ノ木坂学院...!」」

 

そう零すと、信号を渡ろうと...

 

あれ?今、声が重なったような...?

 

学校から目を離して左を見ると、こっちを見ていた青い瞳と目が合った。

 

「「あ、どうも」」

 

またしても重なる声。

この黒髪の男の人とは気が合いそうな気がする。

 

それより、男の人が音ノ木坂学院に向かって歩いているということは...

 

「もしかして、この学校の新入生ですか?」

 

「いや、この学校に転校して来た二年生だよ」

 

「えっ?」

 

つい素っ頓狂な声が出てしまう。

 

「この学校って、今年から共学になったんですから二年生には女子しかいないんじゃ...」

 

「あー、そうみたいだね...」

 

僕がそう言うと、彼は少し疲れたような様子で笑顔をみせる。

 

女子しかいない学年と知りながら、転校してきた...?

 

「もしかしてこの人、変態...?(ボソッ」

 

「聞こえてるけど変態ではないよ!?」

 

僕が小さく呟くと、彼はツッコミを入れるかのように反応する。

 

「あ、ごめんなさい...」

 

「まぁ、そう思われても仕方ないからいいよ」

 

よ、良かった。

入学初日から上級生に悪印象なんて持たれたくないもんね...

 

「ところで、君はなんでこんな時間に学校に来てるんだ?」

 

ギクッと、肩が跳ねる。

入学するのが不安で一睡も出来ず、それが親に見つかって誤魔化す為に家を飛び出したなんて言えない。

 

「そ、それはですね...ちょっと、早起きしすぎて」

 

「そっか、まぁ新学期の始まりは早起きしちゃうものだよな」

 

「そうなんですよ、はは...」

 

し、信じてくれた。

いい人で本当に良かった...

 

安心しながら先輩と一緒に校舎に入る。

 

中も綺麗なんだ、いい学校だなぁ...

特にやる事も無いし、校舎内でも見て回ろうかな?

 

「それでは先輩、僕はそろそろ行きます」

 

それだけ言うと、先輩の反応を待たずに歩き出す。

このいい学校で、スクールアイドル達と一緒に楽しく過ごしていくんだろうなぁ...

そう思うと、楽しみで仕方なくなってくる。

 

おっと、スクールアイドルも大事だけど、友達もしっかり作らなくっちゃ。

さっきの先輩みたいないい人と友達になりたいなぁ...

 

そう考えながら鼻歌交じりに廊下を歩いていると、廊下に落ちていた一枚の紙を見つけた。

 

「なんだろう、これ...

《今年度入学者名簿》?」

 

きっと先生の誰かが落としたプリントなんだろうし見ちゃいけない気がするんだけど...気になるし、ちょっとだけ。

 

「どれどれ...40人...?

へー、一組は40人もいるんだ、案外多いね...ん?」

 

と、ここで違和感に気付く。

一年生一組の人数が書いてあるその下に、一年生二組の事が書かれていない。

 

まさか、と思いながらプリントをよく見ると、『一年生:40人』と書いてあった。

 

「う、嘘でしょ...一クラスしか無いの...?」

 

き、聞いたことの無い学校だからあんまり人がいないんじゃないかとは思ってたけど、まさか一クラスしか無いなんて...

 

ま、まぁ、一クラスしかないなら仲良くなるのも簡単だろうし、多少は...

 

そう思いながらプリントを読み進めると、多くの女子の名前が書いてある表が出てきた。

 

「あ、小泉さんと星空さんの名前がある...

一クラスしかないから、同じクラスなのは当たり前だけど、知ってる名前があるのは嬉しいね」

 

そう呟きながら表を読み進めて行くと、男子生徒の名前が書いてある所を見つけた。

 

「さて...男子は何人くらいいるのかな〜

えっと、男子生徒総数...1」

 

 

 

ゑ?

 

 

 

自分で読みあげて、少し動きが止まる。

待って、待って、1って事はーーー

 

「新入生の男子は、僕だけってこと...?」

 

あまりの衝撃に思考回路が半分ストップするような感覚を味わいながらも、その事実をゆっくりと噛み締め、飲み込むと...

 

急に、気が遠くなるのを感じた。

 

「う、嘘でしょぉおおおおお!?」

 

柄にもない絶叫を発しながら後ろ向きに倒れて行く。

 

ああ、どうやら僕の高校生活は、最悪のスタートを切ったみたいだーーー

 

そして、地面に背中がつくと同時に僕の意識は完全に深い闇へと落ちて行ったのだった。




二話合わせて話を考えていると、性格や一人称が分からなくなることがたまにあります。
こまめな見直しは大事ですね。

...って書いてたのに予約投稿をし忘れるバカがここに。
焦ってすぐ消して自動保存から途中のものを引っ張り出して書き直す羽目になりました。
本当に見直しは大事です。

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