なんて茶番やってないで、本編どうぞ。
「うわぁ…綺麗な場所だなぁ」
「凄い…月明かりがキラキラ反射してる…」
どうにかモンスターの群れを退け、教会内部に潜入したケントとフィリアはまず、ステンドグラスから射し込む光に目を奪われていた。
しかし、―フィリアは分からないが―ケントはイルファング改めホロウコボルド王との戦いからここまで、休憩や睡眠を一切せずに来ていた為――
「ふわ……」
「眠いの?大丈夫?」
「ちょっと休んでからにする……」
蕩けた目を眠そうに擦り、今にも眠ってしまいそうなケントは、フィリアの眠気を誘うにも充分な威力だった。
「…ふふっ、そうだね」
と言うとケントの手を取り、「確か外に転移石があったから、それ登録したら帰ろう?」と優しく促されたケントは、眠い体を―正確には脳を―動かし、転移石を目指して歩き始めた。
―*―*―*―*―*―*―*
「…………」
ケントがいつも持ち歩いているらしいクッションに顔を埋め、フィリアはこれからどうしようと考えていた。
自分をアインクラッドへ戻したいケントと、ホロウの為アインクラッドへ行けない自分。根幹からして真反対の2人は、いつか必ず進む道が分かれる。フィリアは、その時が来る事が怖いのだ。
「…すぅ……すぅ……」
「…よく寝られるなぁ……」
尤も、クッションを枕と抱き枕にして、幼くあどけない寝顔を晒している―以前によくもまあ管理区の固い床で寝られるものだ―
それに見入っていたからだろうか、足音を立てずに近付いていた人影に気付けなかった。
「Wow、こいつは驚いた。何度か会いに来てるってのに、警戒心ゼロじゃねえか」
「っ…! 誰!?」
短剣に手を掛け、振り向いたフィリアが見たのは、艶消しの革ポンチョに鋲の打たれたブーツ、そして不敵に嗤う口元だった。だが直後、人影―声からして男―が両手を挙げた。
「おっと、安心しなお嬢ちゃん。殺り合うつもりはねぇ、話さねえか?
流暢な日本語だが、どこかネイティブな発音が混じっていて、それでいて誘われそうな―例えるなら麻薬の様な声。
フィリアは無意識に警戒を高めるも、引っ掛かる節があった為話を聞く事にした。無論、短剣はいつでも抜けるよう準備をしている。
「……私とアンタが、仲間? なんで」
「そいつは簡単だ、
「っ…!」
「俺達は同じオレンジだ、いがみ合うのは止めにしねぇか?」
クックックッと愉快そうに笑う男に苛立ちを感じ、フィリアは思わず「絶対に嫌!」と声を荒げてしまった。近くで寝ていたケントには、勿論聞こえている訳で。
「……ん、んん…」
「あっ…」
「…Shit」
当然と言うべきか、ケントは起きてしまった。視線はぼんやりと宙をさ迷っているが、それも数度の瞬きで戻った。
「…どうした? 嫌な夢でも見たか?」
「ううん、こいつが…あれ?」
「…? ……誰も居ないけど…特徴って分かる?」
「えっと…」
フィリアが特徴を言うと、ケントは顔面蒼白、といった表情で声にならない声を漏らしていた。
「どうしたの!?大丈夫!?」
「フ…フィリア…そいつの、そのプレイヤーの…ギルドアイコンを見たか…!?」
「う…ううん……」
何やら必死の形相で肩を掴んできたケントに、フィリアはただならぬ何かを感じた。
「…なら、まだ確証に欠けるけど……そいつは……
ラフコフ。正式名称、ラフィン・コフィン。電子の牢獄となったこの
フィリアも勿論その名前を聞いていて、被害者が増える度に恐怖を覚え、討伐隊が壊滅させた事を聞いて胸を撫で下ろしていた。だがギルドリーダーであるPoHの姿は見付からなかったらしく、安心しきれなかったのも覚えている。よもやそれが今になって、しかもよりによって
「…どうしよう……」
「…なんとかするしか、ないだろう。……俺達2人で」
ケントの強い意思を宿した瞳を、フィリアは直視出来なかった。
英語が苦手な奴にPoHはキツい(断定)。
因みに、ケントはシリカと同い年(と言う設定)で書いてます。なので、ブラッキー先生とはそこそこ身長差があったり。エギルと並んだら親子かってなりそうですねぇ…
ではまた次回(いつになるんだ)。