その一
――――雨
――――誰の目にもその真の姿を
――――大聖堂から下界を睨むドッチオーネも、
彼女たちは濡れることを全く気にしていない。
「アタイたちとドンパチしたきゃ、
ケタケタと
残された男たち。冷たい雨に身は
――――
男たちの呪文を鍵にして、女児たちは
男たちの心に決して
「またか……。」
「
男たちは、
「……一体、何をどうしたらこんなブッ壊し方ができるってんだ。」
死に神の現れた翌日、
エメラルドの海とパールホワイトの砂浜に囲まれる国に
そこは、海に囲まれた国『イラリア』が
昨晩まで、
しかし、集まった男たちの目に映るものは、
「それで、バンビーノの生き残りはどうしてる。」
「ダメですね。奴らも、悪魔だの、少女だの、
「またか。」
――――アラ・クポネ
――――シャッキー・レチアーノ
いずれもギャロル・バンビーノに引けを取らない、強国イラリアを裏で支え、動かし続けた
そして、悪名高い組織の生き残りが共通して口にする言葉、それが「悪魔」と「少女」だった。
「今回も、ギャロルの遺体は見つからないようで、連中は廃人寸前ですよ。」
「当然だ。バンビーノはここ100年
一夜明けても、その場を動く気力さえ回復することなく、何もない
「組織も国も変わらねえ。
「……いったい、この国はどうなっちまうんでしょうね。」
「俺が知るか。」
男は今一度、かつて肩を並べた者たちへ目を向け、思い直す。
「……明日は我が身ってことだな。」
男たちの去った後、後始末をするように現れたのは名ばかりの「法の番人」たち。彼らは男たちを
「それで、バンビーノさんは誰に殺られたんですか?」
温められたミルクココアを前に、男は
番人は男の母のように、背中を
「僕らは直接手を下せないかもしれませんが、それとなく噂を流すくらいならできます。だから、教えてくれませんか?」
……、女だ。
一時間は掛かったかもしれない。その一言を吐き出すために、男は唇から血を
「女?」
甘ったるいココアに口を付けた男はポツリポツリと、昨夜の雨粒を一つ、また一つと語り始める。
※ドッチオーネ=西洋建築で見られる
イタリア語で「ドッチオーネ」と言います。
※女児=一般的には小学生低学年までを指すようですが、昔の法律では20歳までを「少女」としていますし、英語圏では15歳までが「ガール」らしいので、彼女たちを「女児」と呼んでもOK。……OK?
※烏羽色(からすばいろ)=「烏の濡れ羽色」とも言います。一般的な黒よりもさらに黒く、艶のある色。微かに青や緑を含む場合もあります。女性の美しい黒髪を例える時にも使います。
※ボルサリーノ
ソフトフェルトを素材に使った中心線を凹ませたような形の「中折れ帽」の俗称。
イタリアのジュゼッペ・ボルサリーノにより興《おこ》されたメーカーが造った帽子がブランドとなり、ギャングたちを描いた映画「ボルサリーノ」にて脚光を浴びる。