ブロッコリー……じゃなくて、ブロリー!   作:Mr.ねこ

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第7話

「グッドアフタヌーン、亀を助けてくれたそうじゃの。礼を言うぞ」

 

 アロハシャツが滅茶苦茶似合う老人は、ポカンとする悟空とブルマを無視して言葉を続ける。

 

「わしは亀仙人と呼ばれておる、宜しくの。

 ……して、亀よ。助けてくれたのは誰じゃ?」

 

「このお坊ちゃんのお二人です」

 

「うむ、ではお礼に素敵なプレゼントをあげちゃおう」

 

 いや、俺は要らんぞ。弟子にしてくれればそれで良いのだ。だが、そうは思うものの、折角の原作の流れを今は見ていたいので邪魔はしない。

 原作キャラの初登場時くらいは黙って見ていたい。別に悪い事をする訳じゃなし、構わんだろう。

 

「来い、不死鳥よ!!!!」

 

「あの、大分前に不死鳥は死にましたよ。確か食中毒だったかと」

 

「何!? 気付かぬ内に死んでしまうとは、立つ鳥跡を濁さず、と言うヤツを見事に体現しておるの」

 

 いやいや、それは違うだろwww ただ単純に武天老師様が気付かなかっただけじゃんwww

 俺が内心でツッコミつつ爆笑しているのとは正反対に、ブルマは不死鳥が死んだ事に呆れ、悟空は現状の展開が理解不能で固まっている。

 

 そんな俺達を置き去りに、亀と武天老師様の二人は何やら話し合い始めた。

 

「永遠の命をやろうと思ったのじゃが……他に何かあったかの?」

 

「……私に聞かれても困るのですが、強いて言うなら筋斗雲はどうです?」

 

「おぉ、そうじゃそうじゃ。それがあったの」

 

 大きく二度頷いた武天老師様は、空に向かって再び叫ぶ。

 

「来い、筋斗雲よ!!!!」

 

 杖を掲げて叫ぶと、何も遮る物が無い青空に武天老師様の声が木霊した。すると空の彼方から、此方に向かって凄まじい速度で飛翔して来る一塊の雲が姿を現す。

 俺が全力で走る速度を上回る筋斗雲は、その速度を俺達の目前まで保ちながら接近し、そして悟空の顔辺りの高さで急停止した。

 

 メッッッチャ速いな!! これは俺も少し欲しいと思うが、実際に乗っているところを想像すると怖いから……やっぱり要らん!!

 

 別に高所恐怖症って訳じゃないが、あの速度で飛ばれたら誰でも怖いと思う筈だ。そう思わない人物は、多分悟空くらいだろう。あとは、息子の悟飯とか悟天とかかな?

 ……いや、大概のZ戦士なら大丈夫そうだな。ただし、一般人なら全員が恐怖するだろう。

 

「これは筋斗雲と言う有り難い雲じゃ。これをお主にやろう」

 

 俺の隣に立つ悟空に向かって武天老師様がそう言うが、悟空はキョトンとしたまま首を傾げる。

 俺としては嬉しがると思っていただけに、そのリアクションに疑問を覚えるが、悟空が武天老師様に向かって放った言葉で笑ってしまった。

 

 だって「どうやって食うんだ?」、って言ったんだぞ? 俺は爆笑しながら思わず「食いもんじゃねぇよ!」、って武天老師様と同時にツッコミを入れてしまったぜ。

 

 いやぁ、悟空の予想外すぎる頓珍漢な発言は面白いよなぁ。それに、ハンカチで額の汗を拭いつつ呆れる武天老師様も面白すぎるよ。

 

 で、その後は原作通りの流れを辿るのだが、俺の分もお礼をくれると言ってくれたので、武天老師様の持っているドラゴンボールをブルマに上げて欲しいと頼んだ。

 すると、すんなり武天老師様は首に掛けていたドラゴンボールをブルマに渡してくれ、ブルマは滅茶苦茶嬉しそうに笑っていた。

 

 これで残りのドラゴンボールは3つと言う事になる。悟空とブルマならすぐに見付けてしまうだろう。

 

 俺は喜ぶ二人をよそに、少し離れた場所で武天老師様と内緒話をする。

 

「すいません、実はお願いしたい事があるのですが」

 

「ふむ、悪いが筋斗雲は一つしかないのじゃ。じゃからもうやれんぞ」

 

「いや、筋斗雲が欲しいのではなく……武天老師様の弟子にして欲しいのです」

 

 武天老師様は俺達に“亀仙人”としか名乗っていなかった。それ故に、俺が武天老師様と呼ぶと大層驚きになられ、何故知っているのかと聞かれてしまう。

 

 ……うむ、ミスったな。理由を考えてなかったわ。

 

 ま、ミスったのは間違いないが、テンション上がってたので仕方ないとしよう。それに「武天老師様を知らない人は居ないのでは?」、とそれらしい言葉を投げ掛ければ充分に誤魔化せたしな。

 

 少し照れたように後頭部を掻く武天老師様は、そのまま俺へと視線を向け言葉を発する。

 

「うむ、確かに有名人じゃから知られておっても不思議はないの。………しかし、お主は既にかなり鍛えておるじゃろ? しかも、亀仙流を修めておるように見える」

 

 ワッツ!? 武天老師様ほどの達人なら、見ただけで強いかどうかは確かに分かると思えるが、俺が亀仙流を学んだという事はどういう意味だろうか??

 俺は一人で修行していたし、誰かに師事した記憶もない。

 

 半ば呆然としつつそう考えていると、武天老師様は少し笑いながら俺が亀仙流を体得したと見破った理由を説明し始めた。

 

「達人ともなると、相手の立ち居振舞いを見ただけで分かるようになる。歩き方、立った状態での体重の掛け方などじゃ。

 それらが教えてくれるのじゃ、お主は間違いなく亀仙流を体得しておると」

 

 そう自信満々に告げられ、俺は武天老師様が勘違いした理由に思い至った………いや、あながち勘違いとは言えないのかもしれないが。

 つまり、十一年間の俺が行った修行は、全て武天老師様が悟空やクリリンに施した修行内容であり、それ以外の何物でもないのだから亀仙流を学んでいたと言える訳だ。

 だが勿論、俺としても独自の………いや、独自ではないが、ドラゴンボール以外の漫画の作品に登場する修行をやっていたりする。ま、それが身になっているかどうかは分からんがね。

 

 それは兎も角、武天老師様の発言に内心で納得すると、それが表情に出ていたらしく武天老師様は更に言葉を紡ぐ。

 

「昔に聞いておったからピンときたんじゃ。お主、孫悟飯の孫じゃろ?」

 

「へ? い、いやいやいや、それは違いますよ。確かに聞き齧った亀仙流の修行を長年続けてきましたが、俺は天涯孤独の身ですから」

 

「何じゃと!? とすると、聞き齧った修行方法だけでずっと一人きりで努力しておったのか!?」

 

「はい。………ですが、その言い方だと……何か俺がメチャクチャ寂しい憐れな男みたいな気がするのでやめてくれません?」

 

「いや、すまんすまん。いやぁ、わしゃてっきり悟飯の孫かと思っとったわい」

 

 テヘペロって感じでベロを出す武天老師様。落ち込む俺を気遣ってのリアクションだと思うが、指摘されて思うのは「確かに」という感情なので気は紛れない。

 

 俺、ボッチでした。悲しいくらい、ボッチでした。

 たった今、気付かされました。

 

「ま、それはそうと、見た限りで言えばわしがお主に教える事は無さそうじゃ」

 

「いや………自惚れるつもりではありませんが、確かに基礎体力や筋力などは俺の方が上だと思います。ですが、決定的に俺には勝てないと思える部分が武天老師様には沢山あります。

 パッと思い付くものを例に上げれば、戦闘での駆け引き、経験、武術の技、そして何より、気の扱い方です。中でも気の扱い方は絶対に勝てない部分だと思っています。他の部分については、自身で色々な武術家と闘うなりして身に付けられるでしょうが、武天老師様の奥義である”かめはめ波“などは自己流では身に付けられせん」

 

「う〜む……その年齢でそこまで深く考えておるのか」

 

  武天老師様は自身の髭を撫でつつ、唇を真一文字に結ぶと唸りながら思考の海に沈んで行く。そして暫くして、ニカッと笑みを浮かべながら口を開いた。

 

「良かろう。わしが教える事は少なそうじゃが、お主を弟子にしてあげちゃうもんね」

 

 スゲェ軽い口調の御許しの言葉だな。目の前の人が武天老師様だと知っているから俺は気にしないが、知らない人からしたら胡散臭いと思うだろうなぁ。

 

「あ、有難う御座います!」

 

「それで、すぐに弟子入りするのか? お主達はドラゴンボールとか言うヤツを探しておるんじゃろ?」

 

「あ〜……それは」

 

 う〜ん……ここまですんなりと弟子入り出来るとは思ってなかったから考えてなかったな。

 まぁ、俺が居なくとも問題なくドラゴンボールは集められるのは分かってるんだけど、悟空達について行けばヤムチャとかに出会えるから行きたいっちゃ行きたい。

 でも、それは暫くすれば何度でも会えるんだし、あまり拘る必要は無いとも思える。

 

 どうしようかと気持ちがユラユラと揺れ動いていると、少し離れた位置で話し合っていた俺と武天老師様の所に悟空とブルマが近付いて来た。……悟空は筋斗雲に乗っていて、ブルマは何故か不機嫌そうに見えるが。

 

「美しすぎるのも罪って事なんでしょうけど、アタシを乗せない筋斗雲はバカよね」

 

「オラはそうじゃねぇと思うぞ?」

 

「どういう意味よ!?」

 

「オメェがわりぃ事ばっか考えてっからだ」

 

「そんな訳無いじゃない! 心のあり方が表に出るのよ! どう考えても、アタシの美貌は完璧でしょ!

 ブロリーもそう思うわよね!」

 

「……そういうところがオラはダメだと思う」

 

 ブルマが何で不機嫌なのかは今の遣り取りで充分に理解出来たけど、俺も悟空と同意見だから口をつぐむ。迂闊な発言をすると、ウージーで撃たれるかもしれないからな。

 悟空でも少し痛い程度で済むので大丈夫だろうが、それでも試したいなどと思う筈がない。

 

「それより、オメェ達は何を話してたんだ?」

 

「ん? あぁ、亀仙人様に弟子入りを認めて貰えてな」

 

「弟子入り? ちょ、ちょっと、聞いて無いわよ!?」

 

 そりゃそうだ。何せ言ってないのだから当然である。

 

「それに、なんの弟子入りなのよ!? どっからどう見ても、ただのハゲチャピンじゃない!」

 

 ハゲチャピンてwww 確かにハゲてるのは事実だけどもwww

 内心で爆笑しつつ、チラッと武天老師様に視線を向けるとプルプル震えていた。ワロスwww

 因みに、亀も俺と同じく必死に笑いを堪えている。

 

「なぁ、なんの弟子入りなんだ?」

 

「武術だ」

 

「武術? じいちゃんってつえぇのか?」

 

「強いなんてレベルじゃないぞ。悟空も亀仙人様に弟子入りした方が良い」

 

「へぇ〜、ブロリーが言うんならホントにつえぇんだろーなぁ」

 

 キラッキラッとした目で武天老師様を見つめる悟空とは正反対に、ブルマは胡散臭そうに武天老師様へと冷ややかな視線を向ける。まぁ、知らなきゃそうなると思えるだけに、当然の反応だと言える。

 だが、俺の発言は事実であるし、それは変わらないし変えられない。

 

 この後、ブルマと色々話し合って、ドラゴンボールを探し終わったら会いに来れば良いし俺から会いに行っても良いんだから問題無いだろうという結論に至る。

 因みに、ブルマが亀に住所を聞いていたので迷う事も無いだろう。それと、念のためにと携帯電話を渡されたので会話なら何時でも出来る。

 ただし、電話は一つしか持ってなかったらしいので、俺が渡された電話に掛かってくるのはブルマが家に帰ってからになると思う。

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