ある世界線のマスターとサーヴァント   作:犬原もとき

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夢の中にネロちゃまが出てきたから勢いで書いた。
反省も後悔もしてない。

●●には好きな名前を入れよう。
一人称は僕だけど、気になる人は脳内変換だ!



とあるマスターと薔薇の皇帝
ある世界線のマスターと薔薇の皇帝


それはもしかしたらのお話。

あり得たかもしれない話。

一つの夢の話。

 

 

「んぅ……」

目が覚めた。

スマホの画面をつけ、時間を確認する。

「………まだ5時じゃん」

早すぎる。約束の時間から逆算してもまだ後4時間はある。

寝よう。

今日は大事な日だ。久しぶりにあの人とデートが出来る。

体力と気力を十全にして、タップリと楽しめるようにしよう。

おやすみなさーい。

 

「とーう!!」

「ほごぉ!?」

可愛い声とともに走る衝撃。

僕のお腹にダイレクトアタック!

眠気を意識の彼方にシュウーーーー!!

超!エキサイティン!

「うむ!華麗に決まったな!約束の刻限前故、寝ていると思ったがまさか寝直すとは思わなかったぞ」

可愛い僕の皇帝の声が聞こえるけど、生憎それどころじゃなかった。

いい所に入ったお陰で、激痛で呼吸が出来ない!

今の僕にできるのはダンゴムシのように丸くなって呻く位だ。

鳩尾あたりかな?いや、ネロは膝から乗ってきたからやっぱり腹か。

今日の朝食べてなくてよかった。

というか今何時だろ?

あまりの痛さで僕の頭が処理しきれず、どうでもいいことを考える。

「むっ?どうした●●……も、もしや痛いのか!?痛かったのか?!」

あぁ、ネロが心配してる。

可愛いなぁ。ちょっと泣きそうになってるのもすごく可愛い。

可愛いけどお願いだから今は揺らさないで!

吐く!吐いちゃうから!お願いだからやめてぇーー!!

 

「起こしにしてくれてありがとう。ネロ」

あれから半時間して、僕の痛みはなんとか収まり、朝ご飯を食べている。

今日はレタスとハムとチーズを挟んだサンドイッチと、ヤクルト系の飲み物。

なんかテレビで朝はガッツリしたものがいいと聞いたけど、僕はやっぱり朝は軽い方がいい。

「うむ。だが本当に大丈夫なのか?やはり今日のデートは少しずらした方が…」

「そんな事したら本当に怒るよ。毎回僕がネロとのデートを、どれだけ楽しみにしてると思ってるのさ」

そこで僕は食事の手を止め、ネロの瞳を真っ直ぐ見る。

いつも強気で自信に溢れた目つきも、今は不安げで少し潤んでいる。

可愛い。

こう言う顔を彼女が見せるのは、世界中でも僕だけだ。

世間はいつも自信満々で、強引で、憎めない彼女の姿しか知らない。

彼女の悩んだ顔も、涙も、本当に怒った顔も、本当に嬉しい時の顔も僕しか知らない。

僕の前でだけ見せる本当のネロ・クラウディウス。

信頼しているからこそ見せてくれる、本当の彼女の顔。

僕はそれが嬉しくて堪らない。

「………●●」

「ん?」

「その…そなたがもう気にしてないのは分かった。分かったから見つめるのは止めよ。流石に照れるではないか」

「ネロが可愛いのが悪い」

うん。可愛いのが悪い。

「ふっ…そうか。なら仕方あるまいな!なにせ余の美貌はローマ随一。然らば見惚れるのも必然よの!」

ネロは、見よ!と大きな声を出しながら立ち上がり、自賛しながらクルクルと回り始める。

僕はそれを持っていたスマホで撮影しながら見ていた。

拝啓、父上様。母上様。

今日も僕の恋人が可愛すぎて堪りません。

 

「それはそうと●●よ。やはり余は何かしらの形で謝罪をしたいのだが、何か要望はないか?」

街の中をデート中、ネロは朝の事をまだ気にしているのか、そんなことを聞いてきた。

ネロの事だから、しっかりとケジメをつけてスッキリさせたいんだろう。

そうは言っても、僕にとってはこのデートそのものがご褒美だ。別にこれと言って望みなんてない。

強いて言うなら、ネロと結婚したいのが望みだ。

「んー……何らかの形といってもなぁ」

「なんでもよいぞ?何だったら…め、夫婦になる……とか……」

………らめぇ。そんな顔で見ないでぇ。

上目遣いでモジモジしながらダメ?みたいな顔されて堕ちないわけないでしょう?

元々君のことが好きなのにこれ以上好きになったら君無しで生きていけなくなっちゃう…」

「う、うむ。そうであったか。途中から心の声が駄々漏れで、そなたの余に対する想いはしっかりと伝わったぞ。●●」

あっ、やば。これすっごい恥ずかしい。

ネロは顔を赤くして、イヤンイヤンと身体を揺らしている。

可愛い。可愛すぎて辛い。

結局お昼ご飯を奢る事で手を打ってもらった。

 

「人が多くなってきたなぁ」

混雑。と言うほどじゃないにしろ、手を離して歩いていると、うっかり逸れてしまいそうな位に、騒がしくなってきた。

やっぱり皆休みだからだろうなぁ。

「ん?」

前を見ると、ネロが誰かと話している。

誰なんだろう?と思い、人の波間から覗いてみると

男だった。

男の方は楽しげに話しているが、ネロの顔は何か企んでいる顔だ。

何をしてるんだろう?

と思うと、ネロの目が僕を捉えた。

そして、ふっ。と微笑み、男と歩き始める。

……意地悪。

ネロは僕を試そうとしている。

あれはワザとナンパについて行ってる。

ネロの事だ。適当なタイミングで僕の名前を呼び、見せつけるつもりだ。

分かってる。

分かってるけど……

「…ネロの意地悪」

恋人の僕の目の前で、他の誰かと楽しそうに歩いている。

それだけで、今すぐにでも飛び出してしまいたくなる。

けれど、僕がそうしようと構える度に、ネロはこちらを見て妖しく微笑み、抑えてくる。

………ネロの意地悪。

 

「あ〜…え〜…っと●●?デートの最中にあのようなイタズラをした事はすまなかったと思っておるし、ちゃんと埋め合わせも考えていた」

僕の前でネロが何か言ってる。

「朝の事といい、先の事といい、そなたの優しさに甘えていた事は否定できぬ。寧ろそなただからこそ甘えたかった。いや、これは言い訳に聞こえるかも知れぬが、本心なのだぞ?」

色々言ってるけど、僕は敢えて耳を貸さない。

「だからその…●●よ…余を抱えて歩くのは止めよ!嬉しくて恥ずかしくてどうかしてしまいそうではないか!」

「じゃあこのままで良いね」

「●●ーーーーー!!」

顔を真っ赤にしながらジタバタと暴れるネロ。

一見すると嫌がって暴れているように見えるけど、ネロがその気になれば僕なんか余裕で振り解ける。

要は満更でもないのだ。

けど人前なので、恥ずかしいのは恥ずかしい。と言った所だ。

「何を言おうとネロが悪い。ああ言うのは僕は一番嫌いだって前に言わなかった?」

「…聞いている。いや、知っていたからこそ、だ」

知っててやった。

うん。前にすごい喧嘩した時もそれが原因だった。

あの時はどうしても譲れなかったから、絶対に謝らなかった。

それ程に、僕は親しい人。それも自分が愛していると感じている人が、他の人についていく姿を見るのが嫌だ。

そのまま帰ってこないんじゃないのか?

僕を見捨てて行ってしまうんじゃないのか?

一人になってしまうんじゃないのか?

そんな事は無いと思っていても、そう思ってしまう程に、僕はそれが嫌いだ。

それを知っていてネロは…。

「……●●。余に幻滅したか?」

「え?」

「知っていて尚、そなたが真に嫌う事をした。それは言わばそなたからの愛を、信頼を、絆を踏みにじる行為だ」

ネロが自分を責める。

「これから語るのは言い訳だ。しかし本心だ。哀れな女の戯言と受け止め、しばし時間を貸してほしい」

ネロが腕をゆっくりと外す。

そのまま少し離れ、こちらを向く。

「●●よ…余はそなたが好きだ。大好きだ。正直今こうしている時も、胸が高鳴って仕方がない。そなたの吐息を旋毛で感じ、肌の温もりを全身で感じ、心臓の鼓動を背中で感じている」

足が止まり、ネロの愛に耳を傾ける。

2度目になるけど、ここは人前だ。

公衆の面前ってやつだ。

何人かが、よく通るネロの声に反応して、足を止めている。

「腕に抱えられた身体が沈み、抱えなおされた時は甘い声が出そうだった。何かを喋る時に、脳天からかかる声と吐息で心が惚けた。歩く度に揺れる身体は愛撫のようで、思わず心のままに唇を奪い、そのまま愛でてしまいそうになった。頭の上から足の先まで、そなたの事を愛していると、全身と、持てる限りの言葉と技で伝えたいと思っている」

高らかに情熱的に。

美しく激しく。

彼女の愛はまさしく黄金の太陽だ。

多くの人が魅せられ、手にしたいと思う。

だけど手にする事なんて出来ない。

太陽に近づいた愚か者の末路は失墜。

身を焼かれ、目の光を失い、やがて死んでいく。

ならば僕は?

「奏者よ」

それは、嘗てのお互いの関係を表した呼び方。

何年振りだろうか?

随分前のようにも、つい最近の様にも思える。

「余はそなたの愛をもっと感じたい。静かで、美しく、揺蕩う様に幻想的な愛も好きだ。しかし、余は…余はそなたが熱く、激しく、燃える様な愛をもっとみたい!その為なら余は…余は…」

ネロの顔に悲痛という表情が見える。

その先は言わせてはならない。

嘗ての彼女の奏者として。

今の彼女の恋人として。

「じゃあ聞いてみる?」

僕の言葉にネロはピクリと反応する。

いつの間にか大通りは僕達を中心に大きな人だかりが出来ている。

そこに居るすべての瞳が僕を見ているような錯覚に陥る。

だ、大丈夫。大丈夫。平気平気……。

「大きな声は苦手だからさ…もっと近くに…」

「う、うむ…」

ネロが期待と不安の混じった顔で、おずおずと近づいてくる。

「もっと」

「もっとか…どうだ?」

「もっと…」

「こ、これ以上か?構わぬがお主なにを…!」

ネロの吐息が、顔が触れる程の距離になった時、僕は一気に抱き寄せ、彼女と唇を重ねた。

驚いたようなネロの表情が分かる。

見えなくても。

抱き寄せた行為に応えるように、彼女が腕を回し、抱き返してくる。

周りの喧騒が聞こえなくなる。

夏の暑さも、二人の燃えるような愛の前では涼やかなものだ。

僕はネロのように、情熱的に愛を語る事は出来ない。

だから、これが僕にできる精一杯。

今はこれで勘弁してね?ネロ。

 

「ふふふ♪昼間は情熱的だったな。●●♡」

「や、やめて…ちょっと恥ずかしかったから」

「何を言う。余は…余は…感動が今も止まっておらぬ!そなたがあそこ迄とは!余は嬉しい!!」

「ははは……」

部屋のベッドの上でぴょんぴょんとはしゃいでいるネロを見て、昼間のキスを、思い出し僕は顔を枕に沈める。

我ながら何と大胆な事をしたのか。

結果としてネロが喜んでくれてるからいいけど、そうじゃなかったらただの恥ずかしい奴だった。

結局2〜3分位ディープなのをして、口を離して間もなく、ネロがホテルへ連れ込もうと、手を引いて全力疾走した。

なんとか言い包めてその日のデートコースを回り、こうして家についた。

正直引っ越しを考えている。

恥ずかしくて街歩けないよ…。

SNSやら動画やらで既に拡散されてるし…うぅ…もうどこへ逃げても同じか…。

「●●……」

ネロが甘えた声で、僕を呼ぶ。

そっちを振り向くと、そこには艶やかに寝転ぶネロの姿があった。

ストロベリーのネグリジェから見える肌は真珠の様に美しい。

いつもはシニヨンにしている髪も、今は下ろしており、いつもと違った雰囲気で、特別感がある。

「余はもう寝ようと思うが…そなたはどうする?」

「もちろん。僕も寝るよ。今日も疲れちゃった」

「んふふ…そうか…そなたも寝るか」

ん?なんか言い方が怪しいぞ?

と、取り敢えず僕もベッドで横になろう。

隣で横になると、急にネロが抱きついてきた。

「ネ、ネロ!?」

「ふふふ…奏者よ。まさかあれ程の事をしておいて、今宵なにもなく寝れると思っておったのか?」

「や、やめ…ちょっ!?当たってる!当たってるから色々!」

「何…気負うことはない。そなたは余に任せて身を委ねるが良い」

ネロの顔が近づいてくる。

その目はいつもの様に無邪気で自身に溢れたものでも、こちらを陥れようとする策謀の目でもなく

「忘れる事のできぬ…暑い夜にしよう…のぅ?そ・う・しゃ♡」

これからご馳走を頂こうとする獣の目だった。

 

 

この日の夜の事を、生涯忘れる事は決して無い事をここに記しておく。

 




以上です。
お目汚し失礼_(:3」∠)_
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