ラストファラオ   作:蕎麦饂飩

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光はエジプトに輝く

私達は第6の特異点にやって来た。

 

今回は私達の旅が始まってすぐルキウスという素敵な美形の青年と出会った。

それとほぼ同時に何時かのシスコン疑惑が残るフードで顔を隠した尊大な青年とも再会する事が出来た。

ルキウスは人の良さそうな青年だったが、フードの青年には訝しげな視線を向けていた。

 

「…顔ぐらいは見せるものではないのですか?」

 

今更ながらそれは割と普通の疑問だと私も思った。

決してルキウスが美形だから判定が甘くなったわけでは無い。

それに対し、尊大さがフードに詰まった様な青年の方はこう返答した。

 

「…隠し事をしている目をした男が良く言うものだ」

 

「…っ!!」

 

 

「見通せぬ筈はない。この身は遍くを照らす存在故に。

だが、無理に聞き出そうとは思わぬ。光は影を作るものだ。故に余は影を許そうと思う。」

 

ルキウスと言う青年が隠し事をした目だとは私には解からなかった。

そもそも、目どころか口元以外フードで隠した貴方がそれを言うのもどうかと思うが、

プライドが高そうな相手には変に怒らせるのは愚策だ。

何処か人が良さそうなので恐ろしくないのかも知れないがそれはそれだ。

 

「心に仮面を張り付けた者の目というのは良く解かる。

何せ、目の奥を見せようとはしないからな」

 

うん、言ってる事は凄くカッコいいけれど、貴方何時もフードで目どころか口元以外隠してるじゃないですか。

所謂お前が言っちゃだめだろうという案件だ。

…そう言いたいけれどそんな事は言えない。

 

そして私の様に反論が浮かんだようには見えないルキウスは、本当に図星を突かれて動揺しているのか、

其れとも余程素直なのかだと思う。

やっぱり美形に悪い人はいないと思う。…いや、そうでもないだろうけど。

 

ルキウスは居心地が悪くなったのか、別の事情があったのかその後私達と別行動をすると去って行った。

 

「大丈夫かな、ルキウス」

 

 

心配する気持ちが声に出た私に彼は言った。

 

「案ずる事は無いだろう。あの男は、矢鱈尊大な名前を付けられたにもかかわらず、泣いてばかりで、臆病者で、

だが肉親の死に向かう姿には敬意を以って見送った男に似ている。

あのルキウスとやらも見た目は幼い顔つきだが、少年と言う年でもあるまい。…アレも奴に似た立派な男だろう。

それに『輝き(LUX)』という名前に劣らぬ意志が感じられた。まあ、余と弟には到底かなわんがな」

 

ルキウスを褒める様で結局自画自賛の方向性に持っていくフードの青年は、意外というか、意外でもないというかかなり博識だ。

そして人を見る目があるのかも知れない。

それともう一つ気になるのだけど、フードの下の顔はどうなってるんだろうか?

ネロに似た妹がいるという事だし、美形と言うのは間違いないんだろうけど。

うん、別にイケメンだからって態度を変えるつもりはないけどさ。

 

 

その後、砂漠で旅を続けるにあたり、

実家に帰った安心感の様に、やたらと土地勘を発揮していく彼に着いて行くと、私達は第6王朝末期の女王ニトクリスに遭遇した。

彼はその姿を見るなり、

 

「まさか…、―――直ぐにこの女王に首を垂れるが良い。

この女王は再び昇り輝く太陽であり、知性を照らす美しき鏡の月であり、全てを見通す高き者だ。

焼き尽くす暴虐の光でさえ弾き返す、

誰よりも美しく誰よりも強壮な女王に先ずは敬意を示せ。

…具体的には頭を下げよ。」

 

私達に頭が高いと平伏す様に命じた。

そう言った彼が平然とニトクリスの方向を向いているのはなんだか納得いかなかったが、

今まで彼が自分を称してきたような尊大な言葉てんこもりのオンパレードを他者に向けているのが珍しかったので、

取り敢えず五体投地をしてみた。凄く熱かったが仕方ない。

 

「えっ? ええ…、私こそ、ホルスの化身たるファラオ、ニトクリス。…あなた達の敬意を受け取りましょう」

 

凄く吃驚したようなニトクリス。

もしかしてこんなに敬意を払われるとは思っていなかったのか、私達に敬意を払わせて自分は堂々と立っている青年に呆れたのか…。

どちらかと言えば前者の様な感じを受けるが、私としては後者の可能性を推したい。

 

何だか憧れのアイドルに逢えて興奮したドルオタでさえ驚くような気迫の青年に巻き込まれて五体投地した私達は、

ニトクリスの許可を貰って立ち上がった。

 

因みに、この後ニトクリスの案内でオジマンディアスのいるピラミッドに行く事になったが、

「ピラミッドは顔パスだから(意訳)」と言っていた青年が、

 

 

「ピラミッド、ああピラミッド、ピラミッド。一つは欲しい、ピラミッド…。」

 

 

と季語どころか何の意味も持っていない句を呟く様に詠みだしたのにはどうすればいいのかわからなかった。

そんなにピラミッドに思い入れがあったのだろうか?

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