エグゼイドになった主人公が異世界で戦います。

他の小説を書いてる時に息抜きで書いてたやつを、区切りの良いところまで仕上げてエグゼイド最終回と共に投稿してみました。

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エグゼイドPVを見てる時の私「仮面ライダー終わりましたね・・・(諦め)」
エグゼイド最終回予告を見た私「やだ!やだあああああ!!やぁだぁ!!」


おう二期あくしろよ。


I'm a 仮面ライダー!?

―――むかしむかしのみらいみらい、あるところに一人の男が暮らしていました。

 

男は何の面白みも無いごく普通の一般人で、大きくも小さくもないごく普通の会社で働き、ごく普通の生活を送っていました。

 

 

しかしある日突然、バッと通ったトラックが彼を引きずって泣き叫びました。

 

 

何かするまでも無く綺麗に即死した彼は、次の瞬間には真っ白な空間で目を覚まします。

 

普通の人間だったら不測の事態に混乱してパニック状態になるような状況でしたが、その男は真っ白な空間で平静を保っていました。

 

 

何故なら彼は、ハーメルン読者だったからです。

 

 

あまりにも速い展開、俺でなきゃ見逃しちゃうね!と誰に見せるわけでも無くカッコつけた彼の前に、突然謎の男が現れました。

 

謎の男は「俺ってば神様なんだけど、間違えてお前の事殺しちゃった!マジごめんネ」とヘラヘラ笑いながら言い放ちましたが、男は彼の事を同じくヘラヘラ笑って許しました。

 

すると自称神は許してくれたことに感動し、男に「好きな能力持って異世界に転生させてやるよ!」と言いました。

 

男はそれを聞くと、待ってましたと言わんばかりに温めて置いた答えをノータイムで言い放ちます。

 

 

「俺をエグゼイドにしてくれ!」

 

 

これは、エグゼイドになった男の異世界生活を記した物語、そのプロローグである。

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

「うん、やっちまったな!!」

 

 

異世界からこんにちは。

どうも皆さん、エグゼイドです。

 

数分前に神様みたいな奴に「エグゼイドになりたい」と願った俺ですが、今はそれなりに反省しているし後悔しています。

別に「王の財宝とか一方通行がよかったなー!」とか「他の仮面ライダーが良かったなー!」とかそういうわけじゃないんです。

「Fate」や「とある」も大好きだけど、やっぱり自分が好きなのは仮面ライダーでその中でもエグゼイドは映画を上映開始当日に見に行くくらいに気に入ってたので、願い自体には全く不安はありません。

願い方、そう願い方が悪かったんです。

 

人の気配が全くしない森の中、草が生い茂る地面に寝転がって自身の先の行いを後悔する俺の姿は、生前の姿では無く2.5頭身くらいになってしまっていた。

自分の手足を見て確認した限り今の俺は「仮面ライダーエグゼイド アクションゲーマーLv1」の姿になっていると思われる。

そう、「エグゼイドになっている」のだ。

しかも変身解除できないときた。

 

 

「俺をエグゼイドに変身できるようにしてくれ!・・・が、正しかったんだろうなぁ、うん」

 

 

もうこれ人間じゃないよね。

種族:エグゼイドになっちゃってるよね。

ホント、やっちゃったなー。

 

『エグゼイドになれた事はめちゃくちゃ嬉しいんだけど、人間やめるつもりは無かったからちょいショック』

 

今の俺の心境は、簡単に言えばこんな感じ。

つまり、実のところそんなにショックは受けて無くてその気になれば今すぐにでも立ち上がって何処かへ歩き出すことが出きるのだが、それはまだしない。

 

何故なら、俺は何をすればいいのかわからないからである。

 

転生する直前に神様から聞いた情報によると、ここは剣と魔法の世界・・・素晴らしく祝福したくなるくらいにはテンプレな異世界らしい。

それはおそらく、魔王とか魔物とかがいてそれに対抗するために人間は徒党を組んでギルドとか作り、戦っている世界だということだ。

転生するときは「ギルドとかに入ってエグゼイドの力を使って人類を守る!」とかなんとか考えていたが、人外になってしまった身ではそれは難しい。

獣人とか亜人とかが人間と共存している世界ならいくらか難易度は下がるが、それでもこの姿では十中八九初見は魔物だと判断されてしまうだろう。

 

つまり人間と接触するのは危険、ということなのだ。

 

 

「どうしろと・・・謎のモンスターとして陰ながら人助けをして生きろってか?」

 

 

あれ、結構いいかもしれないな、それ。

俺は主に王道転生ものを好んで読むのだが、それと同じくらいに人外転生ものも好きだ。

その中でも、主人公が良いモンスターと認識され人間と共存の道を往く展開が大好きなのだ。

 

うん、うん。

いいな、それ!

ちょっと楽しくなって来たぞ!

 

 

「地道に頑張るか!」

 

 

テンションが上がって来た俺は跳ねるように起き上がると、いざ行かんと短い脚を上げる。

そしてエグゼイド一話のように猛ダッシュ!・・・しようとしたところで足を止めたことにより、転びそうになったのを何とか耐えた。

 

 

「とっとと・・・今、なんか聞こえなかったか?」

 

 

そんな独り言を呟きながら辺りをキョロキョロと見まわすが、目に入るのは同じような木々ばかり。

でも確かに誰かの助けを呼ぶ声(だと思う)が聞こえた気がするんだよなぁ。

もう一度聞こえるまで棒立ちしてるのもありかも知れないけど、声の主の危機が迫ってるかも知れない時に俺は黙っていることなんてできない。

 

なので俺は取りあえず、その場でジャンプすることにした。

 

 

 

・・・

 

 

 

「へっへっへ・・・さぁ観念しやがれ!!」

 

 

あぁ・・・これは終わったかもなぁ。

 

私は馬を殺されたことで走れなくなった馬車の中から周りを隙間なく囲む盗賊たちを見て、思わずそう呟いた。

 

思えば短いうえにくっそつまらん人生やったなぁ。

何処にでもある貧しい村のふっつーの農家の子供として生まれ育って、たまたま訪れた旅人の「この子にはモンスターテイマーの素質がありますよ!」なんつー嘘かホントかわからん言葉を信じ切った大人たちに、村の英雄(笑)としてボッロボロ馬車と年老いた馬を無理やり押し付けられて旅立たされ、んでこの状況やもんなぁ。

 

まぁな?なんやかんやで素質がある言われて舞い上がってほいほい旅立った私も確かに悪いと思うわ。

でも旅立って半日で盗賊に遭遇はないと思うんや。

あーでも私が知らんだけで今の世の中何処もこんな感じなんかなぁ・・・

『なんもない草原やしちゃっちゃと走り抜ければ魔物にも盗賊にもあわんやろ!』とか言ったの誰や!

あ、うちのオトンやったわ。あの世で会ったらぶん殴ったろ。

 

そんなアホな事を考えているうちに盗賊はじりじりと距離を詰めてきている。

警戒してもなんもあらへんのやけどなぁ。

 

 

「なぁ、金目の物なんてなーんもないで?このボロッちぃ馬車見ればわかるやろ?」

 

「あぁそうかよ、だったらお前を奴隷として売るだけさ」

 

「安心しろ!いい値段で売ってやるからよ!!」

 

 

そう言ってギャハギャハ笑う盗賊達。

 

カーッ辛いわぁ!村の中で一二を争うレベルの美少女として生まれてしもうて辛いわぁ!!

いやホント辛いんやけど誰か助けてくれへん!?

 

さっき馬を全速力で走らせて逃げてる時に一応叫び声は上げたんやけど、望みは薄いやろなぁ。

うちの村にも滅多に人なんか来んし、さっき盗賊も「久しぶりの獲物だぁ!」なんて言っとったし。

コイツらどうやって生活してんやろ。

 

まぁそんなんどうでもいいとして。

 

 

「もうこの際魔物でもなんでもいいから誰か助けてー!!」

 

「ん?今なんでもいいって言ったよね?」

 

 

言った言った、だからはよ助けてって誰や今の。

えらい近くから声が聞こえた気が・・・?

 

 

「I'm a 仮面ライダー」

 

「なんかおる!?」

 

 

声のした方向を向くと、いつのまにか馬車の横に現れた二頭身の変な奴が変な事を言っていた。

ビックリして飛び退いたところで、周りの盗賊が「なんだコイツ!?」「上から降ってきたぞ!」「新種の魔物か・・・!?」となどと言っているのが耳に入り、変な奴を警戒しつつチラリと上を見るが憎たらしいほどに青い空が広がるだけだった。

 

 

「叫び声を聞いた後にジャンプしたら向こうで襲われてるのが見えたから、走って飛んで助けに来たんだ」

 

「わざわざご丁寧に説明ありがとうな!!・・・って、助けに来てくれたんか!?」

 

「おう!」

 

 

私の視線で何を考えてるのか察したのか、突然説明をするように長々と語りだした彼?についノリでツッコミを炸裂させてしまったが、彼?は気にすることなくその後の質問に対しても快く答えてくれた。

 

しっかし、驚いたなぁ・・・

 

 

「ホントに魔物が助けに来てくれるとは思わなかったわぁ!」

 

「あ、自分魔物じゃないです」

 

「え?でもその見た目で人って事は無いやろ?」

 

「悲しいなぁ・・・」

 

 

否定はしないんやなって。

 

と、ここで慌てていた盗賊達が平静を取り戻し武器を構え警戒しつつジリジリと彼に近づき始めた。

 

 

「何者だから知らねぇが邪魔するなら覚悟しろよ!」

 

「見た事ねぇ魔物だし、捕まえて売っちまえば大金が手に入るかもしれねぇな!!」

 

 

この盗賊の言葉を聞いて一抹の不安を覚えた私は、彼?に近づいて話しかける。

 

 

「なぁ、助けに来てくれたのは嬉しいんやけど強いん?・・・悪いけどあんま強そうに見えへんで?」

 

 

図体はデカいけど、全体的に丸っこいし二頭身やしなぁ。

 

私の質問に対して彼(もう確定でいいわメンドイ)は何処か素人臭い構えを取りつつ、自信満々に答えてくれた。

 

 

「超強いから安心しろ!多分!!」

 

「最後要らんやろ!」

 

「負けないさ!戦ったことないけど!!」

 

「だから最後ぉ!!」

 

 

自信満々なのか自信無いのかはっきりせぇや!!

 

どうしたら・・・あ!そうや!!

 

 

「レベル!レベルはいくつなんや!?」

 

「レベル?」

 

 

ギルドか役場で確認できる自分のレベル。

村の大人で5、前村の付近に現れた強い魔物が15で討伐に来てくれた王都の騎士様が20くらいだったというのを聞いたことがある。

 

役場にもギルドにも言ったこと無さそうやけど、自分のレベルくらい人外なら知っとるやろ!

んで盗賊は村の大人達よりも強そうやし7、8くらいだとして、レベル15くらいあれば安心できるんやけど・・・?

 

 

「レベルは1だ!」

 

「」

 

 

アカン、終わったわ。

これ盗賊の懐がさらに温かくなるだけやったわ。

 

レベル1なんて人間では赤ん坊しか該当しない存在だ。

それは魔物にも当てはまることで、どんなに強い魔物でもレベル1じゃ話にならない弱さだと聞く。

 

はぁ、短い人生やったな。

 

 

「1!1だってよ!!」

 

「ギャッハッハ!何しに来たんだコイツ!!」

 

 

さようなら美少女の私・・・

 

こんにちわ(自主規制)な私・・・

 

 

「・・・やっぱりレベル1じゃダメなのか?」

 

「当たり前やろがぁ・・・」

 

「じゃあレベル上げるか」

 

「今からじゃ遅すぎるわ!」

 

 

見晴らしの良い平原やけど魔物一匹見当たらんで!

居たとしても間に合わんけどな!!

 

 

「大丈夫大丈夫・・・いくぞ!」

 

「どこに?」

 

「大変身!!」

 

「聞けやぁ!!」

 

 

薄幸の美少女である私の言葉を無視しつつ彼は腰に巻いたベルト?についたレバー?を動かす。

そして彼の手によってそのレバーが開き切ると、直接頭に響くようなでっかい歌?が聞こえて来て彼の体が光に包まれた。

 

 

『ガッチャーン!』

 

『レベルアーップ!!』

 

『マイティジャンプ!!マイティキック!!マイティマイティアクション!エーックス!!!』

 

 

意味の分からない言葉で妙にノリのいい歌?の途中で彼の二頭身ボディが突然弾け飛び、中から先ほどの姿の面影を残した八頭身くらいありそうな姿になった彼が出てきた。

私も盗賊も、口をあんぐり開けてそれを見守ることしかできなかった。

 

 

「これで、レベル2だ!!」

 

「ってレベル2かい!?」

 

 

めっちゃ姿変わってんのに1上がっただけなんかい!

むちゃくちゃやなコイツ・・・

 

 

「でも安心しろ、ちゃんと戦闘力は上がってるぞ!」

 

「んでオチは?」

 

「・・・スピードは上がったけど、パンチ力とキック力は落ちてる」

 

「それレベルアップなん?」

 

「レベルアップです(迫真)」

 

 

ステータスが下がるレベルアップとか聞いたこと無いんやけど。

 

 

「ぶ、不気味な野郎だ!これ以上何かする前にとっ捕まえるぞ!!」

 

「ん?おっと」

 

 

異常な彼に恐怖を覚えたらしい盗賊が突然、私と話していた彼に後ろから鉄の剣で斬りかかる。

が、彼は斬られる前に盗賊の存在に気づき攻撃を大きく跳躍して躱し、体制を崩した盗賊のすぐ後ろに降り立つとその無防備な背中にパンチを叩き込んだ。

 

 

「ガッハァッ!?」

 

 

パンチを喰らった盗賊は大げさなほどに体を仰け反らせると、泡を吹いて気絶しその場へ倒れ込んだ。

 

い、今の軽いパンチにそんな威力があるようには見えへんのやけど・・・?

 

 

「い、一発で・・・?」「レベル2じゃねぇのかよ!?」「めちゃくちゃ飛んでたぞアイツ・・・」

 

 

慌てふためく盗賊達の言葉を聞いて、ふと私はさっきの彼の言葉を思い出す。

彼はここに「走って飛んできた」と言っていたはずだ。

そしてそれを盗賊達は突然空から落ちてきたと認識した。

 

 

走って飛んでって・・・ジャンプしてここまで来たってことやんな?

それを「落ちてきた」なんて思うってことは、とんでもないジャンプ力しとるってことやろ?

 

レベル1でとんでもないジャンプ力を持っている彼。

じゃあ、レベル1でとんでもないパワーを持っていてもおかしくないんやないか?

 

 

彼はレベルが上がってステータスが下がったらしい。

さっきも言うたけど、私はそんな話は聞いたことも無い。

・・・というかそもそも、レバーを動かすだけでレベルアップっていうのがおかしい!

 

おかしいことだらけのレベルアップする彼。

もしかしたら、彼の言う『レベル』と私達の知ってるレベルとは全くの別物だったりするんやないか?

 

 

そこまで考えた私は、彼が魔物では無いと言い切りながら人でもないと暫定?していたことを思い出した。

 

『人でも無く、魔物でも無い』

 

さっきは軽く聞き流していた言葉が、今では大きな信憑性を持って脳内を支配していた。

 

 

「俺はエグゼイド、仮面ライダーエグゼイドだ!」

 

 

未知の力を持ち、未知のレベルを持つ、私達の常識では測ることができない未知の存在。

そんな未知の存在である彼は私に背を向け、盗賊達の視界から私を隠すように目の前に立ちはだかっていた。

 

 

「彼女を奴隷として売るなんて絶対に許さない!!」

 

 

ふと、昔村に来た旅人から「人は未知のものに恐怖を感じるものだ」と聞いたことを思いだす。

嘘では無いのだろう。

当時聞いていた私自身も「なるほど」と感心したものだから間違ってはいないはずだ。

しかし、それは今の私には当てはまらないようだ。

 

 

だって、私はその未知の背中を見て―――

 

 

「彼女の運命は、俺が変える!!!」

 

 

―――こんなにも安心しているのだから。

 

 

 

 

 

 

 

「決まった!」

 

「最後要らん言うてるやろがぁ!!?」

 

 

 

・・・

 

 

 

「怯むんじゃねぇ!相手は一人だ、数で押し潰せ!!」

 

 

エグゼイドの気迫に怯んでいた盗賊達だったが、ボスらしき大男の声で気を持ち直し一斉に襲い掛かりは始める。

その盗賊達の波状攻撃をエグゼイドは完全に見切り、余裕を持って攻撃を躱しながら相手の手首に手刀を叩き込んで武器をはたき落としていった。

が、その程度では盗賊達は止まらず痛みが引くとすぐにまたエグゼイドへの攻撃を再開してしまう。

 

 

「これじゃダメか・・・なら、こっちも武器を使わせてもらうぜ!」

 

『ガシャコンブレイカー!』

 

 

何処からともなく取り出したガシャコンブレイカーを構えると、エグゼイドは襲い掛かって来た盗賊の一人に真正面から立ち向かう。

そして相手が武器を振り下ろすよりも早く懐に潜り込み、ガシャコンブレイカーを片手で振りぬくようにして盗賊の腹に攻撃を叩き込んだ。

すると、盗賊は『HIT!』の文字と共に体をくの字にして吹き飛び、少し先の地面に倒れ込むと白目を向いて気絶し再び起き上がってくる様子は無かった。

それを見て確かな手ごたえを感じたエグゼイドは「よし!」と言葉にすると、懲りずに襲い掛かって来た盗賊を次々と吹き飛ばしていった。

 

『HIT!』『HIT!』『HIT!』『GREAT!』『HIT!』『HIT!』『HIT!』『HIT!』『HIT!』

 

武器を用いた重い一撃をくらって次々に気絶し、着実に数を減らしていく盗賊達。

気絶していく仲間達を見て焦った盗賊の一人がエグゼイドの動きを止めるため、人質に取ろうと馬車の死角から少女に近づく。

しかしその動きもよくある展開として予想していたエグゼイドは馬車をジャンプで飛び越えると、その盗賊を着地しながら横からガシャコンブレイカーで吹き飛ばした。

 

そうして馬車の周りを飛び回り少女を守りながら盗賊と戦い続けたエグゼイド。

数分後には盗賊の下っ端は全員気絶しており、残るはボス一人となっていた。

 

 

「お前で最後だ!」

 

「・・・この、レベル2風情がぁ!!!」

 

 

レベル2なんかに自分の盗賊団が壊滅の危機に晒されているということが認められないのか、激高して大剣を振り上げエグゼイドに襲い掛かる盗賊ボス。

エグゼイドはガシャコンブレイカーのAボタンを押してハンマーモードからブレードモードに切り替えると、その刃で何倍もの大きさの大剣の一撃を受け止める。

そして力を込めて大剣を押し返し、体制を崩したボスを視界に収めながらゲーマドライバーからガシャットを抜き取ると、ガシャコンブレイカーに差し込む。

 

 

『ガシャット!』

 

『キメワザ!!』

 

「フィニッシュは必殺技で決まりだ!」

 

 

そのエグゼイドの声と共に辺りに響き渡る必殺技待機音に、盗賊ボスは嫌なものを感じ取ったのか大剣の刀身で身を隠すように守りの体制を取る。

そしてエグゼイドはカラフルなオーラを刀身から発し始めたガシャコンブレイカーを構えなおすと、足に思い切り力を入れた。

 

 

『MIGHTY CRITICAL FINISH!』

 

 

その音声と共に盗賊ボスに向けて突撃したエグゼイド。

一瞬で盗賊ボスの目の前に移動すると、「ハァーッ!!」と声を張り上げながら大剣をの刀身を斜め上に切り裂いた。

真っ二つにされた大剣はバラバラにはじけ飛び、盗賊ボスも必殺技で発生した風圧を近距離で受け、大きく吹き飛ばされると数メートル先に倒れると同時に気絶した。

 

 

『GAME CLEAR』

 

「やっぱり武器を攻撃したんじゃ、会心の一発にはならないか・・・」

 

 

そう言いながらエグゼイドはガシャットをガシャコンブレイカーから抜き取り、ゲーマドライバーに刺し直す。

そこでふと思いついた彼はゲーマドライバーのレバーを閉じ、ガシャットを抜き取ることによって行う変身解除をもう一度試みるがやはりレベル1に戻るだけで変身解除はされなかった。

エグゼイドはその事実に少しガッカリするが、思い描いていたように戦えた事に気をよくしていたので潔く現実を受け止め、少女のいる馬車の方へと引き換えして行った。

 

 

 

・・・

 

 

 

戦いを無事に終え、馬車が止まってる場所まで戻って来た俺を迎えたのは、めちゃくちゃ目をキラキラさせてこちらを見つめる少女だった。

 

 

「めっちゃ強いやんエグゼイド!まるでヒーローみたいやったわぁ」

 

「まぁ、ヒーローだしな!」

 

「そうなんか、道理で強いはずやなぁ・・・っと、それよりも」

 

「ん?」

 

「まずはお礼言わな、助けてくれてありがとうな!」

 

「・・・おう!!」

 

 

先ほどまで奴隷として売られかけていたとは考えられないほどに元気な様子の少女に、とびっきりの笑顔でお礼を言われた俺は、助けてよかった、間に合ってよかったと再認識した。

 

こっちに向かってる途中で奴隷うんぬん聞こえてきた時は本当に焦ったからなぁ・・・

本当に間にあってよかった。

 

うんうん、といった感じでここまでの出来事を振り返っていると、「ちょっとええか?」と少女に話しかけられたので思考を中断して少女に向き直る。

 

 

「なんだ?」

 

「えと、アンタの名前はエグゼイド・・・でええんやよね」

 

「それで合ってるけど」

 

 

エグゼイドになりたいって願ってそれを叶えてもらった以上、俺はこれからエグゼイドとして生きていくことにした。

元々の名前を忘れたわけでは無いが、何処か違和感を感じてしまう部分が存在するのだ。

 

まぁ捨てたりはしないけどね!名乗らないだけで一生覚えてるさ!

 

 

「それでなんやけど、エグゼイドって何者なんや?」

 

「ド直球っすね」

 

「だって気になるんやもん、姿見る限りレベル1に戻ってしもうてるみたいやし・・・」

 

「やっぱり普通、レベルは下がらないんだ?」

 

「少なくとも私は聞いたこと無いわ」

 

 

俺はそれを聞いて少し考えると、少女に三つの事を説明した。

一つ目は仮面ライダーの事、二つ目は俺が死んでしまった事、三つ目は気が付いたら森の中にいたことだ。

これを聞いて少女は俺の境遇を『俺はこことは違う場所でヒーローをしていたがある時死んでしまい、気が付いたら知らない森の中にいた』と理解したようだ。

 

説明に関しては言ってないことがあるだけで嘘はついてないし、少女の認識について否定も暫定もしてないからね!

狙って勘違いさせたけど、余計な混乱を生まないようにするためだし、悪くはない・・・はずだ!

多少の罪悪感は感じてしまうけどな。

 

 

「はー・・・ホントのホントにヒーローやったんやなぁ」

 

「すごいだろ!」

 

 

エグゼイドはニチアサでヒーローだからね。

何もおかしくは無いネ。

 

 

「しっかし人に戻れなくなったって大丈夫なん?食事とかできへんように見えるで?」

 

「それに関しては問題ないっぽい、結構動き回ったのに全然疲れないし腹も減らないし」

 

 

そこらへんが何とかなりそうなことがわかって本当に良かった。

下手したら餓死で第二の人生が数日で終わるかもしれないところだったからな。

 

 

「それは便利やなぁ・・・羨ましいわぁ」

 

「ん?腹が減ってたりするのか?」

 

「いや、食料は問題ないんやけどこれからの事を思うと・・・あ、そうや!!」

 

 

一瞬ファントムが生まれそうなくらいに絶望した様子だった少女は、突然何かを思いついたようにポンと手を叩くとずずいっとこちらに近寄って来た。

 

 

「なぁなぁ、これから何するか決まってないんやろ?」

 

「いや、一応人助けをしていくつもりで「具体的には決まって無いんやろ!?」・・・まぁ、決まってない」

 

「じゃあ、これからも私の事助けてくれへん?」

 

「王都ってのを目指してるんだっけ、ちゃんと送り届ける予定だから安心してくれ」

 

「そんなちっちゃい話じゃないんや!ずーっと守ってほしいんや!!」

 

「・・・うん?」

 

「つまりやな?エグゼイドには私に―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――テイムされてほしいんや!!」

 

 

 

 

・・・これは、仮面ライダーエグゼイドを従魔にした美少女モンスターテイマーが英雄に至るまでの物語・・・

 

 

 

 

 

 

・・・に、なるんだろうか?

 




次 な ん て 無 い。
短編にふさわしいエンディングを見せたやったぜ。


~キャラ解説~

『エグゼイド』

主人公。
神様転生のチャンスを得たけどテンパって願いがおかしくなってしまったが本人はそこまで気にしてない系主人公。
ニチアサで養った熱い心で戦う熱血にして(ハーメルン的知識を持っていることを除けば)王道を往く存在。
神様に願った結果『仮面ライダーエグゼイド』という存在になってしまった。
変身できるのはレベル1とレベル2だけではなく、念じれば手元に3からムテキまでのテレビ本編でエグゼイドが使用したガシャットが全て現れる仕様となっている。
しかしこの能力には高レベルへの無理な変身をすると変身中に負担が蓄積し、変身解除時にそれが一気に襲い掛かる・・・というとても『らしい』デメリットが本来はあるのだが、主人公の場合そもそも変身解除できないので負担は何時まで経っても襲い掛からない。
仲間との絆で限界を超え、新たなさらなる高みへ・・・!という王道展開が幻へと消えた瞬間であった。

ちなみにだがこの世界には魔王が存在しており、そのステータスはパーフェクトノックアウトと同じくらい。
つまりは、主人公がハイパームテキをノーリスクで使用できるのを自覚した瞬間に魔王終了のお知らせ、というわけである。
慈悲は無い。


『(自称)薄幸の美少女』

ヒロイン件未来の主人公のご主人様件相棒。
見た目美少女な普通の村娘。
なんやかんやで旅に出て、なんやかんやで盗賊に襲われていたところを主人公に救われた。
年齢は10歳だが、その頭の回転の速さは並の大人を上回る。
村では天才扱いされており、電気鼠が相棒の少年みたく10歳で一人旅させられることになったのはそのせい。
その頭脳をフル回転させ主人公を従魔にすることに成功させた彼女は、彼と共に様々な強敵と戦っていくことになる。
ちなみに、モンスターテイマーの素質はちゃんとあるため、成長すれば従魔を補助する魔法を覚えることが出きる。
エナジーアイテムポジ。

彼女の名前は考えていないが、モデルはリリカルなのはの『はやて』である。
京都弁みたいなのは彼女の出身地域の方言、ということにしようそうしよう。


というわけで、いかがだったでしょうか。
あらすじで書いたように、他の小説を書いてる合間に書いた作品ですが楽しんで読んでいただけたのなら幸いです。
感想とか評価をして戴けたらとっても嬉しいです!
では、さらばっ。


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