ブロッコリー……じゃなくて、ブロリー!   作:Mr.ねこ

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第6話

 悟空との邂逅から数日が経過した。原作では亀と出会うまですぐだったのだが、実際は数日後の出来事らしい。

 何故そんな風に言い切れるのかと説明すれば、先程ブルマに遅すぎるとか亀になるぞとか文句を言いつつ運動の為に外へと出た悟空が、「ドヒャーーΣ(゚Д゚ノ)ノ」と盛大に叫んでいるからだ。

 多分、亀を見付けて本当にブルマが亀になったと思いビックリしてるんだろう。想像力の豊かな悟空ってのも、実に面白いよね。

 

 因みに、俺が居るので”パンパン事件“は発生していない。期待していたヤツには悪いが、原作とは違う年齢のブルマには配慮した結果だ。

 流石にパンツを脱がされるのは可哀想だろう? 俺と同じ十二才なんだぜ?

 

「何叫んでるのかしら?」

 

「さぁ? 海亀でも見付けて、ブルマが本当に亀になったと思い込んでるんじゃないか?」

 

「あのねぇ……海から何百キロも離れてるのよ? 海亀が居る訳が無いじゃない」

 

「外を見てみるか?」

 

「……はぁぁ」

 

 コーヒー片手に呆れるブルマは、そんなアホな事がある筈がないと言いつつ外に出る。

 すると次の瞬間………

 

「何でホントに海亀が居るのよ!?」

 

 ワロスwww 予想通りのリアクションで、余は大変満足じゃwww

 

 あまりにも面白すぎて腹を抱えて笑っていると、ブルマと悟空がキッチンへと入って行った。そして、バケツ一杯に塩水と昆布を入れ、再び外へと出て行く。

 何だかんだ言いつつも、亀の為に食事を用意してやるんだから良いヤツだよね、ブルマって。

 

 で、俺は一人で黙々とパンを胃袋に収めていたら、暫くしてブルマ一人が室内に戻って来た。どうやら、原作通りの流れに落ち着いたようだ。

 となれば当然、外で奇声を上げる恐竜の声を聞けば、ブルマは俺を急かして悟空を追い始める。ま、俺がそこそこ闘えると知らないのだから当然の反応だ。

 

 着の身着のままパジャマ姿でバイクを運転するブルマと背後に座る俺は、暫くして亀を背負う悟空へと追い付く。だが、その場には悟空と亀以外にも第三者が居た。

 俺が乗っていたせいで少しスピードが遅くなり、その結果亀を寄越せと言い募る巨大な狼人間の登場を見逃したようだ。

 

「ほぇ? なぁんだ、結局オメェも亀の事が心配だったんだな」

 

「ちょ、ちょっと……それより何なのよ、この状況」

 

「アイツが亀を寄越せってさ。なぁブロリー、亀ってウメェのかな?」

 

「スッポンは旨いが、海亀は知らないなぁ……そう言えば、登山家が書いた本に記してあったんだが、しっかりと下処理したミドリガメは旨いらしいぞ。スッポン以上に美味だそうだ」

 

「そんなにウメェのか!? オラも食ってみてぇなぁ」

 

 俺と悟空との会話を聞き、滅茶苦茶怯え始める亀。安心してくれ、君を食べるつもりなぞ一切無い。

 ………悟空は物欲しそうな視線を亀に向けているが、気のせいだよね? うん、気のせいだと思う。

 

「わ、私は美味しくないと有名です! メチャクチャ不味いらしいですよ!」

 

「だよなぁ。旨そうに見えねぇもんな」

 

「そんな事よりアイツは何なのよ!?」

 

「お前ら、俺様を無視してふざけてんのか!!!」

 

 プルプルと怒りに震えていた狼人間が、とうとう我慢出来なくなったようで怒りを露に叫んだ。……目の前でコントのような遣り取りを見せられ、無視しし続けられれば誰でも怒るよなぁ。

 しっかし、何故か分からんのだが無性に狼人間をイジメたくなる。何でだろう?

 

「いいか、もう一度言うぞ!! その亀を寄越さねば、ただではすまんぞ!!」

 

 自信満々に言い退ける狼人間だが、やはりムカつく。

 あれか? まだ俺が修行を始めた当初、狼の群れに襲われて殺されかけたのが原因か?

 

「べー、だ。オメェに亀はやらねぇよ!」

 

「クックックッ、どうやら死にたいらしいな」

 

「オラは強いから負けねぇぞ」

 

「ふん、貴様のようなチビなど一捻りにしてやるわ!」

 

 ジッと二人の遣り取りを見てて、やっぱりムカつくなぁと思っていると、ドンドンその思いが強くなってきた。

 でも、俺は本物の狼を見ても別になんとも思わないのだが……知らぬ内にトラウマになってたんだろうか?

 

 うーん、良く分からんがムカつくのは止められないので、悟空の前に身を乗り出す。

 

「なんだよブロリー? アイツと闘うのはオラだぞ?」

 

「いや、何か無性にムカついてしょうがないんだよ。代わってくれないか?」

 

「えー……じゃあ、昨日オメェが言ってたオッコトヌシってヤツを今度食わせてくれよ!」

 

「おう、良いぞ」

 

「うひゃー、楽しみだなぁ。想像したら腹が減ってきたぞ」

 

 いや、今度だぞ、今度。この後すぐって意味じゃないからな。

 

「ちょ、ちょっと! やめときなさいよ! 孫くんに任せてた方が良いわ!」

 

「問題無いよ。コイツみたいな雑魚なら、指一本で殺せるし」

 

 大袈裟に言ってる訳じゃない。多分オッコトヌシより戦闘力は低いだろうし、本当に指一本で倒せると思う。

 そんな俺の発言が気に入らないらしく、狼人間はプルプルと拳を震わせつつ腰に差している剣を抜き構える。そして、何の構えもしていなかった俺に向けて、勢い良く剣を振り下ろした。

 

 だが、俺からしたら欠伸が出るくらいのスピードにしか感じられず、一瞬で狼人間の肩に移動する。

 すると、俺の姿を見失った全員が動揺の声を上げた。

 

 キョロキョロと俺の姿を探す狼人間に向けて、敢えて攻撃せずに声を掛ける。

 

「のろまなヤツだ」

 

「な、何!? 何時の間に!?」

 

「メチャクチャ手加減してやるよ。感謝するんだな」

 

 そう声を掛けた後、俺は狼人間の眉間を狙ってデコピンをした。……いや、マジでただのデコピンだ。殺すまでもないし、出来る限り人殺しとかしたくないからな。

 

 で、俺のデコピンを喰らった狼人間は盛大に吹っ飛んで行き、巨大な岩にぶつかると白目を剥いて地面に倒れ伏した。

 うむ、完全勝利です! 対人戦は初めてだが、無事に勝利出来ました!!

 

 謎のムカつきから解放され、スッキリした俺が満足したように小さく頷いて悟空達に視線を向けると、ポカンと俺へと視線を集中させている事に気付く。

 

 速すぎて見えなかったからかな?

 

 そう思いどう声を掛けようか迷っていると、悟空が満面の笑みで口を開く。

 

「オメェ強かったんだな! おどれぇたぞ!!」

 

「まぁ、そこそこは強いつもりだ」

 

「いや〜そこそこって感じにゃ見えなかったぞ。オラより修行したんだろうなぁ………なぁ、今度オラと闘ってくれよ」

 

 悟空から闘いの誘いを受けるとは………感激だ!!

 十一年間の長きに渡って、ひたすら修行づけの毎日を送ったかいがあると言うものだ。

 しかし、ここでテンションを上げて返答すると、俺が変なヤツだと思われる為、敢えて軽い口調を意識して返答する。

 

「今度な」

 

「へっへへ〜、楽しみだなぁ」

 

 俺が感動しつつ悟空と会話していると、フリーズ状態から立ち直ったブルマが必死な様子で話し掛けてきた。

 

「ね、ねぇ! アンタ強かったの!?」

 

「あぁ、そこそこな。少なくとも、あんな雑魚よりは強いぞ」

 

 親指でクイッと倒れ伏す狼人間を指差しつつ、そう答える。すると、何故か嬉しそうに笑顔で跳び跳ねるブルマ。

 まさかとは思うが、ブルマも闘って欲しいとか言いだすんじゃないよな? 原作と少し違う年齢というだけだと思ってたが、武術にも興味があったとか?

 

 え、何それ怖い。そんなブルマはブルマじゃねぇ。

 

「顔だけじゃなく、強いとなったら更にポイント高いわね! アタシのボーイフレンドとして、花丸合格よ!」

 

 なんじゃそりゃ………まぁ、戦闘狂のブルマじゃなかっただけ良しとしとこう。

 俺は悟空との会話で爆上げとなっていたテンションを、跳び跳ねたり海亀を撫でたりするブルマを眺めつつ落ち着ける。

 

 そうして暫くした後、俺達は海に向かって進み始めた。

 

 

 

 

 

 

▲△▲△▲△▲△

 

 見上げれば青い空、前方を見れば広がる大海原。最高のロケーションである。

 突如としてドラゴンワールドに来た俺は、十二年ぶりの真っ青な海を見て遠くへ来たもんだとオッサン臭くしみじみと思い深呼吸していた。

 他のドラゴンボールを探す面々は、海亀と何やら会話している。多分、助けてくれた礼をするから待っててくれ、とかって言われてるんだろう。

 

 俺は別に礼とか要らないので、会話に混じる事もなく久しぶりの海へと身体を浸す。

 

「うおっ、結構冷たいな」

 

 現在、この近辺の季節は夏である。しかし、海水は意外と冷たかった。

 だが不快に思う程でもない為、そのまま身体を浸して海面に浮かぶ………って言いたいところだが、筋肉質な身体のせいか、海面に留まる事が出来ずに自然と沈んで行く。

 

 まぁ、考えてみれば当然だな。地球に来てからズーーーッと鍛え続けていたんだから、脂肪なんて殆んどついていないのだから。

 

 優雅に海面に浮かぶのを諦めた俺が、体勢を整える為に海中を蹴ると、丁度亀が泳ぎ去って行くのが視界に入った。亀は心底嬉しそうに笑っていたように俺には見えた。

 何せ海亀なんだ。陸に居続けていた期間は大変だったのだろうと察せられる。

 

 

 苦労しただろうなぁ、と俺が内心で思っていると背後から俺を呼ぶ声がした。そしてその声のする方へ視線を向けてみると、何故かブルマが爆笑していて、悟空は苦しんでいた。

 

「……どうしたんだ?」

 

「ちょっと聞いてよ。孫くんったら、海水をがぶ飲みしちゃったのよ! アハハハハ!!」

 

「オメェら、この水は飲まねぇ方が良いぞ。メチャクチャ辛いかんな」

 

 そりゃそうだ。何せ塩水だからな。

 

「ホント田舎者ねぇ。海の水は飲んじゃダメに決まってるじゃない……でも面白かったわよ!」

 

「ひぃ〜……海って変な川なんだなぁ」

 

 いや、川ではないぞ。海は海だ。断じて河川ではない。

 ま、悟空に説明するのはクリリンの役目だから諦めるが……と言うよりも、クリリンの方が説明するのが上手いだろうからな。

 

 クリリンの登場はまだ先だが、その時に覚えてたら話を振ってみるとしよう。

 

 そんな風に考えつつ、やれ珍しい魚だとか、やれこれは旨いのかとか、ほぼ食事に関しての話題ばかりを中心に話し合い、実際に焼いて食べながら亀を待つ。

 すると、俺と悟空の視力でなんとか見える距離に、亀の甲羅に立つ老人が見えた。

 

 武天老師様ぁーーーーーーーーーー!!!

 

 俺一人が感動している中、やがて甲羅の上に立つ甲羅を背負った老人は、よっこいしょういち、と言うしょうもないダジャレと共に陸に降り立った。

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