なんとかブルマを宥めすかして、結局は別々に別れる事になった。
で、ブルマと悟空二人の背中を見えなくなるまで見送った後は、亀の背に乗る武天老師様の案内でカメハウスへと辿り着く。勿論、俺は泳いで移動していたぞ。
そしてカメハウスに着くなり、先ず始めたのはテレビ観賞である………と言うか、武天老師様が日課にしているらしい“ドキドキ!水着大作戦!!”とか言う番組を、カメハウスに入るなり見始めたので何も言えなかったのだ。
久しぶりのテレビであるが、何が面白いのか判断出来ないので全く何の感慨も抱かなかったよ。だって、水着姿の女の子達が何故かスパイ活動をするという内容で、水着になる意味が理解出来ずポカンとするしかなかったからだ。
ただし、その水着姿の女の子達は非常にナイスバディだったのは認める。それと、滅茶苦茶可愛かったのも認めるぞ。
ま、それは兎も角、漸くその番組が終わると、かなり真剣な表情を窺わせる武天老師様が、お茶を飲みつつ尋ねて来た。
「して、ブロリー自身でも気付いておるようじゃが……戦闘技術や経験は色々な格闘家と闘う事によって学んで貰うとして、気の扱い方を教えるとしようかの」
「はい。宜しくお願いします」
「うむ、しかしそれには必要なモノがあるのじゃが……分かるかの?」
うむ、何となく分かるぞ。武天老師様の鼻の下が伸びているところを見るに、考えている事は手に取るように分かる!
「まさか天下でも最強の格闘家と呼ばれる武天老師様ですからね……不純な事を言われる事はないでしょうし、きっと高尚な事をお考えなのだと察せられますが……。
ダメですね、俺には皆目見当も付きません」
「う、うむ、そ、そそそそそうじゃろうな………!」
ワロタwww 吃りすぎですよ武天老師様www
どうせピチピチギャルを連れて来いとか言うつもりだったんだろうが、針で突き刺すように俺がチクリと告げると慌てた様子でハンカチで冷や汗を拭い始めた。
考えが透けて見えるよ。流石は武天老師様だ。
「ブロリーさん、武天老師様の事を買いかぶりすぎですよ。ホントの武天老師様は………」
「コ、コラ、余計な事を言うんじゃない! 亀よ、お主はホントに口煩いヤツじゃな」
「だったらそれらしくしてくださいよ。そしたら私だって………」
「わ、分かった分かった! ……はぁぁぁ、ほんに口煩い姑みたいなヤツじゃ」
「聞こえてますよ」
「ゴホンッ、地獄耳め」
突如始まる武天老師様と亀のコントwww 滅茶苦茶面白いwww
亀は結構辛辣な事を言うタイプらしい。このコンビが揃ってるところを見るのは最高である。
ただ、原作では亀が途中でフェードアウトするので少し心配だったりする。病気とかになった訳じゃないよな? いや、俺が記憶してないだけで、実は結構出てるのか? 何かそんな気がしないでもないけど……。
ま、一応亀の健康も気を付けておくって事で良いか。
と、俺が亀の身の安否を考えている間に、二人のコントは一応の落ち着きを見せる。すると、武天老師様が今度こそ真面目な様子で口を開く。
「気の扱いと言うても、様々な違いがあるのでな。どのような部分を学びたいのか聞いておこうかの」
「そう、ですね。……やはり気功波関係でしょうか」
「うむ、要は”かめはめ波“の事じゃな?」
「はい」
「成る程の。……ふむ、修行内容を考えておくので数日はノンビリしておいてくれ」
おぉ! と言う事は、俺の為に俺専用の修行内容を作ってくれるって事か!!
いやぁ、滅茶苦茶光栄だ。天下の武天老師様にそこまでして貰えるとは、夢にも思わなかったぜ。
俺が満面の笑みで頷くと、武天老師様は修行内容を考える為に二階へと上がって行く。
うむ、素直に有り難いと言える。だが、少々困ったな。ブッチャケると暇だ。
何せ、此処は小さな島だし、修行するにしたって狭すぎるだろ? せめて島の大きさが今の十倍くらいあるのなら、ひたすら外周を走り回ったり出来るのだが。
「ブロリーさん、どうかしました?」
「へ? あぁ、いや、どう暇を潰そうかと……」
「あぁ、それなら海を案内しましょうか?」
海亀が海の案内……だと……? まさか、竜宮……
「竜宮城ではありません。……竜宮城なんて存在しませんし」
ですよねぇ。そうだと思いました。
しっかし、俺の内心を読むとは……やるな、亀よ!
「やる事ないし、案内頼むよ」
▲△▲△▲△▲△
リトルマーメイドのアリエルってこんな気持ちだったのだろうか?
そんな疑問を浮かべた理由は、亀に案内されて辿り着いた海中の光景を目にしたからである。
視界一杯に泳ぎ回る小魚達や、海底に沈む岩の隙間から時折顔を覗かせる照れ屋なイルカ達は、何時までも見ていたいと思わせる魅力に満ち溢れていた。
本当に別世界かと思える光景に俺はただただ圧倒されるだけであり、それと同時に感じた事も無い感動を与えてくれる世界に感謝する。
素晴らしいの一言では言い表せず、言語化する事さえ不可能なのではとも思わされた。
そんな風に俺が一人感動していると、少し離れた海中で亀とイルカが何やら会話をしているように見えた………いや、海中なのに話が出来るのかは不明だが、兎も角俺にはそう見えたのだ。
そして、その表現は当たりだったらしく、イルカと別れた亀は慌てた様子で俺の元へとやって来た。
此処は海中なので、海の生物である亀は会話に不自由しないだろうが俺は不自由する。と言う訳で、海上に顔を出すと俺を追って来た亀に向けて言葉を掛ける。
「どうした?」
「実は、此処から少し離れた場所に怪しい人物達が集まって居るらしいんです」
「ん? それは、漁師とかって事か?」
「いえ、それが違うらしいんですよ。何やら海底基地を建設して、そこで怪しげな事を密かに行っているようなんです」
はて? 地球でも行われていたような取り組みだろうか?
それと言うのも、生まれながらにあらゆる化学合成物質に過剰反応してしまう体質の人間を対象に、彼等にとって住みやすい環境を海底に建設して移住しようと言う取り組みがあったりする。勿論、自然物質にも過剰反応してしまう者達にも有用な取り組みであるのは言うまでも無いだろう。
それをやっているのだろうか? でも、それを怪しく見えるかと言われれば………いや、取り組みの内容を知らなきゃ充分怪しく見えるよな。
或いは、そんな取り組みとは全く違う事をしている集団って可能性も………まぁ、無いとは言いきれないか。
「ふむ、取り敢えず場所が分かるなら案内してくれるか?」
「はい。ですが、かなり危ない連中みたいですから注意してくださいね」
「何か危ないと言いきれるような事が?」
「物騒な兵器を持っているそうですよ」
「……物騒な兵器ねぇ……分かった、注意しとく」
原作ではなかった出来事だな。と言う事は、特に気にするような事案ではなかろう。
多分、兵器も自分達の身を守る為の物だろうし、危険は無いと思う。
亀に案内されつつそんな事をつらつらと考えていると、暫くして件の海底基地へと辿り着く。見た目は、妙にパイプが多い建築物って程度であり、他にはこれと言った特徴もない海底基地だ。
ま、パイプが多いのも酸素を色々な部屋に送る為の物なのだろうし、そう考えると特段怪しい物ではない。
海中を漂いながら暫く眺め続けているが、やはり可笑しなところはなかったので、亀にジェスチャーで帰ろうと指示を出した。
するとその瞬間、亀が慌てた様子で俺の手を引っ張って海底の岩の影へと連れ込んで行く。
妙に慌ててどうしたと言うのだろうか?
俺が疑問に思っていると、それが表情に出ていたらしく、亀が自身の片手をある方向へと必死に向けた。
小首を傾げつつ、俺はその方向へと視線を向ける。そして、亀が慌てた理由が理解出来た。
なんと、海底基地に明らかに軍用の物と思える潜水艦が入って行ったのだ。しかも、二機も、である。
確かにこれは怪しい………って言うか、それ以前の問題だ。
何せ、二機の潜水艦にはとあるマークが描かれていたからだ。……特徴のある赤い蝶ネクタイのようなマーク。
そう、レッドリボンである。
悟空より早く俺がレッドリボンと関わる事になるとは思いもしなかったぜ! つうか、レッドリボンが何で海底基地とか作っているんだろうか?
マジで謎だな。
一旦海上へと出ると、俺の後にヒョコッと顔を出して来た亀に言葉を掛ける。
「相手は危険思想の連中だから危険な出来事が予想される。俺一人で海底基地に侵入するから、亀はさっきの場所で待っててくれないか?」
「それは良いですけど……」
「俺なら大丈夫だよ。武天老師様との会話を聞いていただろ?」
「ホントに大丈夫なんですね?」
「約束する」
「分かりました。ですが、危ないと思ったらすぐに逃げて来てくださいよ」
俺の身を案じてくれる亀に大きく首を縦に振ると、俺は再び海底へと潜って行く。
そして、先程潜水艦が入って行った場所から音を立てないように意識しつつ慎重に顔を出し、人の目に付かぬようにそそくさと隠れやすそうな箱の影に身を隠す。
潜水艦からの荷物の搬入のせいで、かなり人が多いな。五十人くらいは居るだろう。
しかもそれだけじゃなく、元々この海底基地に居た人間も含めると、きっと十倍………いや、二十倍の規模の人数が居ても不思議じゃない。
海底基地の大きさは、東京ドーム一個分程はあったように見えたから、多分俺の推測はそれ程的外れなものじゃないだろう。
更に現在居る場所の情報を得ようと視線を巡らしてみると、驚きの事実が次々に見付けられた。
先ず、潜水艦の数だ。先程海底基地に入った潜水艦は二機だったが、他にも三機も停泊しているのが見て取れたし、次いで俺は兵器について詳しくないので良く分からないが、重機関銃の類いが積まれている一画があったりして、まるで此処は軍事基地のようだ。
これは結構ヤバい場所なんではなかろうか?
ノンビリした一時から一転して、何故かソリッドスネークのような心境へと変化した俺は、スネークを彷彿とさせる動作で(ダンボール箱を被っての移動)、慎重に基地の内部を探索し始めた。