ブロッコリー……じゃなくて、ブロリー!   作:Mr.ねこ

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第10話

 暗証番号とカードキーを手に入れた俺は、兵士にバレないように帽子を目深に被ると再び金庫のような扉へと進み出した。

 だが、色々迷いながら研究棟へと辿り着いた事もあり、少々迷ってしまい………いや、正直に言えば迷子になっちゃったようだ。

 

 此処は何処? 私は誰?

 

 などとふざける暇はない。夕飯時が近くなったせいか、沢山の兵士を見掛けるようになったからだ。それは気のせいではなく、通路を進んでいるとドンドン兵士とスレ違う人数が増えている事から考えると、先ず間違いないと思える。

 

 俺がいくら変装しているからとは言っても、身長が150センチしかないのだから不審に思う兵士も現れる筈。

 故に、少々焦りながら今歩いている場所が何処なのかを知ろうと努力するものの、何処もかしこも同じような造りになっているので見分ける事も出来ず、とうとう明らかに通った事もない場所へと来てしまった。

 

 此処は……牢屋か? 何で兵器製造所に牢屋が? いや、兵器製造所ってのは、あくまでも俺の推測にすぎないんだけどね。

 

 兎も角、牢屋に用は無い。となれば、当然俺は踵を返し再び金庫を探そうと背後へと振り返る。だがその瞬間、牢屋の一つからカタンと金属音がし、俺は反射的に視線を向けた。

 するとそこには、妙齢の女性が一人立っているのが俺の目に映った。

 

「妙に背の小さい兵士ね」

 

 悪かったな、小さくて! でもな、俺はブロリーなんだ。つまり、将来的には滅茶苦茶デッカクなる筈なんだよ!!

 

 ちょっとイラッとしたが、大人のブロリーの姿を知っているだけに、それをイメージして溜飲を下げる。

 

「女性の兵士かしら? 私と同じで勇ましいわね」

 

 ……つうか、コイツは誰だろうか? レッドリボンの基地で囚われているって事は、悪いヤツじゃないって事だよな?

 

 目の前の女性について考えていると、女性が更に言葉を紡ぐ。

 

「こんな場所に入れられてるから暇なのよ。何か話をしてくれない?」

 

「……何者だ?」

 

「男? ……背が低かったから女性なのかと思ったわ」

 

 身長についてはもういいっちゅうねん! 何度も言うなよな!!

 

「……何者だと聞いた筈だが?」

 

「気にさわった? そんなに怒らないでも良いじゃない」

 

 質問に答えて貰えないので会話のキャッチボールが成り立たない。……いや、敢えて言葉のキャッチボールをせずに、自分のペースに持ち込もうとしているのかもしれないな。

 兎も角、俺から何か情報を聞き出そうとしているところから見るに、きっとレッドリボンの兵士ではないのだろう。それに、レッドリボンの兵士なら牢屋に入れられる筈がないし、やはり第三者なのは間違いないと判断して良いと思える。

 だがそうなると、目の前の女性は何故レッドリボンに囚われているのかが疑問だ。

 

 このまま再度尋ねても喋らないだろうと思えるので、取り敢えず脱帽する。そうする事によって俺が子供である事を相手に示し、それと同時に俺がレッドリボンの兵士ではないのを証拠に会話のキャッチボールをしようと試みたのだ。

 すると、俺が子供だと知った女性は予想以上に驚き、少し俺の予想外の方向へと女性の考えが飛んで行く。

 

「レッドリボンは子供ですら兵士として運用しているの!? なんて酷い事を!!」

 

 ……確かに俺が前に居た地球上でも、子供の兵士を運用している国があったりしたけど……いや、あれは政府軍じゃないから国じゃないか。反政府組織だったな。

 いやいや、それはどうでも良い。

 

「俺はレッドリボンの兵士ではない」

 

「どういう意味……まさか!? 救出部隊が貴方なの!?」

 

「救出部隊? つまり、お前は正規軍の人間なのか?」

 

「救出部隊じゃないの? でも、それなら何で子供が此処に居るの?」

 

「暇潰しに泳いでいたら、イルカが教えてくれたんだよ。怪しい人間達が、此処に海底基地を作って何やら行っているってな」

 

「まさか、それを聞いたから此処に来たの!? こんな危険な場所に!?」

 

 嘘ではないと頷く事で言外に告げると、女性はますます信じられないと叫びながら動揺する。そして、頭を抱えたまま大きく溜め息を吐く。

 だが、暫くすると俺に呆れたような視線を向けながら口を開いた。

 

「私の名前はメリル、メリル・シルバーバーグよ。貴方の名前は?」

 

 へ? 嘘だろ!? 何でメリルが居るんだよ!!

 

 俺が女性の名前を耳にして思わず放心していると、再度メリルが名前を尋ねてくる。それによって我を取り戻す事に成功した俺は、その戸惑いを表に出さないように意識しつつ返答する。

 

「……ブロリーだ」

 

「分かった、ブロリーね。それで、此処に侵入して何をしていたの?」

 

「取り敢えず、この施設が何を目的にした施設なのかを調査していた。俺の推測では、兵器製造所ってところだが……」

 

「なかなか鋭いわね。でも正確に言うと、この施設はとある兵器だけを組み立てる為だけに存在する場所よ。……まぁ、私も何の兵器を組み立てているのかは知らないけど」

 

 ……潜水艦で此処にナニカを運び込み、そして組み立てるって事か。その謎のナニカは、余程に重要機密なんだろうな。

 でなけりゃ、わざわざこんな海底に基地など造ろうと考えないだろう。

 

 それとメリルと話していてもう一つ分かった事があるのだが、それはメリルが正規軍に所属しておりレッドリボンの兵器を調査する為に潜入し、尚且つその過程で囚われたって事だ。

 勿論、これははっきりとメリルから聞き出した事ではないので俺の推測の域を越えないが、それでも現状では大きく外れた推測とは思えない。なので、恐らく当たりだろう。

 

 って言うか、メリル・シルバーバーグがドラゴンワールドに居るとは驚いたな。マジでビックリしたぜ。

 とすると………いや、まさかな。それは流石に有り得ないだろう。

 

 俺が内心で一人問答していると、天井の通気孔の蓋が独りでに外れ落ちた。無論、そんな不自然な出来事に直面した俺とメリルは、即座に身構えながら通気孔へと視線を向ける。

 すると、その通気孔から三十代半ばの男がスッと姿を現した。

 

 顎髭を生やした男は、地面へと音も無く着地を決めると、屈んだ状態でメリルに言葉を掛ける。

 

「……待たせたな」

 

 ま、ま、ま、まままままままま………まさか!? こんな事があるのか!?

 こ、この目の前に現れた男は、間違いなく……あの伝説の……

 

「成る程、貴方が私の救出部隊の一人って訳ね……スネーク」

 

 スネーーーーーーーーーーーク!!!!! やっぱりあの伝説の男じゃないか!!!!!

 

「救出するだけじゃなく、色々と探っていて遅くなった。すまないな」

 

「構わないわ。何か分かったの?」

 

「あぁ、そこの子供のお陰でな」

 

「……ブロリーの?」

 

 待って、ちょっと待って!! 深呼吸させて!!

 半ばパニックに陥っている俺は、メリルとスネークの視線を集めつつ大きく深呼吸する。だが、なかなか気持ちを落ち着ける事が出来ない。

 それも仕方ないだろう。何故なら、目の前に伝説の男であるスネークが居るのだから。

 

 確かに、俺もドラゴンワールドの中では伝説の男と呼ばれる存在だけど、こうやって客観的に伝説の男を目にすると感動の大きさの次元が違うのだ。スネークの存在感も合わさって、とても軽々しく言葉を発する事が出来ない。

 

「スネーク、ブロリーが何かやらかしたの?」

 

「この施設の重要機密である場所に入る為の暗証番号、そしてそのカードキーを、確かに入手したのをこの目で確認した」

 

「それは有り得ないわよ。だって、カードキーを持ってるのは博士本人よ? それに、博士にはゴライアスと呼ばれる異常なパワーを持ったサイボーグが護衛としてついているわ。しかもそのサイボーグが暗証番号を記憶してるし、拷問や尋問をしても聞き出すのは不可能だわ」

 

「そのサイボーグはブロリーが破壊する事に成功している。余談だが、暗証番号はショートしたサイボーグ自身が喋っていた」

 

「本当なの!? あんなヤツを破壊出来るなんて……」

 

「外見は子供だが、恐らく単純な強さは俺より強いだろう……いや、間違いなく強い。フランク・イエーガーや雷電と同等の身体能力を有しているように見えたからな」

 

 ファッ!? グレイフォックスと雷電も居るの!? もうやだ、何それ怖い((( ;゚Д゚)))

 

 驚愕の出来事が次々に俺を遅い、もう脳がオーバーヒート寸前である。

 だが、このドラゴンワールドは俺に優しくしてくれないらしく、俺の脳を機能停止させんと決定的な一言がスネークからもたらされた。

 

「それより、問題はこの施設で組み立てられている兵器だ」

 

「え、えぇそうね。……私の予想ではサイボーグだと思うのよ」

 

「サイボーグではない。巨大な二足歩行型ロボットであり、あらゆる地形に適応した遠隔地破壊を目的に製作された………その名も、メタルギア!!!

 そのメタルギアが完成した場合、レッドリボンの影響力は今以上に強くなるだろう。そして戦争は形を変え、意志(sense)を持った人間が命を奪い合うのではなく、何のイデオロギーも持たぬ機械が、統率され完璧に統制された普遍な争いによる虐殺になる事が予想される」

 

 キャーーーーーーーーーーー((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

 もう止めてーーーー!! 俺のライフはゼロよ!!

 

 俺の脳が機能停止に追い込まれた中、息を飲むようにメリルが「メタルギア」と呟くと、スネークが大きく首を縦に振るった。

 そんな緊迫した一場面に、俺と言う気絶寸前のせいで白目をした存在が一緒の空間に居るのは違和感しかないぞ。もう居たたまれない!

 

 だが悲しいかな、俺に再び二人の視線が集中する。多分、金庫型の扉の先に行く為にカードキーが必要だから渡して欲しいんだろう。

 俺が博士とサイボーグの二人を相手に闘っていたのは見られていたようだし、暗証番号はその時に聞いただろうから、あと必要なのは俺の持つカードキーだけだからな。

 

 そう俺が予想していると、スネークがメリルの入れられている独房の鍵を開け、俺の方へと歩いて来る。そして、間近まで迫ると立ち止まった。

 ダンディーな顔が眩しすぎるよ!

 

「カードキーを渡して欲しい。君は本当に工作員ではないんだろう? 君には必要無い筈だ」

 

 もう好きにしてくれ。その声とその顔で近付かれると俺の心臓が止まりかねない。

 そんな風に内心で考えつつ、俺は必死に手の震えを押し留めながら懐からカードキーを取り出す。そして、スネークに動揺を悟られぬように差し出した。

 するとスネークは、一言「すまない、助かった」と渋い声で俺に礼を告げると、メリルと共に牢屋から出て行った。

 

 その瞬間、俺は肺の中の空気を全て吐き出し、次いで新しい空気を肺一杯になるまで取り込む。そうする事で幾分か緊張が和ぎ、嫌になるほどに煩く騒ぎ続けていた心臓の音が普段通りに落ち着いた。

 

 マジでビックリした………いや、ビビりまくった出来事だったよ。感動したと言うのも事実だが、それ以上に緊張した一時だったと言えるだろう。

 

 兎も角、もう海底基地の調査は必要無いな。何せ伝説の男が居るんだ。

 俺が行動しなくても、この海底基地は伝説の兵士によって破壊されるだろう。それは間違いない。

 それ故、俺は素早く移動しつつ潜水艦の止めてある部屋から海中へと無事に脱出した。

 

 伝説の男………いや、スネークよ! 良いセンスだったぜ!!




 暗証番号で少しだけ登場人物のネタバレしてましたが、分かりましたか?
 多分、メタルギアが好きな人はピンときたと思いますw
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