妖精のいる飲食店   作:ふくちゃん

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小さな音楽家の話 後日談

演奏会の次の日ーー

 

「やっほ〜、リョウ。」

 

扉が開くのと同時に元気の良い声が店内に響く。

 

「いらっしゃい、マリア。そっか、学園終わる時間だね。」

 

「そうね、リースは退部手続きしてるからまだ学校だけど。それでさ、聞いてよーーーー

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

うんうん。よかった。

 

学園にも昨日きてくれた人がたくさんいるから、リース嬢の退部にも問題ないみたい。大っぴらな妨害ができないってだけだけどそれでも充分。手続きするだけならすぐ終わるし大丈夫そうだね。

 

他にも音楽部をやめてこっちに入ろうとしてる子が何人もいるって。やったね。

 

 

これなら2人が学園で浮くなんてことはやさそうだね。

 

 

あとは音楽なんてほとんど触れたことないけど楽団に入団したいって人もいるみたい。そんな人は入団後、僕とベラで鍛えてほしいとのこと。

 

 

もちろん。ビシバシ鍛えるよ〜。

 

 

「それでねそれでねーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

話しているうちに気がつけばお酒も出す時間が近づいてきた。

 

 

途中でリース嬢もきて、私もお話に混ぜてくださいなって感じで一緒に話してた。

 

部活も無事退部できたみたいで一安心。

 

 

そんなことを思いながら店の看板に酒場営業中と看板を変えに行くと、通りの窓から店の中を覗く、ちょっと薄汚れてる、小さな5歳くらいの女の子がいた。

 

「お嬢さん、どうかしたのかな?」

 

き声かけるとビクッとしたあとこちらを見て、直後顔が喜色に染まった。

 

 

そして、「私、リリっていうの‼︎お、お店で働かせてください!」

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

店内に招き入れ、カウンターで話を聞く。

 

落ち着いた頃に話し始めてくれた。

 

「き、昨日の演奏、聞いてたよ!わ、私感動した。それで私も一緒に演奏がしたいって思って…。でもまだちいさいから…。だ、だから、ここで働きながら、演奏を近くでみて、お金貯めて、楽器買って、一緒に演奏したいの。そ、それが私の今の夢!」

 

元気いっぱいに語られた。

 

僕らはとても嬉しかった。

 

 

音楽は夢を与える。

 

 

そんなありきたりな言葉があるが、実際100%そうであるかというとNOと言わざるを得ない。

 

それでも自分たちの演奏で夢を与えることができた。その事実がとても嬉しかったのだ。

 

だから、答えは決まってる。

 

 

「えっと、リリちゃん。お店で働いてもらいながら、音楽を教えてあげるね。その代わりしっかり頼むよ。音楽も店も厳しいからね!」

 

 

「うん!」

 

 

こうしてまた1人、音楽の仲間が増えたのだ。


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