宴は、終わらない。
新たなる登場人物がたけなわをぶち壊しに来たからだ。
「―――終身独裁官ガイウス・ユリウス・カエサルであるっ!!」
そう名乗った男によって。
ん? カエサル? いや…、誰?
DEBUじゃないカエサル? 何でDEBUじゃないの?
どうして痩せてるの?
誰か女神が住まう湖にでも投げ入れた?
貴方が落としたのはこのカエサルですか? みたいに?
これ…、もうパーフェクトカエサルっていうか只のイケメンだ。
「えっ、嘘…そんな…。カエサル様ッ!?
誰か鏡を…化粧を確認しないと…。だめ、蕩けて化粧が治せそうにないっ」
思わず鏡を探すクレオパトラに鏡を差し出そうとするニトクリス。
いや、それは流石にまずいだろう。酔い過ぎだ。
カエサリオンがそれを止めていた。
「愛しい妻よ、愛しい息子よ、私は帰ってきたっ!!」
クレオパトラが感動の余り涙を流し、気絶しそうになっている。
カエサリオンがそれを支えながら必死に意識を保つよう呼びかけていた。
さっきからカエサリオン忙しそうだね。
後、カエサルって痩せてたら普通にカッコいい。
っていうかカエサリオンの父親なんだろうしイケメンで当たり前か。
「また会ったな終身独裁官ガイウス・ユリウス・カエサル。
此度は一体何をしに来たのだ、ローマの雄弁者よ。」
そんなイケメン(父)の前に阻むように近づいた美形(息子)が問う。
何だか随分と温度差がある。だがそれも、このピラミッドの中での様子を見た後では反抗期の息子にしか見えないが。
「一体何をしに来たとはつれないな。
愛する家族に逢いに来ただけだというのに。
…パパと呼んでくれても良いんだぞ?」
あー、これダメな奴だ。
一応ファラオファラオしたいカエサリオンにパパの息子キャラでいろなんて厳しいと思う。
「それは拒否させて貰おう。母が汝の愛人になったのはそれしかなかった故に。
…何だ、カエサルよ、何故ニヤ付いて…」
ほらね。
「カエサリオンちゃん、それは違うわ」
ほら……ね…?
「母サ…母よ、サーヴァントとして手に入れた気配遮断のスキルを使って、
後ろから忍び寄るのは止めて頂きたい。」
カエサリオンを後ろから抱きしめた、クラス・アサシンの母親クレオパトラに、
血縁ではあるが戸籍上では父親では無い複雑な関係の男に複雑な感情を持っている、
多感な少年にしか見えないカエサリオンが諌めるように言う。
「茶化さないで聞きなさい。
妾は真剣な恋の末カエサル様と愛し合った。如何に息子と言えどそれを否定する事は許しません。」
そんな彼に対し、母親は真剣に言い含めた。
「…そういう事だ。だから呼ぶが良い。
お前は知った。 お前は認めた。 ならば後はお前が呼ぶだけの事。」
そして父親が止めの追撃をする。
うん、カエサルが追撃が得意なのは良く知ってたけど。こういう所でもそうなんだね。
そして難攻不落の純情ボーイは遂に陥落した。
「――――――――――――父サマ」
「よし、言ったわ。遂に成就した。
皆の者ッ!! カエサリオンちゃんが遂にカエサル様を父サマ呼びしたわっ!!
今すぐ盛大に全力で宴を再開なさい。……安全管理には気を付けるのよ?」
先程のしんみりしたテンションは何処へやら、やたらハイテンションなクレオパトラ。
カエサルと両手を繋いでクルクルと回っている。
隣りで息子が虚ろな目をしている事には触れないで上げたいと思う。
もう、何ていうかいたたまれない感じが凄い。
恐らく夜通し続くだろう。
私はミイラを通り越して灰になったファラオでも慰めておきますか。
―――――まだまだ、宴は終わらない。