ではどうぞ。
「転移先…アインクラッド…」
「帰れるんだよね…あたし達…!」
「ああ…れ? 帰れないのか?」
フィリアが転移先をタッチしても、何故か転移しない。試しにケントがやってみると―
「わっ…!?」
転移出来た。しかもフィリアを置いて。
―*―*―*―*―*―*―*
「……ここは…」
「76層主街区、《アークソフィア》よ」
「おぅああびっくりさせんなよリズ!」
ごめんごめん、と陽気に笑う鍛治屋―リズベットは、鍛治屋でありながらマスターメイサー、しかも女性という有名になる原因しか持ち合わせていない。鍛治屋としての腕は相当で、ケントの《砕牙・叢雲》も彼女が作ったものだ。
「…あれ、店はいいのか?」
「あー、それが…
「はい?」
戻れない? 何故? どうして?がおg(殴。それはまずいんじゃなかろうか。
「またまたー…転移門がバグってるだけだろ?転移結晶な…ら…あ?」
状況が飲み込めずにいるケントがストレージを開くと、
「な…なんだよこれ…? 策敵も刀も体術も…叢雲もおかしくなってるし…」
「……76層に来てから、こーゆーバグが多発してるのよ。その刀、打ち直そうか?」
「…ああ、ここまで引っ張ってきたのも無茶があったしな」
元々70層で厳しめの武器だ、流石に替え時だろう。と同時に、はてリンダースに帰れないならどこでやるんだと思ったケントは、思わず聞いていた。
「なあ、リズ…どこでやるんだ?」
「商店通りにあるあたしの店よ?」
何を馬鹿な、とでも言いたげなリズの台詞に、ケントは驚き半分呆れ半分といった微妙な心境だった。
「…お前そういうとこちゃっかりしてるよな」
「キリト達のお陰よ」
「そうかい。またお世話になるよ」
「当ったり前よ。…さ、行きましょ」
「あいよぉぉう!?」
「リーズー♪」
「うわぁ!……びっくりさせないでよストレア!」
あ、良かった。てっきり百合展開になるのかと…と考えたのは言わないでおこう。
「…で、ストレア? だっけ? 攻略組には居なかった顔だけど」
「うん、よろしくねー♪」
「ん、おう」
ケントは、あまりハイテンションに着いて行ける程テンションが高くない。だがストレアとは、不思議と仲良くなれる気がした。
「俺はケント。よろしく」
「うんっ!」
(…おお、結構力強いなぁ)
握手して分かった。少なくとも観光目的で来たプレイヤーではない。しかも、武器は両手剣が振れるぐらいの
「ほら、行くわよ」
「…あ、ちょっと待っててくれ」
「はい?」
「悪い、すぐ戻る!」
と言って転移門を潜ったケントの発した《ホロウ・エリア管理区》の言葉は、リズには理解出来なかった。
―*―*―*―*―*―*―*
「…やっぱり私は、《ホロウ》のフィリアなんだ…」
フィリアは、ケントがアインクラッドへ戻った後、1人で座りこんでいた。アインクラッドへ戻れない。その事実が、フィリアの心を蝕んでいった。5分経っても、ケントは帰ってこない。いつものフィリアなら、買い出しかメンテにでも行っているのだろうと考えた。しかし今は、彼は自分を捨てたとしか考えられなかった。
「…やっぱり……あたしは…っ!」
「あれ?フィリア、なんで泣いてんだ?」
「……え?」
その声にハッと気付き、顔を上げたフィリアの目には、疑問符を浮かべたケントが居た。
「…な、ななな何でもない!」
「そうか? まあ深くは聞かないけど…武器のメンテに行くから、武器貸してくれ」
「あ、それならメンテより打ち直してほしいんだ。AGI重視で」
「あいよ、分かった。あ、そうそう」
「?」
この後聞いた台詞を、フィリアは一生忘れたくないと思った。それと同時に、それは叶わない事だとも思った。
「―俺は、フィリアが
「……うん!」
因みにこの後、リズに「すぐじゃないじゃないのよ!」と怒られ、それでもしっかりと打ち直しをしてもらったのは別の話。
ストレア可愛いよストレア。フィリアの次に好きです。何度かひょっこり出て来そう(小並感)。リズベッドはちょくちょく出ます。まぁメンテナンスだから多少はね?…さて、また頑張って書きますか。
ではまた次回。