ブロッコリー……じゃなくて、ブロリー!   作:Mr.ねこ

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第5話

 パニクりすぎて変な事を考えてしまうような心境に追い込まれる事になったのだが、ブルマと出会った後は流されるままに俺もドラゴンボールの捜索に参加する事となった。

 まぁ、ブッチャケるとドラゴンボール捜索は良いんだよ。武天老師様に……つまり、亀仙人様に出会えるだろうし、俺としては願ったり叶ったりだからな。

 ただ、問題が一つある。

 

「アンタの好きな食べ物は何? やっぱり、ガールフレンドとしては知っとかなきゃならないし、色々教えて欲しいのよね!」

 

 これだ。十一年も過ごした我が家を出発してから、ズーーーッとこの調子なのだ、ブルマが。

 

「……オッコトヌシかな?」

 

「オッコトヌシ? 何それ?」

 

「オッコトヌシってのは……簡単に説明すると猪を巨大にしたヤツだと思えば間違いない」

 

「へ〜、全然美味しそうじゃないわね」

 

 いやいや、あれは滅茶苦茶旨いから! 食べれば分かるぞ!

 いや、そうじゃなくて、別にオッコトヌシの感想はどうだって良いんだよ。問題は前を見て運転して欲しい、という事だ。

 

 現在、俺はブルマの運転する車に乗っている訳だが………運転手であるブルマは、俺に視線を向けたまま時速100キロで(わだち)さえもない道を爆走中なのである。超絶心臓に悪いよ!!

 

「それはそうと、さっき言ってたドラゴンレーダーがあれば別に道を尋ねる必要は無かったんじゃないか?」

 

「必要あるわよ。だって、道を走るのとそうじゃないのとでは、運転する者が体力を消費するのに大きな違いがあるじゃない」

 

 ……まぁ、確かに一理あるな。道の上を走るんなら振動はそれ程大きなものにはならないが、道のない場所を走るなら振動は滅茶苦茶大きくなる。となれば、運転手は結構な体力を消費する事になるだろう。

 原作ではブルマというキャラは非常に知能の高い人物だと描写されていたが、このような運転技術に関する知識にも精通してるんだなぁ。胸は小さいけど、見直したよ。

 

「……ちょっと!」

 

「何だ?」

 

「失礼な事考えてたでしょ!」

 

 ワッツ!? 俺ってサトラレだったっけ!?

 いやいや、そんな訳はないよな! 乙女の勘ってヤツだろう。

 

 女って時々怖いよね。昔の彼女を思い出すよ。

 

「気のせいだ。……いや、マジで」

 

「……何か嘘臭いけど、まぁ良いわ。

 それより、そろそろ着く筈よ」

 

「ドラゴンレーダーに反応があった所か?」

 

「そう言う事! あっ、道があるわよ」

 

 漸く前方へと視線を向けたブルマが見付けたのは、道と呼ぶには頼りない程の道だった。しかしこんなドが付く田舎にしたら、ありふれた道だったりする。

 寧ろ、舗装された道など存在しないと言っても良い。

 

「こんな場所に道があったんだな」

 

「もうアンタの家から100キロは離れてるんだから、知らなくても不思議じゃないんじゃない?」

 

「いや、100キロ圏内は走って移動するには手頃な距離だから、結構色々調べ回ったりしてたんだよ。でも、道とかは見付けられなかったんだよね」

 

「……田舎の男って凄いわね」

 

 いや、確かに田舎の人間の戦闘力は結構高いのだが(平均して戦闘力7くらい)、俺みたいな修行を長年続けている訳ではない為、100キロを走って移動したりは出来ないぞ。せいぜい10キロくらいだろう。

 

 それは兎も角、ドラゴンワールドの中でも最強の男ともうすぐ会えるのかと思ったら、かなりドキがムネムネしてきたな!

 現時点では俺が地球最強だが(戦闘力だけ)、後の闘いでは間違いなく最強となる男だ!

 

 表情には出さず、助手席で一人ワッフルしていると、乱暴な運転のまま車は道の上へと車両を移した。そして、そのままブルマと何気ない会話を続けていれば、道の両脇に鬱蒼と茂る雑木林から俺よりも身長の低い子供 が出て来た。

 しかも、ただ出て来た訳ではない。俺が今乗っている車と同じくらいの大きさの魚を引きずって出て来たのだ。

 

 悟空ーーーーーーーーーーーーーーーぅ!!!!!

 

 俺は内心で叫びつつ、助手席に座る俺へと視線を向けているブルマに忠告する。

 

「前を見た方が良い。人が居るぞ」

 

「へ? あ、ヤバ!!」

 

 ズギャーとかギキャーとかって感じのブレーキ音を響かせながら、俺とブルマが乗る車は悟空にぶつかる寸前で急停止した。

 少々ヒヤッとさせられたものの、土煙が晴れると悟空の姿が俺の目に映る………と言うか、感動しすぎて他に視線を向けられない。

 

 惑星ベジータで一度だけ悟空の姿を見ていたが、今の姿を見れば感動の大きさが違っても仕方ないだろう。何せ、原作初期の悟空なのだ。そりゃ原作と共に成長していた子供の俺からしたら、今の悟空を見て感動に震えない筈がない!

 

 そんな悟空なのだが、何故か如意棒を構えて剣呑な雰囲気を撒き散らしている。

 はて? 何故に怒ってらっしゃる?

 

 暫し呆然としていると、悟空が車に突撃して来た。そして、その瞬間思い出した。

 

「オラの魚はやらねぇぞ!!」

 

 ですよねぇ。そう言えば、これでブルマの車が大破するんでしたね。

 

 車同士の正面衝突かと思える程の凄まじい衝撃が、搭乗者である俺とブルマを襲う。そしてそれと同時に、車は横倒しにされてしまった。

 

 まっこと、大した男ぜよ!! 流石は悟空ぜよ!!

 

 横倒しになった車両の中で一人悦に浸っていると、ブルマは俺とは正反対の怒りの形相で、ウージー(短機関銃の名称)片手に半身を車両外へと出した。

 

「何すんのよ! これでも喰らってなさい!!」

 

 見た目は可愛いだけに、怒ると怖い。美人は怒ると怖いと言われるが、文字通りの意味で怖いね。ブルマは怒らせないようにしよう。うん、マジで。

 

 ウージーは毎分600発の弾丸を放つ。となれば、その先端から光が放出されるのは数秒間だけで、あっという間にカートリッジの中身を悟空に向けて全て放たれるという事。

 しかし、その無慈悲な弾丸を全て喰らった筈の悟空は………

 

「アダダダダ、イテー………もう許さねぇぞ!」

 

「ちょっと何なのコイツ!? 何で死んでないの!?」

 

 タフっすよね。マジでタフすぎるよ。一般人のブルマからしたら驚愕するのも仕方がないと言える。

 ……いや、一般人なら子供に向けて発砲しないか。しかも、明らかに殺すつもりで発砲してたし、やっぱりそんな一般人は居ないと思える。

 

 それは兎も角、話が拗れるのは俺としても良くない訳で、ブルマだと更に喧嘩吹っ掛けそうなので仕方なく俺が車から身を乗り出し話し掛ける。

 

「待て待て、ちょっと落ち着け」

 

「な、ななな……化け物の中から人が出て来た!? オメェら、コイツに食われてたんか!?」

 

「は? あぁ、いや……」

 

 俺が会話を試みようと思ったのだが、あまりに変な事を悟空が言うものだから少々どうして良いのか戸惑ってしまう。

 すると、俺の代わりにブルマが言葉を続ける。……ぶちギレながら、だ。

 

「ちょっとちょっと! 何なのよ、アンタ!! 車が壊れちゃったじゃない!!」

 

 滅茶苦茶キレてます。何なら再び銃を乱射しそうな勢いですよ。

 だが、悟空はブルマを無視して、横倒しになった車を如意棒でツンツンしていた。そして、心底不思議そうな表情を俺へと向ける。

 

「なぁ、コイツ食えっかな?」

 

「アタシの話を聞けぇぇえええ!!!」

 

 ブルマの咆哮が、牧歌的な田舎の風景に響き渡った。そして、俺の脳内ではクレイジーケンバンドの“俺の話を聞け”という曲が何故か流れ続ける事になった。

 

 

 

 

 

▲△▲△▲△▲△

 

 ぶちギレのブルマを宥めつつ、車は食えないと言う事を真剣に説明する俺。……って言うか、俺でも車を見たりしていたのに、悟空はマジで車を見た事がなかったらしい。

 しかも、悟飯さん以外には人との交流も皆無だったようで、悟飯さんが死んだ時以来の人との会話が俺達らしい。凄まじい田舎者である。

 

 で、本題のドラゴンボールへと話が進むと、そこからは原作通りとなった。それと言うのも、ブルマの前で俺が闘ったりした事がない為に、ブルマは悟空をボディーガードとして雇う事になったのだ。

 まぁ、それは予想の範囲内の事だったので、俺としては問題無い。と言うよりも、悟空と一緒に行動出来るのは嬉しいので、何の反論も無いのだ。

 

 問題は移動手段である車を悟空が大破させてしまったせいで、バイクしかないという事である。

 原作ではブルマが運転するバイクの後部に、悟空がチョコンと座っていたのだが、今は俺という異分子が存在するのだ。……つまり、俺を含めて三人となる訳で、そうなると移動手段が一人だけ徒歩となる。

 

 まぁ、俺は別に足で走っても構わない。それだけの訓練はしてきたつもりだ。

 だが、それを提案したがブルマが反論し出した。

 

「二人乗りするならボーイフレンドとした方が良いに決まってるじゃない」

 

「……そのボーイフレンドってのはまだ続けるのか?」

 

「約束破るつもりなの!?」

 

「いや、それは……」

 

「孫くんなら大丈夫よ。サイドカーがあるし」

 

 いや、それならそうと早く言ってくれ。俺はてっきり移動手段が無いものと考えていたんだから。

 

 兎も角、ボーイフレンド云々は置いておくとして、移動手段の問題は解決した。

 で、新たに仲間入りした悟空はと言えば、今はドラゴンボールを取りに行っている最中。ま、家はすぐ近くらしいので、俺達は悟空の取って来ていた魚を代わりに焼いている。

 多分、悟空が戻って来る頃には丁度良い焼き具合になっているだろう。

 

「それにしてもデッカイ魚ねぇ」

 

「そうだな。俺もこんな魚は見た事がない」

 

「食べられる種類なのかしら?」

 

「それは……悟空が何時も食べてるらしいし、食べれるんじゃないか?」

 

「そう言われるとそうね」

 

 いや、マジでデカイ。都会育ちのブルマなら分かるが、俺ですらも見た事が無いからな。そりゃ驚くよ。

 いくらオッコトヌシやティラノサウルス擬きを見慣れたと言っても、流石にこんな巨大な魚は初見です。

 

 悟空に頼めば、一口くらい貰えるかな? 正直言うと、ちょっと味に興味がある。旨いのだろうか?

 

 味の事や白身なのか赤身なのかと疑問を抱いていると、魚が焼き上がった頃に悟空が戻って来た。そして一口だけ貰えたのだが、滅茶苦茶旨かったと言っておこう。

 また食べたいなぁ。

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